「拙速」の意味や読み方は?類語や例文8選!尊ぶ/早い/改善点/巧遅

「拙速」という漢字の読み方はご存知でしょうか。聞いたことはあっても、意味は何となく分かる程度な人も多いですね。「兵は巧遅を尊ぶ」などの兵法における意味や類語、自分に対して「拙速」と言われた時の改善点などを紹介していきます。

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「拙速」の読み方は?

拙速の読み方は「せっそく」

本

拙速とは「せっそく」という読み方で、音読みで読む言葉です。あまり聞き馴染みのない「拙速」という言葉ですが、意外と仕事の場で使う事の多い言葉です。仕事場のみならず、普段の日常生活においても使う事のあるものです。どんな場面で使うのが適しているのか、一緒に見ていきましょう。

「拙」「速」それぞれの読み方

教師

拙速の「速」という文字は、色々な所で使う事が多く、小学校で習う文字ですね。音読みは「そく」ですが、訓読みだと「はやい」「すみやか」と読みます。スピードの速さを表す時に使われる文字なので、急いでいる時・急ぎたい時によく使われます。

では、「拙」はどんな読み方をするのでしょうか。音読みでは「せつ」と読むこの漢字ですが、訓読みでは「つたない」や「まずい」と読みます。平たく言うと「へたである」という事ですね。この「拙」の字だけであれば、自分自身を謙遜する時に、一人称として使う場合もあります。

「拙速」の意味は?

拙速とは改善点があっても早い内に終わらせるという意味

改善

拙速は「内容は不十分でも、はやく終わらせる」意味で使います。この言葉自体に、良い・悪いという事はありません。「拙速にやってほしい」と言われれば、中身よりもスピードを重視して、改善点を見つけてもできるだけ早く終わらせる様にしましょう。

逆に「拙速すぎる」言われてしまえば、少しスピードダウンしても、もう少し丁寧にやってほしいと言う意味で使われています。言われた時の状況や、前後の文脈を考慮した上で、どんな意味で使われたのか考える必要があります。

拙速の対比的な意味の巧遅

階段

拙速には、反対の意味を持つ「巧遅」という言葉があります。巧遅の読み方は「こうち」です。拙速とは逆に「終わるのは遅くても、内容が素晴らしい物である」という意味になります。成し遂げる為の時間に制限がない物や、完璧に仕上げないといけない物の場合は、拙速よりも巧遅である方が望ましい場合もあります。

「拙速」を使った例文8選


例文①拙速な判断

判断

例文の1つ目として、熟考する時間がなく、急いで決断を下さなくてはならない時に「今回は拙速な判断が求められます。」という言葉が使われます。それまでの経緯や、経験に基づいて判断を下さなくてはならないので、大変な決断になるでしょう。ですが、問題なく進めていくことができれば、自分自身の自信にも繋がります。

考える時間が与えられない時にも使われる言葉ですが、他の意味で使われることもあります。それは「自分でしっかり考えることなく、その場ですぐに判断してしまう」場合です。1度の挫折や少しのつまづきで、自分には無理だと諦めてしまう人もいます。しかしそれは、とても勿体ない事ですね。

もう1歩だけ頑張ってみれば、自分の望んでいだ結果が得られたかもしれないのです。「ダラダラと続けていても仕方ない。」と思う気持ちも分かりますが、後になって後悔する気持ちが生まれる様な判断は避けたいですね。これもまた「拙速な判断」と言えますが、こういった状態にはならない様に心掛けたいものです。

例文②拙速に過ぎる

拙速

拙速を使った言葉の2つ目として、このような物もあります。周りの人達から「あなたは何かにつけて拙速に過ぎる。」と言われてしまえば、普段の自分の行いを見直していく必要がありそうです。終わらせた仕事に対して、そうと判断された場合「早く終わっているが、出来上がった内容がイマイチ」と思われています。

