柳緑花紅の読み方・意味・類語とは?ありのままの情景/柳は緑/花は紅

「柳緑花紅」という言葉は聞いたことがありますか?ありのままの情景をカラフルに表現しただけでなく、禅語でもあります。読み方や意味、使い方や例文、類語など詳しくご紹介します。しっかり意味を把握して、「柳は緑、花は紅」を使いこなしましょう!

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柳緑花紅の読み方や意味は?

柳緑花紅の読み方は「りゅうりょくかこう」

柳緑花紅の中の電車

この四字熟語の柳緑花紅は「りゅうりょくかこう」と音で読みます。または、「柳は緑、花は紅(やなぎはみどり、はなはくれない)」と訓読みで使うこともでき、あえて送り仮名を付けずにそう読む場合もあります。「柳緑花紅」と書き、口に出す時は「柳は緑、花は紅」という使い分けもできます。

柳緑花紅の意味:春の情景の美しさ・人の手を加えられていない美しさ

柳緑花紅な花と緑

柳緑花紅は、柳の緑色・花の紅と色の対比があるカラフルな言葉で、春の情景の美しさを意味しています。見たままを表現していることから、自然そのものの姿、人の手を加えられていない美しさという意味もあります。

緑に紅と、見える色を素直に、そのまま表した言葉です。転じて、緑や花のことだけでなく、人の性格や気質などの「ありのままの姿」という意味でも使われます。注意点は、特に褒めているわけではなく、長所も短所も含めた全てのことだというところです。

柳は緑花は紅の季節の情景は限られている

柳緑花紅を楽しむ女性

春に綺麗に咲き誇った花も、限られた季節が終われば散ってしまいます。そのことから柳緑花紅という色彩豊かなこの言葉には、深く解釈していくと、ものごとには終わりがある、という儚い意味も含まれます。

柳緑花紅は禅語でもあり悟りの意味でありのままの姿をあらわすことも

無我の境地を目指すような足取り

柳緑花紅という言葉は、実は禅語でもあります。禅宗は「無の境地」を目指します。禅語での柳緑花紅は、春の情景よりも、季節が移り変わることによって姿を変える、自然のありのままの姿に着目しています。「あらゆるものの、ありのままの姿」を受け止めるという、悟りのあらわれの意味になります。

「柳緑花紅真面目」という言葉もあります。読み方は、まじめ、ではなく「しんめんもく」で、本来の面目という意味です。「柳が緑なのも花が紅なのも、意図したものではなく本来の姿」という解釈です。「意図や欲を超えた生き方」を目指す禅の考え方です。


柳緑花紅に色々な意味があるのは出典元の蘇軾の想いから

悩みに向き合う

春の情景をあらわす柳緑花紅の出典は、諸説ありますが、ここでは最も有力とされる「蘇軾の漢詩説」をとりあげます。柳緑花紅は、中国北宋時代の書家・政治家・詩人として有名な蘇軾が詠んだ漢詩の中にありました。

蘇軾は禅の修行者でもあったため、後世の中国をはじめ、柳緑花紅は日本でも伝えられ、研究されています。北宋時代の背景や、蘇軾の思想などもあわせて読み解いて、現代の解釈になったのです。

蘇軾の書いた柳緑花紅とは、異なる姿形でも、あるがまま・そのまま存在し、安らいでいることです。転じて、悩みをかかえたままの自分の心、生き方と向き合うことの大切さ、という解釈もあります。読み解くと奥が深い言葉なのです。

柳緑花紅の使い方・例文は?

柳緑花紅の例文①まさに柳緑花紅!

柳緑花紅な桜とお城

柳緑花紅を、春の自然のカラフルな美しさ、という意味で使ってみましょう。お花見に行った際に「桜がすごくきれいに咲いてる!まさに柳緑花紅!」と、緑とお花の色のコントラストが綺麗な画像と共に、SNSに投稿してみてはいかがでしょうか。柳緑花紅という言葉が、文章にも彩りを添えてくれるでしょう。

柳緑花紅の例文②柳緑花紅で長所を伸ばしていこう

仲間の挨拶

柳緑花紅を、ありのままの姿をあらわすという意味で使う場合の例文です。会社に新人が入った時などに「画一的に仕事をこなしていくよりも、柳緑花紅で長所を伸ばしていこう」と、個性を大事にしていこうというスピーチに使うこともできます。ありのままの姿のことなので、短所も含まれている点に注意しましょう。

迎えられる・育てられる側が使うことは「短所も含めてお世話してくださいね」という意味合いになってしまいますので、現代社会では控えた方が好ましいでしょう。新入り同士の挨拶など、立場が同じ人同士で使う場合は、お互い様なので問題はありません。

柳緑花紅の例文③柳は緑花は紅だね


富士山と桜

柳緑花紅の、ものごとには終わりがあるという意味で使う場合の例文です。「お花見の季節終わっちゃうね。柳は緑、花は紅だね。」春の終わりを儚む場面で使うと、しっくりくるでしょう。短い花の季節を嘆く時に「ああ、柳は緑、花は紅」と締めても情緒がありますね。

柳緑花紅の使い方:書にして掛け軸に

緑の見える茶室

柳緑花紅は、たった四文字から読み取れる情景の鮮やかさに加え、深い意味もある禅語として人気です。掛け軸によく使われる言葉でもあります。言葉の意味を理解した上で掛け軸を鑑賞すると、一層味わい深くなるでしょう。

春の言葉なので、掛け軸を春以外の季節に飾るのは無粋だとする捉え方もあります。しかし逆に、春を待ち望む気持ちを込めて、あえて冬に掛ける方もいらっしゃいます。

こちらのサイトは「柳不緑花不紅」という見出しですが、柳緑花紅の掛け軸を見て始まるお話の為、ここでご紹介します。禅語としての柳緑花紅のとらえ方について、理解が深まる法話です。柳不緑花不紅については、改めて後程ご紹介します。

臨済禅黄檗禅 公式サイト 臨黄ネット

柳緑花紅の類語は?英語は?

