とばりとは?夜の帳の意味と英語の使い方と漢字の違いは?

「夜のとばりが落ちる」「闇夜のとばりが落ちる」の「とばり」とは何を指すか知っていますか。ここでは「とばり」の意味や英語での表現、漢字ではどう書くか(戸張・帳・帷など)や、言葉や熟語(夜の帳が下りるなど)について検証します。

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とばりとは?漢字と意味は?

「とばり」の意味とは

夜

「とばり」の意味は2つあります。1つ目は 、物を遮って見えないように覆い隠すモノのことです。2つ目の意味は、室内や外部との境などに垂らして、区切りや隔てとする布帛 (ふはく) や垂れ衣、垂れ布のことです。同じようによく知らない語源「友引」の意味についての記事がありますので、合わせてごらんください。

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「とばり」の漢字表記7つ

「とばり」の漢字表記

パソコンで「とばり」と打ち込むと、漢字表記が3つ出てきます。「戸張」と「帳」と「帷」です。ほかにも「幄」、「幌」、「幃」、「幬」が「とばり」として使われますが、常用漢字ではありませんのでここでは省きます。また「戸張」と「帳」と「帷」のすべてが、「とばり」の意味に使われるわけではありません。

「とばり」の漢字表記「戸張」とは

「とばり」の漢字表記「戸張」とは

「とばり」の漢字表記「戸張」は、「物を遮って見えないように覆い隠すモノ」や「垂れ布」「布帛 (ふはく)」などのことではありません。あまり一般的ではありませんが、「戸張」は日本人の姓です。「戸張」の姓を持つ有名人に東京の生まれの彫刻家で、戸張孤雁(とばり‐こがん)という19世紀の日本人がおられます。

「とばり」の漢字表記「帳」と「帷」とは

「とばり」の漢字表記「帳」と「帷」とは

「とばり」を漢字表記をする「帳」と「帷」はどちらも「物を遮って見えないように覆い隠すモノのこと」と、「室内や外部との境などに垂らして、区切りや隔てとする布帛 (ふはく) や垂れ衣、垂れ布のこと」を表します。

「帳」と「帷」を音読みする場合の意味の違いとは

「帳」と「帷」を音読みする場合の意味の違い

「帷」は「い」と読んで、意味は「周囲に引き回した垂れ幕」のことです。一方、「帷」も「い」と読んで、意味は「周囲に巡らす垂れ幕」のことを指します。この「帳」を表す2つの漢字の音読みの意味はほとんど同じですが、ニュアンスが若干違います。

とばりの意味にあたる英語と使い方とは?

とばりの意味にあたる英語①「curtain」

とばりの意味にあたる英語「curtain」

「とばり」の意味にあたる英語1つ目は「curtain」です。日本語の「カーテン」にあたる単語で、発音記号はアメリカ英語で「kˈɚːtn」、イギリス英語で「 kˈəːtn」です。意味は「カーテン」「おおうもの」「カーテン状のもの」「(劇場の)幕」「どんちょう」で、また劇場の開幕時間の意味もあります。

とばりの意味にあたる英語「curtain」の使い方とは

とばりの意味にあたる英語「curtain」

「curtain」を使った「とばり」を意味する表現では、「霧のとばり」にことを「a curtain of mist(霧の幕)」 という言い方をします。ほかにも英語表現の関連記事がありますので、合わせてごらんください。

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とばりの意味にあたる英語②「pall」

とばりの意味にあたる英語「pall」

「とばり」の意味にあたる英語2つ目は「pall」です。発音記号はアメリカ英語で「pˈɔːl」、イギリス英語で「 pɔːl」です。カタカナなら「ポール」です。意味は「棺おおい」「(陰気な)幕」「聖杯蓋(おおい)」「とばり」「(特に遺体を納めた)棺」「ひつぎ」 です。

とばりの意味にあたる英語「pall」の使い方とは

とばりの意味にあたる英語「pall」の使い方

「pall」を使った「とばり」を意味する表現では、「夜の(暗闇の)とばり」は「a pall of darkness(of the night)」です。ほかにも「cover with a pall(ひつぎ覆いで覆う)」とか、「a funeral pall(棺衣)」 といった使い方をします。

とばりの意味にあたる英語③「cope」

とばりの意味にあたる英語「cope」

「とばり」の意味にあたる英語の3つ目は「cope」です。発音記号はアメリカ英語で「kóʊp」、イギリス英語で「 kˈəʊp」です。カタカナなら「クープ」です。「cope」の名詞での意味は、「おおうもの」や「聖職者のマント形の大きな外衣、外套」のことです。