自分の行動に対し言われたのなら、今まで衝動的に行動した結果、あまり良くない結果を多く残していると思われています。行動するスピードは持っているという事なので、動き始める前に1度立ち止まって考える癖をつけていきましょう。

例文③拙速を避ける

丁寧

丁寧に何かを行ってほしい時に使う言葉として、3つ目に「拙速を避け、非の打ち所のない物を作ってほしい。」といった言葉もあります。巧遅である方が良い場合ですね。速さを求めないで、完成した物の品質を重要視する時には、この様な形で使われます。

この様な言葉を掛けられた時には、依頼主の求める日ギリギリになっても、できる限り最高の物を作る必要があります。「時間は掛かっても良いけど、中途半端な物はいらない。」ということでもあるので、求められているよりも上質な物を作り上げるつもりでいましょう。

例文④拙速に行う

行動

拙速を使った例文の4つ目は「仕上がりは雑な物で良いから、拙速に行うべきだ。」です。後で消してしまう下書きであったり、何かを作る為の踏み台は、キレイに丁寧に作り上げる必要はないですよね。丁寧にする意味があまりない物には、拙速に行った方が良いと言われる事もあります。


もちろん、作業を拙速に行うべきポイントは物事によって違います。巧遅より拙速が良いとされているのが、どの部分に該当するのか、きちんと把握しておきましょう。考えるべき所はしっかり考え、すぐに終わらせることは終わらせるようにすることで、より良い物が早く作れるようになります。

例文⑤拙速な対応

対応

急場をしのぐ場合として「拙速な対応が求められている」というのが、5つ目の例文です。今すぐに使わないといけない物が壊れたなら、後できちんと修理をするから、今は拙速な対応をして使用して下さい。」と言われる事もあります。自分で何とかできる範囲で使える様にできれば、現状は良いという時もありますよね。

急いでいる時は、拙速な対応の方がありがたいと感じる時もあるので、状況を見ながら対応していきましょう。急いでいても、拙速な対応では問題がある時だってあります。急にやってきた第3者に対して拙速な対応をしてしまうと、不満がでる場合があります。

前触れもなく急に来られると、来客用の準備ができずに、拙速な対応になることもありますね。ですが度が過ぎると、相手の不興を買ってしまいます。対人関係において拙速な対応をするのは、やめておいた方が無難です。

例文⑥拙速主義

主義

拙速の6つ目の例文は「あの人は拙速主義だから。」という言葉です。拙速主義とは、完成度よりもスピードを重視して物事を行う主義のことです。ほどほどの出来栄えで、早く完成させることを良しとした考え方ですね。今の社会では、こちらの方が馴染みがある方も多いでしょう。

1度最後まで作り上げてから、内包する全ての問題を洗い出して洗練させていく、という方法がありますね。進捗状況を細かく知りたい様な時は、こうした方法で作業をした方が効率よく仕上がります。

例文⑦・1兵は拙速を尊ぶ

兵士

拙速を使った例文7つ目は、孫子の兵法の一部である、比較的有名な「兵は拙速を尊ぶ」です。「尊ぶ」の読み方は「たっとぶ」であり、「兵は拙速を聞くも、未だ巧久しきを賭ざるなり」というのが、孫子の本来の兵法の一節です。この文章の意味とは、どういった物なのでしょうか。

この場合における「兵は拙速を尊ぶ」とは、「最低限達成したい目的を見据えた短期戦が望ましく、多くを得ようとしての長期戦は良くない。」と言う様な意味です。ダラダラと戦争を続けていても、兵は疲弊し金銭も掛かり、戦争による弊害が多く出てきます。

「目的を明確にし、兵は最低限の行動で目的を達成する。」という、現代でも有用な言葉ですね。目まぐるしく変化するような場所では「長い時間を掛けて大きなことをしていると、いつの間にか必要のない物になっていた。」ということも起こります。

