「どすこい」の語源・意味は?相撲の掛け声のタイミングと由来・方言も

「どすこい」は、お相撲さんがよく使っていそうな言葉ですね。しかし、意味も語源も、かなり謎に包まれています。標準語なのか、方言なのかさえ不明ですね。分かりそうで分からない「どすこい」の意味や由来について、詳しく調べていってみましょう。

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どすこいの言葉の意味は?

どすこいの言葉の意味①どすこいは掛け声の一種

ダンベルで筋トレをする男女

どすこいの言葉の意味の1つ目は、「どすこい」は掛け声の一種だということです。お相撲さんがよく使いそうなイメージですが、じつは実際に相撲取りが使う機会は、あまり多くありません。

確かに、相撲中継を見ていても、お相撲さんや行事の人が「どすこい」と使う場面はありませんね。よほどの相撲ファンでない限り、聞いたことがある人は少ない言葉です。

どすこいの言葉の意味②「どっこい・どっこいしょ」の意味に近い

壁に貼られたたくさんの紙

どすこいの言葉の意味の2つ目は、「どっこい・どっこいしょ」という言葉の意味に近いということです。「どっこいしょ」というのは、立ち上がるときや重い物を持ち上げるときなど、力を入れて何かをするときに使用する掛け声です。「どすこい」も、同じ用途で使うことができます。語感の力強さがピッタリですね。

また、「どっこい」は、相手の意図を遮って止めたいときに使う言葉です。「どすこい」も意味が近いため、同じ使い方ができると考えられています。

どすこいの言葉の意味③民謡の囃子(はやし)言葉

青森のねぶた祭り

どすこいの言葉の意味の3つ目は、民謡の囃子(はやし)言葉となることです。民謡の歌い出しや中間の部分で、調子をとるために入れる言葉ですね。有名なものとしては、「ソーラン節」の「ソーラン、ソーラン」が挙げられます。調子をとって「どすこい、どすこい」と使われるんですね。

「どすこい」が使われる民謡は、「相撲甚句」と呼ばれます。きちんと節がついていて、歌い出しや中間で、威勢よく囃子言葉として使われています。

どすこいの言葉の意味④お相撲さんを連想させる言葉

森の中にある石像

どすこいの言葉の意味の4つ目は、お相撲さんを連想させる言葉だということです。前述した3つの意味を読むまでは、多くの人は「どすこい」のハッキリとした意味を知らなかったのではないでしょうか。しかし、「どすこい」と聞くだけで自動的に相撲取りを連想する人は多いと考えられます。

プロ野球の山口俊選手も、「どすこい」という渾名がつけられていますが、こちらも父親が元大相撲の力士であったことが理由でつけられたと言われています。誰も意味を知らないのに、一言で相撲取りを連想させる、魔法の言葉です。

相撲でどすこいの掛け声はいつ使うの?


相撲でどすこいの掛け声を使うとき①大相撲の地方巡業や花相撲

神社の境内

相撲でどすこいの掛け声を使うときの1つ目は、大相撲の地方巡業や花相撲のときです。「どすこい」が、相撲甚句の囃子言葉だということには触れましたね。相撲甚句は、巡業の際に余興として、土俵上で披露されることが多い歌です。そのため、大相撲の力士は、たしなみとして必ず覚えなければいけないことになっています。

基本的に、土俵の真ん中に唄い手となる力士が立ち、周囲にも数人の力士が配置されます。唄い手の歌に合わせて、手拍子などとともに「どすこい、どすこい」と入れていくのです。円陣を組んで相撲の取り組みのような動きが入ることもあるため、なかなかの迫力になります。

相撲でどすこいの掛け声を使うとき②宴の席

色とりどりのご馳走

相撲でどすこいの掛け声を使うときの2つ目は、宴の席で披露されるものです。相撲甚句は、お相撲さんの酒盛り歌としても使われていました。古くは、芸姑さんたちのいる花柳界でも流行ったと言われています。華やかな宴席で「どすこい」を使うと、お酒がとても進みそうですね。

相撲でどすこいの掛け声を使うとき③地方の神前相撲や相撲大会

神社の正面

相撲でどすこいの掛け声を使うときの3つ目は、地方の神前相撲や相撲大会のときです。神社で相撲をとるときや、相撲大会が開催されるときにも、相撲甚句が唄われます。また、祭礼で踊りとともに披露されることもあります。広く知られていないだけで、「どすこい」の掛け声が使われる場面は、存在するということですね。

相撲でどすこいの掛け声を使うとき④相撲甚句の会

侍の銅像

相撲でどすこいの掛け声を使うときの4つ目は、相撲甚句の愛好家が使うものです。全日本相撲甚句協会など、純粋に愛好家が集まって唄う会が、いくつか存在します。

現在、大相撲の力士が巡業などで唄うものは、古くから伝えられているものに加えて、新作も発表されると言われています。「どすこい」が使い続けられる影の功労者は、もしかすると愛好家のみなさんなのかもしれません。

どすこいは方言なの?

