二重敬語のよくある例5選!失礼な理由や二重敬語の見分け方も解説

相手への敬意を表す表現である敬語ですが、丁寧にしようと心がけるあまり「二重敬語」になっていませんか?実は二重敬語は、かえって相手に失礼な言葉遣いであるとされているのです。今回は、二重敬語が失礼な理由とともによくある例を紹介します。ぜひ最後までご覧ください。

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そもそも二重敬語の定義とは?

①1つの言葉に同じ種類の敬語を重ねる表現

古い辞書

二重敬語は、1つの言葉に同じ種類の敬語を重ねた表現のことです。日本語の敬語は以下の一覧のように、尊敬語と謙譲語、丁寧語という3種類があります。どれも目上の人を立たせたり、自分がへりくだったりして、相手へ敬意を表す意味を持つ表現です。

しかし、複数の敬語が重なることで、表現が不自然に見えたり、誤解が生まれてしまったりする場合もあるのです。そのため現代では、敬語の用法として間違いであるとされています。

    日本語の敬語表現とその意味一覧

  • 尊敬語:動作主である相手を敬い、目上の人を立たせて敬意を表す表現
  • 謙譲語:自分の立場を下げて、相手への敬意を表す表現
  • 丁寧語:言い回しを丁寧にして、敬意を表す表現。誰に対しても使える敬語表現

②元々は高貴な人対する敬意を表す表現

たくさんのノート

二重敬語の表現は古文でも多く使用されており、古くから高貴な人に対する敬意を表す表現でした。「聞かせ給ふ(=お聞きになる)」といったように、「尊敬語+尊敬語」という使い方がされていますよ。特に天皇や中宮などの行動に対して用いることで、他の人物と区別していたとされています。

二重敬語が失礼とされる理由とは?

①かえって嫌味に聞こえるから

嫌な顔をする女性

1つ目は、かえって嫌味に聞こえるからという理由です。四字熟語の1つに「慇懃無礼(いんぎんぶれい)」があります。慇懃無礼とは、態度や言葉が丁寧過ぎて、かえって無礼な印象を与えてしまうという意味です。

この言葉の通り、一見丁寧な表現の二重敬語も、へりくだりすぎて相手を見下しているように見えてしまう場合があります。そのため、相手に失礼がないように配慮しなければいけないビジネスシーンでは、二重敬語を使うのは間違いとされているのです。

②表現が冗長になるから


パソコンのメールを見る女性

2つ目は、表現が冗長になるからという理由です。特にビジネスメールの場合、文章のあちこちに二重敬語があると、それだけで文章が長くなります。その結果、文章の意図が伝わりにくくなったり、相手が誤解してしまったりする可能性があるのです。

例えば「A様がおっしゃられた」は、「おっしゃる」という尊敬語と、「~られる」という尊敬表現が組み合わさった言葉です。この表現では、A様が言ったのか、誰かに言われたのか分かりづらくなっています。相手に誤解を与えないようにするためにも、会話やメールで二重敬語を使うのは間違いであるとされているのです。

③卑屈でしつこい印象を与えるから

そっぽを向く女性

3つ目は、卑屈でしつこい印象を与えるからという理由です。敬語のなかでも特に謙譲表現は、その性質上、目上の人を立たせるために、相手に対してへりくだります。そんな表現を1つの文章にたくさん使うと、過剰なへりくだりによって、面倒でしつこい雰囲気に感じてしまう可能性があるのです。

確かにビジネスシーンでは、謙虚であることが大切です。しかし、あまりにも自分を下げる表現をしていると、ビジネスパートナーから「自信がないのかな」と思われる可能性もあります。そのため、より良いビジネスを展開するにあたって、二重敬語は不適切な表現であるとされているのです。

二重敬語のよくある例5選!

①ご覧になられましたか

パソコンを確認する社員

1つ目の例が「ご覧になられましたか」という使い方です。「見る」の尊敬表現である「ご覧になる」と、「~られる」という尊敬語が組み合わさっています。特にビジネスシーンにおいて、上司に資料を読んでくれたかを確認する意味で使われやすい二重敬語です。「ご覧になりましたか」という表現が正しいものになります。

②○○社長様

キーボードを打つ手

2つ目の例が「○○社長様」という使い方です。社長や部長などといった役職は、それ自体が敬称になっています。そのため、役職の後ろに、同じく敬称である「様」を付けると二重敬語になってしまうのです。ビジネスメールなどで使う場合には、「○○社長」または「○○様」という用法が正しいとされています。


③お越しいただけますでしょうか

電話をかけようとする人

3つ目の例が「お越しいただけますでしょうか」という使い方です。こちらの表現は「ます」と「です」という、2つの丁寧語を重ねた二重敬語になっています。実際に使う場合は「お越しいただけますか」が正しい用法です。さらに丁寧に言いたい場合は、「お越しいただけますと幸いです」と表現すると良いでしょう。

