「てにおは」の意味や使い方とは?攻略方法5選!助詞/にて/してて
日本語表現にて格助詞にあたる「てにおは」が変わるだけで、文章全体の意味が変わり、相手が大きな勘違いをする場合が少なくありません。ここではそんなてにおはの攻略法を紹介するとともに、てにおはの使い方を分かりやすく例文もまじえながら紹介します。
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目次
てにおはの意味は?
てにおはとは格助詞を表して使うひらがなを意味する
てにおはとは格助詞を表して使うひらがなを意味します。「てにおは」という言葉は聞いたことがあっても完全に説明するのは難しい言葉になります。何故なら、「てにおは」という言葉は日本語の本質を理解していなければ説明しきれないからです。
「てにおは」が表す格助詞は様々です。例えば「私は彼にケーキを食べさせます」という文章がある場合「私は」の「は」、「彼に」の「に」、「ケーキを」の「を」が「てにおは」にあたります。例えば「私に彼がケーキを食べさせます」と「てにおは」を組み替えて文章を作ると、まったく違ったシチュエーションになるのです。
「てにおは」とは日本語の本質であり、日本語を話す人であれば誰もが理解しておかなければならない基本の部分でありながら「私は完全に日本語のてにおはを極めています」と言い切るのも難しいものです。ただ、ここに書いてあることをマスターすれば今後「てにおは」に自信を持ち日本語を使うことができます。
てにおはは日本語独特の概念で格助詞のひらがな一つで文章の意味が変わる
てにおはは日本語独特の概念で格助詞のひらがな一つで文章の意味が変わります。英語表現との比較を後述しますが、てにおはという概念は学べば学ぶほど日本語独自の概念であることを実感することになります。簡単に言うと「私が」「私は」を示す英語はどちらも「I」になります。
また、「私を」「私に」という言葉は前置詞を使うような状況はあるかもしれませんが基本的に「me」を使います。「てにおは」が表す格助詞そのものを表現する英語表現はないのです。そして英語であれば「I」「me」を漠然と使えば意味が通じるのに日本語はこの「てにおは」が正しくなければ相手に正しく通じないのです。
てにおはの使い方は?
てにおはの使い方①カレーでいいです
てにおはの使い方の1つ目は「カレーでいいです」という表現について説明します。ここからは「てにおは」の使い方の具体例を説明していきます。
- 1今日の夕食はカレーがいいです
- 2今日の夕食はカレーでいいです
- 3カレーは今日の夕食がいいです
- 4カレーは今日の夕食でいいです
てにおはの例①
同じような文でも、上記のように「てにおは」を入れ替えて文章を作ると全く違った意味の4つの文章ができます。1の文章は今日の夕食にカレーが食べたいことを表し、2の文章は今日の夕食は特別カレーじゃなくてもいい、カレーに対してそうポジティブではない気持ちを表現しています。
また、3は今日のタイミングでカレーを食べたい強い希望を表していて、4はカレーが今日の夕食であることが第一希望ではないことを示唆している文章になっています。いずれの文章も今日の夕食をカレーにするかを議論していますが、それぞれ違ったニュアンスを表しているのです。
てにおはの使い方②兄に言います
てにおはの使い方の2つ目は「兄に言います」という表現について説明します。この表現に主語はありませんが、日本語の場合主語がない時には一人称が想定されるのが基本です。そのため正確には「私は兄に言います」という形になり「兄」は目的語になります。
- 1私は兄に言います
- 2私に兄は言います
- 3兄は私に言われます
- 4兄に私は言われます
てにおはの例②
いずれの文章も私と兄の2人が言うのか言われるのかが問題になります。1と3は言われるのが兄で言うのが私、2と4は言うのが兄で言われるのが私と、1と3の逆を意味することになります。日本語はこのようにてにおはを入れ替えるだけで、主語と目的語が逆転することがあります。
格助詞の、たった一文字のひらがなの違いで意味が真逆になってしまうのです。また、1と2は能動態、3と4は受動態の文章になっているので「言います」「言われます」と言い回しの違いがありますが、この点が変わることで同じように「てにおは」を使っても、言う方と言われる方が逆転するのも日本語独特の現象です。
てにおはの使い方③あなたを連れていきます
