拝読の意味は?読むの謙譲語や尊敬語や類語・メールでの使い方も

ビジネスで使う言葉に「拝読」というものがあります。「読む」という意味があり、いただいたメールを見た時などに使用しますが「拝見」という似た言葉もあるため適切なのはどちらか迷ってしまうかもしれません。今回は謙譲語の使い方も合わせて紹介しながら「拝読」という言葉についてご紹介します。

※商品PRを含む記事です。当メディアはAmazonアソシエイト、楽天アフィリエイトを始めとした各種アフィリエイトプログラムに参加しています。当サービスの記事で紹介している商品を購入すると、売上の一部が弊社に還元されます。



拝読の意味は?拝見との違いも

拝読の意味は「読む」の謙譲語

拝読の意味は「読む」の謙譲語

読むことを、その筆者を敬っていう謙譲語。
引用元: goo国語辞書

拝読とは、簡単に言うと「読む」という意味です。読むという意味の「読」に、謹んでという意味の「拝」を付けた言葉が、「拝読」となります。「拝」という漢字は、それ単体でも手紙やメールなど文章の最後に見る事も多いのではないでしょうか。この漢字は、相手に対して敬いの気持ちを表す際に使われます。

つまり「拝読」という言葉は、自分を下げて相手を立てるという謙譲語として使う言葉となります。謙譲語であるこの言葉は、先輩や上司など目上の相手だけでなく、敬意を示したい相手全般に使用する事が出来ます。

また、これは謙譲語すべてにおいて言える事ですが、謙譲語は自分の動作をへりくだる事で相手を立てる言葉です。ですので、主語はいつでも自分自身となります。自分でない人が読んだ事に対して「拝読」を使うと相手に失礼になりますので、その点に注意して使うようにしましょう。

拝読は執筆者本人に対する敬意の言葉

拝読は執筆者本人に対してのみ使える

「拝読」は自分がメールや手紙を読んだ事を伝えたい時に使う謙譲語ですが、あくまでその文章を作成した執筆者本人への敬意を表す言葉です。何かを読んだ事を目上の人に伝える際にいつでも使ってしまいたくなるのですが、誰に対して敬意を示したいかを考えながら使用する必要があります。

例えば、上司からのメールを読んだ事を社長などの第三者に伝える際に「拝読」という謙譲語を使ったとしても、第三者に対する尊敬語とは成り得ません。話し相手は第三者であったとしても、あくまで、メールを作成した上司に対して敬意を払っているという意味となります。

拝見の意味は「見る」の謙譲語

拝見の意味は「見る」の謙譲語

「拝読」と混同しやすい言葉として、「拝見」という言葉があります。これは「見る」という言葉を謙譲語にしたもので、拝読のように自分を下げ相手を立てる言い方となります。自分が何かを見た事を、執筆者や作者に伝える際に使用します。

この他にも、聞く事を意味する「拝聴」、借りる事を意味する「拝借」などという言葉も頻繁に耳にしますが、すべて謙譲語として使用出来る言葉です。「拝見」は見る事を意味する言葉なので、メールなどを見た事をへりくだって伝えたい場合に自分を主語として使うといいでしょう。

拝読と拝見は「読むもの」か「見るもの」かで使い分けよう

拝読と拝見は「読むもの」か「見るもの」かで使い分けよう

ここで気になるのが、「拝読」と「拝見」をどのように使い分けたらいいか、という事ではないでしょうか。「拝読」も「拝見」も、目から情報を得たという意味では似ている言葉なので、使い方に悩んでしまうかと思います。その場合は、単純に「読む」「見る」に置き換えて考えると答えが出てきます。

例えば、目にしたものが絵画や美術品であれば「拝見」が適切です。小説や手紙など文章がメインのものは、「拝読」がふさわしいでしょう。文だけでなくイラストやグラフィックなどが含まれたホームページのようなものは「拝見」が一般的です。

仕事において最も目にする事の多いメールは、少し複雑です。メールは形としては文章のみなのですが、パソコンやスマホなどの電子媒体を通して見るという理由から、「拝見」を使用しても問題はないとされています。画像添付されている時など、「拝見」の方がよりしっくりくるという場合もあります。

拝読の類語や敬語

拝読の類語:拝誦・閲読・書見

拝読の類語:拝誦・閲読・書見

「拝読」の類語には、拝誦・閲読・書見といったものがあります。すべて自分が何かを読む事を表す言葉ですが、少しずつ意味合いに違いがあります。拝誦(はいしょう)は、拝読と同じ謙譲語ですが、声にして読む、じっくり読むといったニュアンスが含まれています。手紙や大事な文書に使用するのがいいでしょう。

