世帯分離のメリット・デメリットとは?手続きの方法や生活保護・扶養も

最近、話題になっている世帯分離ですが、メリット・デメリットがあることをご存知ですか?今回は、世帯分離で世帯主が分かれる仕組み、世帯分離のメリット・デメリット、世帯分離と生活保護・扶養について、世帯分離の手続きの方法、夫婦の世帯分離が出来るのか?など見ていきたいと思います。ぜひ参考にしてみて下さいね!

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世帯分離の意味とは?

世帯の意味とは|生計を一つにしている生活体

世帯の意味

まず「世帯」とは、同じ家に住んでいて生計を一つにして暮らしている生活体を意味します。世帯は、「所帯」というようにも言われます。世帯と言えば、普通は家族によって構成されているように思われますが、同居人や使用人などの、家族ではない人と生活を共にしていても、世帯と呼びます。

世帯を分けると、家族で構成されている「普通世帯」と寮などの施設の「凖世帯」の2つに分かれます。さらに普通世帯を「親族世帯」、「非親族世帯」、「単独世帯」に区分する事が出来ます。

世帯分離の意味とは|世帯主や世帯員が2つに分かれる

世帯分離の意味

世帯分離は、1つの世帯の住民票を2つの世帯に分ける事を言います。つまり、同じ家で暮らしていても、世帯分離をすれば、2人の世帯主が登録されているだけで、一緒に暮らすことが出来ます。

例えば分離前は、「父親が世帯主で、母親、自分、自分の配偶者、自分の子供の5人で1つの世帯」だったのを、分離後は、「父親が世帯主で、母親と2人で1つの世帯」、「自分が世帯主で、自分の配偶者、自分の子供と3人で1つの世帯」というように2つに分けるのが、世帯分離なのです。

世帯分離と生活保護・扶養について

世帯分離と生活保護の仕組み

生活保護

ここからは、世帯分離をして生活保護が申請できるか見ていきたいと思います。生活保護とは、資産や能力などすべて使っても生活が困窮している世帯に対して、困窮の程度に合わせて保護費を支給し、自立を助長する制度の事です。生活保護の申請は、世帯単位での支給申請になっています。

世帯分離をして1人だけ申請をしたい場合は、1人だけ家を出て別居する事でなら、「単身者世帯」として申請することが出来ます。つまり、世帯分離して家族と同じ家で生活しながら、生活保護を受ける事は出来ないという事です。


生活保護は、生活の実態が最優先されるので、一つ屋根の下で暮らしているのなら、世帯分離していても同一の生計を立てている世帯という、1つの世帯の扱いになるのです。ただし、どうしようもない例外的なケースによっては、世帯分離でも生活保護が認められる事もあるようですが、条件がとても厳しくなっています。

世帯分離と扶養の仕組み

扶養

次に、世帯分離と扶養について見ていきたいと思います。扶養とは、自力で生活できない人の面倒を見たり、養う事を言います。さらに「扶養控除」とは、世帯を持っている人に扶養家族が居る場合に、扶養人数に合わせて、課税所得からある一定の金額を控除することが出来る制度です。

では、今までは同じ世帯で扶養に入れている両親夫婦と、世帯分離した子供夫婦の家族の場合は、扶養から外さなくてはいけないのか、という事もあると思います。年末調整などで扶養控除がどうなるのか心配になりますよね。実は、世帯分離していても、扶養控除は受けられるのです。

所得税の扶養控除は、世帯分離をしている事などは関係ないようで、生計を1つ(財布を同じ)にしていれば、両親夫婦を扶養親族にすることが出来るようです。こちらの記事も良かったらご覧になってくださいね。

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所得税が高いのは税率の区分のせい?派遣も「扶養控除申告書」を提出

世帯分離のメリット・デメリットは?

世帯分離のメリット①介護保険料が下がる

介護保険料が下がる

世帯分離のメリット1つ目は、介護保険料が下がる事です。65歳以上の第1号被保険者である高齢者の介護保険料は、所得に合わせて原則として6段階に分けられています。介護保険料は、全員同じ保険料にしてしまうと、人によっては大きい負担となってしまいます。そこで、世帯収入などの合計所得などで料金が決まるのです。

そのような時に世帯分離する事で世帯収入が少なくなり、総所得が減るので介護保険料が安くなります。介護保険料は、毎年見直されていく事になっているので、介護サービス利用者が家族と同じ世帯になっている場合は、世帯分離をして自己負担額を減らせるのでメリットになります。

世帯分離のメリット②後期高齢者医療保険料が下がる


後期高齢者医療保険料が下がる

世帯分離のメリット2つ目は、後期高齢者医療保険料が下がる事です。後期高齢者医療保険料は、75才以上の人が加入する医療制度で、今まで国民健康保険・被保険者保険に加入していた人は、75才になったと同時に、後期高齢者医療制度に自動的に加入する仕組みとなっています。

世帯分離する事で、後期高齢者医療保険料を下げられるのは、世帯分離をして被保険者のみの世帯になると、総所得が少なくなり、低所得者軽減として保険料を安くできる場合があるからです。

