「そこはかとなく」の意味は?使い方例文7選!類語や漢字は?無限/漂う
「そこはかとなく」という言葉をたまに見かけませんか?なんとなく難しそうな雰囲気を感じる言葉ですね。そこはかとなくの意味はまさに「なんとなく」です。今回は、日本的奥ゆかしさを持つ「そこはかとなく」という言葉について、意味や例文、類語をご紹介します。
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目次
そこはかとなくの意味は?
そこはかとなくの意味①なんとなく
そこはかとなくは「なんとなく」という意味です。理由はわからない・根拠ははっきりしないけども、なんとなくそう感じる時に使います。「よくわからないけど」と言うこともできますが、それよりも不確かでフワっとした表現になります。曖昧さや響きが非常に日本的な言葉です。
そこはかとなくの意味②まとまりがない
日本らしい曖昧さを持つ「そこはかとなく」というこの言葉は、実は平安時代から使われています。「そこはかとなき物語しのびやかにて」という一文が「堤中納言物語」という物語集にあります。こちらでは「まとまりがない」という意味で使われています。
また、日本三大随筆として有名な、吉田兼好「徒然草」の序段でも「そこはかとなく」は使われています。こちらでは「ぼんやりと、とりとめもなく思いついたことを書く」という意味で使われています。
つれづれなるまゝに〔退屈なので〕、日ぐらし〔終日〕硯に向ひて、心に移り行くよしなしごと〔つまらぬ事、らちもない事〕を、そこはかとなく〔とりとめもなく〕書きつくれば、怪しうこそ物狂ほしけれ〔妙に變な気持がする〕。
引用元: 徒然草(校註日本文學大系)wikisource
そこはかとなくの意味③無限である
そこはかとなくは、古くから使われている言葉です。古典では「そこはかとなし」という形容詞で使われる場合もあり「無限である、際限のない」という意味もあります。しかし現在は、こちらの意味では使われていません。
そこはかとなくの漢字表記は?
そこはかとなくの漢字表記は「其処は彼と無く」
そこはかとなくの漢字表記は「其処は彼と無く」です。そこはかとなくは、二つの言葉が合わさってできたものです。「確かに・明確に」という、指す対象がはっきりとしている「其処は彼(そこはか)と」という言葉に「無く」をつけて打ち消し、「はっきりしない・不明確」という意味になったものです。
そこはかとなくは基本的にはひらがな表記
そこはかとなくは基本的にひらがなで使います。しかし、漢字で表記してももちろん間違いではありません。目上の方の目に触れるような文書等には不向きですが、SNSなどプライベートで使う場合に「其処は彼と無く」すると、そこはかとなく文学的な雰囲気が漂うかもしれませんね。
そこはかとなくの使い方は?
そこはかとなくの使い方①なんとなくを表現したい場合
そこはかとなくの使い方として「なんとなく」の意味があります。なんとなく自体も曖昧な言葉ですが、そこはかとなくを使うとさらにぼんやりとした雰囲気になります。なんとなく、とストレートに表現することがためらわれる場合などに、「そこはかとなくそう感じた」と言い換えることによって、多少和らぐでしょう。
そこはかとなくの使い方②あいまいさを上品に表現したい場合
そこはかとなくは、あいまいさをふわりと上品に表すことができます。現在では「よくわからない」「根拠がない」などのあいまいさは、嫌われる傾向にあります。しかし、そこはかとなくという古くからある言葉を使うことによって、風情と柔らか味を出すことができるため、マイナスのイメージになりにくいのです。