閲読(えつどく)は、書いている内容に関して調べながら読むという意味です。謙譲語ではないので、同僚や部下に使用しても問題ありません。書見(しょけん)は更に限定され、書物を読む事を表します。ビジネスにおいては、会社関係の本であったり、資格や勉強にまつわる本を読む際に使用する事が出来ます。

読むの尊敬語:読まれる・お読みになる

読むの尊敬語:読まれる・お読みになる

「読む」を尊敬語にすると、「読まれる」「お読みになる」といった言葉になります。尊敬語とは、自分ではなく相手の動作に対して使用するものです。相手が何かを読む時には、「拝読」ではなくこの言葉を使うのが適切です。

動詞の前後に「お○○になる」を付け足すのは、尊敬語として定型の言葉です。他にも「お書きになる」「お越しになる」など使用する機会は多いので、パターンとして抑えておくと便利です。尚、「読まれる」も文法としては正しいのですが、受け身の言葉と捉えられる場合もあるので注意が必要です。

読む事をお願いする場合の尊敬語:お読みください

読む事をお願いする場合の尊敬語:お読みください

相手に読む事をお願いする場合は、「お読みください」といった尊敬語を使います。「お〇〇ください」という言葉は、尊敬語として使用出来る言葉ですが、もっと丁寧な言葉を使いたいのであれば、最後に「ませ」を付けると柔らかい印象になります。また、「お読みいただけると幸いです」とすれば、更に謙虚な印象になります。

また、同じく読む事をお願いする場合の尊敬語として、「ご一読ください」というものもあります。これは、さらっと目を通してほしいという場合に適した言葉です。紹介文のような、熟読する必要のないものを読んで欲しい時にはこちらを使ってもいいでしょう。


拝読を使うときのポイント

ポイント①「拝読させていただきます」は誤り

ポイント①「拝読させていただきます」は誤り

拝読を使うときのポイント一つ目は、「拝読させていただきます」は誤りという点です。「拝読」はそれ単体で謙譲語として使える言葉なので、「させていただきます」を付ける事で二重敬語となってしまいます。二重敬語は基本的に敬語としては認められず、言葉全体の印象としても少々くどさを感じてしまいかねません。

ただ、現在ビジネスシーンでは特に、この言葉は敬語として比較的頻繁に使われています。「拝見させていただきます」も同様です。なお、メールや手紙は文章として残るものでもあるので、文法的に正しい「拝読します」を使用するのが無難でしょう。

ポイント②「ご拝読ください」は誤り

ポイント②「ご拝読ください」は誤り

拝読を使うときのポイント二つ目は、「ご拝読ください」は誤りという点です。会議で資料を配りながら、「お手元の資料をご拝読ください」と言っている人は周りにいませんでしょうか。一見丁寧な言い回しのようにも感じられますが、前述の通り「拝読」は自分を下げる謙譲語です。

自分ではない人が「読む」という事に対して「拝読」を使ってしまうと、その人を下げてしまうという大変失礼な事になります。上司などの目上の立場の人に使うのはもちろん御法度ですが、同僚や部下だとしても失礼に当たりますので、読んでほしい時には前述の「お読みください」または「ご覧ください」を使用しましょう。

ポイント③シーンや相手で使い分けよう

ポイント③シーンや相手で使い分けよう

拝読を使うときのポイント三つ目は、シーンや相手で使い分ける事です。「拝読」は相手を立てる丁寧なフレーズですが、一方で、必要以上に大げさな印象になってしまう場合もあります。例えば頻繁に送られてくる社内連絡のような内容に対して、その都度「拝読」を使うのは仰々しい印象です。

「拝読」を使う時は、特に重要な内容の文章や資料や、客先からの要望など、ここぞというシーンに絞るのがおすすめです。シーンだけでなく、相手との関係性も重要です。あまりに丁寧過ぎる言葉は時に相手の気分を害する場合がありますので、「読ませていただきました」と併用するとスマートです。

ポイント④読むの類語と使い分けよう

ポイント④読むの類語と使い分けよう

拝読を使うときのポイント四つ目は、読むの類語と使い分ける事です。「拝読」は「読む」という動詞の謙譲語ですが、前述の類語「拝誦・閲読・書見」とともに覚えて使い分ける事で、より語彙力も豊かになります。使い分けの基準は、謙譲語なのか尊敬語なのかももちろんですが、何を読むのかで分けるのがおすすめです。


上司からの指導文には「拝読」、客先からのお礼文には「拝誦」、企画案には「閲読」を使うなど、自分の中で使い方を決めておくといざという時に言葉がぱっと出てくるようになりますよ。

