偲ぶの意味とは?悼むとの違いや偲ぶ会・故人を偲ぶなどの使い方も

にんべんに思うという漢字を組み合せた「偲ぶ」は、「故人を偲ぶ」「苦労を偲ぶ」「故人を偲ぶお別れの会」などと言うときに使われます。この記事では「偲ぶ」の意味や使い方、類語、英語をご紹介します。「〇〇さんを悼んで」という表現で用いられる「悼む」と「偲ぶ」の意味の違いについても見ていきましょう。

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偲ぶの意味とは?

にんべんに思うという漢字を用いる「偲ぶ」の意味①思い出す・追憶する

写真を見る男性

「にんべんに思う」という漢字を組み合わせた「偲ぶ」という言葉の意味をご存知でしょうか。「偲ぶ」は「しのぶ」と読み、3つの意味があります。「偲ぶ」の意味1つ目は、過ぎ去った人や遠く離れてしまった人を「懐かしく思い出す」「追憶する」ということです。労りの心で過去のことを思い出すときにも用いられます。

故人や先人のことを懐かしく思い出すことは、「先人の苦労を偲ぶ」「故人を偲ぶ」といった言葉で表現され、「慕ぶ(しのぶ)」とも書きます。「追憶する」とは、過ぎ去ったことに思いを馳せることで、自分から遠く離れた人や物に対する思いが次第に強くなっていく感情を言います。

にんべんに思うという漢字を用いる「偲ぶ」の意味②慕わしい・心が引かれる

壁に飾られた複数の写真

にんべんに思うという漢字を用いる「偲ぶ」の意味2つ目は、「慕わしい・心が引かれる」ということです。久しぶりに目にした場所や久しぶりの人に会ったときに心が引かれ、慕わしいという感情で思いを巡らせることは誰にでもあるものではないでしょうか。

例えば、遠く離れてしまったふるさとの地に近づきたい気持ちで心が引かれる時に「故郷を偲ぶ」といった言葉で表すことができます。

にんべんに思うという漢字を用いる「偲ぶ」の意味③愛でる

犬と男性

にんべんに思うという漢字を用いる「偲ぶ」の意味3つ目は、素晴らしさを愛でる(めでる)ということです。過ぎ去った人や遠く離れてしまった人を賞賛するときに用いられます。良い意味で、「人柄が偲ばれる」「人となりが偲ばれる」「教養の深さが偲ばれる」といった言葉で表現されます。

「人柄が偲ばれる」というのは、自分にとって人や物が好ましいと推測されることを意味します。良い意味で使う言葉ですが、「そうであってほしい」「のぞましい」という気持ちが込められています。「人柄が偲ばれる」という言葉を使うときは、「しのばれる」という形になります。

「偲ぶ」に助動詞「れる」をつけた形は、ある物から動作を受ける「受け身」、他からの作用に関係なく動作が自然に起こる「自発」や、~することができるという意味の「可能」人を敬う(尊重する)気持ちである「尊敬」の意味を持ちます。

偲ぶと悼むの違いは?

偲ぶと悼むの違い「偲ぶ」は遠く離れた人や過ぎ去った人を懐かしむこと


海を眺める女性

前述したように「偲ぶ」は、遠く離れた人や過ぎ去った人のことを懐かしむことです。「故人を偲ぶ」とは、大切な人が亡くなってから、ある程度の時間が経過したときに懐かしむ気持ちや故人を思い出すときに用いられます。

偲ぶと悼むの違い「悼む」は人の死を嘆き悲しむこと

悲しむ女性

「〇〇さんを悼んで」などと用いられる「悼む」という言葉は、「いたむ」と読みます。「悼む」という漢字には悲しんで心を痛めること、亡くなった人を惜しんであわれむという意味があります。

「偲ぶ」は、故人だけでなく遠く離れた人や懐かしい人を思い出す時などに用いられましたが、「悼む」は、「故人に対してのみ」に用いられます。「偲ぶ」と「悼む」の意味は異なりますので、これらの言葉を用いる際は注意が必要です。

偲ぶの使い方・例文は?

