「先見の明がある」の意味は?類語や使い方の例文・先見の目など誤用も

「先見の明がある」という言葉を聞いたことはありますか?「先見の目」や「先見の妙」など誤用も多い言葉です。こちらでは「先見の明(せんけんのめい)がある」の意味や類語、使い方の例文や英語についてご紹介します。聞いたことはあったけど、使い方がイマイチわからない方はぜひご覧ください!

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「先見の明がある」の意味は?読み方も

先見の明の読み方は「せんけんのめい」

読み方

先見の明は「せんけんのめい」と読みます。「明」は「みょう」とも読めますので、「せんけんのみょう」と読んでしまう場合があるようです。間違っても「さきみのみょう」とは読まないでくださいね!

「先見の明がある」の意味は「ものごとが起こる前に先を見抜く力」

先見の明

「先見の明がある」は、ものごとが起こる前に先を見抜き行動する判断力を意味します。「先見」は先を見抜くこと、「明」ははっきり見える、疑いのない、という意味があります。先見の明があるということは、先を見抜き行動したのちに結果を後々に振り返ってみると…というシチュエーションで使われる賞賛の言葉です。

今、私たちが経済的に発展し便利になった世の中は、そのときどきの指導者や事業家、科学者など、まさに先見の明がある先人たちによって発展してきたものですね。

それでは、「先見の明(せんけんのめい)」の類語や英語、使い方や例文などを見ていきましょう。ビジネスの場面で使えること間違いなしです!

先見の明の語源や由来は?

先見の明(せんけんのめい)の語源は中国の「後漢書」の中の「楊彪伝」

中国

先見の明(せんけんのめい)の語源は、中国後漢朝について書かれた歴史書『後漢書(ごかんじょ)』の中の「楊彪伝(ようひょうでん)」に出てきます。後漢書は二十四史の一つで、本紀10巻、列伝80巻、志30巻の全120巻からなる紀伝体であり、成立は5世紀南北朝時代の南朝宋の時代で、編者は范曄(はんよう)です。

楊彪(ようひょう)は、中国後漢末期から三国時代にかけての政治家であり学者です。曾祖父より代々政治家として重職を歴任し後に四世大尉と称され、当時としては高齢の84歳で生涯を閉じました。

先見の明(せんけんのめい)の由来は親子の悲しい物語

親子

先見の明の由来には親子の悲しい物語があります。楊彪は、晩年後漢の命運が尽きたと判断し宮中への参上をやめました。楊彪の息子の楊修(ようしゅう)は武将で政治家の曹操(そうそう)に仕えていましたが、その才能を警戒されて処刑されてしまいます。曹操は楊修処刑後に楊彪に面会しましたが、楊彪は憔悴した様子でした。

その理由を尋ねられた楊彪はこう答えます。「自分に金日磾(きんじつてい)の先見の明が無かったのを恥じたからでございます。老牛が子牛を舐めて愛おしむようなものでございました。」金日磾の2人の子どもは幼い頃から宮中に入っていましたが、成長するにつれて戯れがひどくなりこれを嘆き2人を殺してしまいます。

楊修は「金日磾は子どもがそのうち宮中に迷惑をかけることがわかったから子どもたちを殺した。自分はそれができず恥ずかしい。子どもを可愛がるだけだった」と答えたのです。楊彪は、ものごとが起こる前に先を見抜いて行動する判断力のことを「先見の明」と表現しました。これが「先見の明」の由来とされています。

先見の明の類語5選


先見の明(せんけんのめい)の類語①先見性

先見性

先見の明(せんけんのめい)類語の1つ目は「先見性」です。「先見」=「先を見抜く」、「性」=「性質・本質」ということで、先を見抜く性質という意味です。

先見性の例文としては「A社は、業界内でもいち早く設備投資するなど先見性がある」というような使い方をします。先見の明(せんけんのめい)が使われるシチュエーションも同じような場面が多いのでもっとも近い類語と言えるでしょう。また英語表現は同じなので同義語とも言えます。

先見の明(せんけんのめい)の類語②予見力

予見力

先見の明(せんけんのめい)の類語の2つ目は「予見力(よけんりょく)」です。この言葉は「ものごとの起こる前にそのことを推測する能力」という意味です。この表現も先見の明(せんけんのめい)と同じような使い方ができます。

