「ご署名ご捺印」の意味や違いは?印鑑を押すこととは?敬語表現も

「ご署名ご捺印」という言葉はビジネスの重要な場面で出てくる言葉です。日常生活でも契約書を書いて押印するようなシーンでは「ご署名ご捺印をお願いします」といった言い回しがよく聞かれます。ここではその詳細の意味や敬語表現まで幅広く紹介していきます。

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ご署名ご捺印の意味は?

ご署名ご捺印の意味①ご署名とは自筆で自分の名前を書き内容の証明する行為

契約の風景

ご署名ご捺印の意味の1つ目ですが、ご署名とは自筆で自分の名前を書き内容の証明をする行為であることを指しています。ご署名ご捺印という言葉は、多くの書類において署名捺印の両方が求められることが多いため、それぞれは別の行為であっても、一連の行為としてまとめて一括りにされることが少なくありません。

しかしながら「ご署名ご捺印」と書かれていながら署名だけでも「ご署名ご捺印」の効力を発揮する場合も少なくありません。基本的に外国では印鑑の文化がなくサイン(署名)がその役割を果たしているため、ここでの「ご署名」という自筆で自分の名前を書く行為は日本人が思っている以上にフォーマルな行為であると言えます。

そのためまずはここでの「ご署名」という行為は少なくとも「ご捺印」に添える自分の名前を書くだけの行為という認識ではなく、押印がなかったとしても「ご署名」のみでも公的拘束力を発揮することが多いのだということを、しっかり認識しておく必要があります。

ご署名ご捺印の意味②ご捺印とは種類問わず印鑑を押すことで内容を証明する

5人でのミーティング

ご署名ご捺印の意味の2つ目ですが、ご捺印とは種類を問わず印鑑を押すことで内容を証明する行為を指しています。「ご署名ご捺印」という言葉における「ご捺印」については多くの人がイメージしている通り、押印をすることでその書類が法的な拘束力を発揮することが少なくありません。

また、日本においては押印における印鑑がどのようなものであるかも非常に重要なものです。印鑑登録されている印鑑を押すことは完璧な意思表示を表しますし、認め印のようにどこでも買えるような印鑑についてはその場での合意を意味するものとなり、状況に応じて必要な印鑑が違ってきます。

ただし押印の意味合いにおいて間違ってはいけないのは押印は認め印であっても法的効力はあるということです。契約の内容が重くなればそもそもその契約を結ぶ条件に捺印と印鑑証明が必要な場合がありますがもしも契約上「認め印も可」と最初から記載されている契約書は認め印であっても法的な効力を有することとなるのです。

ご署名ご捺印の意味③ご署名とご捺印は状況に応じて使い分ける必要がある

朝日と会社員

ご署名ご捺印の意味の3つ目ですが、ご署名とご捺印は状況に応じて使い分ける必要があるということです。「ご署名ご捺印」という言葉はセットで使われることが多く、その言い回しが適切であることが非常に多いのですが、状況に応じてそれぞれを別で使い分けることも必要になります。

そのためこの言葉は「ご署名ご捺印」というセットでも、あるいは「ご署名」と「ご捺印」それぞれを分解する形でも覚えておく必要があります。こういったものがきちんと説明できる人は、ビジネスにおける契約面に強い印象を相手に与えることができます。社会人における常識として、しっかり覚えておくようにしましょう。


ご署名とご捺印の違いは?

ご署名とご捺印の違い①名前を手書きするか押印の違い

ミーティングの風景

ご署名とご捺印の違いの1つ目は、名前を手書きするか押印の違いです。ご署名ご捺印という言葉が使われる場合はセットで使われる場合においても、また別々で使われる場合であっても、契約への意思表示を意味し、またその名を示すことも意味しています。手法は違ってもその意味合いは概ね同じであると言えるでしょう。

ただし、署名に関しては手書きであればいいというものではありません。「ご署名」が求められているような場合には、自分の名前を示す黒インクのゴム印はもちろんアウトです。しかしながら、ご署名は絶対に自署でなければならないため、本人以外が手書きで記名することはできないとされています。

