「来る」の正しい敬語表現とは?尊敬語・謙譲語・丁寧語別に紹介!

「来る」の敬語を正しく使えますか?この記事では「来る」の敬語表現と例文を、種類別にご紹介しています。また「来る」の敬語表現は、誤った言い回しも多いです。言い換え方も本記事に掲載していますので、よく確認して正しく使いましょう。

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【尊敬語編】「来る」の正しい敬語表現とは?

①いらっしゃる

玄関から来る

「いらっしゃる」は来るの尊敬語の表現として使えます。目上の方に対してであれば使う場面を選ばない、最も簡単な表現です。ただしもともと動作の対象の方が居る場合も「いらっしゃる」と表現するため、文脈で読み取る必要があります。

②お越しになる

店に来る

「お越しになる」も来るの尊敬語として使えます。「わざわざ来てくれる」という意味になるため、来た本人に直接伝えても問題ありません。そのためお店やイベントなどのアナウンスでも使われ、日常生活でも耳にする機会が多い表現です。

③お見えになる

商談相手が来る

「お見えになる」も来るの尊敬語として使えます。話し手から見て「目上の方が来る」という意味の言葉なので、来た本人には直接伝えることはほとんどありません。もちろん、自分とは立場が近い方には使われない言葉です。

④おいでになる

古い街並み

「おいでになる」は来るの尊敬語として使えます。出発するや現れるなどの意味がある日本の古語、「出づ」に敬意を付け加えた言葉です。ちなみに舞妓さんなどが言う「おいでやす」は、いらっしゃいませのような意味があります。

⑤来られる

来るのを待つ

「来られる」も来るの尊敬語として使えます。なぜならもともとの来るに、「られる」という尊敬を表す助動詞を付け加えた言葉であるからです。ただし前述の言葉に比べて敬意が低い表現なので、使うのは自分と立場が近い方に限定しておきましょう。

反対に自分とは立場が離れている方には、別の言い方に変更することが望ましいです。また「られる」という助動詞は尊敬の他にも可能や受け身の意味で使われる場合もあるので、文脈で読み取る必要があります。「来られる」の意味の詳細な解説は、以下の関連記事をご覧ください。

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【謙譲語編】「来る」の正しい敬語表現とは?


①伺う

握手で挨拶

来るの謙譲語には、「伺う」があります。「聞く」という意味でも捉えられる言葉で、文脈によって解釈が変わります。また「伺う」は、敬意の対象がはっきりしている場合に使える言葉です。伺うという言葉の詳細な解説は、下記の関連記事で詳しく解説しています。

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②参る

電車が来る

「参る」も来るの謙譲語として使用可能です。こちらは敬意の対象がはっきりしない場合でも使えて、電車やバスなどが来る際のアナウンスでも用いられます。参るには「降参する」などの意味もあるので、文脈で読み取りましょう。「参る」の解説は以下の関連記事をご覧ください。

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③参上する

街を歩く

「参上する」も来るの謙譲語として使える表現です。改まった印象を与えるため、依頼やお礼の文章などで見られます。そのため直属の上司のように、近しい関係の方のもとに行く場合には使わない言葉です。

注意点として「参上」だけで文を締め括ってしまうと、遊びで使っているような印象になって失礼にあたります。敬語として使う場合は、必ず「する」までを伝えるようにしましょう。

【丁寧語編】「来る」の正しい敬語表現とは?

来ます

友達が来る

来るを丁寧語で言うと、「来ます」になります。親しい間柄での会話でも使える、誰にでもわかりやすい表現です。敬意の対象が話し相手のため、人に限らず動物や物が来るという場面にも使えます。

そのため来る人や物などに敬意を払った言い方ではありません。もし来る人や物などに敬意を払いたい場合は、上述の尊敬語に言い換えましょう。

【尊敬語編】「来る」の敬語表現を使った例文は?


①「いらっしゃる」の場合

いらっしゃいませ

「いらっしゃる」が入った例文は、敬意の対象と話し手の関係性が近くても遠くても使用できます。「いらしてください」はいらっしゃってくださいの略ですが、使っても失礼には当たりません。「来てください」を使うとぶっきらぼうになりそうな場面では、覚えておくと便利です。

    「いらっしゃる」を使った例文

  • お客様がいらっしゃいました。
  • 明日10時にいらっしゃいます。
  • どうぞ、いらしてください。

②「お越しになる」の場合

会社のエレベーター

「お越しになる」を使った例文には、接客で使えるものが多いです。相手がわざわざ来てくれたことを表現しているので、丁寧な印象になります。中でも「ようこそお越しくださいました」は歓迎の意を示しており、イベントやショーの最初の挨拶でも使われます。

    「お越しになる」を使った例文

  • 本日はお越しくださって、ありがとうございます。
  • またのお越しをお待ちしております。
  • 近くにお越しになる際には、どうぞお立ち寄りください。
  • ようこそお越しくださいました。

③「お見えになる」の場合

社長が来る

「お見えになる」を使った例文は、主に身内でのやりとりで使えます。具体的にはお客様が来る場合の店の従業員同士や、商談相手が来る際の社内のやりとりなどが想定されます。来る方に「お見えになる」と言うケースはほとんどないため、直接伝える場合は他の言い回しに変えましょう。