世帯分離のメリット③高額な医療費が下がる

高額な医療費が下がる

世帯分離のメリット3つ目は、高額な医療費が下がる事です。1カ月にかかった医療費の自己負担額の限度を超えた場合に、高額療養費という形で超えた金額を払い戻される制度があります。自己負担限度額は、年齢や所得状況によって変わります。世帯分離をすると被保険者の総所得は少なくなり、自己負担限度額が安くなります。

世帯分離のメリット④高額介護サービス費の上限が下がる

高額介護医療サービス費の上限が下がる

世帯分離のメリット4つ目は、高額介護サービス費の上限が下がる事です。介護サービスを利用する際に、費用の一部は自己負担するものがあります。その負担額を高額介護サービス費制度で、上限額を超えた場合に払い戻ししてくれます。

世帯分離する事で、利用者の総所得が少なくなると、それに合わせて上限額も下がります。上限額が下がる事で、自己負担額も少なくなるので、介護料金の節約に繋がります。

世帯分離のデメリット①住民票の用意に手間がかかる

住民票の用意に手間がかかる

世帯分離のデメリット1つ目は、住民票の用意に手間がかかる事です。世帯分離をすると、同じ家に住んでいようとも、住民票の記載は別々になってしまいます。例えば、世帯分離をした家族の住民票を取りに行く際は、その世帯分離した家族から委任状を書いてもらったうえで、やっと住民票を手に入れられます。


世帯分離のデメリット②別世帯に2人以上介護が必要な場合割高になる

割高になる

世帯分離のデメリット2つ目は、別世帯に2人以上介護が必要な場合割高になる事です。同じ世帯に住んでいる家族に2人以上介護が必要な人が居る場合、高額介護サービスの合算などが出来ますが、別世帯で介護が必要な人がそれぞれいる場合、合算が出来ないので割高になってしまうデメリットがあります。

世帯分離のデメリット③国民健康保険料が増える可能性がある

増える可能性がある

世帯分離のデメリット3つ目は、国民健康保険料が増える場合がある事です。世帯分離をして別世帯になった事で、世帯の総所得が少なくなり、国民健康保険料が少なくなればいいのですが、世帯に高収入の人が居る場合、結果的に国民健康保険料が増えてしまうデメリットがあります。

世帯分離をおすすめするケースは?

おすすめする理由|夫婦や子供が収入限度額を超えるケース

収入限度額を超えるケース

世帯分離をおすすめする理由として、収入限度額を超えるケースがあります。例えば、同じ世帯で住んでいる扶養に入っている子供が、アルバイトなどで働き始めて、扶養控除の収入限度額を超えてしまった場合、扶養から外れる事になります。

その際に、同居している親と生活費などが別であり、同じ家に住んでいるだけの状況であれば、世帯分離したほうが良いでしょう。世帯分離をする事で、親である世帯主に国民健康保険料などの支払い請求が来なくなり、子供宛てに届くことになります。

夫婦関係でも妻がパートで収入限度額を超えてしまい、扶養から外れるケースはありますが、原則として夫婦で世帯分離する事は出来ません。

おすすめする理由|高額介護サービスの自己負担額が増えてしまうケース

自己負担額が増えてしまうケース

次に、世帯分離をおすすめする理由は、高額介護サービスの自己負担額が増えるケースです。高齢になった親と同居する事は良くある話ですが、同居を機に子供と同じ世帯になった事で世帯収入が上がり、高額介護サービス費用の自己負担額が1割負担だったのが、2割負担や3割負担になってしまったというケースがあります。

この場合は、子供家族と世帯分離をする事で、親の年金収入だけで計算されるので、高額介護サービス費用の自己負担額を1割負担に戻せることが出来ます。

世帯分離の手続きの方法は?

世帯分離届を提出する

世帯分離届を提出する

ここから世帯分離の手続きの仕方をご紹介します。まず、世帯分離の手続きをする為に、住んでいる市区町村の住民課で、世帯分離届を提出する事になります。世帯分離届を提出できる人は、世帯分離する世帯の世帯人、もしくは世帯員です。また、代理人が世帯分離する世帯人から、委任状をもらって手続きする事も出来ます。

世帯分離の手続きに必要な書類を用意する

必要な書類を用意する

世帯分離の手続きには、必要な書類を用意しなくてはなりません。手続きに必要な書類等は、異動届・本人確認書類・印鑑・国民健康保険被保険者証です。異動届は、市役所に置いてあるので、世帯分離届を提出するついでに書いても良いかもしれませんね。

本人確認書類は届け出をする人のもので、運転免許証やマイナンバーカード、パスポートや障害者手帳などです。そして印鑑は、届け出人の認印を用意します。国民健康保険被保険者証は、世帯分離する人全員のものが必要になり、返還した後に世帯主や保険証番号が変わっている、新規発行したものが手元に届きます。

世帯分離のメリット・デメリットを知って利用してみよう

いかがでしたか?今回は、世帯分離の意味や、世帯分離と生活保護・扶養について、世帯分離のメリットやデメリット、世帯分離をおすすめするケース、世帯分離の手続きの方法をご紹介しました。世帯分離は基本的に、高齢者の介護関連の保険料などの負担を少なくするのに、とてもメリットがある事が分かりました。

高齢の親と同居する予定の方などは、世帯分離の事を頭に入れておくことで、今よりも負担を減らした生活ができるかもしれませんよ。ぜひ、参考にしてみて下さいね。良かったらこちらもご覧になってください。

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