そこはかとなくの使い方③どこからともなくと表現したい場合
そこはかとなくは、例えば香り・音などがどこからともなく流れてきた場合にも使えます。出元がわからないが周りに良い香りが漂っている、かすかに音楽が聞こえてくる場合などです。
どこからともなくの意味で使いたい場合、良い香り・音がするのがふさわしいでしょう。「そこはかとなく玉ねぎの腐った臭いが漂っている」では、間違いではありませんが、腐った玉ねぎのように臭いがきつい時は、そこはかとなくが持つ風情が生かされないため、避けた方が良いでしょう。
そこはかとなくの使い方④不明確な物事の様子を表現したい場合
そこはかとなくという言葉は、不明確な物事の様子を意味しています。理由はわからない・出元がわからない・とらえどころがなくはっきりしない等です。
そこはかとなくの使い方⑤風景や風情を文学的に表現したい場合
そこはかとなくという言葉が、自然の風景や香り・かすかな音や、美味しいものを口にした時の隠し味を表現する場合があります。「なんとなく、ほんのりと」「どこからともなく、わずかに」と表現するよりも短くスマートに、なおかつ風情を感じさせることができるためです。
そこはかとなくという言葉が持つ上品さ・意味をふわりとさせる柔らかさ・独特の奥ゆかしさが「そこはかとなく雰囲気の良い」情景を読み手に想像させます。使いこなせば「なんとなくいい感じ」を読み手にスマートに伝えることができますね。
そこはかとなくの使い方注意「どこはかとなく」は誤用
そこはかとなくを使う際に注意すべき点があります。「どことなく」と混同して「どこはかとなく」と言ってしまわないようにすることです。「どことなく」は、はっきりした理由は説明できないが、雰囲気や印象からそう感じる、という意味です。
意味が似ている上に、混ぜてしまってもあまり違和感のない「どこはかとなく」ですが、こちらは現在では誤用です。「そこはかとなく」と「どことなく」は、しっかりわけて使いましょう。間違って合わさった言葉がそのまま根付くことはよくあります。将来的には「どこはかとなく」も、合っていることになるかもしれませんね。
そこはかとなくの使い方例文7選
そこはかとなくを使った例文①そこはかとなく愛情を感じた
例文の1つ目は「作ってもらったお弁当から、そこはかとなく愛情を感じた」です。お弁当でなく、手料理や手作りのものでも使えますね。作る手間などを考えると、なんとなく手作りのものには愛情がこもっていると感じた時にいかがでしょうか。
または「文句を言いながらも作業を手伝ってくれて、そこはかとなく愛情を感じた」と言うこともできます。ストレートに口に出さなくても、態度などで愛情を感じた時に、是非使ってみてください。
そこはかとなくを使った例文②そこはかとなく素敵な雰囲気が漂ってるね
例文の2つ目は「そこはかとなく、素敵な雰囲気が漂ってるね!」です。「なんだかいい感じ」「よくわからないけど素敵っぽい」というような意味です。すごく素敵だ、というほどの強さはありませんが、全体的にふわっといいなと感じた時に、使ってみてください。
お店などの場所に対して使うこともできますし、人に対しても「そこはかとなく素敵な雰囲気が漂う人だね」と言うこともできます。
そこはかとなくを使った例文③そこはかとなく嫌な雰囲気を感じる
例文の3つ目は「そこはかとなく嫌な雰囲気を感じる」です。例文2と逆で「なんだか嫌な感じ」という意味です。ホラー映画などの序盤は、この「そこはかとなく嫌な雰囲気を感じる」ことが多いですね。
ホラー映画の鑑賞会をしたり、肝試し・お化け屋敷などの時に「そこはかとなく嫌な雰囲気が漂ってきた…」と使ってみるのはいかがでしょうか?