とばりの意味にあたる英語「cope」の使い方とは

とばりの意味にあたる英語「cope」

「cope」を使った「とばり」を意味する表現では、「夜のとばり」は「the cope of night」です。「the cope of night」は英語では熟語で、決まり文句の言い回しです。「cope」のように服装に関連する関連記事がほかにもありますので、合わせてごらんください。

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とばりの意味にあたる英語④「shades」


とばりの意味にあたる英語「shades」

「とばり」の意味にあたる英語の4つ目は「shades」です。発音記号はアメリカ英語で「ʃéɪdz」です。カタカナなら「シェード」で、ランプの傘や窓につるすモノのことを日本語でも「シェード」といいます。意味は「(光・日光が物体にさえぎられてできる、暗い)陰」「陰」「日よけ」「薄暗がり」などです。

とばりの意味にあたる英語「shades」の使い方とは

とばりの意味にあたる英語「shades」

「shades」を使った「とばり」を意味する表現では、「夜のとばり」は「the shades of night 」です。「闇夜のとばり」は「the shades of dark night」 になります。

とばりの意味にあたる英語⑤「shroud」

とばりの意味にあたる英語⑤「shroud」

「とばり」の意味にあたる英語の5つ目は「shroud」です。発音記号はアメリカ英語で「ʃrάʊd」です。カタカナなら「シュラウド」です。「shroud」の意味は、「きょうかたびら」「幕」「とばり」「おおい」「包むもの」「横静索」「死体を包む白い布」のことです。ちょっと縁起の悪い言葉のようですね。

とばりの意味にあたる英語「shroud」の使い方とは

とばりの意味にあたる英語「shroud」

「shroud」を使った「とばり」を意味する表現では、「夜のとばり」は「shroud of night」で、「霧のとばり」は「a shroud of mist」になります。「闇夜のとばり」は「shroud of dark night」 になります。

「とばり」を使った言葉や熟語と意味とは?

「とばり」を使った言葉①闇夜の帳(とばり)

闇夜の帳(とばり)

「とばり」を使った言葉の1つ目は「闇夜の帳(とばり)」です。「闇夜のとばり」とは、「月や星のない夜の闇が、垂れ幕が張り巡らされたように身の回りにある状態」のことです。視点の中心である人間の周りに、まるで真っ黒いカーテンを身の回りに張り巡らしたような夜の闇が見える状態のことをいいます。

「とばり」を使った言葉②夜のとばりが落ちる

夜のとばりが落ちる

「とばり」を使った言葉の2つ目は「夜のとばりが落ちる」です。昼(夕方)の景色から、「夜の闇と月や星の光が、垂れ幕が張り巡らされたように身の回りにある状態」が、時間の経過とともにだんだん「落ちてくる」状態を指します。

「とばり」を使った言葉③夜のとばりが降りる


夜のとばりが降りる

「とばり」を使った言葉の3つ目は「夜のとばりが降りる」です。昼(夕方)の景色から、「夜の闇と月や星の光が、垂れ幕が張り巡らされたように身の回りにある状態」が、時間の経過とともにだんだん「降りてくる」状態を指します。

「とばり」を使った言葉④夜のとばりが下りる

夜のとばりが下りる

「とばり」を使った言葉の4つ目は「夜のとばりが下りる」です。「夜のとばりが下りる」という表現は、「夜のとばりが降りる」という表現と意味も使い方も全く同じです。このように動詞の漢字の使い方が、「下りる」と「降りる」で同じ意味なのに、違う漢字で表現をする場合があります。

「夜のとばりが落ちる」と「夜のとばりが降りる」の微妙な違いとは

「夜のとばりが落ちる」と「夜のとばりが降りる」の微妙な違い

「夜のとばりが落ちる」と「夜のとばりが降りる」「夜のとばりが降りる」という言い回しは、具体的に表現したいことに違いは全くありません。ただ見ている人間を主体として「落ちてくるもの」として夜の闇夜を表現するか、擬人的に闇夜が自発的に「降りてくる」「下りてくる」ものとしてとらえるかの違いだけです。

「とばり」を使った言葉⑤霧のとばり

霧のとばり

「とばり」を使った言葉の5つ目は「霧のとばり」です。「夜のとばり」が夜の闇夜が垂れ幕を身の回りの張り巡らされたような状態であるのと同じように、「霧のとばり」の意味は、霧がまるで垂れ幕を身の回りに張り巡らされたような状態であることを指すのが「霧のとばり」の意味です。美しい日本的な表現です。

「とばり」を使った熟語①「蚊帳」

「蚊帳」

「とばり」を使った熟語の1つ目は「蚊帳(かや)」です。「とばり」はひらがななので、もちろん熟語はありません。「とばり」を「帳」と書く前提にすると、「蚊帳」は「とばり」を使った熟語になります。天井からつるしたテントのようなもので、蚊から身を守るために布団の周りに張り巡らした細かい網のことです。

