わかりかねるの意味は?致しかねるや決めかねるのメールでの使い方も
「わかりかねる」の意味は「わかる?わからない?」ちゃんと理解していますか?敬語では「わかりかねます」の形になりビジネスメールでもよく使いますが、その変化形と勘違いされる「わかりかねません」の使い方は実は誤りなのです。他の「かねる・しかねる」系「致しかねる・判断しかねる・決めかねる」もご紹介!
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わかりかねるの漢字や意味
「わかりかねる」の意味
「わかりかねる」の意味は、「わからないこと」です。「わからない」というのは「わかる」の否定形であり、「物事の意味や価値が理解できない」ことを表します。「意味」は「物事が文脈の中で持つ価値(重要性・意義)」のこと、「価値」は「目的実現に役立つ程度や性質(値打ち・有用性)」のことを表す言葉です。
「理解」は「物事の仕組み・状況・意味するところなどを論理的に判断して認めること」を言うため、「わからない」は「物事が持つ意義・重要性・値打ち・有用性などについての仕組み・状況・意味するところが思考の中で判断できす認めることもできないこと」を表しています。
「わかりかねる」の意味は「わからない」の言葉と全く同じなので、「わかりかねる」か表すことも上記と同様になります。「わかりかねる」と「わからない」の違いは「表現の仕方と印象」であり、「わかりかねる」は「わからない・知らない」ということを丁寧に表現したものです。
「わかりかねる」の構成
「わかりかねる」は、動詞「わかる」の連用形「わかり」と、本来なら動詞だが「〜かねる」の使い方では複合動詞や助動詞とされる「かねる」で成り立っています。複合動詞や助動詞の見方をされる場合の「〜かねる」には「できない・しようとしてもできない・することに堪えられない・動作を躊躇する」という意味があります。
「わかり」は連用形というだけなので、意味としては「わかる(物事の意味や価値が理解できる)」と同じです。しかし「わかりかねる」では、「かねる」によって「できない」という否定形になっています。よって、「わかりかねる」の意味は「物事の意味や価値が理解できない」になります。
「〜かねる」と似た言葉に、動詞「しかねる」があります。「しかねる」は「することが難しい・できないを遠回しに表す意味」を持ち、「かねる」と意味も似ますが、「わかりかねる」を構成するのは「かねる」です。最もな違いは使い方で、「〜かねる」は他の語と組み合わせて使いますが「しかねる」は単体でも使えます。
「わかりかねる」の漢字
「わかりかねる」は「わかり」と「かねる」に分解できますが、「わかり」の原型である「わかる」に当てはまる漢字として考えられるものは「分かる」「解る」「判る」です。3種類もあるわけですが、「わかりかねる」に相応しい漢字は定義されていません。しかし、一般的には「分かる」の漢字がよく用いられます。
「解る」は「物事の理論や内容を理解できる」こと、「判る」は「事実が明白になる」ことを意味し、前述に合わせた使い分けをします。「分かる」は「解る・判るのどちらにも通用する」と定義されているため、「わかりかねる」には「分かる」の漢字を当てることが多いと言われています。
「かねる」の方は「兼ねる」だと思われがちであり、辞書でも見られます。ただ、この「兼ねる」の漢字で表記するのは「単なる動詞としての意味(1つの意味や物が2つの要素を持つ)」で使う時だけであり、「〜かねる」という「複合動詞や助動詞として扱われる意味」では平仮名表記にしません。
わかりかねるを使うときのポイント
ビジネスシーンでは敬語表現にする
「わかりかねる」は敬語表現ではないため、ビジネスシーンなどの敬語を要する状況では敬語表現にして使う必要があります。「わかりかねる」を敬語表現にする際は、末の部分(かねる)を丁寧な表現「かねます」に変えます。よって、「わかりかねます」という「わかりかねる」の敬語表現ができあがります。
「わかりかねる」の敬語表現「わかりかねます」は、ビジネスシーンで見聞きすることが多いです。ビジネスシーンという場にいれば自分が使うことになる可能性も大いにある表現ですので、「わかりかねる」を敬語表現にすると「わかりかねます」になるということを覚えておいて損はないでしょう。
「わかりかねません」の使用は避ける
「わかりかねません」は「わかりかねます」と同じ意味で使用する方が多い表現ですが、「わかりかねます」と「わかりかねません」の意味は異なります。「わかりかねません」は「わかりかねる」+「ません」の構成で、いわゆる「二重否定」になっています。
二重否定とは「一度否定した意味をまた否定しているために、結果否定していないことになっている表現」のことです。「わかりかねる」も「〜ません」も否定形であるため、「わかりかねる」を「〜ません」で否定している形になります。つまり、「わかる」という意味になってしまいます。
そのため、「わかりかねます」=「わかりかねません」ではありません。「わかりかねません」は響き的には丁寧に聞こえますが、「わかる」ことを伝える時にわざわざ裏の裏のような伝わりにくい表現はしなくても良いでしょう。
「存じ上げない」とは使い方が異なる
「わかりかねます」と同じ意味を持つ敬語に、「存じ上げません」があります。どちらも「わからない」ことを表す時に使いますが、敬語の種類が違うため使い方も異なります。「存じ上げません」は謙譲語であり、目上の相手やお客様などに対して使います。
「わかりかねます」は丁寧語なので、立場の上下関係なく誰に対しても使えます。また、印象的にも違いがあります。「わかりかねます」の方が印象的には柔らかいため、「わからない」と否定の意味を伝える時には、謙譲語としての硬い印象が強い「存じ上げます」よりも「わかりかねます」を用いた方が良い場合もあります。
