モラトリアムの意味は?期間や看護を使った使い方や人間の特徴も

モラトリアム人間という使い方でよく見る「モラトリアム」という言葉ですが、この言葉にはどのような意味があるのでしょうか。また、人生におけるどの期間をモラトリアムと呼ぶのでしょうか。モラトリアムな人間の特徴や、心理学におけるモラトリアムを含め、モラトリアムについて詳しくご紹介します。

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モラトリアムの意味

モラトリアムの意味:元々は「猶予として与えられた期間」のこと

お金のやり取り

モラトリアムの元々の意味は、「支払い義務がある金銭の猶予として与えられた期間」という意味です。支払い義務がある金銭の多くは、借金を指しています。多くの一般人にとっては聞き慣れない言葉ですが、無理はありません。この「支払い猶予」というのは、地震や恐慌など有事の際の猶予を指しているからです。

そのため、個人の生活の中で負った借金に対して「モラトリアム」という言葉を使って表現することは滅多にありません。モラトリアムという単語は元々、個人を超えた広く大きい事態に対して使われるものです。借金以外では、新しい法律ができた際に、その法律が実際に施工されるまでの期間のことも指すようですね。

モラトリアムの意味:発達心理学や看護系では「大人になる前の準備期間」

学生たちの様子

モラトリアムを発達心理学や看護系の用語として使う場合には、「大人になる前の準備期間」という意味になります。元々の意味は猶予期間ですが、これを人間に当てはめた場合には、人間の成長と社会の関わりの中で使う言葉になるということですね。青年期の若者を指して使われ、モラトリアム期間のない人はいません。

このモラトリアムは、社会学者であり心理学者でもあるエリクソンが提唱したものです。社会的にも青年がモラトリアム期に入ることは認められており、後ろ指を指されるような期間ではないということは覚えておいた方が良いでしょう。

モラトリアムの意味:現在では「準備期間を終えても義務を果たさない人間」

ソファに座る女性

モラトリアムという言葉は、現在では「大人へと向かう準備期間を経ても、社会に出るという義務を果たさない」という意味で使われることが多いようです。発達心理学や看護系の用語とは少し意味がずれていることに注目してください。発達心理学の分野の中では準備期間そのものですが、現在では、その後を指しています。


心理学の分野で青年がモラトリアム期に入ることが認められている一方で、一般的に広く知られている意味の「モラトリアム」は、社会的に認められているわけではありません。「モラトリアム人間」などという表現で、社会に出ていない人間のことを表現するときには、多くは嘲笑や呆れを含んだ悪い意味で使われています。

現在のモラトリアムという言葉の使い方は、心理学的な用語と現在の用語が混じっていて分かりにくいところはあります。これらは文脈で判断するしかありません。ですが、全体として言えるのは、現在の日常生活の中で見られる「モラトリアム」の多くは、ネガティブな意味で使われているということでしょう。

モラトリアムの期間:大学から大学卒業後をモラトリアムと呼ぶ傾向

女学生たち

モラトリアムの期間は、大学から大学卒業後のことを指す傾向がありますね。心理学的に純粋な「準備期間」としてモラトリアムを使うのであれば、大抵は大学時代のことを指しているでしょう。一方、現在多く知られている意味での「モラトリアム」なら、大学卒業後のことを指すことが多いですよ。

モラトリアムの使い方

モラトリアムの使い方①「彼はモラトリアム人間だ」

頭を抱える男性

モラトリアムの使い方の一つ目は、「彼はモラトリアム人間だ」というものです。現在のネガティブな意味でのモラトリアムは、個人に対して使われることが多いものです。「モラトリアム人間」という単語として使うことで、その人間の現状や性格について想像することができる言葉となります。

モラトリアムの使い方②「娘はモラトリアム症候群と言って気力がない」

頭を抱える女性

モラトリアムの使い方の二つ目は「娘はモラトリアム症候群と言って気力がない」というものです。「モラトリアム人間」と同様に、「モラトリアム症候群」も、一つの単語のようにして使われることが多い組み合わせです。青年が大人になることに対して恐怖感を抱き、大人になることを拒絶する症状のことを指します。

モラトリアム症候群は、ピーターパン症候群と似た使われ方をしていますね。ピーターパン症候群は、永遠の少年であるピーターパンの名前がついていることから、精神的に大人になることができない人を指し、主に男性に使われます。一方モラトリアム症候群は青年期の精神であり、性別が関係ないという違いがありますよ。

モラトリアムの使い方③「とっくにモラトリアム期間は過ぎている」

クッションを抱える女性

モラトリアムの使い方の三つ目は「とっくにモラトリアム期間は過ぎている」というものです。心理学用語における「社会的に認められる準備期間」を終えて久しい人間に対しての叱責の意味合いとして使われています。こういった使い方は良く見られますが、この場合の「モラトリアム」は心理学用語の正しい意味の方ですね。