このような行為を「代筆」と呼び、例えばビジネスにおいてどうしても本人の自署が難しいので代筆をすると、犯罪に問われる場合もあります。また、これは本人の同意が得られていたとしても問題になる行為です。そのためどんな事情があってもビジネスのシーンで代筆を求められたら断るようにしましょう。

ご署名とご捺印の違い②法的効力の違い

契約の風景

ご署名とご捺印の違いの2つ目は、法的効力の違いです。簡潔に言うと、日本においては印鑑の押印がないと法的効力を発揮しない書類が数多く存在します。しかしながら、署名については捺印と同じ法的効力を発揮するとされる見解も多く、その法的効力については議論されることが多いと言えます。

基本的には契約書に捺印がないと効力を発揮しないとされる書類であっても、訴えがあり裁判までいけば、その署名が自署であることの確認がとれた場合に限り書類の効力は認定されるという事例もあるのですが、基本的に書類に「捺印が必要」と書かれている場合には、捺印なき場合には不備書類ということになります。

そもそも捺印が必要な書類において、捺印がなければその時点で受理されることはほとんどないと言ってもいいでしょう。そういった意味では契約において捺印がない限り契約が進まないことが多い日本はまさに印鑑社会であり、印鑑の契約における法的効力はまだまだ押印・捺印の方が重要であると言えるでしょう。

ご署名とご捺印の違い③押印とご捺印の違い

図書館の風景

ご署名とご捺印の違いの3つ目は、押印とご捺印の違いです。押印も捺印も、両方とも同じように印鑑を押す意味合いで使われます。同じ意味合いで使われることも多い2つの言葉ですが、状況によっては大きく違う意味合いを表します。それは契約時における意味合いです。


まず捺印については、自署で自分の名前を記載し、契約上効力を持つ印鑑を押すことを意味しています。厳密ではない場合もありますが、印鑑登録がされている正式な印鑑を押すことが一般的になっています。つまり捺印とは「署名捺印」を省略したものになります。それに対して押印は「記名押印」を省略したものです。

記名押印とは、署名捺印よりも幅広い手段を包括した名前の記載および印鑑押印を指しています。ここでの押印では、契約上は基本的に使用が認められないシャチハタなども含まれています。捺印については契約上アウトになるような印鑑は含まれない点では、押印と捺印は大きく違ってくるのです。

ご署名とご捺印の違い④ご記名とご署名の違い

本と貯金箱

ご署名とご捺印の違いの4つ目は、ご記名とご署名の違いです。押印と捺印についての説明でも触れましたが、署名については自筆で自分の名前を書き入れることを示しています。それに対して記名は署名も含みますが、それ以外の名前を記載する方法全般を示しています。

例えば、黒インクのゴム印で名前を判子押しすることや、パソコン上で自分の名前を入力することも記名に含まれます。こういった名前の記載方法は、契約上の法的拘束力の観点においては、極めて効力が弱いものとされています。そのため、基本的にはビジネスの重要書類では自筆の署名が求められます。

しかしながら「記名捺印」という表記もあり、例えば会社間の契約において契約に丸印が必要な場合には丸印自体が大きな法的拘束力を持つことになり、また個人名ではなく会社名を記載することとなるため、記名部分にはこだわりを持たない場合もあります。それぞれの状況において必要な対応を的確に理解することが大切です。

ご署名ご捺印に関する敬語表現は?

ご署名ご捺印に関する敬語表現①ご署名ご捺印をお願いします

受付での笑顔

ご署名ご捺印に関する敬語表現の1つ目は「ご署名ご捺印をお願いします」という表現です。「ご署名ご捺印をお願いします」という表現については、ご署名ご捺印を依頼する際によく使われる敬語表現です。「お願いします」自体がビジネスでよく使われる敬語表現であり、幅広く使える敬語表現であると言えます。

またもしも「ご署名ご捺印をお願いします」よりもさらに丁寧な言い回しをしたい場合には「ご署名ご捺印をお願い申し上げます」「ご署名ご捺印をお願いしたく存じます」といった、さらに敬語のニュアンスが強い表現を使うことになります。

