儒教の思想「長幼の序」の意味とは?類語や反対語・英語での表現も

「長幼の序」という言葉をご存知ですか?ここでは儒教の思想「長幼の序」の意味とはどのようなものか、類語や反対語・英語での表現などをわかりやすく解説しています。「長幼の序」の歴史的背景などについてもご紹介していますので、興味をお持ちの方はぜひお読みください!

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儒教の思想「長幼の序」の意味とは?

「長幼の序」の「長幼」とは年齢の上下のこと

祖父と孫

「長幼の序」の「長幼」とは年齢の上下のことをいい、「長」とは年齢のが上の年長者のことを指します。「幼」とは年齢が下の者のことで、いわば「幼い者」のことです。つまり「長幼」とは人間の集団に置いての年齢の上下のことをいうのです。「精神年齢」についての関連記事がありますので、合わせてご覧ください。

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「長幼の序」の「序」は「従順」という意味

移民局の法律

「序」という言葉は、ある基準にのっとった物事の並びのことを言います。「長幼の序」の「序」は「秩序」や「順序」の序で、「従順」という意味です。「序」という漢字の一文字は、いわば「順番や次第を付けて、その秩序に従う」ことを指しています。「座右の銘」についての関連記事がありますので、合わせてご覧ください。

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「長幼の序」の意味は「年上の者と年下の者の秩序」ということ

3世代の家族

「長幼の序」というの意味は「年上の者と年下の者の秩序」ということになります。ですが、ただ単に年齢の並びや順序ということではありません。「年下の者は年上のものに敬意を表し、年上のものは年下のものを慈しむ」という意味になるのです。「長幼の序」とは大人と子供の人間関係のことも含まれます。

儒教の思想「長幼の序」の歴史的背景は?

「長幼の序」は儒教思想から

お寺のある風景

「長幼の序」は「年少者は年上の者を敬い、年長者が年下の者の面倒を見ることによって秩序を保つ」という考えの、社会的あるいは集団における思想で、アジア全域に影響を与えた儒教思想から来ています。「長幼の序」が実力主義的な欧米諸国の感覚と対比的なのは、儒教思想が千年以上アジアに影響を持っていたからです。


「長幼の序」は中国の戦国時代の世の乱れから生まれた!

アジアの風景

儒教は紀元前の中国に興った思考や信仰の体系で、その始祖は「孔子」です。ですが、「長幼の序」を説いたのは「孔子」ではなくその流れを継いだ「孟子」です。中国の戦国時代を生きた「孟子」は「五倫」という5つの道徳法則の中で、家族のあり方や社会秩序を教え説きました。それが「長幼の序」のはじまりです。

紀元前からアジア諸国に影響を与え続けた儒教と「長幼の序」

万里の長城

国名も国境線も変わりながら、紀元前も今も中国はアジア随一の広大な国です。その中国で紀元前に生まれた「儒教」と、その中にある人間の集団に対する考え方である「長幼の序」は、かつての宗主国の中国から、その周辺諸国であるアジア諸国に強い影響を与え続けました。「長幼の序」がアジア的であるのはそのためなのです。

儒教と「長幼の序」の思想は寺子屋で教育されていた

たくさんの鳥居

日本では儒教は宗教的な思想としてではなく、むしろ国家統治の経世済民思想や帝王学的な学問である「儒学」として受け入れられました。江戸時代になると寺子屋で子供に対する教育が行われ、「儒学」は子供教育の中心となり、「長幼の序」の精神も「儒学」の教えとともに日本人の中に浸透していったのです。

戦前まで日本の家督相続や子育てなどに大きな影響を与えていた「長幼の序」

日本の城

儒教の教えは「儒学」として、300年近く続いた江戸時代を経て日本人の精神性の中心となっていきました。その影響で、戦前までは日本では父親が死ぬと、家督は長男だけが相続していました。当時は今よりも子だくさんの家庭が普通でしたが、「家を継ぐ」のは長男だけで、父親の死後は母親も長男の意に従ったのです。

戦後になって変わっていった日本の「長幼の序」の影響

着物を着る女性

敗戦後、日本の家族制度は変わっていきます。それは戦後、戦勝国側の強い影響によって作られた日本国憲法の下で作られた新しい法律によって、家督は長男が必ずしも継ぐことがなくなったからです。家長が亡くなると配偶者はその遺産の半分を受け取り、残りの半分は、子供たちに平等に分け与えられるようになったからです。


知る人の少ない現代中国での儒教思想と「長幼の序」

中国の国旗

儒教発祥の地である今の中国では一部の研究者を除いて儒教の思想を知っている人はあまりいません。共産主義が中国から儒教思想を駆逐したからです。毛沢東率いる中国共産党が中国を支配することにより失われたものは数多く、儒教も中国の表舞台から消え、「長幼の序」も中国の「一人っ子政策」の陰に隠れてしまったのです。

儒教の思想「長幼の序」の類語5選

「長幼の序」の類語①「年功序列」

会議の風景

「長幼の序」の類語の1つ目は「年功序列」です。「年功序列」とは会社内部で、入社後年齢が増し加わるとともに勤続年数も増え、それにともなって報酬も上がっていき、昇進もそれに従うカタチの雇用体制のことです。日本では終身雇用制が浸透していたので、かつては年齢が自分よりも下の上司というのは少なかったのです。

