「甲乙丙丁」の意味とは?読み方や契約書の使い方や続きと順位も
「甲乙丙丁(こうおつへいてい)」という契約書などでよく見られる言葉がありますが、読み方や意味・その続きなどを知っているでしょうか。とても歴史のある言葉で古くは通信簿などの成績評価にも使われていたという記録もあります。今回はこの言葉についてしっかりと理解を深めていきましょう。
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目次
「甲乙丙丁」とは?読み方と意味は?
「甲乙丙丁」とは中国で生まれた数の数え方
「甲乙丙丁」とは、あまり聞き覚えのない方も多いかもしれませんがそもそもは中国で生まれた数の数え方です。「甲乙」までなら分かる方もいらっしゃるかもしれません。どちらも全部で10個の要素からなる集合体の一部であり、「十干」という読み方です。
「甲乙丙丁」の読み方
「甲乙丙丁」は一般的には全て音読みで「こうおつへいてい」と読みます。これはそれぞれが別の数字を表しているわけですから当然一文字一文字が独立して読み方を持っています。「丁(てい)」は「包丁」など日常的に見かける文字ではありますが読み方が少し特殊なところに気を付けましょう。
「甲乙丙丁(こうおつへいてい)」の使い方と使用場面とは?
「甲乙丙丁(こうおつへいてい)」の使い方と使用場面①契約書類
「甲乙丙丁(こうおつへいてい)」の使い方と使用場面1つ目は契約書類に使う場合の使い方です。契約書類において契約当事者の名前を「甲」や「乙」と表現することはとても多く見られます。契約書というものは当事者の名前や所属が出る度に一文字も省略もすることなく書かなければ成立しないので、記号として使用されます。
「甲乙丙丁(こうおつへいてい)」の使い方と使用場面②特定の資格の種類
「甲乙丙丁(こうおつへいてい)」の使い方と使用場面2つ目は、特定の資格の種類の表記です。例えばガス主任技術者という建物のガスに関する保管監督など統括業務を担うための資格があるのですが、その資格の中での「甲」や「乙」は業務内で扱えるガスの圧力差や対応できる建物の規模の違いを表します。
社会人にとって資格取得をして自分のスキルやステータスをアップするというのも生きる術の一つです。しかし、特に世界一働き過ぎだと言われている日本人にとって仕事をやりながら資格取得に向けて勉強もするというのは時間や方法をしっかりと考えてやらないと難しいものです。こちらの記事を参考にしてみてください。
「甲乙丙丁(こうおつへいてい)」の使い方と使用場面③焼酎の種類
「甲乙丙丁(こうおつへいてい)」の使い方と使用場面3つ目は、焼酎の種類です。この種類とは焼酎を作るにあたって成分を分離・凝縮させる蒸留という方法の違いから生まれるもので、この結果生まれた種類が「甲種」もしくは「乙種」と呼ばれるようになります。また、2種類をブレンドした「混和」というものも存在します。
生活に密接した「甲乙丙丁」はまだまだあります。例えばこちらの記事では、源泉徴収の税額表にある月額表の「甲乙」と日額表の「甲乙丙」の謎について書かれています。「甲乙丙丁」は使用場面によってそれぞれ意味が違ってきますので、こんな使い方もあるんだと知っていただくいい例になります。
「甲乙丙丁(こうおつへいてい)」の続きは?順位・順番は?
「甲乙丙丁(こうおつへいてい)」の続きは「戊己庚辛壬癸」、その読み方
「甲乙丙丁(こうおつへいてい)」とは「十干」という10個の要素からなる集合体だと前述しましたが、その続きは「戊・己・庚・辛・壬・癸」です。この続きの読み方はそれぞれ「ぼ・き・こう・しん・じん・き」です。物によって「甲乙」などしか使われないパターンも多くありますがそもそもこの10個の一部です。
「甲乙丙丁」やその続きには順番・順位がある
「甲乙丙丁」やその続きには順位があります。単純に物を数えたい時や「日」を数える時は「甲乙丙丁戊己庚辛壬癸」の順に「1・2・3・4・5・6・7・8・9・10」又は「0・1・2・3・4・5・6・7・8・9」です。「年」を数えたい時は少し特殊で「4・5・6・7・8・9・10・1・2・3」となります。
「甲乙丙丁(こうおつへいてい)」を使う時の注意点とは?
