山滴るの意味は?夏の季節を表す言葉とは?俳句/季語/装う/山眠る

山滴るという夏の季語の意味について知っているでしょうか。他の季節では山粧う・山眠るという表現もあります。季語といえば俳句などを連想しますが、文書や行事などの挨拶にも使える言葉です。知っておいて損はないのでぜひ一度読んでみませんか。

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山滴るの意味は?

山滴るの意味は夏の季節表す言葉

夏の季節

山滴るの意味は夏の季節表す言葉のことです。夏の山のことを指した言葉で、木々や葉の緑が青々としていて瑞々しさがあるという意味です。この季語のもともとの由来は中国で、郭煕という山水画家の著作「臥遊録」に載っていた言葉だそうです。

山滴るの由来となった「臥遊録」には「夏山蒼翠にして滴るが如く」と書かれています。文の意味は、夏の山に生えている木や草は青々と生い茂っていて、水が滴り落ちるようだ、ということです。夏の情景を思わせるいい表現ですね。

ほかの季語では山装う・山粧う・山眠るもある

山粧う

ほかの季語では山装う・山粧う・山眠るもあります。これらの季語も郭煕の著作「臥遊録」がもとになっています。「山装う・山粧う」は「秋山明浄にして粧うが如く」、「山眠る」は「冬山惨淡として眠るが如く」から来ています。

「秋山明浄にして粧うが如く」の意味は晩秋の空は空気が澄み渡っていて、秋山に紅葉が彩られているようだ、ということだそうです。また「冬山惨淡として眠るが如く」は、冬山の木々や草は枯れて精彩を失い、眠りに入るように見える、ということだそうです。

山滴るの使い方は?

山滴るの使い方①夏の山の美しさを表現したいとき

夏の山

山滴るの使い方1つ目は、夏の山の美しさを表現したいときです。俳句では夏の季語として知られていますが、ふだんの会話で使ってもまったく問題ありません。夏の季節に緑が映える山を見て「山滴る」という表現がふとしたときに使えれば、品があるように見えるかもしれません。美しい言葉なので使ってはどうでしょうか。

山滴るの使い方②文書や行事の時候の挨拶に

文書

山滴るの使い方2つ目は、文書や行事の時候の挨拶にも使えます。季語は俳句だけではなく挨拶にも用いられます。季語には分類があり時候・天文・動植物・行事などに分けることができ、山滴るは地理に属します。夏の季節になり文書や行事の時候の挨拶に悩んだら使ってみてはいかがでしょうか。

山滴るを使った俳句7選

山滴るを使った俳句①うち添ひて妹山背山滴れり

寄り添う

うち添ひて妹山背山滴れり 上田五千石『琥珀』補遺
引用元: 575筆まか勢


山滴るを使った俳句1つ目は「うち添ひて妹山背山滴れり」です。二つの山が寄り添って、木々の緑が青々と水が滴るようである、という意味の俳句だと思われます。うち添う(打ち添う)には加わる・付き添う・連れ立つという意味があり、緑が美しい二つの山が寄り添っていることを詠んでいる句です。

妹山と背山は奈良県と和歌山県にある山のことです。二つの山の間には吉野川が流れています。合わせて妹背山と呼ぶことが多く、歌枕や歌舞伎の題材としても使われており、二つの山の様子を夫婦や恋人に見立てられています。

山滴るを使った俳句②山滴る峡道飛騨に入りにけり

山に挟まれた道

山滴る峡道飛騨に入りにけり 村山故郷
引用元: 575筆まか勢

山滴るを使った俳句2つ目は「山滴る峡道飛騨に入りにけり」です。瑞々しい緑に満ちた山と山の間、飛騨へ入った、という意味の俳句と思われます。峡は、山の間を指しており、峡道は左右が山に挟まれた道なことを表している言葉です。美しい山に挟まれた道を行き、飛騨に入ったことを詠んだ句です。

ちなみに飛騨は飛騨山脈の西側を指しており、ちょうど岐阜県の一番北側にある飛騨市を指します。飛騨の名前を受け継いでいるのは飛騨市ですが、市の土地の面積や文化的な面でいえば高山市の方が規模は大きいです。そのため高山市も飛騨高山と呼ばれています。