④○○様がお見えになられました

挨拶をする社会人

4つ目の例が「○○様がお見えになられました」という使い方です。主にビジネスシーンで、上司にお客様が来たことを伝える意味で使われます。

しかし、実際は「お~になる」という尊敬表現に、「られる」という尊敬の助動詞が合わさった二重敬語です。そのため、ビジネスシーンでの使用は間違いとされています。実際に使う場合には「○○様がお見えになりました」という用法が正しいです。

⑤頂戴いたします

ホテルの職員

5つ目の例は「頂戴いたします」という使い方です。こちらの表現は、「頂戴する」と「いたす」という、2種類の謙譲語が組み合わさった二重敬語になっています。正しくは「頂戴します」という表現です。

目上の人の体調や近況を伺う際に用いられる敬語の1つに、「お変わりございませんか」という言葉があります。ビジネスからプライベートまで、様々なシーンで使いやすい分、相手に合わせて表現や文章を変えることが大切です。以下の関連記事では、「お変わりございませんか」という言葉について詳しく解説しています。

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二重敬語の見分け方とは?

①語句の敬語の種類をチェックする


本で調べる人

1つ目の見分け方は、語句の敬語の種類をチェックするという方法です。一覧でも紹介したように、敬語には様々な表現があり、元となった言葉が同じでも、種類によって表記方法が変化します。

そのため、二重敬語かどうかを見分ける際には、一度その文章を構成している言葉を分解してみましょう。それぞれの言葉がどの敬語表現に該当しているのかを確認することで、二重敬語かどうかを判別しやすくなりますよ。

②「お~になる+れる・られる」の形になっていないか確認する

ノートを開く様子

2つ目の見分け方は、「お~になる+れる・られる」の形になっていないか確認するという方法です。「お~になる」とは、話している相手や、話題になっている第三者の行為を指す尊敬表現として使われます。ベースとなる言葉によって「ご覧になる」や「お話しになる」といったように、少し表現が変化するのが特徴です。

二重敬語の場合、「お~になる」の後ろに、同じく尊敬の意味を持つ助動詞である「られる」がついていることが多くあります。実際に使う場合は「られる」をなくすことで、一般的な敬語として使えますよ。

二重敬語だけど問題ないとされる表現一覧

敬語表現の在り方は、時代によって変化するものです。そのため、敬語表現のなかには、習慣として定着していることから、二重敬語だけど正しいとされているものも少なくありません。ここでは、二重敬語でありながら問題ないとされている表現を一覧でご紹介します。

①ご担当者様

会議をする人々

1つ目は「ご担当者様」という二重敬語です。担当者という言葉を美化する接頭語の「ご」と、敬称の「様」が組み合わさっています。一般的に定着している用法であることから、問題ないとされている表現です。しかし、「ご担当者様各位」という表現になると、過剰な敬語表現になってしまうので注意しましょう。

②お伺いします

握手を交わす人

2つ目は「お伺いします」という二重敬語です。習慣として定着している二重敬語の1つであり、「伺う」という謙譲語と「お~する」の敬語表現が組み合わさっています。しかし、「お伺いいたします」という表現になると、過剰な敬語表現となるので避けた方が良いとされていますよ。

③お召し上がりになる

食事をする男女

3つ目は「お召し上がりになる」という二重敬語です。文部科学省の文化審議会の資料でも、習慣として定着している二重敬語の例として紹介されています。「食べる」の尊敬語である「召し上がる」と、「お~になる」という尊敬表現が組み合わさった二重敬語です。

二重敬語と混同しやすい表現一覧!

様々な形があるからこそ、一般的に使われる表現のなかには、二重敬語と間違われやすいものも少なくありません。そこでここからは、一見二重敬語と間違われやすい敬語表現について、一覧でご紹介します。

①~させていただく

書類について話し合う人

1つ目は「~させていただく」という表現です。一見、2つの謙譲語が組み合わさった二重敬語のように見えます。しかし実際には、使役の意味を持つ助動詞「させる」と、謙譲語の「いただく」が組み合わさった言葉です。

そのため、二重敬語に該当せず、一般的な敬語として使えますよ。注意すべきなのは「~させていただく」という表現は、相手の許可が必要なことに対して用いられるという点です。そのため、自分の意思による一方的な行為を伝える際には使えません。

②承知いたしました

握手をする社会人のイメージ

2つ目は「承知いたしました」という表現です。「いたす」も「~ます」も敬語であるため、二重敬語と混同されやすい傾向にあります。しかし、実際には「いたす」は「する」の謙譲語であり、「~ます」は丁寧語です。2つの言葉は、それぞれ敬語表現の種類が異なるので、二重敬語になりません。

二重敬語に気を付けて丁寧な言葉遣いを心がけよう!

二重敬語は、丁寧な表現を心がけるあまり、思わず使ってしまいがちな表現です。しかし、ちょっとした見分け方や正しい用法を知っておくことで、うっかり二重敬語を使ってしまうのを防ぐことができますよ。ぜひ今回ご紹介した内容を参考にしながら、日頃から丁寧な言葉遣いを心がけてみましょう。

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