「泡沫」の意味や読み方は?類語に対義語は?例文10選!英語表現も
泡沫という言葉の意味や読み方を知っていますか?泡沫とは泡やはかないものを例えた日本語らしい趣深い言葉で、「うたかた」「ほうまつ」と2つの読み方があります。泡沫の使い方、類語、対義語、英語表現などを例文と共にくわしく解説します。
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目次
泡沫の読み方は?
泡沫の読み方①泡沫(うたかた)

泡沫の読み方の1つ目は「うたかた」です。「泡」や「沫」に「うた」「かた」といった読み方はなく、泡沫と書いたときにのみ「うたかた」と読みます。このような熟語単位の特殊な読み方を熟字訓といい、例えば大人(おとな)や梅雨(つゆ)なども熟字訓の言葉です。
他に日本語らしい熟字訓として「五月雨」があります。この言葉については以下の記事でくわしく紹介していますので、ぜひ読んでみてください。
泡沫の読み方②泡沫(ほうまつ)

泡沫の読み方の2つ目は「ほうまつ」です。「泡」の音読みである「ホウ」、「沫」の音読みである「マツ」をくっつけたものです。「ほうまつ」と読んだときは、「うたかた」よりも泡そのものを指す意味合いが強くなります。
読み方で意味が変わることがある

泡沫には「うたかた」「ほうまつ」の2つの読み方があります。このように同じ熟語に対し2つの読み方がある言葉は、読み方によって意味が変わることがよくあります。泡沫にも「うたかた」と読むときと「ほうまつ」と読むときで2つの異なる意味があるため、意味と読み方を合わせて覚えておきましょう。
ただし、文章によっては「うたかた」と「ほうまつ」のどちらで読んでもいい場合もあります。記事の後半の例文では、比較的よく使われる方の読み方を紹介しています。
泡沫の意味は?
泡沫の意味①はかなく消えやすいもの

泡沫の意味の1つ目は、はかなく消えやすいものです。泡はできてもすぐにぱちんと弾けて消えることから、生まれてもすぐになくなってしまうもの、泡のように壊れやすいもの、とても頼りないことなどを泡沫と表現します。
泡沫の意味②水面などにできる泡

泡沫の意味の2つ目は、水面などにできる泡のことです。水流でできる泡、沸騰したときに発生する泡、ポンプなどで空気を送ったときにできる泡など、すべて泡沫の一種です。なお、「泡」や「沫」だけでも同じ意味を表すことができます。
泡沫の使い方は?
泡沫の使い方①はかなさの強調

泡沫の使い方の1つ目は、何かのはかなさを強調したいときに使うことです。例えば恋や夢、友情、命など、永遠には続かないものの切なさ・やるせなさ・尊さなどを表したいときに「泡沫の××」という表現で使うことができます。
泡沫の使い方②すぐに消えることの強調

泡沫の使い方の2つ目は、泡のようにすぐ消えることを強調したい時に使うことです。泡ができてはすぐに弾けて消えていくように、生まれてもあっという間になくなってしまうもの・ことに対して、「まるで泡沫のようだ」という表現で使うことができます。
泡沫の使い方③泡の言い換え

泡沫の使い方の3つ目は、泡の言い換え表現として使うことです。単に「泡」と表現するよりも文学的な言葉を使いたい時や、「沫」のもつ水しぶきのイメージと合わせて伝えたい時などに「泡沫」という言葉を覚えておくと役に立つでしょう。
泡沫の使い方の例文10選
泡沫の例文①彼の恋は泡沫(うたかた)のように消えた

泡沫の例文の1つ目は「彼の恋は泡沫(うたかた)のように消えた。」です。恋が泡のようにあっけなく消え去ってしまった、はかない恋だった、などと伝えたい時に使えます。恋がすぐに終わってしまったことを「泡沫のような恋だった」と言うと知的に聞こえますね。
「泡沫のような」と言わず、「泡沫の恋」と表現してもいいでしょう。ちなみに「泡沫人(うたかたびと)」とは愛人のことを指す言葉です。
泡沫の例文②新プロジェクトは泡沫(うたかた)の夢に終わった