    「お見えになる」を使った例文

  • 商談相手がお見えになるまでに、準備を整えてください。
  • お客様は、明日午前10時にお見えになります。

④「おいでになる」の場合

2人で来る

「おいでになる」が入った例文を使うと、柔らかい印象を出すことが可能です。来る方に直接伝えても問題なく、「おいでください」とお願いする場合も敬意は崩れません。「お越しになる」と違ってわざわざ来てくれたという意味にはならないですが、相手を歓迎することを表現した例文もあります。

    「おいでになる」を使った例文

  • 〇〇様は何時頃おいでになりますか。
  • 先生がおいでになりました。
  • 本日はおいでくださいまして、ありがとうございます。

⑤「来られる」の場合

遠くから来られた

「来られる」を使った敬語の例文は、先輩や同僚など敬意の対象が話し手と比較的近い場合に用いられます。「お見えになる」などでは、敬意が大袈裟になってしまう場合に使用可能です。

注意点として話し手自身に対して「来られる」を使う場合は、可能の意味になります。尊敬の意味との区別は、主語が誰かということから読み取りましょう。

    「来られる」を使った来るの敬語表現の例文

  • 先輩が来られました。
  • 〇〇さんが来られたら、私にお知らせいただけますか。

【謙譲語編】「来る」の敬語表現を使った例文は?

①「伺う」の場合

会いに行く

「伺う」を使った例文は、敬意の対象がはっきりしている場合に使えます。自分が目上の方のもとへ行く場合に使えて、ビジネスシーンでアポイントを取る際に最もよく用いられる言い方です。ちなみに「お伺いします」という言い回しは文法的には正しくないですが、慣用表現とされています。

    「伺う」を使った例文

  • 明日、貴社に伺います。
  • 何かありましたら、すぐに伺います。

②「参る」の場合

神社に参る

「参る」を使った例文は、自分や身内の動作に使えます。敬意の対象がはっきりしない場合でも使えるので、「伺う」に比べて来るという意味での用法は広いです。そのため電車がホームに来る時は、伺うではなく「参る」が使えます。

    「参る」を使った例文

  • 時間通り、集合場所に参ります。
  • 担当の〇〇はすぐに参りますので、しばらくお待ちください。
  • 電車が参ります。

③「参上する」の場合

馬に乗って参上

参上するを使った例文は、自分の動作に使えます。改まった表現であるため、手紙やメールでも使用可能です。「本来であれば参上して」という言い回しは、来られなくて残念または失礼であることを詫びたいという意味の使い方です。

    「参上する」を使った例文

  • お約束しました通り、明日参上いたします。
  • 本来であれば参上してお礼を申すべきところですが、略儀ながら手紙にて失礼いたします。

【丁寧語編】「来る」の敬語表現を使った例文は?

「来ます」の場合

愛犬が来る

「来ます」という敬語表現は、敬意の対象が話の聞き手です。そのため後述の例文のように、自分の立場と同等以下の人や動物などが来る場合でも使えます。

「また来ます。」のような文は、親しい間柄の目上の方のもとに自分が行く場合にも使用可能です。謙譲語にすると堅苦しすぎる印象になってしまう場合は、丁寧語に言い換えて構いません。

    「来ます」を使った例文

  • いつも帰宅するとすぐに、愛犬が私のもとに来ます。
  • 注文した荷物が夕方に来ますので、受け取りのサインをお願いします。
  • 時々、後輩が家に遊びに来ます。
  • また来ます。

「来る」の敬語表現でよくある間違いは?

①二重敬語

文法に気をつけて

来るの敬語表現を使う際、敬意を二重に表さないように注意しましょう。尊敬語には既に敬意が含まれているので、わざわざ「られる」を付ける必要はありません。むしろ付けてしまうとしつこい印象を持たれたり、皮肉のように聞こえたりして失礼にあたります。

目上の人同士のやりとりに対して言及する際にも、表現方法に注意が必要です。例えば、職場の上司が訪問することを取引先の方に伝える場合は、「伺う」が正しい表現になります。なぜなら取引先から見た上司は、話し手の身内にあたるからです。そのため「伺われる」という言葉は、二重敬語にあたります。

「来る」の二重敬語と言い換え

お越しになられる お越しになる
お見えになられる お見えになる
おいでになられる おいでになる
伺われる 伺う

②過剰敬語

過剰にならないように

「来る」を補助動詞として使った文を敬語に変える場合、過剰敬語に注意しましょう。例えば「送ってくる」を敬語に直す場合、「送ってこられる」が正しいです。「送られてこられる」などにすると敬語が過剰になり、好ましくありません。

「来る」の過剰敬語の例

経緯のない文
ギフトを送ってくる ギフトを送られてこられる ギフトを送ってこられる
散歩してくる 散歩されてこられる 散歩してこられる

「来る」を敬語で正しく使おう!

言葉を勉強する

「来る」の敬語表現は、接客用語から身近な人に使えるものまで幅広くあります。相手との関係性によって適切な表現方法は変わるので、意識して使い分けることが大切です。

ここで紹介した言葉の中には「来る」以外の意味を含む言葉もあります。もし会話で不自然に感じたら、「来る」以外の意味ではないか考えて読んだり聞いたりしましょう。


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