てにおはの使い方の3つ目は「あなたを連れていきます」という表現について説明します。この表現は「を」の部分を変えるだけで様々な意味に変化します。
- 1あなたを連れていきます
- 2あなたは連れていきます
- 3あなたが連れていきます
- 4あなたも連れていきます
てにおはの例③
1はあなたが目的語になっていますが、他がどのような状況なのか推測できません。2は「あなた」は連れていくが、他に連れていかない人がいるというニュアンスにとれますし、3は目的語ではなく「あなた」が主語になっています。また、2も見ようによっては「あなた」が主語になる文章となります。
そして4については「も」という表現が、他に誰か連れていく人がいることを示しています。そのため、「あなた」しか連れていかないなら間違った日本語表現になります。このように格助詞一文字を変えただけで、その文章が示す状況は大きく変わってくるのです。
てにおはの使い方④私は責任者です
てにおはの使い方の4つ目は「私は責任者です」という表現について説明します。この表現は「私が責任者です」と言い換えることができますし、「私は」でも「私が」でも、「私」=「責任者」である事実には変わりありません。
しかし「私は」という表現よりも「私が」という表現の方が限定的なニュアンスがあり、「私が」という表現を使うことで状況により「私は責任者だがBもCも責任者ではない」というニュアンスも含んでいる表現と言えます。そのため、「私は」という表現が表せない内容も「私が」に置き換えることで表すこともできます。
ですが例えば目の前にBもCもいる状況で「私が責任者です」という言い方は、BやCとの間に角が立つ言い方になるかもしれません。また相手がずっとBやCを責任者と信じていたお客様に対して失礼にあたるかもしれません。このように日本語は「てにおは」ひとつで相手に失礼な言い方になることもあり得るのです。
てにおはの使い方の攻略方法5選
てにおはの使い方の攻略方法①主語と目的語の認識に誤りがないか確認する
「てにおは」の使い方の攻略方法の1つ目は主語と目的語の認識に誤りがないか確認することです。「てにおは」を間違うと主語や目的語が相手に対して誤った状態で伝わる可能性があります。そのため何が主語で何が目的語なのか、そして格助詞はその状況を正しく伝えるものになっているのかをしっかり確かめる必要があります。
てにおはの使い方の攻略方法②動詞に合った格助詞か確認する
「てにおは」の使い方の攻略方法の2つ目は動詞に合った格助詞か確認することです。動詞が能動態なのか受動態なのかで「てにおは」も変わってきますのでまずは動詞から主語を割り出し、その後目的語を確認する手順を徹底しましょう。主語が主体なのか動作を受ける側なのかにより同じ動詞でも「てにおは」は変わってきます。
てにおはの使い方の攻略方法③意味だけでなくニュアンスも意識する
「てにおは」の使い方の攻略方法の3つ目は、意味だけでなくニュアンスも意識することです。主語や目的語を強調し過ぎることで、相手に対して正確なニュアンスが伝わらない場合も考えられますので、相手がその文章を読んだり聞いたりした時にどう理解するかを考えることが、「てにおは」の攻略法の鍵と言えます。
てにおはの使い方の攻略方法④相手に失礼な表現でないか確認する
「てにおは」の使い方の攻略方法の4つ目は、相手に失礼な表現でないか確認することです。日本語は「てにおは」により主語だけでなく、強調されるものが変わってきますのでそれにより相手に対して失礼にあたる表現になる場合もあります。「私が〇〇です」「〇〇でいいです」などが失礼にあたることが多くなります。
それでも相手に正確なニュアンスを伝えるためにそのような表現を使わなければならないこともあり、その場合には前置きをすると、相手が失礼に感じることがなくなることもあります。下記の関連記事は「メールにて失礼いたします」という前置き表現が紹介されており、柔らかく相手に伝えるヒントが満載の記事になっています。
てにおはの使い方の攻略方法⑤同じ格助詞が続いていないか意識する
「てにおは」の使い方の攻略方法の5つ目は同じ格助詞が続いていないか意識することです。例えば「木に垂れ下がるサルに相手になるような」という表現は「に」を使いすぎています。このような表現は分かりづらいので「木に垂れ下がるサルに対して相手となるような」などと言い換えるのが「てにおは」攻略のポイントです。
てにおはの英語表現は?