予見力の例文としては「上司の予見力のおかげで、競合が多く難しいと予想されたコンペが上手くいき仕事が受注できた」というように使います。

先見の明(せんけんのめい)の類語③慧眼

慧眼

先見の明(せんけんのめい)の類語の3つ目は「慧眼(けいがん)」です。「ものごとの本質を鋭く見抜く力」を意味するこの言葉は人物に対して使うことが多いですが、見抜く力ということで先見の明(せんけんのめい)の類語表現と言えます。

慧眼の例文としては、「取引先とちょっとした勘違いによってトラブルになった時、社長の慧眼により適切に対処できた」というような使い方をします。

慧眼は仏教用語でもあり、その場合「えげん」と読みます。「この世の空(くう)であるという真理を悟る能力をもつ目」という意味ですが、こういう意味もあると覚えておくといいでしょう。

先見の明(せんけんのめい)の類語④先覚

先覚

先見の明(せんけんのめい)の類語の4つ目は「先覚(せんかく)」です。「人より先にものごとの道理を悟ること」という意味ですが、慧眼同様、人物に対して使うことが多いようです。先に悟るということで先見の明(せんけんのめい)の類語表現としての使い方ができます。

先覚の例文としては、「この分野の研究者が少ない中で、有名な雑誌に論文が掲載されたBさんは先覚者と言える」というように使います。

先見の明(せんけんのめい)の類語⑤見通す

見通す

先見の明(せんけんのめい)の類語の5つ目は「見通す」です。「先の方まで見る」という意味なので、先見の明(せんけんのめい)と類語と言えます。

見通すの例文としては、「部署内の縁の下の力持ちのCさんは、いつも次のことを見通して行動する人だ」といった使い方ができます。

見通すは「最初から最後まで見る」という意味もあるため、前後の言葉でどちらの意味か判断しましょう。例えば「有名作家の講演を見通す」という場合は「有名作家の講演を最初から最後まで見る」という意味で、先見の明(せんけんのめい)の類語表現とはなりません。

先見の明の使い方例文5選

先見の明(せんけんのめい)の使い方例文①先見の明がある

先見の明がある

先見の明(せんけんのめい)の使い方例文の1つ目は「先見の明がある」です。先見の明という言葉を用いた場合、使用頻度が高い使い方です。

先見の明(せんけんのめい)は「ものごとの先を見抜き行動する判断力」を意味しますから、先見の明があるということは例文のように「後から振り返ってみると…」というシチュエーションで使われます。結果が出たことに関して使う言葉です。

例文としては「インスタント食品は、なくてはならなくなった現代社会を鑑みると先見の明がある偉大な発明だ。」が挙げられます。

先見の明(せんけんのめい)の使い方例文②先見の明を養う

先見の明を養う

先見の明(せんけんのめい)の使い方例文の2つ目は「先見の明を養う」です。「養う」には「培う」「作り上げる」といった意味があり、「ものごとの先を見抜く力を培う」ということを説明する場合の使い方です。

例文としては「リーダーである先輩が起こることを予測し適切に行動したおかげで、プロジェクトは大成功した。自分も先輩に近づけるよう先見の明を養う努力をしようと思う。」が挙げられます。これからを見据えてものごとの先を見抜く力を鍛えていきたい、という自分の希望や願望を表現した使い方になります。

先見の明(せんけんのめい)があるということは、ビジネスの場面ではもちろん生きていく上でも非常に役立つ資質です。ぜひとも先見の明を養いたいものですね。

先見の明(せんけんのめい)の使い方例文③先見の明に長ける

先見の明に長ける

先見の明(せんけんのめい)の使い方例文の3つ目は「先見の明に長ける」です。「長ける」とは「ある分野に関しての能力が優れている」というような意味です。長短の長は「長所」というように良い意味で使われます。

例文としては「あの世界的に有名な投資家は、ほとんど損をしたことがないそうだ。この分野での先見の明に長けているからだろう。」が挙げられます。

例文のように、特定の能力があることを強調する場合は先見の明に長けるという使い方がいいでしょう。最近ではあまり聞くことがない「長ける」ですが、語彙力という意味では知っておいて損はありません。