契約書に「甲乙丙丁」を使う時の注意点①「甲」にする人
契約書などに「甲乙丙丁」を使う時の注意点1つ目は、誰を「甲」にするかです。契約書には少なくとも契約する側と契約される側の最低2名が登場しますが、この時どちらを「甲」「乙」にするかという法的な決まりはありません。しかし一般的には「甲」が優位な立場という認識ですので注意しましょう。
契約書に「甲乙丙丁」を使う時の注意点②当事者が多数いる場合
契約書などに「甲乙丙丁」を使う時の注意点2つ目は、当事者が多数いる場合です。時として契約書類内に複数の当事者を書き込まなければならないということもありますが、その際には優位な立場の側から「甲乙丙丁」の順に名称を置き換えましょう。4者よりも多い場合もそのまま「戊己庚辛壬癸」と続いていきます。
契約書に「甲乙丙丁」を使う時の注意点③「甲乙丙丁」の割り振りの把握
契約書などに「甲乙丙丁」を使う時の注意点3つ目は、「甲乙丙丁」の割り振りです。特に当事者が複数存在する場合には誰がどの記号で表されているのかややこしくなってしまうことがあります。この時当てられている記号を取り違えたりしてしまうと契約は無効になってしまうので気を付けましょう。
「十干」を使った言葉とその意味・類語など
「甲乙つけがたい」の意味
「甲乙つけがたい」とは、どちらも優れているので一番も二番も決められないという意味です。ここに含まれる「甲乙」は「十干」から来ています。この言葉は「どちらも優れている」ということが前提で、比較対象が劣っていたり悪いものであったりといったマイナスな内容の時に使われることはありません。
「甲乙つけがたい」の類語
「甲乙つけがたい」の類語は「互角」です。この「互角」はそもそも「牛角」という言葉から来ています。牛の角は左右とも同じような形になるもので、長短や大小などの差が出にくいことから「互いに差がなく同じようなもの」という意味で使われるようになりました。この意味からいつのまにか表記が変わったと言われています。
「甲乙つけがたい」と間違いやすい言葉
「甲乙つけがたい」と間違いやすい似た言葉に「どんぐりの背比べ」があります。これは両方共に「双方に大きな差がない」という意味を持っているからですが、「甲乙つけがたい」は優れている両者の優劣を言うのに対し「どんぐりの背比べ」は両者が低レベルすぎて比べるまでもないという場合に使われるので別物です。
「甲乙つけがたい」の対義語
「甲乙つけがたい」の対義語は「段違い」です。囲碁や柔道などの技量によって与えられるランクのことを「段」といい、対戦の際にこの「段」が違いすぎると実力差が大きすぎて勝負にならないということから「程度の差が比べ物にならないほど大きい」という意味で使われるようになりました。
「十干」と「十二支」
「十干」の起源
「十干」の起源は、紀元前とも言われています。そもそもなぜ10個なのかと言うと、それは人間の指が10本だからです。古代中国人は日数を指を折って数えていました。指が10本で10日、その一括りを「浣(今の「干」)」と言い、それが「上浣」「中浣」「下浣」と3周期繰り返されると30日で一月という考え方です。
五行を司る「十干」
中国には五行という「世の中のものは全て木・火・土・金・水の五行とその陰と陽で構成されている」といった思想があります。「十干」はそのそれぞれを表すための要素であり、陽を「兄」陰を「弟」として、「甲は木の兄」「乙は木の弟」「丙は火の兄」「丁は火の弟」という風に捉えます。
「十干」と「十二支」は対を成す関係
実は「十干」には対を成すものがあります。それは「干支」で有名な「十二支」です。そもそも「干支」とは世間一般的に思われている「十二支」のことではなく、この「十干」と「十二支」を組み合わせて「十干十二支」といいそれを省略したものが「干支」と言われるようになったのです。
「干支」という暦の数え方
「干支」は「十干」と「十二支」という2つの暦の数え方を合わせたものですが、「甲乙丙丁戊己庚辛壬癸」の10個と「子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥」の12個がセットになって、例えば「甲子」「乙丑」「丙寅」というように年々一つずつズレていきます。こうして60年で一周した時を「還暦」と言います。
「干支」の続きとそれぞれの読み方
「干支」は60年で一周すると前述し少しだけご紹介しましたが、これには続きがあります。そしてその読み方は音読みと訓読みの2種類ずつあり、似たような読み方も非常に多いのでとてもわかりにくいもので一般的には聞き慣れないものです。ここで一覧で読み方を全て確認してみましょう。
「干支」の一覧表
干支 | 読み方(訓読み) | 読み方(音読み) |
甲子 | きのえね | かっし |
乙丑 | きのとうし | いっちゅう |
丙寅 | ひのえとら | へいいん |
丁卯 | ひのとう | ていぼう |
戊辰 | つちのえたつ | ぼしん |
己巳 | つちのとみ | きし |
庚午 | かのえうま | こうご |