ご署名ご捺印に関する敬語表現②ご署名ご捺印が必要でございます

腕を組む男性

ご署名ご捺印に関する敬語表現の2つ目は「ご署名ご捺印が必要でございます」という表現です。この表現は「ご署名ご捺印をお願いします」のように、相手に対してお願いをする敬語表現というよりは、署名や捺印の必要性を説明する敬語表現であると言えます。

そのため、相手が署名捺印に納得していない場合や、わざわざお願いをする表現を使う必要のないシーンでは、こういった敬語表現を使うといいでしょう。「ご署名ご捺印をお願いします」とともに、この表現も覚えておくようにしましょう。

ご署名ご捺印に関する敬語表現③ご署名もしくはご捺印をお願いします

笑顔の男性

ご署名ご捺印に関する敬語表現の3つ目は「ご署名もしくはご捺印をお願いします」という表現です。「ご署名ご捺印をお願いします」と言うと、不親切になる場合があります。何故なら署名か捺印のどちらかだけが必要である場合があるからです。

そのような状況においては「ご署名もしくはご捺印をお願いします」といった敬語表現をチョイスした方が親切であると言えます。丁寧な言い回しを心がけることも大事ですが、内容を正しく伝える表現も意識しましょう。ちょっとした言い回しの違いで、相手に分かりやすく伝わることもあるのです。

ご署名をお願いする時の注意点は?

ご署名をお願いする時の注意点①基本的にはボールペンか万年筆で

書く風景

ご署名をお願いする時の注意点の1つ目は、基本的にはボールペンか万年筆でお願いをすことです。署名の場合は自署であることも必要ですが、鉛筆やマジックペンを使うと無効となる場合があります。鉛筆は消せるためで、マジックだと線が不徳なり過ぎるためです。

また、色も基本的には黒が決まりであり、濃い青色が認められる場合もありますが、赤や緑は認められないことも多くなっています。署名をする時の決まりは何を使うかをはじめとして、色等も意識して正しく行うことを認識しましょう。

ご署名をお願いする時の注意点②ご署名と押印の両方が必要か片方でいいのか

電卓と木槌

ご署名をお願いする時の注意点の2つ目は、ご署名と押印の両方が必要か片方でいいのかをしっかりと伝えることです。書類によって、どのような署名や捺印が必要なのかが違ってきますので、何が必要なのかを具体的に伝えていく必要があります。

せっかく相手が協力してくれる状態にあるにも関わらず、ミスを重なるとそういったことに非協力的になる人も少なくありません。こういった部分においてミスを出さないのは社会人としての基本になるので、必要なものの確認と、相手に伝える内容の再確認をしっかり行うようにしましょう。

ご署名をお願いする時の注意点③漢字やアルファベットの違い

本を読む女性

ご署名をお願いする時の注意点の3つ目は、漢字やアルファベットの違いです。例えば海外に展開している事業においてはアルファベットでの署名が必要な場合も多いのですが、内容がすべて英文の書類であってもパスポートの表記に合わせて、漢字でサインする必要がある場合も出てきます。

普段は漢字等の日本語表記で当たり前に署名をしているかもしれませんが、漢字かアルファベットかを厳密に求められる場合もありますので注意が必要です。

ご署名をお願いする時の注意点④本人かどうか

疑問を持つ女性

ご署名をお願いする時の注意点の4つ目は、本人かどうかです。署名をお願いする場合に、署名をお願いすべき本人であるか確認が必要です。例えば代筆がアウトであることは先述していますが、確認をしたら本人ではない場合や、署名をすべき立場にない場合もあります。

また、ビジネスの契約書類においても会社名を書くのか社長の名前を自筆で署名するのかで大きく違ってくることがあります。そういった部分にも気を配るようにしましょう。

ご署名ご捺印を正しく使いこなそう!

ご署名ご捺印という言葉の意味やその使い方、あるいはその注意点を紹介してきました。ここで紹介したことはどんなビジネスにおいても役立ちますので、契約の場面になってから困るのでなく、社会人としては前もってこういった知識を頭に入れておきたいものですね!

また、下記の関連記事では契約書のドラフトという概念が紹介されています。あまりドラフトという言葉に馴染みがない人も多いかもしれませんが、ご署名ご捺印同様にビジネスパーソンとしては押さえておきたい内容です。時間がある時にこちらの内容もしっかり確認しておきましょう。

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