山滴るを使った俳句③鳥の音に誘はれ入るや山滴る

鳥

鳥の音に誘はれ入るや山滴る 大野林火 方円集 昭和五十三年
引用元: 575筆まか勢

山滴るを使った俳句3つ目は「鳥の音に誘はれ入るや山滴る」です。鳥の鳴き声に惹かれて山に入ると、緑も満ちて美しかった、という意味の俳句だと思われます。俳句をそのまま現代文風に読み直すと「鳥の鳴き声の音に誘われて山に入ったら、山の緑は瑞々しく美しかった」という感じになります。

この句を詠んだのは大野林火という人です。横浜生まれで友人の父から俳句の手ほどきを受け、俳人としての地位を築きました。才能もさることながら、俳句の雑誌の編集長や指導者としても優れており、多くの俳人の才能を見出したことが評価されています。

山滴るを使った俳句④山滴るグラデーシヨンの色見本

緑に満ちた夏山

山滴るグラデーシヨンの色見本 木下あきら
引用元: 575筆まか勢

山滴るを使った俳句4つ目は「山滴るグラデーシヨンの色見本」です。緑に満ちた夏山はグラデーションの色見本を見ているようだ、という意味の俳句と思われます。緑にも深緑・黄緑・パステルグリーンなど、様々な色がありますよね。

山滴るを使った俳句⑤山滴るみどりを浴びてひとり旅

ひとり旅

山滴るみどりを浴びてひとり旅 白井よしこ
引用元: 575筆まか勢


山滴るを使った俳句5つ目は「山滴るみどりを浴びてひとり旅」です。山に生える美しい緑の木々や葉を浴びながらひとり旅を楽しむ、という意味の俳句と思われます。山滴るは夏山を表す季語なので、山登りをしている句なのかもしれません。

山滴るを使った俳句⑥山滴るにんげんのみなちさきこと

人間

山滴るにんげんのみなちさきこと 久保田和子
引用元: 575筆まか勢

山滴るを使った俳句6つ目は「山滴るにんげんのみなちさきこと」です。人間は水も滴るような夏山の自然のようにいきいきと育つが、山と違い小さいものだなあ、という意味の俳句と思われます。人間が成長する様子と夏山の自然を重ねてみて詠んだ句ではないでしょうか。

山滴るを使った俳句⑦素振りする標的の山滴れり

野球

素振りする標的の山滴れり 田野井一夫
引用元: 575筆まか勢

山滴るを使った俳句7つ目は「素振りする標的の山滴れり」です。素振りをする目の前にある夏山は青い緑で溢れている、という意味の俳句と思われます。外で素振りをしていて、視界の遠い山を標的に見立てているのではないでしょうか。

夏の季語とは?

夏の季語と意味①梅雨を表現した季語が多い

梅雨

夏の季語と意味1つ目は、梅雨を表現した季語が多いことです。夏の季語は、5月ごろから8月ごろの時期のことを表しています。夏で連想するものは多くあると思いますが、天候的についての季語は梅雨を思わせるものが多いです。

夏の季語と意味②暑さに関係した季語も多い

暑さ

夏の季語と意味2つ目は、暑さに関係した季語も多いことです。7月から8月など晩夏にあたる夏の季語は、暑さを表現した言葉が多くあります。逆に、夏の始まりを表す初夏の5月ごろは新緑など夏の自然に関係した言葉が多いです。

夏の季語を使った俳句5選

夏の季語を使った俳句①念力のゆるめば死ぬる大暑かな

大暑

念力の ゆるめば死ぬる 大暑かな
引用元: 俳句日記

夏の季語を使った俳句1つ目は「念力のゆるめば死ぬる大暑かな」です。気を抜けば死んでしまいそうなぐらい大層な暑さだなあ、という意味の俳句と思われます。

この俳句を詠んだのは村上鬼城(むらかみきじょう)という人です。1865年江戸生まれで司法代書人をしながら俳句の活動も行っていました。もともと司法官を目指していましたが、耳の障害により断念しています。晩年は子宝に恵まれたものの生活が苦しく、詠んだ俳句も病苦や弱者など暗めな人生観が多かったそうです。

夏の季語を使った俳句②五月雨をあつめて早し最上川

川

五月雨を あつめて早し 最上川
引用元: 俳句日記

夏の季語を使った俳句2つ目は「五月雨をあつめて早し最上川」です。松尾芭蕉の有名な俳句ですね。梅雨時の最上川の水流は激しく、五月雨を集めて流したようだなあ、という意味だそうです。もともと「あつめて涼し」だったそうですが、川下りが激しく道も険しかったため、下ったあとすぐに書き換えたと言われています。