拝読の使い方・メール例文も

拝読の使い方①読んだ事を伝えたいとき

拝読の使い方①読んだ事を伝えたいとき

拝読の使い方一つ目は、本や資料を読んだ事を伝えたいときです。「拝読」という言葉を使うシーンは、何かを読んだという事実を執筆者に報告したい時が最も多いかと思います。簡単に「読みました」としてももちろん問題はないのですが、「拝読」という言葉を選ぶだけで、相手に対する尊敬の念を伝える事が出来ます。

ビジネスシーンにおいては、上司の作成した資料などを読み、読み終わったという事を伝える場合などが挙げられます。また、客先からメールや手紙をもらった時にも、「拝読」という言葉を選ぶ事で、謙虚な印象を与える事が出来ます。

また仕事以外でも、本を読んだ事を著者に伝える場合などに使用出来ます。その他、目上の人やあまり親しくない相手から手紙やメールをもらった際に返事に書き添える事で、より丁寧で、控えめな文章にする事が出来ます。

メール例文:拝読しました

メール例文:拝読しました

何かを読んだ事を伝えたいときは、「拝読しました」という言葉を使用しましょう。例えばメールをもらった場合には、文頭に「○○様からのメールを拝読しました。」という文章を入れます。ひとまず読んだ事の報告のみをしたい場合には、文の終わりに「まずは拝読のご連絡まで」と付け足しても構いません。

また、もらった企画書などに対しての意見を足したいならば、「頂いた企画書を拝読しましたが、変更をお願いしたいと存じます。」となります。これと同様に「~けれど」という意味で、「頂いた企画書を拝読したところ」といった使い方も可能です。

拝読の使い方②これから読む事を伝えたいとき

拝読の使い方②これから読む事を伝えたいとき

拝読の使い方二つ目は、本や資料をこれから読む事を伝えたいときです。読んだという報告だけでなく、これから読むつもりだという未来形としても「拝読」は使用出来ます。例えば、もらった資料にこれから目を通すという場合や、現在読んでいる最中だという進行形としても使う事が出来ます。

またビジネスシーン以外でも、読み終えていない本に関しての感想を、作者に伝えたいという場合にも使えます。偶然作者に出会ったときなどに「いつも作品を拝読しています。」のように、読むという行為が持続している場合の使い方としても適切です。

メール例文:拝読します

メール例文:拝読します

本や資料をこれから読む事を伝えたいときは、「拝読します」という言葉を使いましょう。例えば取引先から資料が送られてきて、まずは資料到着の連絡をしたいという状況があります。その際には、「資料をお送りいただきありがとうございました。これから拝読しますので、少々お待ちいただけますでしょうか」となります。

また、読むという行為が現在進行中である場合は、「現在拝読しております」となります。例えば、まだ読み終わっていない本に関しての質問を作者にメールで尋ねるなら、「現在拝読しております〇〇に関して質問がございます」となります。

拝読の使い方③読みたいと依頼するとき

拝読の使い方③読みたいと依頼するとき

拝読の使い方二つ目は、本や資料を読みたいと依頼するときです。仕事上でも、資料や企画書を読みたいと依頼する機会は多いのではないでしょうか。そのようなお願いをする場合にも、「拝読」を使う事が可能です。

その他、尊敬している作家に新作を求める時や、読んだ事のない本を読んでみたいと依頼したい場合にも使えますね。「読みたい」という言葉を使うよりも謙虚な印象になるので、希望やお願いも聞き入れやすくなるかもしれません。

メール例文:拝読したい

メール例文:拝読したい

本や資料を読みたいと依頼するときは、「拝読したい」という言葉を使いましょう。メールで完結に希望を伝えるならば、「一度作品を拝読したい所存です」などがあります。また、「作成していただいた資料を拝読しても構いませんでしょうか」といった、もっと丁寧な言い回しも可能です。

その際、本や資料を送ってほしいという場合もあるかと思います。こちらからの依頼なので、失礼のないようなメールを作りたいですよね。「送ってください」に関するおすすめの敬語を以下の記事でご紹介していますので、合わせて参考にして下さいね。

Small thumb shutterstock 717032236
「送ってください」の敬語とは?メールで送る際の正しい使い方や言い換え表現を解説!

「送ってください」の敬語表現には「ご送付」や「ご郵送」などがあります。メールなどを相手に送ってもらう、送って欲しいことを丁寧に言うときには「いただけます」...

拝読を上手く使ってワンランクアップを目指そう

拝読を上手く使ってワンランクアップを目指そう

拝読という言葉についてご紹介しました。「読む」という動詞は、謙譲語である拝読の他にも、尊敬語や類語などさまざまな言葉が存在します。意味を取り違えると恥をかいたり失礼に当たりますので、使い方をしっかりマスターしてうまく使いこなしましょう!


商品やサービスを紹介する記事の内容は、必ずしもそれらの効能・効果を保証するものではございません。
商品やサービスのご購入・ご利用に関して、当メディア運営者は一切の責任を負いません。