気をやるの意味は?気を遣るの類語と江戸時代の遊女の言葉も
江戸時代の言葉に、「気をやる」または「気を遣る」という言葉があります。性行為に関連する表現で、おもに遊女の間で使用されることが多かったようです。現在でも同じ表現があるのか、類語には何があるのか、ちょっと粋な遊女言葉といっしょに確かめてみましょう。
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目次
気をやる(気を遣る)とは?意味は?
気をやる(気を遣る)は「絶頂に達する」という意味の古語
気をやる(気を遣る)は、「絶頂に達する」という意味の古語となります。遊郭という文化が発展していた江戸時代に、よく使用されていた言葉です。遊郭というのは、政府公認の性行為ができる高級クラブが集まった地域のことです。当時の江戸は、男性の割合が高かったため、遊女の需要も高かったと言われています。
男性が遊女と一夜を共にするのは、珍しくなかった時代だったため、性行為にまつわる言葉も多く生まれたと考えられています。その中の一つが、気をやる(気を遣る)で、性的に絶頂に達した状態を指していう言葉です。
「遣る」という漢字には、「遠くへいかせる」「さしむける」という意味があります。気を遠くへいかせるという意味で、絶頂に登りつめたことを表現しているのです。遠回しにやんわりと表現している点が、いかにも古語らしいですね。
江戸時代の遊女が性行為における注意点として使用していた
気をやる(気を遣る)には、江戸時代の遊女が、性行為における注意点として使用していたという背景もあります。高級クラブの集まりのような遊郭は、富裕層の客が多い場所でした。そのため、遊郭で働く高位の遊女は、芸事はもちろん、古典や漢詩などの教養も必要としました。意外とエリート教育を受けていたんですね。
もちろん、最も大事な性行為についての勉強にも余念がありませんでした。遊女にとって気をやる(気を遣る)ことは、避けるべきこととされていました。絶頂に達すると妊娠してしまうという迷信があったことと、一晩に何人も客をとるのに、いちいち気をやっていては効率が悪いという現実的な理由があったためです。
また、気を遣る(気を遣る)は、「心をやる」という意味でも使用されていました。遊女が特定の客を好きなってしまうことを「気をやる」と表現していたのです。遊女にとっては致命的なことで、避けるべき注意点として用いられていました。
女性だけでなく男性の性行為での絶頂も表す
気をやる(気を遣る)は、女性だけでなく男性の性行為での絶頂も表します。辞書の説明などでは、「淫水を射出する」という言葉で説明されているものもあります。「淫水」は、男女が性行為するさいに、性器から出る液のことを意味します。つまり、男性が絶頂に達しても、気をやると言えるのです。
気をやる(気を遣る)は、もともと遊郭で働く者だけに通じる隠語でしたが、客の男性を通して世間に広まった言葉だと考えられています。
男性のことを指して使われる古い表現は、ほかにもたくさんあります。こちらの記事で特集されている「甲斐性なし」というのも、男性によく使うものですね。併せてご覧ください。
気をやる(気を遣る)の使い方とは?
使い方①ベッドシーンを描写する
使い方の1つ目は、ベッドシーンを描写することです。現在では、意味が意味だけに、おおっぴらに会話で使うことはできません。使用の場面として最も多く考えられるのが、時代小説でベッドシーンを描写しているときです。「女は気をやったまま目を覚まさない」のような描写です。
また、女性向けのR18の小説などでも使用されるケースがあります。隠語であるだけに、直接的な描写を避けることがでるので、女性には優しい表現なのかもしれませんね。「激しい夜に、彼女は気をやってしまった」のような使い方が考えられます。
使い方②恋愛に釘をさすときに使う
使い方の2つ目は、恋愛に釘をさすときに使うものです。絶頂に達することが遊郭の女性にタブーであったことから、同じ禁止事項であった「特定の客を好きになる」ことも「気をやる」と表現することは前述しましたね。
高位の遊女候補ともなると、先輩から「くれぐれも、客に気をやってはいけないよ」と、恋愛禁止を言い渡されていたのかもしれませんね。危険な恋に走ってしまいそうな人に、「簡単に気をやっちゃダメだよ」と、釘をさすのにピッタリな言葉になりそうです。
使い方③Hな内緒話をするときに使う
使い方の3つ目は、Hな内緒話をするときに使うものです。もともと遊郭での隠語だったため、内緒話に使いやすい言葉となっています。江戸時代ならともかく、現在は、意味を知っている人もあまり多くありませんね。
例えば、「今日のデートで初めて気をやっちゃった」と、二人だけに分かる表現として使ってみるのはいかがでしょうか。誰かに聞かれても、意味が分からない可能性が高いので、共有の秘密として内緒話ができますよ。
使い方④テクニックを評価する
使い方の4つ目は、テクニックを評価することです。気をやる(気を遣る)は、男女のどちらが絶頂に達しても使用することができる表現です。ベッドにおいてのテクニックを、間接的に評価することも可能だと考えられます。
例えば、男性が女性に「何度でも気をやれるほど気持ちよかった」と使っても良いですし、女性が男性に「昨日は気をやることはできなかったかな」と使っても良いかもしれません。隠語なので、ふつうに評価するよりも、やわらかい表現になります。それでも、できればプラスの評価で使うことが望ましいですね。
言葉の使い方は、いろいろですね。気をやる(気を遣る)は、ちょっとHな言葉ですが、ロマンチックな言葉もたくさんあります。こちらの記事で紹介している、「憧憬」の意味も素敵ですよ。詳しい意味と使い方をチェックしてみませんか?
気をやる(気を遣る)の類語とは?