先見の明(せんけんのめい)の使い方例文④先見の明を身につける

先見の明を身につける

先見の明(せんけんのめい)の使い方例文の4つ目は「先見の明を身につける」です。先見の明を養うのライトな言い回しと言えます。同様に自分の希望や願望をあらわす表現です。

例文としては「社長は当時めずらしかった海外の食品の輸入販売を始め、次々に販路を拡大し一代で財を成した。私も社長のように先見の明を身につけたい。」が挙げられます。

先見の明(せんけんのめい)の使い方例文⑤先見の明に優れる

先見の明に優れる

先見の明(せんけんのめい)の使い方例文5つ目は「先見の明に優れる」です。先見の明に長けると同じ意味ですが、こちらの方がわかりやすい表現と言えます。

例文としては「私の友人は高校教師だが、勤務する高校で日本初のeスポーツ部を創設した。最近のeスポーツの盛り上がりを見るにつけ、彼は先見の明に優れた人であることがわかる。」が挙げられます。

人物に向けての褒め言葉として使われることが多い表現です。人から先見の明に優れていると言われるようになれると素晴らしいですね。

先見の目・先見の妙は誤用?間違われやすい誤用例3選

先見の目・先見の妙など誤用例①先見の目

誤用例①先見の目

先見の明(せんけんのめい)の間違われやすい誤用例の1つ目は「先見の目」です。発音が似ているため一番誤用され、間違ったまま覚えている人も多いのではないでしょうか。

確かに先見の目は「先を見る目」ということからもっともらしく感じます。ですが、先見の明(せんけんのめい)は、先を見る目だけではなく先を見抜き行動する判断力ですから意味が違ってきます。先見の目は誤用です。

先見の目・先見の妙など誤用例②先見の妙

誤用例⑤先見の妙

先見の明(せんけんのめい)の間違われやすい誤用例の2つ目は「先見の妙」です。「明」が「みょう」と読めることからこの漢字で覚えている人がいます。

先見の妙の「妙」は「不可思議なほど優れているさま、きわめて美しい」などの意味があり美しい言葉ですが間違いです。「先を見て不可思議なほど優れている」というのもありそうに思えますが、先見の妙という言葉はありませんのでご注意ください。

先見の目・先見の妙など誤用例③読み方

誤用例④読み方

先見の明(せんけんのめい)の間違われやすい誤用例の3つ目は「読み方」です。先見の明という漢字表記は知っているのに、「せんけんのみょう」と読んでしまう場合があります。また「先見」を「さきみ」と読んでしまうこともありますね。

先見の明(せんけんのめい)は昔の中国の言葉ですから発音も音読みです。明は「めい」も「みょう」も音読みではありますが、この場合は「めい」ですのでくれぐれも言い間違いをしないようしましょう。

「先見の目」「先見の妙」についで多いのは読み間違いです。せっかく漢字を知っているのに読み間違えては台無しですよ!気をつけてくださいね。

先見の明の英語表現は?

先見の明(せんけんのめい)の英語表現①foresight

アメリカ

先見の明(せんけんのめい)の英語表現は、先見性を意味する「foresight」です。fore=「前」、sight=「見ること」ということで「先を見る力、将来を予測する力」となります。

先見の明(せんけんのめい)の英語の例文としては、「She had the foresight to start it. 」(彼女には先見の明があった)のような表現になります。

先見の明(せんけんのめい)英語表現②vision

アメリカ2

先見の明(せんけんのめい)を英語表現する場合、「vision」を使う場合もあります。日本語でもよく使う言葉ですが、「将来の見通し」という意味もあるのでこちらが使われる場合があります。

visionを使った英語の例文としては、「a man of vision(先見の明がある人だ)」のような使い方をします。

なお、下記の関連記事ではキャリアビジョンについてご紹介しています。先見の明があると言われるようになれるヒントをつかむためにも、ぜひ合わせてご覧ください。

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先見の明(せんけんのめい)を使いこなして語彙力アップ!

先見の明(せんけんのめい)という言葉の意味や具体的な例文で使い方、誤用の多い「先見の目」や「先見の妙」の説明や英語表現などをご紹介しました。2000年近く前に誕生した言葉が今も変わらず使い続けられているんですね。

ビジネスでのシチュエーションで先見の明がある人に出会うことがあると思います。そんな時はこの言葉を使ってみてくださいね。コミュニケーションの表現の幅が広がること間違いなしです。


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