「偲ぶ」の使い方・例文①昔を偲ぶ

頬に手を当てる男性

ここからは、にんべんに思うという漢字を用いる「偲ぶ」の言葉の使い方や例文について見ていきましょう。例文の1つ目は、「昔を偲ぶ」という表現についてです。昔を思い、遠く離れてしまった人をなつかしむときに用いられる言葉です。

日本史上最高の俳諧師として有名な人物である松尾芭蕉も、福島市にある「しのぶもぢ摺りの石」を訪れた際に、「しのぶもぢ摺り」と「昔を偲ぶ」という言葉を掛けた表現で「早苗(さなえ)とる手もとや昔のしのぶ摺(ず)り」と詠んでいます。

この句は、「稲の苗取りをしている娘たちの手つきを見ていると、昔、衣(ころも)にしのぶ摺りをした時の手つきがしのばれて、懐かしい」という内容です。しのぶ摺りは、忍草(しのぶぐさ)の葉や茎をからとった染め汁で乱れた模様を摺り出したものを言います。「昔を偲ぶ」の使い方は、例文を確認してみましょう。

    「偲ぶ」の使い方・例文①昔を偲ぶ

  • 同窓会で再会した友人と昔を偲んだ。
  • 遠い昔に住んでいた街並みを目にすると、あの頃の思い出が偲ばれる。

「偲ぶ」の使い方・例文②故人を偲ぶ

海で悲しむ女性

亡くなってしまった大切な人や別れてしまった人のことを穏やかな心で静かに思い浮かべ、辛い気持ちをじっと堪えるという気持ちは、「故人を偲ぶ」という言葉で表現することができます。

予期せぬ突然の別れは、戸惑うものです。通夜や葬儀の時に、大切な人を亡くしたことを受け入れることができない心理状態であっても、気丈に振舞わなければならない場面があります。ある程度の時間が経過し、現実を受け入ることができる状態になった時に静かな気持ちで故人を偲びます。

    「偲ぶ」の使い方・例文②故人を偲ぶ

  • 故人との思い出の品である写真を部屋に飾って偲んだ。
  • 〇〇さんを偲ぶ会で生前の功績をたたえ、皆と語りあった。

「偲ぶ」の使い方・例文③苦労を偲ぶ

女性の肩に手を置く男性

続いて「苦労を偲ぶ」の使い方と例文についても見ていきましょう。にんべんに思うという漢字を用いるここでの「偲ぶ」は、懐かしいという意味ではありません。苦労してきた日々を賞賛(しょうさん)する表現になります。

賞賛とは、ほめたたえるという意味で、先人の立派であったことや素晴らしさを褒め、どんなに優れていたのかを言葉を尽くして述べることです。私たちが住みやすい環境で過ごすことができるのも、先人の苦労があったからこそですよね。

例文にも挙げていますが、日本最大級の大きさを誇る黒部ダムの建設や北海道の広大な土地を開拓した先人達の苦労には計り知れないものがあります。旅行で訪れた際に、素晴らしい景色の写真を撮るだけではなく、その土地の歴史を知ることや先人達の苦労を偲ぶ旅というのも、一味違った素敵な旅になるのではないでしょうか。

    「偲ぶ」の使い方・例文③苦労を偲ぶ

  • 過酷なダム建設に携わって命を落とした先人の苦労を偲ぶ。
  • 未開発の広大な土地を開拓した先人の苦労を偲ぶ貴重な資料を見た。

「偲ぶ」の使い方・例文④お別れの会・偲ぶ会

頬づえをつく女性

有名人・著名人が亡くなったときや、一般人であっても世間で幅広く活躍していた人が亡くなったときなど、葬儀に参列したくてもできない場合に「お別れの会」や「偲ぶ会」などが行われる場合があります。近年では、通夜と葬儀は親族だけで執り行い、友人や知人とのお別れは、日を改めて行うケースが増えつつあります。

「お別れの会」や「偲ぶ会」は、通夜や葬儀とは異なり自由な形式で行われます。出席・欠席の旨を主催者に返信用の葉書きで通知します。都合により葬儀に参列できなくとも、「お別れの会」や「偲ぶ会」で故人にお別れの言葉を告げることができるのです。