方言としての「どすこい」も存在する

福井の神社

「どすこい」は、相撲甚句の囃子言葉のほかに、方言としての言葉も存在します。この場合は、囃子言葉や掛け声としての意味ではなく、きちんと意味のある表現となっています。主に西日本を中心とした地域で使われている方言となります。それぞれの方言の意味をチェックしてみましょう。

方言の「どすこい」の意味①西日本で「大きい」

愛知の城

方言の「どすこい」の意味の1つ目は、西日本を中心に使われる「大きい」というものです。また、「太い」という意味で使われるケースもあります。福井県、愛知県、三重県、和歌山県、大阪などで使われる方言だと言われています。相撲とはなんの関係もありませんが、なんとなく「どすこい」に通じるような意味ですね。

方言には、その地方の特色が表れます。西日本の方言だけでなく、東日本の方言などもチェックしてみたい方は、こちらの記事がオススメです。あまり知られていない関東弁について、詳しくみてみましょう。

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方言の「どすこい」の意味②阿波弁で「ずるい」

徳島の海

方言の「どすこい」の意味の2つ目は、阿波弁で「ずるい」というものです。しかも、通常の「ずるい」ではなく、「とてもずるい」という意味で使われます。こちらの方言の意味も、神事としての役割も持つ相撲とは、完全に関係のないものです。「ずるい、ずるい」と掛け声をかける大相撲は、見たくありませんね。

古代ヘブライ語にも存在する?

方言というわけではありませんが、「どすこい」は古代ヘブライ語にも存在するという説があります。しかも、相撲のどすこいの語源となったとも考えられています。かなりマイナーな説ですが、興味深いものですね。ちなみに意味は「異教の者を倒す」というものになると言われています。

相撲でどすこいはいつの時代から使われている?

知名度を得たのは江戸時代の終わり

昔の日本の町並み

相撲で「どすこい」が知名度を得るようになったのは、江戸時代の終わりころだと考えられています。「どすこい」が使用される相撲甚句が、この時代に広く知られるようになったことが理由です。時代的に、村祭りが盛んになったことと、相撲が全国的にブームとなったことから「相撲取節」として始まったと言われています。

村祭りが盛んになったことが関係したため、各地方で特色のある相撲甚句が生まれたとされています。相撲甚句は、一つだけではなく、いろいろなバリエーションがあります。

明治時代まで流行した

傘を持った着物の女性

相撲で「どすこい」がポピュラーだったのは、明治時代までと考えられています。相撲以外の娯楽が普及したため、全国的な相撲ブームも下火を迎えたのかもしれませんね。ちなみに、相撲甚句が大相撲の力士によって唄われるようになったのは、明治20年代になってからのことだと伝えられています。

テレビの普及で現代のイメージが定着

お相撲さんを自動的に連想させる「どすこい」のイメージが定着したのは、テレビが普及してからだと考えられています。お笑いなどで取り上げられて、イメージが刷り込まれたのでしょう。民謡の一節でしかなかった囃子言葉が、全国的に相撲取りのイメージで普及したのですから、テレビの影響力は大きかったんですね。

どすこいの相撲甚語・語源と由来は?

どすこいの相撲甚語・語源と由来①語源は「どっこい」

雪の中の鳥居

どすこいの相撲甚語・語源と由来の1つ目は、「どっこい」が訛ったという説です。相撲甚句は、日本各地で愛され、発展した民謡の一種です。そのため、あらゆる地方の言葉の要素を取り込んでいると言われています。大相撲の力士によって唄われる相撲甚句も、各地方で唄われていたものを使っています。

ちなみに、「どっこい」は東北地方が発祥の言葉です。昔の力士には、東北地方の出身が多かったため、「どっこい」が訛った、「どすこい」が主流になっていったのではないかという説です。