「とばり」を使った熟語②「蠅帳」

「蠅帳」

「とばり」を使った熟語の2つ目は「蠅帳(はえちょう)」です。「蠅帳」は小さな雨傘のような形の、網状になっているネットのことで、テーブルや食卓においてある食品にかぶせることで、食べ物を蠅(ハエ)やゴキブリなどの害虫から守るものです。大型冷蔵庫が一般的になるまでは、よく見かけられたものです。

会話中に比喩表現として使える「とばり」の使い方と意味とは?

比喩表現での「とばり」の使い方と意味①「夜のとばりが落ちる/下りる」

「夜のとばりが落ちる/下りる」

比喩表現として使える「とばり」の使い方と意味の1つ目は「夜のとばりが落ちる/下りる」です。前述のように、「夜のとばりが落ちる/下りる」の意味は「夜の闇と月や星の光が、垂れ幕が張り巡らされたように身の回りにある状態」のことなので、この表現を使うときの時間帯は夕刻から明け方までの時間帯を指します。

比喩表現として使える「夜のとばり」の例文とは

「夜のとばり」の例文とは

比喩表現として使える「夜のとばり」の例文は、「連絡もくれない彼女を待ち続けている間に、暗い気持ちを表すかのように夜のとばりが下りるのが見え、もっと暗い気持ちになった」とか、「長々と尽きない話しを続けるうちに、2人の困惑に合わせるように夜のとばりが音もなく静かに落ちてきた」というように使います。

比喩表現での「とばり」の使い方と意味②「霧のとばり」

「霧のとばり」

比喩表現として使える「とばり」の使い方と意味の2つ目は「霧のとばり」です。「霧のとばり」の意味も前述のように「霧がまるで垂れ幕を身の回りに張り巡らされたような状態」です。霧が出る時間帯は早朝か、あるいは夜のことが多いので、「霧のとばり」を比喩表現として使うのはこの時間帯で使われることが多いです。

比喩表現での「霧のとばり」の例文とは

「霧のとばり」の例文とは

「霧のとばり」の例文は、「できるだけ早く君の所に行こうと車を急がせていたけれど、早朝の霧のとばりがまるで塞ぐように行く先に立ちふさがっていたんだ」とか、「私の周りに立ち込めてきた霧のとばりは、見るものすべてを夢幻的で幻想にさせ、ここちよい想いさえさせた」というものがあります。

比喩表現での「とばり」の使い方と意味③「闇夜のとばりが落ちる/下りる」

「闇夜のとばりが落ちる/下りる」

比喩表現として使える「とばり」の使い方と意味の3つ目は「闇夜のとばりが落ちる/下りる」です。「闇夜のとばりが落ちる/下りる」の使い方は、「夜のとばりが落ちる/下りる」と同じですが、夕刻の時間帯も、星や月のある夜も入りません。「闇夜」は「日が暮れた後の夜」「照明や月明かりのない夜のこと」だからです。

比喩表現での「闇夜のとばり」の例文とは

「闇夜のとばり」

比喩表現での「闇夜のとばり」の例文は、たとえば「春の月も星もない闇夜のとばりは、音もなく静かに降りてきて、より暖かく夢心地にさせた」とか、「闇夜のとばりの中に突然車のヘッドライトが切り込んできて、来訪者が来たことを告げた」といった使い方をします。

幻想的でロマンチックな表現!日本語での「とばり」の使い方

今の日本で「とばりってどんな意味?」と聞かれて、即座に答えられる人は言語学者くらいでしょう。もともと日本語の古い言い回しで「垂れ幕」や「おおい」を意味するこの「とばり」は、すでに日常的に使われる言い回しではなくなっていますね。でも日常的な表現ではないからこそロマンチックな言い回しでもあるのです。

英語で「とばり」を意味する単語は、「cope」とか「shroud」のような墓場とか死人に関係するちょっと縁起の悪い言葉なので、幻想的ではあるかもしれないけれど、薄気味悪く、マンチックではありません。もともと日本語は縁起の悪いものを覆い隠す表現が多いので、「とばり」がよく小説で今でも使われるのですね。

「とばり」が何のことかは知らなくても、たいがいの人は「夜のとばり」の意味が何なのか検討がつくと思います。世界第2位の教育水準を誇る日本では、今でも「読む人」が圧倒的に多いからです。「とばり」のような古い表現はいくつもあり、美しい日本語の古来からの言い回しは、やはり廃れてほしくないものである思います。


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