気をやる(気を遣る)の類語①最もポピュラーな「いく」
気をやる(気を遣る)の類語の1つ目は、最もポピュラーな「いく」です。現代のR18関連の表現として、よく使用される表現ですね。男女どちらでも使用することができるので、幅広く使われています。まさに、現代版の気をやる(気を遣る)と言っても差し支えないでしょう。
ちなみに、漢字では「逝く」と表記するので、「死んでしまうほど気持ちいい」「天国にいってしまうほど気持ちいい」という意味が含まれています。絶頂に達する直前には「くる」という類語が使われることもあるので、性行為にまつわる表現は興味深いですね。
気をやる(気を遣る)の類語②終わりにたどり着く「果てる」
気をやる(気を遣る)の類語の2つ目は、終わりにたどり着くという意味の「果てる」です。終わりを迎えるという意味と、命が尽きるという意味で捉えられます。絶頂に達するときは、行為が終わるときであることが多いので、確かにそのとおりの意味の類語ですね。
また、行為の後は、ぐったりと死んだような状態になることもあるので、表現がしっくりきます。「果てる」には、「いく」よりも上品なニュアンスがあるので、表現をやわらげたいときに使うと良いでしょう。
気をやる(気を遣る)の類語③英語で遠まわしに「サティスファクション」
気をやる(気を遣る)の類語の3つ目は、英語で遠まわしに表現できる「サティスファクション(Satisfaction)」です。日本語に訳すと、「満足する・させる」という意味になりますね。性的な満足感を、遠まわしに表すために使用することができます。
「SEX AND THE CITY」というニューヨークに住む女性の生活を赤裸々に描いた、アメリカのドラマがありましたが、「サティスファクション」という女性が絶頂を感じるためのテクニックを紹介した関連本を出版していました。「いく」「果てる」が使いにくいときには、英語の類語で対応してみましょう。
気をやる(気を遣る)以外に江戸時代の遊女が使っていた花魁言葉と意味は?
江戸時代の遊女が使っていた花魁言葉と意味①筆おろし
江戸時代の遊女が使っていた花魁言葉と意味の1つ目は、「筆おろし」です。筆とは、男性の性器を意味する隠語でした。この筆を初めておろすとき、つまり、男性の初体験を指しています。遊女を買うことが合法だった江戸時代では、男性の初体験の相手を遊郭で探すのは珍しいことではありませんでした。
むしろ実習のために、初体験でプロのお姉さんに、手取り足取り教えてもらうという風習が存在していたようです。「今日は筆おろしのお客さんが来るよ」のような会話が、お店の中で行われていたのかもしれません。
江戸時代の遊女が使っていた花魁言葉と意味②ヘタレ
江戸時代の遊女が使っていた花魁言葉と意味の2つ目は、「ヘタレ」です。現在でも、頼りない男性を指していうことがありますね。ルーツを辿ってみると、なんと遊女の言葉だったということが分かりました。
ちなみに、語源は男性器を意味する「へのこ」が、力なく「垂れている」状態にあります。こちらの言葉が「へこたれる」に転じ、さらに省略されて「ヘタレ」となったと考えられています。語源を知ってしまうと、気軽に口にできなくなってしまいそうですね。
江戸時代の遊女が使っていた花魁言葉と意味③かむろ
江戸時代の遊女が使っていた花魁言葉と意味の3つ目は、「かむろ」です。将来の花魁候補である、10歳前後の女の子のことを意味する言葉です。まだ客をとることができない年齢ですが、花魁の身の回りの世話をしながら、遊女としてのエリート教育を受けている女の子たちです。
映画などでは、花魁の隣に座っているおかっぱ頭の可愛らしい女の子として登場しています。しかし、かむろの語源では「禿(はげ)」という漢字を「かむろ」と読ませます。「陰毛がまだ生えていない女の子」という意味から、当て字として使われているのです。花魁言葉の意味は、衝撃的なものばかりですね。
江戸時代の遊女が使っていた廓言葉
江戸時代の遊女が使っていた廓言葉①あちき
江戸時代の遊女が使っていた廓(くるわ)言葉の1つ目は、「私」という意味の「あちき」です。当時の遊女は、日本のあちこちから集められていたため、出身地を隠すために特殊な言葉を使う必要がありました。遊郭だけの言葉づかいで話すことで、田舎っぽさを隠し、優美な印象を与えていたのです。
江戸時代の遊女が使っていた廓言葉②ありんす
江戸時代の遊女が使っていた廓言葉の2つ目は、「~です」を意味する「~ありんす」です。例えば、「ばからしいことです」という表現を「こはばからしゅうありんす」、「ひどいです」を「むごうありんす」のように使っていました。
江戸時代の遊女が使っていた廓言葉③なんし
江戸時代の遊女が使っていた廓言葉の3つ目は、「~ください」を意味する「なんし」です。例えば、「見てください」であれば「見なんし」、「してください」であれば「しておくんなんし」のように使います。廓言葉もいろいろありますが、独特の響きが素敵ですね。
気をやる(気を遣る)はファッションリーダーの言葉
気をやる(気を遣る)は、今でこそ古語として扱われていますが、江戸時代ではファッションリーダーの言葉でした。当時の江戸の流行は、遊郭の遊女から発信されることが多かったのです。髪型や服装、アクセサリーなど、遊女のファッションに憧れる女性がたくさんいたんですね。
ファッションリーダーである遊女が使っていた言葉も、大きな影響があったのではないでしょうか。当時の女の子も、少しHな話をするときは、花魁言葉を真似て内緒話をしていたのかもしれませんね。江戸のオシャレ言葉だったかもしれない、気をやるをマスターしてみませんか?
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