    「偲ぶ」の使い方・例文④お別れの会・偲ぶ会

  • この度は〇〇さんを偲び、下記の日程でお別れの会を執り行うこととなりましたので、ご臨席賜りますようご案内申し上げます

「偲ぶ」の使い方・例文⑤人柄が偲ばれる


祖父と孫

「人柄が偲ばれる」は、自分にとって人や物が好ましいと推測されることを意味します。その人が本来持っている生まれつきの人柄に「尊敬」などの意味合いを込めて用いられます。どのようなケースで使うのか、例文を確認してみましょう。

    「偲ぶ」の使い方・例文⑤人柄が偲ばれる

  • まさかこんなにも多くの人が集まるとは。彼女の人柄が偲ばれる。
  • あたたかいおもてなしの心を感じられる旅館は、女将の人柄が偲ばれる。

「悼む(いたむ)」の使い方・例文①死を悼んで

暗い部屋で座る女性

「悼む」という言葉は、死者を偲び、いたみ悲しむときに用いられます。「故人に対してのみ」使われる言葉ですので、「悼む」や「悼んで」という表現は「死」という言葉と共に使われることが多くあります。

    「悼む」の使い方・例文①死を悼んで

  • 友人の死を悼んで思い出の地を訪れた。
  • 庭に一輪の花が咲いた。亡くなった祖母の死を悼んで咲いたのだろう。

「悼む(いたむ)」の使い方・例文②故人を悼んで

泣いている子ども

「悼む」は、亡くなられた人の生前を偲び悲しむことを意味する「追悼」や人の死を悲しんで嘆くことを意味する「哀悼」の漢字でもよく使われています。

「偲ぶ」の例文としてご紹介した「人柄が偲ばれる」を用いる場合は、自分にとって人や物が好ましいと推測されることを意味し「物」に対しても用いられましたが、「悼む」や「悼んで」を用いる場合は、「人」に対して使います。ある人が亡くなってから悲しみ嘆くことを表している「故人を悼む」の例文を確認してみましょう。

    「悼む」の使い方・例文②故人を悼んで

  • 弔辞は、故人の死を悼んで捧げるお別れの言葉だ。
  • 祖父の死を悼んで、決して忘れられないあの場所を訪れた。

偲ぶの類語は?

「故人を偲ぶ」の類語|故人を追悼する・亡き人を追悼する

窓の外を眺める女性

「故人を偲ぶ」の類語には、「故人を追悼する」や「亡き人を追悼する」という言葉があります。「悼む」や「悼んで」で使われる「悼む」という漢字は、「追悼」という言葉でも使われています。「追悼」は主に公の場で行われる追悼集会など、多くの人が集まるときに用いられる言葉です。

「過去を偲ぶ」の類語|懐かしむ・回想する・追憶する

夕陽・座る女性

「過去を偲ぶ」は、遠い過去を思い出してなつかしく思い出すという意味があります。類語は、昔の頃を慕わしく思う・懐かしく思うという意味の「懐かしむ」や、かつて自分の経験したことをあれこれ思い巡らすことを意味する「回想する」、過去のことを思い出して偲ぶという意味を持つ「追憶する」などが挙げられます。

偲ぶの英語は?

偲ぶの英語①remember

写真が飾られている

「remember」は、「人が(人・物・事)を覚えている・記憶している」「人が(人・物・事)を自然に思い出す」「(死者を)追悼する」「(遠回しに)人に贈り物をする」等の意味があり、「love and remember the dead」は、「亡き人を愛し、追悼する」となります。

また、「父のおもかげを偲ぶ」は「think of remember one's dead father」と表現することができます。

偲ぶの英語②recall

うずくまっている女性

「recall」は、「人が意識的に努力し(人・物・事)を思い出す(recollect)」「(物・事・人)が(物・事)を(人や心に)思い出させる」「人を(…から…へ)呼び戻す」等の意味があり、「recall the past」は、「昔日(せきじつ)を偲ぶ」という意味になります。

偲ぶの意味を正しく理解しよう

ブライドから外を見る女性

今回は、「にんべんに思う」という漢字を組み合わせた「偲ぶ」という言葉の使い方や意味、類語、英語表現、「悼む」と「偲ぶ」の意味の違い、「悼んで」を使った例文等をご紹介しました。「偲んで」や「悼んで」は、それぞれ意味が異なります。誤って使うことの無いよう、言葉の意味を正しく理解しましょう。

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