泡沫の例文の2つ目は「新プロジェクトは泡沫(うたかた)の夢に終わった。」です。新しいプロジェクトという夢も、泡が弾けるように一瞬でなくなってしまった、終わってしまった、というような意味になります。「泡沫の夢」は泡沫を使った言い回しとしてよく使われるものです。
もちろん仕事のプロジェクトに対してだけでなく、計画、野心、目標など様々な所で使うことができます。泡沫の夢で終わらずに済むのが一番ですが、もし上手くいかなかったときには使ってみてください。
泡沫の例文③セミの命とは泡沫(うたかた)のようなものだ

泡沫の例文の3つ目は「セミの命とは泡沫(うたかた)のようなものだ。」です。セミは地上に出てきて7日ほどで死んでしまうと言われており、あっという間に死んでしまうセミの命のはかなさをすぐに消える泡に例えた表現です。
セミに限ったことではなく、早逝してしまった人に対しても使うことができます。なお、セミの寿命は7日間とよく言われていますが、実際は地上に出てきてからも天敵に捕まらなければ1か月弱は生きていられるようです。
泡沫の例文④泡沫(うたかた)の平和に酔いしれる

泡沫の例文の4つ目は「泡沫(うたかた)の平和に酔いしれる。」です。平和だと思っているのも今のうちだけ、すぐに終わってしまうことに気付いているのかいないのか、束の間の平和に浸っているというような意味の文章です。
今の平和な世の中がいつの間にか泡沫の如く消えてしまわないよう、自分たちにできることは小さなことでも取り組んでいきたいものですね。
泡沫の例文⑤あんな泡沫(ほうまつ)候補は落ちるに決まっている

泡沫の例文の5つ目は「あんな泡沫(ほうまつ)候補は落ちるに決まっている。」です。泡沫候補というのは選挙などで使われる言い回しで、頼りない落選濃厚な候補者のことを指しています。選挙に立候補してもすぐに消えてしまう様子を泡に例えているのでしょう。
似たような意味の言葉で泡沫(ほうまつ)会社もあります。頼りないすぐに消えてしまいそうな会社のことです。なお、泡沫の「沫」の字は常用漢字ではないため、新聞やテレビで「泡沫候補」の言葉が使われるときは「泡まつ候補」や「泡末候補」と書かれています。
泡沫候補(ほうまつこうほ)とは、当選する見込みが極めて薄い選挙立候補者。特殊候補、インディーズ候補[1]とも呼ばれる。
引用元: wikipedia
泡沫の例文⑥海面の泡沫(ほうまつ)がきらりと光った

泡沫の例文の6つ目は「海面の泡沫(ほうまつ)がきらりと光った。」です。ここでの泡沫は、水しぶきや波によってできた泡そのものを意味しています。このような場合は「うたかた」と読むより「ほうまつ」と読むことが多いようですが、もちろん「うたかた」でも間違いではありません。
泡沫の例文⑦ぐつぐつ泡沫(ほうまつ)がたつまで熱する

泡沫の例文の7つ目は「ぐつぐつ泡沫(ほうまつ)がたつまで熱する。」です。こちらは沸騰して鍋底からぼこぼこ湧き上がってくる泡を表現しています。あえて「泡沫」と書くと、「泡」と書くよりも煮えたぎっているイメージが伝わりやすいかもしれませんね。伝えたいイメージに合わせて言葉を選んでみてください。
泡沫の例文⑧ガラス玉の中に泡沫(ほうまつ)が閉じ込められていた

泡沫の例文の8つ目は「ガラス玉の中に泡沫(ほうまつ)が閉じ込められていた。」です。ガラス玉をのぞいてみると、中に気泡が閉じ込められていたということです。水面に浮かんでいる泡だけでなく、こういった気泡なども泡沫と表現することができます。
泡沫の例文⑨泡沫(ほうまつ)のように睡魔がわきあがってきた