てにおはは日本語独特の概念で英語には存在しない概念である
てにおはは日本語独特の概念で英語には存在しない概念です。ただし勘違いをしてはいけないのは、英語をはじめとする外国語に「てにおは」がないからそれらの言語が日本語よりも文法的に劣る部分があるわけではないということです。
多くの外国語も日本語の「てにおは」以外の概念や手法を使って主語や目的語を明確に相手に意図を伝達しているのであり、「てにおは」の概念がない外国語が日本語よりも文法において劣っているということではありません。
英語表現で日本語のてにおはを意識する場合は文法を意識することとなる
英語表現で日本語のてにおはを意識する場合は文法を意識することとなります。例えば日本語では「昨日私は兄から鉛筆を借りました」という文章がありますが、これを英訳すると大体下記のような英語表現になります。
I borrowed a pencil from my brother yesterday.
「昨日」借りたことを強調した場合には「yesterday」が冒頭に来ることもありますが、他の単語はこの順番になります。しかし日本語表現だと「私は昨日兄から鉛筆を借りました」「兄から昨日私は鉛筆を借りました」とも言えますし、状況によっては「昨日兄から鉛筆を借りました」と、主語を抜いても通じます。
このように英語は単語の並び方が厳守されているため、「てにおは」の表現がなくても相手に正確に意味が通じますし、日本語は「てにおは」があるので順番を自由に入れ替えても相手に同じ状況を様々な言い方で伝えることができるのです。
てにおはの間違った使い方は?
てにおはの間違った使い方①カフェにて私に紅茶を出されました
てにおはの間違った使い方の1つ目は「カフェにて私に紅茶を出されました」という表現です。合っているように見えるのですが「紅茶を出されました」と使えるのは紅茶を出した人が主語になる場合であり、この場合は紅茶が主語の文章なので格助詞「を」は使えません。ちなみに単に「紅茶を出されました」と言うなら適切です。
「カフェにて私は紅茶を出されました」の場合だと「私」が主語になるので「紅茶を」となります。また「カフェにてマスターが私に紅茶を出されました」という文章では「紅茶を」という表現が使えます。
この文章単独で正しい表現とするためには「カフェにて私に紅茶が出されました」となります。このように間違いがないように見えて、かつ意味が通じてしまうような表現においては、てにおはを間違うことが少なくありませんので注意が必要です。
てにおはの間違った使い方②引っ越しを準備をしてて腕を痛めた
てにおはの間違った使い方の2つ目は「引っ越しを準備をしてて腕を痛めた」という表現です。この表現は引っ越しにて腕を痛めたことを表現しているのですが、「引っ越しを」「準備を」と格助詞「を」が立て続けに使われています。
「引っ越しを準備する」「準備をしてて腕を痛めた」と2つの文章はそれぞれ間違いではないのですが、この文章の場合、「引っ越しの準備」と表現するとすべてすっきりとした表現になります。「引っ越しの準備をしてて腕を痛めた」となります。
「引っ越しをする」「準備をする」といった、単独でそれぞれ正しいてにおはになっていても、文章を複合させると間違ったてにおはになる場合がありますし、意識せず間違うことがあります。特に文章を書く場合に多く見受けられるてにおはの間違いです。このようなことがないよう、文章を書いた後の見直しを徹底しましょう。
てにおはを上手に攻略して日本語表現のスキルを向上させよう!
普段何気なく使っている日本語ですが、「てにおは」を意識すると周囲にいかに間違った日本語が多いかに気付かされます。しかしここで言いたいのは「てにおは」を細かく気にして、人が話す間違った日本語にカリカリしましょうということではありません。
日本人として正しく美しい日本語を話す基本には「てにおは」の知識が必要であるということです。ビジネスのシーンで尊敬を集める人の多くは「てにおは」をはじめとした日本語の基礎を押さえていることが少なくありません。これを機に正確な「てにおは」に基づいた、正しく美しい日本語を意識してもらえたらうれしいです!
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