わかりかねるの使い方
基本的な使い方は「問われたり尋ねられたりした時」
「わからないこと」は「わかる?知ってる?」と何かについて聞かれる時に示すことなので、「わからない」を意味する「わかりかねます」は「質問されたり尋ねられたりした時」に使うことが多いです。質問や尋ねることを受けた時に、その内容について「わからない・知らない」場合は「わかりかねます」と答えましょう。
しかし、一般的には「わかりません」や「わからない」を使用します。「わかりかねます」は謙譲語や尊敬語ではありませんが、丁寧な印象の強い表現なのでビジネスシーンなどの敬語を要する状況で使う方が良いです。なぜなら、日常会話の中で使うと、場に合わない丁寧さとして嫌味な印象になる可能性が高いためです。
「諸事情により答えられない」ことを表す使い方もある
「相手に言えない事情・言う必要はない事情・細かく説明できない事情」など、諸事情によって答えられない時にも「わかりかねます」を使います。本当の意味での「わからない」ではなく、「言えない」「私は答えられない」の意味合いが込められています。
「返答に困る内容を聞かれた時」にも使える
答えづらい内容を聞かれた時にも、「答えられない」の言い回しに「わかりかねます」を使用することができます。この場合は「実は分かっていることはあるけど答えられない」意味合いを含むことがあり、ビジネスシーンでは重宝されます。
メールなどの文章でも使用可能
「わかりかねます」は口頭でもよく使いますが、ビジネスメールでも登場回数は少なくありません。しかし目上やお客様などに対しては、丁寧語よりも丁寧さと敬意の度合いが高いとされる謙譲語表現の「存じ上げません」を用いた方が良い場合もあります。
メールや文書などの文章物の中では、比較的に硬い表現・畏まった表現が好まれます。そのことから「わかりません」を示す時には、丁寧語の「わかりかねます」ではなく謙譲語の「存じ上げません」が適することもあります。
ただ「わかりかねます」の方が印象が柔らかいため、どのように伝えたいのか(ニュアンス)を考えて「わかりかねます」と「存じ上げません」を使い分けると良いでしょう。「存じ上げません」は、「分かる・知る」を意味する「存じ上げます」の変化形です。「存じております」などもありますので、以下の記事も参考にどうぞ。
しかねるのつく言葉や使い方
「致しかねる」と「判断しかねる」
「致しかねる」は、「することができない・することが難しい」ことを意味する表現です。「致し」は「する」の謙譲語「致す」の連用形ですので、「致しかねる」は謙譲語表現として目上やお客様などに使います。
「判断しかねる」は、「判断できない・判断しにくい」ことを意味する表現です。「判断」に「しかねる」を組み合わせた言葉で、「(決めないといけないことに対しての)答えが出せない状態」や「イエスでもノーでもない状態」を表す時に使います。
「致しかねる」と「判断しかねる」の使い方
「致しかねる」は謙譲語ですが、ビジネスシーンなどの用いる時には語末部分を丁寧な表現「かねます」に変える必要があります。「判断しかねる」も同様に、「しかねる」の部分を「しかねます」の形にします。
「致しかねる」は「できない」の意味ですので、「相手の要求に応えられない時」や「言われる前に受け付けていないことを示す時(断りを入れる時)」に「無茶難題は致しかねる」「こちらでは対応致しかねます」などの文で使用します。
「判断しかねる」は「判断できない」の意味ですので、「決められない時」に「私には判断しかねます」などの文で使用します。また、自分の中で判断ができていたとしても、責任を負いたくないから「判断しかねる」を使って責任回避をしている方も多いようです。
「判断しかねる」と似ている「決めかねる」
「致しかねる」のような「しかねる・かねる」系の言葉には、「決めかねる」もあります。「決めかねる」は「選択肢のどれを選ぶか決められない状況」を意味する表現で、「選択肢の中から選んで決めることができない」状態を表す時に「どちらの方法を選ぶか決めかねる」「私には決めかねる選択だ」などの文で使います。
「判断」は「物事を理解して考えを定めること」を言うため、「判断しかねる」は「考えを定めることができない」を表す時に使います。「決めかねる」は「選び決める」時に使うため、ニュアンスや使い方的には似ていても意味には違いがあります。その辺を意識して「決めかねる」と「判断しかねる」を使い分けましょう。
「わかりかねる」を正しく使おう!
「わかりかねる」は「わからない」を比較的柔らかな印象で示すことができる言葉で、ビジネスシーンでは「わかりかねます」という敬語表現の形でよく用いられます。たまに「わかりかねません」といった使い方を見かけますが、これは「わかりかねる」を「ません」で否定している二重否定になるため、誤った使い方とされます。
「わかりかねる」の漢字は「分かりかねる」で、「かねる」の部分は「兼ねる」にしません。その理由は「~かねる」の使い方は通常の動詞としての使い方とは異なり、複合動詞や助動詞の扱いになるためです。
ビジネスシーンでよく用いられる「かねる・しかねる」系の言葉には、「わかりかねる」の他に「致しかねる・判断しかねる・決めかねる」などもあります。改めて考えると「~かねる」や「しかねる」って何だろう?となる方も少なくないため、分かっていたとしても改めて意味や使い方を学び、正しく使えるようにしましょう。
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