やんごとなきの意味とは?事情・理由・お方・人と合わせた使い方や類語も
「やんごとなき」という表現がありますが、意味が気になる言葉ですね。事情や理由のような言葉と使われることが多い一方で、人や身分、お方といった言葉との使用例も見つかります。詳しい使い方などについて、しっかりと確認してみましょう。
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目次
やんごとなきの意味とは?由来は?
やんごとなきの意味と由来①やんごとなきとは古語が由来の言葉
やんごとなきの意味と由来の1つ目は、やんごとなきとは古語が由来の言葉だということです。もともとは「やんごとない」という表現で、漢字で表記すると、「止事無い」や「止む事無い」となります。「止事無い」を連体形にしたものが、「やんごとなき」となります。
「止事無し」は、そのままにはしておけないことや、捨ててはおけないことを表現する言葉でした。現在使用されている、「やんごとなき」が持つ意味は、「止事無し」の持つ意味から派生したものです。
【止ん事無き】文語・形容詞「止ん事無い」の連体形
引用元: Weblio辞書
古語が由来となっているため、意味が分かりにくい言葉は、この他にもたくさんありますね。現代の言葉遣いとは、ニュアンスが異なるため、意味や使い方をしっかりと確認しておきたいものです。こちらの記事では、「さながら」という古語について詳しく知ることができますよ。
やんごとなきの意味と由来②高貴な身分の人を表す言葉として派生
やんごとなきの意味と由来の2つ目は、高貴な身分の人を表す言葉として派生したものだということです。そのままにしておけないという意味が転じて、そのままにはしておけないほど、身分が高い人を表すようになったと伝えられています。
やんごとなきは、平安時代や江戸時代など、現代とは身分制度が違う時代に使われてきた古語です。そのため、この場合の「高貴な身分」というのは、上流階級の公家や武家の身分ということになりますね。
やんごとなきの意味と由来③重要な人や物事を表す言葉として派生
やんごとなきの意味と由来の3つ目は、重要な人や物事を表す言葉として派生したものだということです。高貴な生まれでなくても、そのままにはしておけない、重要な人物は存在しますね。そのような人に対しても使われる表現として、意味が派生しています。
また、人に対してだけでなく、無視してはおけない「物事」を表す言葉としても意味が広がっています。使用され続けるうちに、カバーする範囲がどんどん広くなってきたと考えられています。
やんごとなきの意味と由来④貴重または最高の人や物事を表す言葉として派生
やんごとなきの意味と由来の4つ目は、貴重または最高な人や物事を表す言葉として派生したものです。現代では、あまり意識されていない意味となりますが、平安時代中期に執筆された、『枕草子』の中の一節などで使用例を見つけることができます。
いろいろな場面で使われているうちに、特別珍しいものや高価なものを表す意味が派生したと考えられています。また、最高の品質や能力を持った人や物事を表す場合もあるので、覚えておくと便利ですよ。
やんごとなきが使われる場面は?
やんごとなきが使われる場面①改まった場面で使う
やんごとなきが使われる場面の1つ目は、改まった場面です。やんごとなきは、現代でも使い続けられている表現ですが、もともと古語の表現です。そのため、くだけた場面で使うには、やや固すぎる表現となります。いきなり使うと、時代劇のシリアスな場面のような雰囲気になってしまいます。
そのため、違和感なく使用するには、改まった場面で用いるのが一番なのです。ビジネスシーンなど、丁寧に接する必要があるときに使われることが、ほとんどとなっています。
やんごとなきが使われる場面②事情や理由を伏せたい場面で使う
やんごとなきが使われる場面の2つ目は、事情や理由を伏せたい場面です。やんごとなきには、人や物事に関する説明が曖昧になるという特徴があります。漠然と、「身分が高い」ことや、「重要な用件」などがあったことを匂わせることはできますが、ハッキリと説明されることはありません。
そのため、やんごとなきを使うことは、「あまり人に話せない理由がある」ことを相手に伝えることができます。使われた側も気を遣って、むやみに詮索することができない雰囲気になります。しかし、具体的な説明が必要な場面で用いると、相手を不快にさせてしまう可能性があるので注意が必要です。
やんごとなきの使い方や例文は?