辛未 | かのとひつじ | しんび |
壬申 | みずのえさる | じんしん |
癸酉 | みずのととり | きゆう |
甲戌 | きのえいぬ | こうじゅつ |
乙亥 | きのとい | いつがい |
丙子 | ひのえね | へいし |
丁丑 | ひのとうし | ていちゅう |
戊寅 | つちのえとら | ぼいん |
己卯 | つちのとう | きぼう |
庚辰 | かのえたつ | こうしん |
辛巳 | かのとみ | しんし |
癸未 | みずのとひつじ | きび |
甲申 | きのえさる | いつゆう |
丙戌 | ひのえいぬ | へいじゅつ |
丁亥 | ひのとい | ていがい |
戊子 | つちのえね | ぼし |
己丑 | つちのとうし | きちゅう |
庚寅 | かのえとら | こういん |
辛卯 | かのとう | しんぼう |
壬辰 | みずのえたつ | じんしん |
癸巳 | みずのとみ | きし |
甲午 | きのえうま | こうご |
乙未 | きのとひつじ | いつび |
丙申 | ひのえさる | へいしん |
丁酉 | ひのととり | ていゆう |
戊戌 | つちのえいぬ | ぼじゅつ |
己亥 | つちのとい | きがい |
庚子 | かのえね | こうし |
辛丑 | かのとうし | しんちゅう |
壬寅 | みずのえとら | じんいん |
癸卯 | みずのとう | きぼう |
甲辰 | きのえたつ | こうしん |
乙巳 | きのとみ | いつし |
丙午 | ひのえうま | へいご |
丁未 | ひのとひつじ | ていび |
戊申 | つちのえさる | ぼしん |
己酉 | つちのととり | きゆう |
庚戌 | かのえいぬ | こうじゅつ |
辛亥 | かのとい | しんがい |
壬子 | みずのえね | じんし |
癸丑 | みずのとうし | きちゅう |
甲寅 | きのえとら | こういん |
乙卯 | きのとう | いつぼう |
丙辰 | ひのえたつ | へいしん |
丁巳 | ひのとみ | ていし |
戊午 | つちのえうま | ぼご |
己未 | つちのとひつじ | きび |
庚申 | かのえさる | こうしん |
辛酉 | かのととり | しんゆう |
壬戌 | みずのえいぬ | じんじゅつ |
癸亥 | みずのとい | きがい |
「甲乙丙丁」のちょっと自慢できる雑学
ちょっと自慢できる雑学①戦前の成績評価は「甲乙丙丁」最高成績は「全甲」
「甲乙丙丁」に関する豆知識1つ目は、戦前の成績評価が「甲乙丙丁」で表されていたということです。いわゆる通信簿に載る成績は明治24年頃から一般的に「甲乙丙」で今で言う「優良可」を表した記録が残っています。最高成績は「全甲」で、少数ではありますが一部では「落第」という意味で「丁」も使われていたそうです。
ちょっと自慢できる雑学②歴史の年号は「甲乙丙丁」からヒントを得られる
「甲乙丙丁」に関する雑学2つ目は、歴史の出来事の名前と「甲乙丙丁」を含む「十干」の関係です。例えば「戊辰戦争」ですが、なぜこういった名前なのかと言えばこの「十干」にある「戊」からつけられており、これは年号の一の位の一を表しています。「十干」のつく名前の出来事であればここからヒントを得られます。
ちょっと自慢できる雑学③「甲子園」の名前の由来
「甲乙丙丁」に関する雑学3つ目は、高校野球で有名な「甲子園」の名前の由来です。「甲子園」が元々甲子園球場という施設から来ていることは有名ですが、この甲子園球場が完成した年が「十干」の最初の「甲」と「十二支」の最初の「子」が巡り合う60年に一度しか無い珍しい年だったので「甲子園」と名付けられたのです。
ちょっと自慢できる雑学④恵方は「十干」で決まる
「甲乙丙丁」に関する雑学4つ目は、節分の日の恵方が「十干」で決まるということです。「十干」は方角を表すこともあり、この方角と年を表す「十干」、そして定められた3つのルールを元に毎年の恵方が決まっています。「十干」は10個の要素の集合体ですから、10年で一周するということになります。
ちょっと自慢できる雑学⑤宮沢賢治は「全甲」の成績だった
ちょっと自慢できる雑学5つ目は、宮沢賢治が小学生時代に全てが最高成績であることを表す「全甲」だったということです。宮沢賢治の没後80年が経った2013年に彼の母校である小学校の金庫から発見されたそうで、その成績表によれば5・6年生時には皆勤など成績優秀なだけではない優等生であったことを伺わせます。
「甲乙丙丁(こうおつへいてい)」は古く歴史のある言葉
今回「甲乙丙丁(こうおつへいてい)」やその続きについて様々な面からアプローチし理解を深めてきましたが、世の中に知っていて損はありませんし、この「甲乙丙丁」やその続きにおいても全て書ききれているわけではありません。まだまだ奥深いいろんな事実が隠れています。それを探すのも楽しいのではないでしょうか。
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