年休(年次休暇)とは?有給との違いや労働基準法で定められた最大日数も
年休(年次休暇)は有給や有休とも言われますが、その違いは何なのでしょうか?また年休の最大日数と最少日数は何日までと労働基準法で定められているのでしょうか?今回はそんな仕事をする上で嬉しい反面謎の多い年休という仕組みについて解き明かしていきます。
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目次
年休(年次休暇)とは?有給との違いは?
年休(年次休暇)とは「年次有給休暇」の略
年休(年次休暇)の正式名称は「年次有給休暇」と言います。ただ単に休む欠勤とは違い、仕事を休んでいても給料が発生しているという会社員にとってはとてもありがたい休暇です。この年次休暇は労働基準法で毎年一定の日数を付与するように定められています。
年休も有給も有休も意味に違いはない
年休は年次休暇と呼ばれるだけでなく、「有給」や「有休」と呼ばれることもあります。これらに意味の違いはあるのでしょうか?実はどれも同じ意味で「年次有給休暇」を略したものなのです。職場の風習によってどの言い方を採用しているかが違うだけという場合がほとんどです。
ただし一部の会社や人によっては、「有給」は給料が支給される年次有給休暇と同じ意味ですが、「有休」は給料が発生しない単なる休暇と違いがある場合もありますので注意が必要です。このような意味の取り違えを防ぐため、年休を取得したい場合は正式名称である「年次有給休暇」を使うことがベストです。
年休(年次休暇)の取得には書類の提出などの事前申請が基本
年休(年次休暇)か普通の休暇かの違いには、休暇を取得する際に書類などの提出が必要かどうかという違いもあります。会社によって様々ですが、基本的には年休(年次休暇)の取得は事前に申請書の提出が必要な場合がほとんどです。勝手に思い込みで休んでしまう前に、年休の取得方法について会社に確認しておきましょう。
労働基準法で定められた年休(年次休暇)の最小日数と最大日数は?
労働基準法で定められた年休(年次休暇)が与えられる条件
労働基準法で定められた年休(年次休暇)の最小日数と最大日数を紹介する前に、有給休暇が与えられるためには下記の2つの条件を満たしていないといけません。
- ・入社日から継続して6か月以上勤務していること
- ・その期間の全労働日の8割以上出勤していること
労働基準法で定められた年休(年次休暇)が与えられる条件
入社して半年が経過していない場合や、病気や家庭の事情などで全労働日の2割を超える長期休暇していた場合などは、これから紹介する年休の取得日数に該当しませんので気をつけましょう。
労働基準法で定められた年休(年次休暇)の最大日数は20日
労働基準法で定められた年休(年次休暇)の最大日数は20日です。年休はフルタイムで働いた場合、継続勤務年数が半年を経過する際に10日与えられ、その後1年毎に追加されていきます。最大日数である20日の年休を付与されるためには、最低でも6年半以上働かなくてはいけません。
年休(年次休暇)の付与日数
勤続年数 | 半年 | 1年半 | 2年半 | 3年半 | 4年半 | 5年半 | 6年半 |
付与日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
ちなみに労働基準法で定められた年休(年次休暇)の日数は最低限与えなくてはいけない日数ですので、福利厚生が充実した会社などはこの最大日数より多い場合もあります。
また年休の付与日数は同じでも、会社によって完全週休2日制の会社もあれば土曜や祝日は出勤という会社もあるので、それによって年間休日日数には大きな差が出てきます。下記の関連記事では会社の年間休日について詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
労働基準法で定められた年休(年次休暇)の最小日数は1日
労働基準法で定められた年休(年次休暇)の最小日数は1日です。先ほどフルタイムの人の年休の付与日数について紹介しましたが、実は年休はフルタイムだけでなく週所定労働時間が30時間未満かつ週所定労働日数が4日以下の短時間で働くパートやアルバイトの人にも付与されるのです。
週所定労働時間とは会社から「毎週〇時間働いてください」と決められた時間のことです。週所定労働日数とは会社から「毎週〇日働いてください」と決められた日数のことです。どちらか一方でも超えていた場合は上のフルタイムの年休の対象となります。どちらも短い短時間労働者でも下記の年休が付与されます。
週所定労働時間が30時間未満かつ週所定労働日数が4日以下の短時間勤務の年休(年次休暇)の付与日数
勤続年数半年 | 勤続年数1年半 | 勤続年数2年半 | 勤続年数3年半 | 勤続年数4年半 | 勤続年数5年半 | 勤続年数6年半 | |
週所定労働日数4日 | 7 | 8 | 9 | 10 | 12 | 13 | 15 |
週所定労働日数3日 | 5 | 6 | 6 | 8 | 9 | 10 | 11 |
週所定労働日数2日 | 3 | 4 | 4 | 5 | 6 | 6 | 7 |
週所定労働日数1日 | 1 | 2 | 2 | 2 | 3 | 3 | 3 |
年次有給休暇が付与されないのは労働基準法違反
このように年次有給休暇は半年以上継続して勤務している人で全労働日の8割以上出勤しているなど所定の条件を満たす人であればパートやアルバイトなどの雇用形態に関わらず誰でも付与されるべきものです。真面目にコツコツ働いているにも関わらず年休が付与されなかったり、上記の表より少なかった場合は違法です。
もし自分の年休が分からない場合は、まずは会社の上司や担当者に聞いてみましょう。その上で年休が付与されていないにも関わらず改善する様子が見られない場合には労働基準監督署に相談することで改善される可能性もあります。
年休を取れなかった場合はどうなる?買取と繰越について
日本の有給取得率は約50%で世界最低レベル