松尾芭蕉は俳諧師で、日本で一番有名な俳句の詠み手と言ってもいいでしょう。俳諧という分野を芸術的な領域まで完成させた人物ともされており、芭風という独自の句風も確立し、俳聖として世界的にも認められています。俳諧作品は東北~北陸、岐阜・大垣まで旅した際に書いた紀行文「おくのほそ道」がとくに有名です。

夏の季語を使った俳句③夏山や一足ずつに海見ゆる

海

夏山や 一足ずつに 海見ゆる
引用元: 俳句日記

夏の季語を使った俳句3つ目は「夏山や一足ずつに海見ゆる」です。夏山の木々を分けつつ汗を垂らしながらようやく頂上に近づくと、美しい海が一歩ずつ進むたびに見えて、美しさに息を飲む思いである、という意味の俳句だそうです。

この俳句を詠んだのは小林一茶です。松尾芭蕉と並ぶほどの俳諧師として知られています。15歳のときに奉公のため江戸に行き、そのときに俳句を知ったそうです。それからは、一茶調という独自の俳風も確立しています。

夏の季語を使った俳句④匙なめて童楽しも夏氷

夏氷

匙なめて 童楽しも 夏氷
引用元: 俳句日記

夏の季語を使った俳句4つ目は「匙なめて童楽しも夏氷」です。夏にかき氷を食べる子どもの様子を詠んだ句だそうです。匙についた冷たいシロップもなめつつ、子どもは夏ならではの氷を楽しんでいるのだなあ、といった情景を表していると言われています。

この俳句を詠んだのは山口誓子(やまぐちせいし)、明治34年生まれ京都府出身です。俳句雑誌の「ホトトギス」ではホトトギスの四Sともされています。作風は当時の俳句にはない映画理論などの要素を取り入れるなど、新興俳句運動のリーダー的な存在だったそうです。

夏の季語を使った俳句⑤紫陽花やきのふの誠けふの嘘

紫陽花

紫陽花や きのふの誠 けふの嘘
引用元: 俳句日記

夏の季語を使った俳句5つ目は「紫陽花やきのふの誠けふの嘘」です。紫陽花が季語となっている俳句ですが、どんな意味があるか分かるでしょうか。紫陽花は色が変わるため、移り気という花言葉があります。言った言わないの押し問答が起こるように、誠・嘘は昨日の真実が今日の嘘になることを表現しているそうです。

この俳句を詠んだのは正岡子規で、1867年生まれで明治を代表する文学者の一人です。21のときに肺結核を患い、口から血を吐く喀血をするようになりました。ペンネームの子規は漢字表記のホトトギスから来ています。ホトトギスは咥内が赤く血を吐いて鳴いているようだと言われたことから、自分の喀血と重ねたそうです。

山○○の季語を使った俳句

山○○の季語を使った俳句①山粧う・山装う

山粧う

山粧ふ日毎峰より袈裟がけに 井口天心
引用元: 575筆まか勢

山○○の季語を使った俳句1つ目は、山粧う・山装うです。「山粧ふ日毎峰より袈裟がけに」という句があり、日ごとに山頂から紅葉で山が粧っていく様は、袈裟がけのようだ、という意味の俳句と思われます。紅葉は温度の低いところから始まるとされ、山頂から紅く染まっていきます。

山○○の季語を使った俳句②山眠る

山眠る

土いまだ木の葉のかたち山眠る  正木ゆう子
引用元: ネット俳句会_大呂

山○○の季語を使った俳句2つ目は「山眠る」です。「土いまだ木の葉のかたち山眠る」という句があり、木から落ちた木の葉を土に還すのも冬山の力なのかもしれない、やがては土や木の葉にも雪が積もっていく、という意味だそうです。

山滴るの夏山の緑の美しさを表す季語

山滴るや山粧う・山眠るという季語や俳句についてでした。山滴るは夏山の緑の美しさ、山粧うは秋の紅葉に染まった山、山眠るは彩りを失い眠っているように見える山など、季節ごとの山の様子を表現した言葉だということが分かったと思います。どれも美しい日本語なので、機会があれば使ってはいかがでしょうか。

ほかにも言葉や季語の意味に関する記事のほか、人間心理・お金についてなどお役立ち情報を多数まとめております。どれも読みごたえがありますのでぜひご覧ください。

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