使い方や例文①「お方」と一緒に使って高貴な身分の人を表す
使い方や例文の1つ目は、「お方」という表現と一緒に使って、高貴な身分の人を表すものです。本来の使い方では、代々続く、由緒正しい家柄の人に対して使う例文です。しかし、現代の日本では、身分の違いなどはあまり意識されることはありませんね。そのため、社会的地位が高い人に対しても用いられる場合があります。
ただし「やんごとなきお方」は、対象の詳しい身分や名前を伏せるニュアンスもあります。家柄の良さや社会的地位の高さを伝えることはできませんが、どこの誰であるのかは、伝えない場面で用いられる傾向にあります。例えば「今度のパーティーには、やんごとなき生まれのお方がいらっしゃる」のような使い方ですね。
「お方」の他にも、「~生まれ」や「~血筋」といった表現と併せて使うことも可能です。なかなか機会はないかもしれませんが、高貴な身分の人と知り合いになったときに使ってみたいですね。
使い方や例文②「事情」と一緒に使って重要な出来事を表す
使い方や例文の2つ目は、「事情」という表現と一緒に使って、重要な出来事を表すものです。とても大切で、何よりも優先させなければいけないというニュアンスを含ませることができます。例えば、「やんごとなき事情で、約束の期日に間に合わせることができませんでした」のような使い方ですね。
また、優先させなければいけない重要な出来事であることを利用して、言い訳として用いられることもあります。理由の明言を避けられる特徴があるので、寝坊をして遅刻したことなどを素直に伝える代わりに、使う方法も考えられます。ただし、あまり大きな問題とはならない出来事に限るので、注意してください。
この他にも、「~状況」や「~理由」、「~問題」といった言葉と一緒に使うことができます。重要さをアピールしつつ、詳しい理由の説明を避けたいときに使ってみましょう。また、「やんごとなき~」以外の表現を使って言い訳などを準備しておきたい方には、こちらの記事がオススメなので、チェックしておきましょう。
使い方や例文③「品物」と一緒に使って貴重品であることを表す
使い方や例文の3つ目は、「品物」という表現と一緒に使って、貴重品であることを表すものです。他の使い方や例文と比べると、使用例はあまり多くありませんが、珍しい物や高価なものであることを表すためにも用いることができます。
例えば、「社長から、やんごとなき品物を預けられてしまった」のような使い方ですね。この場合、社長から預けられたものが、珍しい品か高価な品であることを伝えていることが分かりますね。貴重品であることをアピールするために使ってみるのは、いかがでしょうか。
使い方や例文④「僧」と一緒に使って最高であることを表す
使い方や例文の4つ目は、「僧」と一緒に使って、最高であることを表すものです。こちらも、現代では、あまり使用例が見られないものとなっています。最高の状態や能力であることを示すために用いることができるので、機会があれば使ってみると良いでしょう。
例えば、古文などでは「やんごとなき僧」のような例文を見ることができます。こちらは、霊験あらたかで名高いという、僧として最高の存在であることを意味していると解釈されます。珍しい使い方と例文ですが、豆知識として押さえておくのはいかがでしょうか。
現代風にアレンジするのであれば、「~ビジネスマン」や「~経験者」といった、職種や人を意味する言葉と一緒に用いてみると良いかもしれません。
やんごとなきの類語は?
類語①高貴な生まれのお方を意味する「華冑」
類語の1つ目は、高貴な生まれのお方を意味する「華冑(かちゅう)」です。あまり聞き慣れない言葉ですが、日本に華族制度があった時代などに使われることがあったとされています。また、文学の世界などで、貴族の生まれを表す言葉として用いられる傾向にありますね。
四字熟語でも、「華冑家世(かちゅうかせい)」という貴族などの名門の家系を表す言葉があるように、高貴な身分を表すという意味で類語となる言葉です。
類語②どうにもならない事情や理由を意味する「退っ引きならない」
類語の2つ目は、どうにもならない事情や理由を意味する「退っ引き(のっぴき)ならない」です。漢字の表記を見れば分かるように、「退くこと」も「引く」こともできない状況を表します。重要な出来事を表現したいときに用いることができる類語となります。
例文としては、「のっぴきならない事情」や「のっぴきならない状況」のような使い方が可能です。ただし、例文を見て分かるように、重要な物事に対して用いることはできますが、人に対して用いることはできない点が異なります。
類語③珍しくて貴重なものを意味する「珍重」
類語の3つ目は、珍しくて貴重なものを意味する「珍重(ちんちょう)」です。とくに、珍しいものを大切にするさまとして用いられます。貴重または最高の物や人を表す、やんごとなきの類語となる表現ですね。
「珍重」は、手紙文なので自分を大切にすることを表す言葉でもあるので、物だけでなく人に対しても使用することがでる点も同じです。
この他にも、貴重なものを意味する表現は数多くあります。こちらの記事で紹介されている「垂涎」も、貴重なものと関係することが多い表現です。いろいろなバリエーションを押さえておきたい方は、あわせてチェックしてみると良いでしょう。
やんごとなきの対義語は?
対義語①下賤
対義語の1つ目は、「下賤(げせん)」です。「下」は、単純に身分が下であることを意味しますね。「賤」は身分が低い人や、いやしい人を表します。2つの漢字が組み合わさることによって、身分が低いことや、いやしい生活をしている様子を表す言葉となっています。高貴な身分のお方を意味するやんごとなきとは反対ですね。
「下賤な生まれの者」や「下賤な身の上」といった使い方ができるように、主に人や身分を表す言葉と一緒に用いることができます。
対義語②些末な
対義語の2つ目は、「些末(さまつ)な」です。とくに重要ではない、小さなことを表す表現ですね。「些末な事」や「些末事」といった使い方がされる言葉です。重要な物事を意味する、やんごとなきとは、全く逆の表現ですね。また、物事が中心であるため、人に対して用いることができない点も反対となっています。
対義語③取るに足らない
対義語の2つ目は、「取るに足らない」です。大きな価値がないことや、つまらないことを意味する言葉ですね。貴重な物や人の能力を意味する、やんごとなきとは、価値がないという点で対義語となります。
「取るに足らない人」や「取るに足らない品物」のように、わざわざ取り上げる価値がないと判断した、人や物事に対して使うことができます。
やんごとなきを上手に使いこなそう
古い表現のように聞こえる「やんごとなき」は、現代でも改まった場面で使用されることが多い表現です。高貴な身分の人や、重要な物事を表す反面、具体的な名前や理由などが隠せるという特徴を持ちます。
そのため、詳しい事情などを伏せたい場合に、とても便利に使うことができますね。使い所となる場面を見極めて、上手に使いこなしていきましょう。
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