ビジネスメールでよく使う「ご持参ください」は間違い?その使い方と敬語を解説!
「ご持参ください」という敬語をビジネスシーンで使っていませんか?今回は、この「ご持参ください」が間違い敬語なのかどうか、正しい使い方をするにはどう表現すればいいのかなどを紹介します。正しい敬語をマスターして、仕事をスムーズに進めましょう。
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目次
「ご持参ください」は間違い敬語?その理由とは
①「ご持参ください」は間違った使い方
ご持参くださいは、ビジネス敬語の使い方としては間違いです。「~ください」という言い方なので正しいようにも聞こえますが、そもそも「持参する」というのは、自分の行動をへりくだって言う言葉です。
しかし、ビジネスシーンでは耳にする機会も多く、様々な場面で多用されています。厳密に言えば間違い敬語ではありますが一般的に広く普及しているため、ご持参くださいと言ってしまっても、そこまで失礼だと捉えられることは多くないのが現状です。
②「ご持参ください」が間違い敬語である理由
持参というのは、「持って参る」という謙譲語です。自分が持って来たときに「持参しました」と言う分には問題ありませんが、目上の人に使うのは正しい使い方ではありません。
「ご持参くださいますでしょうか」「ご持参いただけますでしょうか」など、丁寧な表現をした使い方も多く見られますが、持参という言葉自体が謙譲語にあたるので、持参を使っている時点で相手への敬語としては間違いです。
③「ご持参ください」は間違い敬語ではないという意見も
一般的に間違い敬語だとされるご持参くださいですが、間違った使い方ではないとする説もあります。持参という言葉は謙譲語ではなく、ご持参くださいも間違い敬語ではない、という説です。
持参という言葉が謙譲語にあたるかどうかが論点になってくるのですが、中には間違い敬語だと言う人もいます。相手に悪く伝わってしまう可能性がある以上、ビジネスの場面でのご持参くださいは避けたほうがいいでしょう。ビジネスでは、その敬語が正しいかどうかよりも、相手へ悪い印象を与えないことのほうが大切です。
「ご持参ください」という敬語の正しい使い方
正しい使い方①お持ちください
ご持参くださいの正しい使い方の一つ目は、「お持ちください」です。ご持参ください、としていた部分をお持ちくださいに置き換えるだけで、そのまま使うことができます。
お持ちくださいだとぶっきらぼうに感じてしまう場合は「お持ちくださいませ」「お持ちくださいますでしょうか」と表現してみましょう。より丁寧な表現になるため、特に気を遣わなければいけない相手への敬語にピッタリです。
- ・当日は整理券をお持ちください
- ・事前にお配りした資料をお持ちくださいませ
- ・必要事項をご記入のうえ、お持ちくださいますでしょうか
お持ちください、の例文
正しい使い方②お持ちいただけますか
ご持参下さいの正しい使い方の二つ目は、「お持ちいただけますか」です。お持ちくださいよりも優しい印象を与えるため、非常に多く使われている言い方です。
「お持ちいただけますでしょうか」「お持ちいただけますと幸いです」など、語尾を少し変えるだけで言葉の印象はだいぶ変わります。レパートリーを増やし、ビジネスシーンによって使い分けられるようにしましょう。
- ・当日は整理券をお持ちいただけますか
- ・必要事項をご記入のうえ、お持ちいただけますと幸いです
お持ちいただけますか、の例文
「ご持参ください」の類語や言い換え表現
類語①ご準備ください
ご持参くださいの類語として「ご準備ください」という敬語があります。準備をした上で持ってきてください、という状況のときに使えるフレーズで、とても使いやすい言い方です。ご持参くださいとほぼ同じ意味合いで使えるため、覚えておくと便利でしょう。
- ・面接当日は、履歴書と職務経歴書をご準備ください
- ・申請には、住民票をご準備ください
ご準備ください、の例文
類語②ご用意ください
ご持参くださいの類語には、「ご用意ください」もあります。用意をして持ってきてください、当日までに用意しておいてください、という意味で使え、こちらもよく使われる敬語表現です。
- ・当日は写真入りの身分証明書をご用意ください
- ・昼食は各自でご用意ください
ご用意ください、の例文
類語③必要です
ご持参くださいの類語として「~が必要です」という言い方もあります。ご持参くださいと同じ意味ではないようにも感じるかもしれませんが、使ってみるとご持参くださいの類語として違和感なく使えます。
~が必要です、だけでは少し乱暴な印象になるときは、何か一言付け加えるといいでしょう。下記の例文なら、「入場には入場券が必要です。券が無いと入れませんので、ご注意くださいませ」とすると、やや穏やかな意味合いで伝わります。
- ・入場券をご持参ください→入場には入場券が必要です
- ・会員証をご持参ください→面会には会員証が必要です
~が必要です、への言い換え例
ビジネスシーン別「ご持参ください」の敬語の使い方
①相手に頼みたいとき
相手に持参してくださいと頼みたいときは、お持ちくださいという敬語を使いましょう。またビジネスでは、誰かに頼みごとをするときには、相手を気遣う一文やクッション言葉を入れるなどの工夫も必要です。例えば、頭に「お手数ですが」をつけるだけで、意味はそのままでも相手へ与える印象はグッとよくなります。
- ・お手数ですが、会場にはスリッパをお持ちください
- ・筆記用具をお持ちくださいますよう、お願い申し上げます
相手に頼みたいときの例文
②確認したいとき
相手が頼んだものを持参したか確認したいときは、お持ちいただいておりますでしょうか?などと聞いてみましょう。この場合もクッション言葉を入れることで、より円滑なコミュニケーションをとることができます。「~いただいておりますでしょうか?」は多くの敬語に使いまわせるフレーズなので、覚えておくと便利です。
- ・失礼ですが、引換券はお持ちいただいておりますか?