柳緑花紅の類語①柳暗花明

柳暗花明をイメージしたお花

柳緑花紅と見間違えそうなほど似ている「柳暗花明(りゅうあんかめい)」という類語があります。読み方も似ています。ほの暗くなるほど柳が茂り、花が咲いているところは明るい様子を表しています。こちらは明暗のコントラストで、春の景色の美しさを表現しています。

こちらの柳暗花明は、転じて、芸者や遊女のいる「花柳界」を指すこともあります。昔の中国では、遊女がいる場所を「柳港花街」などと言いましたが、こちらは色町のことのみを指し、類語ではありません。柳暗花明と混ざらないように、注意しましょう。

柳緑花紅の類語②桃紅柳緑


桃紅柳緑をイメージしたお花

柳緑花紅の類語として、「桃紅柳緑(とうこうりゅうりょく)」があります。桃の紅い花と柳の緑が美しい情景を表しており、春の色彩が豊かだという表現の類語になります。こちらも柳緑花紅と同じく「ももはくれない、やなぎはみどり」と漢文訓読することができます。

こちらも、四字でカラフルな表現をすることができるので、春の美しい情景を見た時に使ってみてはいかがでしょうか。桃紅柳緑には、春の情景の美しさ以外の意味はありませんので、注意してください。

柳緑花紅の類語③鳥語花香

鳥語花香な雰囲気の鳥と花

春の表現の類語として「鳥語花香(ちょうごかこう)」というものもあります。鳥のさえずりと花の香りという意味で、音と香りで春を楽しんでいる時に使いたい四字熟語です。こちらも桃紅柳緑と同じく、春の情景をあらわす以外の意味はありませんので気を付けましょう。

小鳥が居て植物もあって、というシチュエーションで春を楽しむことができたら、使っていきたい素敵な言葉です。公園に行ったり、ベランダでガーデニングをしている時などに鳥のさえずりが聞こえてきたら、ピッタリではないでしょうか?

柳緑花紅の英語:beautiful scenery of spring

探してもみつからない

英語でぴったりとくる慣用句や類語などはなく、柳緑花紅それぞれの意味の対訳になります。緑と花の美しさをあらわすなら「red blossoms and green willows」と訳し、春の美しい情景を表現したい時は「beautiful scenery of spring」となります。

【番外編】ありのままの自分を受け入れる方法は?

ありのままの自分を受け入れる方法①柳緑花紅の意味を深く読み解いてみよう

柳緑花紅自分を考えよう

柳緑花紅という言葉は、深く読み解いていくと色々なとらえ方ができます。現代では色々なしがらみから、素直になる・ありのままの自分を受け入れるということが、気づけば難しくなっています。柳緑花紅という言葉を読み解くことで、自分の在り方を考えるきっかけになれば幸いです。

ありのままの自分を受け入れる方法②ありのままの姿は尊いと考えてみよう

同僚の関係

柳緑花紅、もしくは柳に緑、花は紅という読み方をした場合でも同じですが、見たままを表現した春の言葉ということは、ご説明した通りです。転じて、ありのままの姿という意味を持つのは、見たままをそのまま受け止めることは尊い、という解釈も含まれています。

例えば同僚が仕事を成功させた時や、友人が思いがけない幸運に見舞われた時など、妬む気持ちを持ってしまうこともあるかと思います。そんな時、妬んでしまう前の「すごいなあ」「よかったね」という素直な気持ちに、まず目を向けてみてはいかがでしょうか。

ありのままの自分を受け入れる方法③柳不緑花不紅という反対語もヒントに!

桜が咲いていないお城

禅語としてとらえた柳緑花紅には、「柳不緑花不紅」という反対語が存在します。読み方は「柳は緑ならず、花は紅ならず」となります。緑にも紅にもならない、という意味ではありません。「柳は緑ではない時もあり、花も紅ではない時もある」という意味で、無常をあらわす言葉です。

全ては形を変えてしまう有限のものであり、時間は限られています。その限られた時間の中で、嫌な気持ちになってしまった時は「まず最初にどう感じたのか」「本当はどうありたいのか」と柳緑花紅の風景を思い浮かべながら、素直に考えてみるのはいかがでしょうか。

柳緑花紅を使いこなして、彩り豊かな気持ちで過ごそう!

春の美しい景色をあらわす「柳緑花紅」という言葉をご紹介しました。色彩豊かな風景の様子だけではなく、禅語としての深い意味を持つ言葉です。「柳は緑、花は紅」という読み方で日常使いをしても素敵です。ありのままの個性という意味なら、スピーチなどでも使えますね。

気分が落ち込みそうな時、自分が嫌になってしまいそうな時に、このカラフルな言葉が「長所も短所も含めたありのままをあらわす」ことを思い出してみてください。「こんな自分も柳緑花紅かあ」と思い、素直に受け入れたら、気持ちが少しは落ち着くことでしょう。

柳緑花紅は短所も指す言葉です。ありのままの自分を受け入れるには、短所にも素直な気持ちで向き合い、それから対処法を考えるのがベストです。わだかまりがなく、素直に受け入れることをあらわす四字熟語の記事もありますので、是非ご一読ください。

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