年休は労働者の権利であり、理由に関係なく会社は従業員に有休を取得させなければなりません。しかし実際の日本の有給取得率は約50%です。50%というと半分しか有給を取得できなかったことになり、これは世界でもダントツで低い値です。
日本では年休を取って休むことに罪悪感があるという人も多く、年休を取りにくい環境ということもあり年休を使わずに過ごしてしまう場合も少なくありません。
期限内に使いきれなかった年休は権利消滅する
しかし年休を使わなかったからといって、いつまでも貯めておけるわけではありません。年休には使用期限があります。では期限内に使いきれなかった年休はどうなるかというと、権利消滅します。よく「年休が流れた」とかいう言い方をしますが、期限を過ぎたものは消えてなくなってしまうのです。
せっかくのお金が貰えながら休める権利なのに、それを使わず消えていくなんてお金をドブに捨てているのと同じです。何とか使えなかった年休を救済する方法はないでしょうか。
使いきれなかった年休(年次休暇)は買取してもらえることもある
原則として年休の買取は違法です。ただし、労働基準法の特例に当てはまるもので、会社が認めた場合に限り、使いきれなかった年休(年次休暇)は買取してもらえる場合もあります。労働基準法が特例として買取を認めているのは下記の2つの場合です。
- ・労働基準法で定められた年休(法廷日数)を上回った年休を会社が出していた場合の超過分の買取
- ・退職などで年休が消滅してしまう場合の買取
労働基準法が特例として買取を認める場合
年休の消化は労働者の権利ですが、年休の買取に関しては会社の義務でも何でもありません。上記の労働基準法が特例として買取を認める場合に当てはまったとしても、会社が認めなければ年休の買取はありませんし、労働者も年休の買取を権利として主張できるものではありませんので換金目的で年休を残すのはやめましょう。
年休の買取制度に関しては会社の就業規則であらかじめ表記されている場合もあります。年休の買取などなかなか聞きにくいことでもありますので、まずは就業規則を読んでみましょう。
使いきれなかった年休は1回に限り繰越できる
1年間で使いきれなかった年休は1回に限り繰越できます。こちらは買取とは違って誰でも自動で繰越できます。年休の繰越に関しては次の章で詳しく紹介しています。
年休繰越の期限と上限日数は?
労働基準法で定められた年休繰越の期限は2年間
労働基準法で定められた年休繰越の期限は2年間です。付与されて1年間で使いきれなかった年休は自動的に1回は繰り越され、翌年の期限を過ぎると消滅します。どのタイミングで年休の期限はやってくるのでしょうか?2018年4月1日に入社し、全く年休を使わなかった人を例にして考えてみましょう。
年休を1日も使わなかった場合の年次有給休暇の繰越と年休日数の推移
日付 | 年休付与日数 | 繰越日数 | 合計保有日数 | 消滅日数 |
2018年10月1日 | 10日 | 0 | 10日 | 0 |
2019年10月1日 | 11日 | 10日(2018年10月1日付与分) | 21日 | 0 |
2020年10月1日 | 12日 | 11日(2019年10月1日付与分) | 22日 | 10日(2018年10月1日付与分) |
上の表のように2018年の10月1日に取得した年休は2020年の10月1日に消滅します。すなわち2018年の年休を使えるのは2020年の9月30日までです。2020年の10月1日は既に年休が消滅しているので使うことができませんので注意が必要です。
またこの期限は労働基準法で定められた最低ラインの基準ですので、企業によっては更に繰越可能としているところもあります。有給休暇の期限を2年より長く設定するのは違法ではありません。逆に独自の就業規則などで有給休暇の期限を2年より短くさせるような場合は労働基準法違反となります。
労働基準法で定められた年休の上限日数は40日
労働基準法で定められた年休の上限日数は40日です。前にも紹介したように労働基準法で定められた1年間に付与される年休の最大日数は20日で年休繰越の期限は2年間ですので、労働基準法通りであれば、どんなに勤続年数が長くても40日より多くの年休を保有することはありません。
ただし労働基準法で定められた年休(法廷日数)より多くの年休を会社が独自で付与している場合には40日の上限を超えることもあるでしょう。その場合には40日という年休の上限日数を企業が独自で40日より多く設定していたり、超過分の買取をしていたりする場合もありますのでまずは確認してみましょう。
問題なのは上限日数が少ない場合です。7年半以上勤めていて年休を全く使わない人であれば、常に年休は40日をキープしているはずです。更新のタイミングで日数が激減したりする場合は、いつどこで使われたのか詳細を問い合わせてみましょう。
2019年4月より有給休暇の取得が義務化される
2019年4月から働き方改革により、有給休暇の取得が義務化されます。対象となるのは年に10日以上有給休暇を付与されている労働者で、1年間に有給の消化が5日未満の社員に対し、最低でも5日以上の有給休暇の消化をさせることを労働基準法で企業に義務付けるという内容です。
有給休暇の取得が労働者の権利ではなく企業の義務となることで、年休の消化がしやすくなるようにも思えますが、有給休暇を5日以上消化していない人は企業から有給休暇の取得日を指定できるので自分の好きな日に休めないというデメリットもあります。
また自分の会社が計画年休制度を採用した場合、全員があらかじめ指定した日を年休消化日として休むことになりますので、年間で有給休暇を5日以上取得している人も対象となってしまいます。育児中で子供のイベントに合わせての年休を必要としている人など、消化日数は増えても本来の目的で消化できないのは辛いですね。
勇気を出して年休を使おう!
さて今回は、年休と有給との違いや労働基準法で定められた最大日数・最少日数について説明してきましたがいかがだったでしょうか?年休は真面目に働く労働者にとってのご褒美であり権利です。遠慮せずに堂々と使いましょう!
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