- ・身分証はご用意いただいておりますでしょうか?
- ・予約券をお持ちか、確認させていただけますでしょうか?
確認したいときの例文
③持参しなくていいと伝えたいとき
持参しなくていいと伝えたいときには、お持ちいただく必要はございません、という言い方をしてみましょう。類語表現であるご用意、ご準備などに置き換えて、ご用意いただく必要はございません、と言っても意味は通ります。
また、持って行ったほうがいいかどうか相手から聞かれた場合には、「お気遣いありがとうございます。お持ちいただく必要はございません」など、何か一言添えると好印象です。
- ・備え付けのタオルがありますので、お持ちいただく必要はございません
- ・軽食が出ますので、昼食はご用意いただかなくて結構です
- ・事前にご準備いただくものはございません
持参しなくていいと伝える例文
④強く念を押したいとき
絶対に忘れず持参してほしいものがあるときは、強く相手に注意を促す必要があります。このような場合には、忘れてしまった場合にどうなるのか、ということをセットで伝えるといいでしょう。
ビジネスでは相手に強く注意をするというのは難しいため、遠回しに伝えてしまったら意味が伝わっていなかった、というトラブルもよく起こります。そのようなときでも、「忘れてしまうとこのような不利益が起こります」と言っておくことで、忘れずに持ってきてほしいというこちらの意思が伝わります。
また、持参してきてほしいものが複数あるときには、チェックリストなどにして相手に渡すのも親切でいいでしょう。メールの場合には、箇条書きで持参してほしいものを列挙してあげるというのも効果的です。
- ・予約票が無いとツアーに参加できませんので、必ずお持ちください
- ・整理券が無い場合、入場できませんので忘れずにお持ちください
- ・引換券をお忘れになると、商品をお渡しできませんのでご注意ください
強く念を押すときの例文
「ご持参ください」を使うときの注意点
注意点①「ください」はひらがなで
ビジネスメールの場合、ご持参下さいと漢字で書くのは間違いです。実は、「下さい」と「ください」にははっきりとした違いがあり、「レシートを下さい」など物をもらうときには漢字を、「お持ちください」など尊敬語として使うときはひらがなを使います。
今回のご持参ください、お持ちくださいは後者の意味ですので、漢字ではなくひらがなの「ください」を使うようにしましょう。間違えたからといって意味が伝わらなくなるわけではありませんが、きちんと知っている人からすると気になることもあるので、正しく使うのがベストです。
注意点②自分が持参したときは「ご」はつけない
ご持参ください、というフレーズに慣れていると、自分が持参したときに「資料をご持参しました」と言ってしまいがちです。しかし、自分の行動に尊敬語である「ご」を付けてしまうのは間違いなので、気をつけましょう。
ただし、ご案内します、ご報告します、ご連絡します、などは自分の行動であっても「ご」をつけていいとされています。判断が難しい部分ではありますが、持参という言葉に関しては、自分が持参したときには「ご」はつけない、という考え方が一般的です。
自分が持ってきたときにご持参と言っていいのかどうか迷ったときは、持参という表現を避けて持って参りました、など別の言い方に逃げるのもひとつの手です。持って参りました、お持ちしました、など言葉のレパートリーを普段から増やしておきましょう。
「ご持参ください」の正しい使い方をマスターしよう
間違い敬語として使われやすいご持参くださいという言い方ですが、正しい使い方をすればビジネスシーンでの印象はとてもよくなります。よく使う敬語のため、知らず知らずのうちにクセでご持参くださいと言ってしまっているケースも多いため、日ごろから気をつけるようにしましょう。
ビジネスで間違いやすい敬語は、ご持参くださいだけではありません。例えば「いらっしゃいますでしょうか」や「お伺いいたします」なども、非常に間違いやすく難しい敬語です。
下の記事では、そんな間違いやすい敬語の正しい使い方についてまとめています。多少間違って使っていても仕事で注意されることは滅多にないでしょうが、ここぞというときに正しい敬語の使い方ができる人は、それだけで相手から信用されます。この機会に、ぜひ正しい敬語を勉強してビジネスに活かしてみて下さい。
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