どすこいの相撲甚語・語源と由来②さらに遡ると「何処へ」が由来

神木とお社

どすこいの相撲甚語・語源と由来の2つ目は、どっこいの語源をさらに遡ると「何処(どこ)へ」が由来となる説です。「何処へ」は歌舞伎などでも使われる、相手の発言を遮るときに使う感動詞となります。「何処へ」が「どっこい」へと転じ、最終的には、「どすこい」へと辿り着いたと考えられています。

どすこいの相撲甚語・語源と由来②六根清浄が由来という説も

青空と富士山

どすこいの相撲甚語・語源と由来の3つ目は、「どっこい」を遡ると、「六根清浄(ろっこんしょうじょう)」が由来となる説です。六根清浄とは、「目・耳・鼻・舌・身・意」の六つが清らかになるようにという祈りの言葉で、山登りのときによく唱えられていました。

「六根清浄、六根清浄」と繰り返しながら登っているうちに、「どっこいしょ」へと転じ、「どっこい」が誕生したという説があります。語源の変化のいろいろは、本当に興味深いですね。

どすこいの相撲甚語・語源と由来④甚句の「どすこい」を主流にしたのは大阪

紅葉の大阪城

どすこいの相撲甚語・語源と由来の4つ目は、甚句としての「どすこい」を主流にしたのは大阪だということです。伝統芸能としての相撲甚句の継承・発展を目的とする『日本相撲甚句会』によれば、戦前は「どっこい」が甚句の主流でした。「どすこい」が主流になったのは、戦後になってからのこととしています。

相撲甚句には、地方ごとに「どすこい」や「どっこい」だけでなく、「やっとこ」や「やすとこ」といった地方色豊かな囃子言葉が存在します。その中で、「どすこい」を使った甚句を主流にしたのが、大坂相撲だったと言われています。昭和初期ごろから、「どすこい」を使ったものが主流として扱われるようになりました。

西日本の方言にも、「どすこい」というものがあったので、親しみやすい囃子言葉だったのかもしれませんね。甚句の語源と由来は、いろいろな繋がりを見せてくれます。

どすこい以外の語源が気になる相撲の言葉

語源が気になる相撲の言葉①はっけよい

巨大な仏像

語源が気になる相撲の言葉の1つ目は、「はっけよい」です。こちらは、相撲の取り組みで聞く機会が多い言葉ですね。はっけよいの語源には、いくつかの説があって、有名なのは占いの「八卦良い」から来たというものです。しかし、日本相撲協会は、気合を入れろという意味の「発気揚々(はっきようよう)」を支持しています。

また、競い合いを促すための言葉である「早競(はやきほ)へ」が語源であるという説も存在します。「はやきほへ」が転じて、「はっけよい」になったと考えられています。

語源が気になる相撲の言葉②ちゃんこ

うどんを食べる女性

語源が気になる相撲の言葉の2つ目は、ちゃんこ鍋でおなじみの「ちゃんこ」です。こちらも語源には諸説あって、中国の「チャンクオ」という鍋の料理法を用いたことから、「ちゃんこ」と呼ばれるようになったという説があります。

また、料理番を「おやじさん」の意味で「ちゃん」と呼んでいたことから、「ちゃんこ」に転じたという説もあります。ちなみに、「ちゃんこ」の本来の意味は、お相撲さんが食べる食事全般のことを指すので、必ずしも鍋に限定されるわけではありません。

語源が気になる相撲の言葉③ごっつぁんです

寿司と刺身

語源が気になる相撲の言葉の3つ目は、ありがとうの意味で使われる「ごっつぁんです」です。こちらは、語源の「ご馳走様です」が訛って、現在の形になったと言われています。「ごっちゃんです」から「ごっつぁんです」に変化したと考えられています。

語源がいろいろと気になる言葉は、お相撲さんだけのものではありません。いろいろな分野で、さまざま発展をした言葉は、たくさんあります。他にも調べてみたい方は、こちらの記事などをチェックしてみましょう。江戸時代の遊女の言葉も、謎に包まれていますよ。

どすこいなどの相撲の言葉は奥が深い

どすこいは、誰でも知っているのに、詳しい意味は誰も知らないという不思議な言葉です。どんなタイミングで使われるのか、語源はどこにあるのか、謎だらけの言葉でしたね。しかし、謎に包まれているのは、どすこいだけではありません。相撲の言葉は、語源や由来が不思議な言葉ばかりです。

どすこい以外にも、いろいろと調べていくと、面白い事実が次々と発見できそうですね。どすこいをきっかけに、奥が深い相撲の世界を知り尽くしてみるのも面白そうです。


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