「彼女と、そこはかとなく嫌な雰囲気になってきた」と、人間関係にも使うことができます。「なんとなく険悪になってきた」という意味合いです。
そこはかとなくを使った例文④そこはかとなく苦みを感じる
例文の4つ目は「そこはかとなく苦みを感じる」です。珈琲やお酒、スイーツなど「隠し味的に苦みが使われているもの」を味わった時に使える表現です。こちらも「なにかはわからないけけどかすかに苦い」程度なので、「ものすごく苦い!」という感想の時は避けましょう。
もちろん苦みだけでなく、甘味・酸味などいろんな隠し味を感じた時に使えます。「そこはかとなく感じる塩っけが、甘味を一層ひきたてている」のようになります。
そこはかとなくを使った例文⑤そこはかとなくアロマの香りが漂う
例文の5つ目は「そこはかとなくアロマの香りが漂う」です。どこからともなく、ほんのりと香りが漂ってくる意味で使っています。そこはかとなくを使う時は、香りは強くてはいけません。「遠くの方から漂ってきている程度」のほんのり感、と理解しておきましょう。
強い臭いでなければ、くさい時に使っても構いません。「そこはかとなく、おならのにおいが漂う空間に来てしまった。私ではないよ」というのも、間違いではありません。
そこはかとなくを使った例文⑥そこはかとなく感じる春の気配
例文の6つ目は「そこはかとなく感じる春の気配」です。外の空気に、ほんのり春の香りが混ざってきたり、気温がだんだんと上がってきたり、春の雰囲気を少し感じた時にぴったりの表現です。季節の変わり目に、次の季節の気配がしてきたら、使ってみるのはいかがでしょうか。
逆に、その季節の真っ最中に「そこはかとなく」を使うのは好ましくありません。「春本番」「夏真っ盛り」など、他のふさわしい言葉を使いましょう。
そこはかとなくを使った例文⑦そこはかとなく嫌悪感を抱く
例文の7つ目は「彼女にそこはかとなく嫌悪感を抱く」です。嫌いと言い切るほどの強い気持ちではなくても「なんとなく嫌な感じだなあ、なんだか嫌いだなあ」と、相手に対してマイナスの感情を持った場合に使います。
そこはかとなくの類語は?
そこはかとなくの類語①なんとなく
そこはかとなくの類語として「なんとなく」があります。どうしてだかわからないが、という意味です。類語の例文として「なんとなく愛情を感じる」「なんとなくそれっぽいね」という使い方ができます。
そこはかとなくの類語②おぼろげ
そこはかとなくの類語として「おぼろげ」があります。はっきりしない・ぼうっとしている、という意味です。類語の例文として「おぼろげに春の気配を感じる」はっきりしないが春の気配を感じている、という使い方ができます。
漢字では「朧げ」と書きます。古文では並一通りという意味の「おぼろけ」という言葉でしたが、ぼんやり霞む様子の「朧(おぼろ)」という言葉と掛詞に用いられ、混同されて「朧げ」という言葉が生まれました。
そこはかとなくの類語③漠然と
そこはかとなくの類語として「漠然(ばくぜん)と」があります。あやふや・曖昧・不明確という意味です。類語の例文として「漠然と日々を過ごす」「漠然とした不安を抱く」という使い方ができます。
そこはかとなくの対語はあからさま
そこはかとなくの対義語は「あからさま」となり、意味は露骨・おおっぴらな・隠さない様子のことです。使い方として「あからさまに嫌な顔をされた」「あからさまに嫌な態度をとられる」などがあります。露骨という意味で使われることが多く、良い意味ではあまり使われない言葉だということを覚えておきましょう。
そこはかとなくを使いこなしてそこはかとなく上品な文章を書こう!
日本語らしい奥ゆかしさを持つ「そこはかとなく」という言葉をご紹介してきました。これだけでももちろん使えますが、「そこはかとなく~な雰囲気」「そこはかとなく~漂う」とつけると、よりほんのりとした感じが強まります。
現代はどちらかといえば、はっきりとする方が良い風潮です。しかし、季節の空気や自然、日本食や和菓子を楽しむ時などに「そこはかとなく」を使い、微妙なニュアンスを表現してはいかがでしょうか。もちろん、日本の文化ばかりでなく、珈琲やお酒などの繊細な味を表現するのにもピッタリです。
こちらの記事は「そこはかとなく」と同じ古語由来の言葉「やんごとなき」をご紹介しています。SNSなどの投稿に、風情のある言葉を散りばめてみるのはいかがでしょうか?
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