泡沫の例文の9つ目は「泡沫(ほうまつ)のように睡魔がわきあがってきた。」です。この文章で使われている泡沫には、はかないもの、というイメージはありません。水中からぽこぽこ浮き上がってくる泡のように、睡魔がゆっくりとわきあがってきたという意味で使われています。
泡沫の例文⑩彼女の実力は泡沫(ほうまつ)と同じだ

泡沫の例文の最後は「彼女の実力は泡沫(ほうまつ)と同じだ。」です。彼女の実力はつつけばすぐに消えてしまう泡のように頼りない、見た目は実力があるように取り繕って膨らんでいるがその中身が伴っていない、といった意味になります。絶対に言われたくない台詞ですね。
泡沫の類語は?
泡沫の類語①仮初

泡沫の類語の1つ目は、仮初(かりそめ)です。仮初とは、束の間のこと、間に合わせのこと、その場限りのことというの意味のある言葉です。たとえば「泡沫の平和」は「仮初の平和」と言い換えられますし、その場限りの「泡沫の恋」は「仮初の恋」と同じ意味になります。
泡沫の類語②あぶく

泡沫の類語の2つ目は、あぶくです。あぶくとは泡を意味する言葉なので、泡沫(ほうまつ)と表現したいところに「あぶく」を使っても違和感は生じないでしょう。たとえば「泡沫がたつまで熱する」を「あぶくがたつまで熱する」と言い換えても意味は同じです。
泡沫の類語③はかない

泡沫の類語の3つ目は、はかないです。はかないは漢字で「儚い」と書き、夢のように淡く消えやすいこと、頼りないこと、あてにならないことを意味する言葉です。たとえば「泡沫の夢」は「はかない夢」、「泡沫の命」は「はかない命」と言い換えることができます。
泡沫の対義語は?
泡沫の対義語①不滅

泡沫の対義語の1つ目は、不滅です。泡のようにあっという間に消え去ってしまうことに対して、消えないこと、いつまでも続いていくことを意味しています。「泡沫の平和」といえばすぐに終わってしまう安寧のことですが、「不滅の平和」というと永遠に平和が続いていきそうなイメージができますね。
さらに不滅の類語には「永久」や「永遠」などがありますが、これらの言葉も文脈によっては泡沫の対義語として使うことができます。
泡沫の対義語②有力

泡沫の対義語の2つ目は、有力です。頼りないこと、あっけないイメージに対して、力があること、見込みがあることを意味しています。特に、すぐに消えてしまいそうな頼りない泡沫候補に対して、当選が確実視される有力候補といった形で使われることが多いでしょう。
泡沫の英語表現は?
泡沫の英語表現①ephemeral

泡沫の英語表現の1つ目は、「ephemeral」です。束の間の、はかない、短命な、という意味の形容詞です。たとえば「泡沫の命」を英語で表現すると「an ephemeral life」になります。
「ephemeral」は英語検定1級レベル以上の単語ですが、覚えておいていざというときにサラッと使えるとかっこいいですね。
泡沫の英語表現②bubble

泡沫の英語表現の2つ目は、「bubble」です。泡を意味する名詞です。実は英語の「bubble」にも、夢のような、実体のないという意味があります。日本語でも英語でも、泡を見たときに抱くはかない、すぐに消えてしまいそうなイメージは変わらないということですね。
趣ある日本語の泡沫(うたかた・ほうまつ)を使いこなそう!
水面に浮かぶ泡から連想して、はかない、束の間の、すぐに消えるという意味をもった言葉「泡沫(うたかた・ほうまつ)」。こういう趣のある言い回しを使いこなせるようになると、会話がぐっと知的になりますね。また、文章を読んだときにより深くその意味を理解できるようになるでしょう。
趣のある日本語「泡沫」の2つの読み方と意味、類語、対義語、英語表現について理解できたでしょうか?ぜひこの言葉を使いこなしてみてくださいね!また、泡沫以外にも趣のある日本語はたくさんあります。以下に記事を紹介していますので、こちらもご覧ください。
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