モラトリアムの使い方④「責任から逃れたいのはモラトリアム人間だ」

落ち込んでいる男性

モラトリアムの使い方の四つ目は、「責任から逃れたいのはモラトリアム人間だ」というものです。モラトリアムというのは、責任から逃れようとする特徴もあります。学生でいるときと、社会人になってからの大きな違いは、責任の発生の有無が挙げられるからです。

責任から逃れようとする特徴を持っている人のことを、モラトリアム人間と表現するのは間違っていませんね。大人になり切れないようなところはもちろんのこと、社会的義務を果たさない、社会の中で支障になるような性格を持っている人間のことも、大雑把に「モラトリアム人間」に含めることもあるのです。

モラトリアム人間の特徴・脱却する方法も

モラトリアム人間の特徴①無気力で優柔不断


欠伸をする女性

モラトリアム人間の特徴の一つ目は、無気力で佑淳普段であるというものです。モラトリアム人間は「これをしたい」という強い欲求を持っていません。持っていれば将来のことも決められますが、ないからこそ、社会的に認められる期間を過ぎてもなお、モラトリアム状態を続けているのではないでしょうか。

自分について何か大事な決定をすることもできないので、自分の未来を確定することができません。優柔不断で無気力な人間であれば、確かに、「今」という時間を何となく生きているうちに、いつの間にか将来を決断しなければいけない時期にきて、無気力で優柔不断なままずるずると過ごしているというのはイメージ通りです。

モラトリアム人間の特徴②危機感を持たない

リラックスする女性

モラトリアム人間の特徴の二つ目は、危機感を持たないというものです。少しでも危機感を持っていれば、将来の決まっていない自分のことを憂いて、きちんと自分のことを決めようと思いますよね。それがないということは、将来に対してもぼんやりしたことしか考えず、危機感というものを抱かないということになります。

もちろん、モラトリアム人間は危機感を抱いていないために、どこかのんびりしているところがあるかもしれません。自分の中では焦っていたとしても、周囲にはそれが全く分からないため、見た目的に「モラトリアム人間」になってしまう人もいるでしょう。

モラトリアム人間の特徴③将来の目標や見通しがない

不安そうな女性

モラトリアム人間の特徴の三つ目は、将来の目標や見通しがないというものです。モラトリアム人間は、自分の将来に対する願望さえもありません。また、人生プランニングができていないため、行き当たりばったりに生きている印象になるでしょう。学生時代は飄々としているように見えるかもしれませんね。

ですが、飄々として良い生き方をしているように見えた人でも、学生時代を終えてしまうと、ただの「やる気がない人間」です。誰かにレールを決めてもらう生き方が終わった瞬間に何も見えなくなってしまい、見通しも夢もない人間が出来上がると、それはモラトリアム人間の一種として語られてしまいますよ。

モラトリアム人間の脱却方法①現実を見て将来のプランニングをする

頭を押さえる女性

モラトリアム人間を脱却するためには、現実を見て、将来のプランニングをする必要があります。モラトリアム人間はとにかく、自分の将来についての曖昧なビジョンしか持っていないところが特徴です。きちんと現実的に見通しを持って生きることで、危機感も生まれますし、自分の路を決めやすくもなるでしょう。

自分の将来について設計するときには、必ず今の自分を土台とするはずです。「今の自分」からかけ離れた夢を語るのも良いですが、モラトリアム人間に必要なのは現実的な将来設計ですよね。そのためには、きちんと自分の現実を見つめることも大切です。辛いかもしれませんが、現実を直視して、現実的な計画を立ててください。

モラトリアム人間の脱却方法②小さな目標を立ててみる

ノート

モラトリアム人間を脱却するためには小さな目標を立ててみるということも大事です。モラトリアム人間は腰が重い特徴もありますから、少しでも達成しやすい目標から始めることで、徐々に高いハードルを越えられるようになります。まずは、絶対に叶えられそうな小さな目標から立てて、未来に目を向ける訓練をしてください。

モラトリアムな人間について理解しよう!

モラトリアムな人間については理解することができましたでしょうか。現在では、モラトリアムという元の言葉とは定義が異なり、社会的に認められない「未来について考えていない若者たち」を総称するような言葉となってしまっています。社会的な義務を果たさない人間の総称と考えると、絶対にそう言われたくはないですね。

もちろん、モラトリアム人間は、好きでモラトリアムをやっているわけではないと思うかもしれません。モラトリアム状態に陥ってしまい、なかなか抜け出せないだけかもしれませんね。そんな方は、きちんと自分の状況を見て、克服できるように自分の将来についてきちんと考えるようにしてみましょう。

モラトリアム人間は、全体的にやる気がない人間であるとも言えます。将来についても、自分の人生についてもやる気がないため、未来が確定しない曖昧な人生を歩んでいるのです。このようにやる気がない人間は、社会人の中でも見られますよね。やる気がない人間の特徴や克服方法については、以下の関連記事をご覧ください。

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