例文⑦・2兵は拙速を尊ぶ


兵士

しかし、この場合の「兵は拙速を尊ぶ」という言葉には、「不出来でも良い」という要素はありません。戦争の前の兵は、下準備は入念に行った上で、万全な状態で臨むからです。「短い時間で早い決着を付けるので、全てを得ようと無理なことをしない。」というのが、孫子の尊ぶという言葉の意味するところです。

水面下で下準備を十分に行うというのもまた、実際に動き出した時に上手く事を運ぶためには必要ですね。この場合は思いついたら即行動する訳ではなく、最終的な結果や利益・損害を見据えた上で、兵はしっかり素早く立ち回ることを尊ぶのが重要だということです。

例文⑧拙速は巧遅に勝る

速い

拙速の8つ目の例文は「拙速は巧遅に勝る為、早い行動を心掛けましょう。」です。巧遅拙速という四字熟語もありますね。時と場合によりますが「100%の物を作って期日に間に合わないよりも、80%の物を納期中に仕上げた方が良い。」と言う様な時に使います。

「拙速」の類語5選

類語①性急

性急

拙速の類語の1つ目「性急」は、人の性格や物事の進み方について表す時に使う言葉です。気が短くせっかちである場合を指して使う言葉なので、仕事や作業自体について言う時には使いません。「物事の判断が性急」や「性急な人」の様な使い方をします。

類語②早計

早い

拙速の類語2つ目「早計」の読み方は「そうけい」です。これは、気が熟すのを待たずに、早く行動をした時に使う言葉です。行動するタイミングが早い時に使われる言葉で、人の性格や作業のペースを指す時には使わない言葉です。

良い意味で使われる事はあまりなく、「今回の行動は早計だ」と言われれば、「タイミングの合っていないうまくない行動だった」という意味で使われています。行動したことによるミスを指摘されているので、きちんと聞く必要がありそうですね。

類語③時期尚早

早い

4つ目の拙速の類語「時期尚早」の読み方は「じきしょうそう」です。行動するには早すぎる「時期そのもの」を指していることが多いです。行動を起こす前段階の、他者との相談の最中に出てくる言葉です。

「こういった事をやりたい」と相談をしている時に、「それをするには時期尚早だろう」と言われれば、今はまだ行動に移す時期ではないという意味です。今一度よく考えて、行動する時期を再検討する必要がありそうです。

類語④急造

急造

拙速の類語の4つ目には「急造」があります。読み方は「きゅうぞう」で、「何かを急いで作る事」の意味があります。「急いで何かをする」意味では、同じ様な言葉ですね。ですが、急造というのは「何かを作り上げる」時のみにしか使えない言葉なので注意しましょう。

急いで作業を終わらせなくてはいけない時、建設作業などあれば「急造」の言葉が使われるでしょう。しかし、書類などを仕上げる場合は「急造」ではなく「拙速」を使って説明します。

類語⑤浅はか

浅はか

拙速の類語の5つ目は「浅はか」です。深く考えていない時や、そこから来る行動に対しての言葉ですね。拙速の「拙」に近い言葉であり、「速い」というニュアンスは持っていません。

人の考え方や行動が、あまり考えられた物でない時に対しての言葉で、相手を貶す時・諫める時によく使われます。「もう少し考えて行動すべき」という様な言葉なので、「浅はかな」と言われたら、何か行動・発言する前に、1度じっくり考えてから動き出す癖をつけていきましょう。

拙速な行動は状況次第

走る

周囲の状況やタイミングによっては、拙速な行動をとった方が良い時もあります。しかし毎回の様に拙速な行動をしていると、それが当たり前になってしまい、事前に考えることが疎かになっていく場合もあります。どういった行動を尊ぶのが良いかを毎回選択して動くことで、多彩な動作をとることができる様になっていきます。

仕事などで使う少し難しい言葉は、他にもいろいろありますね。何か言われた時に、意味を理解できる様にしておく事で、その後の対処が容易になります。どんな言葉があるか、下記も参考にしてみましょう。

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