「長幼の序」の類語②「上下関係」

ビルで働く人

「長幼の序」の類語の2つ目は「上下関係」です。「上下関係」も「長幼の序」と同じように秩序に厳しい人間関係を言います。「上下関係」の場合には必ずしも年齢が上のものが「上下関係の上」になるわけではなく、社会的立場が上のものが「上下関係の上」になります。年下の上司が「上下関係の上」にもなり得るのです。

「長幼の序」の類語③「先輩後輩」

同じ部署で働く人たち

「長幼の序」の類語の3つ目は「先輩後輩」です。社会に出てからも「先輩後輩」という言葉は使いますが、学生の間ではもっと頻繁に使われる言葉です。「上下関係」と違って、「先輩後輩」は「長幼の序」と同じように年齢が関係し、年下の者は年下を敬い、年上の者が年下の者の面倒を見るというニュアンスが強い言葉です。

「長幼の序」の類語④「タテの関係」

上司と部下

「長幼の序」の類語の4つ目は「タテの関係」です。「タテの関係」は「上下関係」、あるいは「師弟関係」と同じように人間関係の序列のことをいい、上司と部下の人間関係のことをいいます。「タテの関係」は「タテ社会の関係」とも呼ばれ、学生同士の人間関係のことではなく、社会人になってからの関係を指して使います。

「長幼の序」の類語⑤「年次」

老夫婦

「長幼の序」の類語の5つ目は「年次」です。「年次」には意味が2つあって、「年次計画」や「年次予算」のように「毎年」という意味と、「年の順序」という意味です。「長幼の序」の類語としては「年の順序」という意味のほうです。年齢に関係する「若輩者の意味」についての記事がありますので、合わせてご覧ください。

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儒教の思想「長幼の序」の反対語3選

「長幼の序」の反対語①「成果主義」

会社が好きな人

「長幼の序」の反対語の1つ目は「成果主義」です。「成果主義」とは企業の雇用形態の方針のことで、仕事の成果にしたがって昇給や出世が決定されるという体制のことです。

「長幼の序」の反対語②「能力主義」

ボーナス

「長幼の序」の反対語の2つ目は「能力主義」です。「能力主義」とは年齢的なことはまったく関係なく能力だけで評価される体制のことです。欧米諸国はもともとこの「能力主義」が主流で、その根本にあるのは、温暖な気候のために農耕民族が多いアジア諸国と違って欧米諸国は狩猟民族が多いためといわれています。

「長幼の序」の反対語③「実力主義」

米ドル

「長幼の序」の反対語の3つ目は「実力主義」です。「実力主義」は「能力主義」とまったく同じ意味で、実力のあるものが頭角を表すという主義のことをいいます。企業での雇用形態では「成果主義」と同義ということになりますが、「実力主義」は学校の課外活動や子供同士の力関係を形容するときにも用いられる言葉です。

儒教の思想「長幼の序」の英語での表現3選

「長幼の序」の英語①「Eldersfirst.」

アメリカの旗

「長幼の序」の英語での表現の1つ目は「Elders first.」です。英語の「elders」とは名詞の「elder」の複数形で、この場合「より年上の人達」という意味です。「Elders first.」は「より年上の人が先である」という意味に訳せます。

「長幼の序」の英語②「Agebeforeyouth.」

老人と家族

「長幼の序」の英語での表現の2つ目は「Age before youth.」です。「Age before youth.」の「Age」は「年上の者」「老齢の者」、「youth」は「若い者」という意味なので、「Age before youth.」は「年を取っている者は若い者よりも先である」という意味です。

「長幼の序」の英語③「precedencetotheelder」

自由の女神像

「長幼の序」の英語での表現の3つ目は「precedence to the elder」です。英語の「precedence」は「(時間・順序などが)先立つこと」や「優先(権)」という意味の不可算名詞なので、「precedence to the elder」は「年長の者への優先権」と訳せます。

感覚的には今も生きている「長幼の序」の概念

日本ではかつて主流であった終身雇用制度が影をひそめるようになってから長い年月が経ちました。仕事においては、「長幼の序」の反対語である「成果主義」や「実力主義」が幅を利かせるようになり、20年前よりはかなり自由に転職できるようになりました。年功序列制度も同時に影が薄くなりつつあるのが今の日本です。

遠い先祖が子育ての精神性としていた「儒学」は現代日本ではマイナーになり、家庭の中でも儒学の思想は重んじられない傾向にあります。ですが「長幼の序」の概念は今でも現代日本の社会に空気のように存在しています。企業でも「長幼の序」の反対語である「実力主義」が強くなっても、「長幼の序」は消えてはいないのです。

例えば、日本では年下の上司がアメリカ人のように10歳以上も年上の部下の肩を組んだりしません。タメ口をきくこともしません。できないのです。儒教の思想は日本だけでなく、東アジアを中心に千年以上もアジアに影響を与えてきました。知らず知らずのうちに、今でも私たちはその影響を受けて生活しているのです。


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