プロパーの語源は英語？ビジネスで立場を表す言葉の使い方と対義語も

ビジネスにおいてのプロパーの言葉の意味と使い方は？

ビジネスにおいてのプロパーの言葉の意味

ビジネスにおいてのプロパーの言葉の意味は「本来の」「正規の」です。企業や立場においてその使われ方は異なり、他には「正式な」「本格的な」「専業」などの意味合いでも使われます。日本特有の和製英語の1つでもあります。

和製英語とは、英語を基にして作り出された日本製の言葉のことです。基本的にカタカナ表記で使われることが多く、英語圏では同じ意味で通じないことも多いので注意しましょう。プロパーの他に有名なビジネスの和製英語には「サラリーマン」「キャリアアップ」「アポイント」などがあります。

ビジネスにおいてのプロパーの言葉の使い方

和製英語の「プロパー」は単体で使われることもありますが、他の単語と組み合わせて「プロパー○○」または「△△プロパー」と熟語の形で使われるのが一般的です。ビジネスにおいてのプロパーの言葉の使い方は立場によって異なります。

また、企業によってもプロパーという言葉の使い方が違うというのが現状です。そのため、「この会社にいたときはこういう意味で使っていたのに、転職したり他社に出向したら使い方が全く違っていた」ということも起こり得ます。「プロパー」という言葉を聞いても、すぐにこういう意味だと決めつけない方がよいでしょう。

使い方の例として、よくあるのが「プロパー社員」や「プロパー職員」という呼び方です。これは他の社員と区別して呼ぶ時の言い方で、区別する対象は企業や立場によって変わってきます。次の項目で詳しく見ていきましょう。

社員の立場の定義は？プロパー社員と他の社員の違い

プロパー社員の立場の定義

「プロパー社員」と呼ばれる社員は、企業や立場によって定義が異なりますが、基本的には「正社員」です。他には「新卒で入社した社員」、「その企業が直接雇用した社員」、「生え抜き社員」を指すこともあります。

ちなみに契約社員などの嘱託社員やアルバイト、パートなども直接雇用ではありますが、これらの場合は「プロパー社員」と呼ばないことが多いようです。契約社員の業務内容が正社員とほぼ変わらないという場合もあるため、プロパー社員と区別されることが時々問題になっていることもあります。

プロパー社員と他の社員との違いと使い方

プロパー社員と他の社員との違いは場合によって異なります。例えば、自社内の場合は「中途社員」に対して「正社員」を「プロパー社員」と呼ぶ企業も多いです。もし複数の会社が一緒に仕事をしているような現場なら、「他の会社からの出向社員」に対して「自社社員」を指す場合に「プロパー社員」と使用したりします。

また、「派遣社員」は所属が派遣会社ということになりますので、それと本社の社員を区別して「プロパー社員」と呼ぶこともあるようです。契約社員同様、仕事内容が正社員と変わらないことも多いため、そのように区別することに対して問題視する声もあります。

他にも、正社員内で他の社員と区別して「プロパー社員」と呼ぶこともあるようです。「生え抜き社員」など、勤続年数やキャリアが他と違う社員を指して「プロパー社員」とアピールすることもあります。

IT業界でプロパー社員と他の社員との違いは立場によって変わる

IT業界では、下請けの社員と区別して元請けの社員をプロパー社員と呼ぶ場合もあります。lT業界では外部の会社に発注を行うというのはよくあることです。直接受注した会社を元請けと言います。そこからさらに2次請け、3次請けで外部の会社にどんどん仕事が割り振られることもあり、その協力会社は下請けと呼ばれます。

この場合、元請けの社員が「プロパー社員」となります。それに対し、下請けの社員の呼び方で多いのが「協力会社」または「BP(Business Partner)」という名称です。下請けという言い方自体が上から目線のような印象で受け取られることもあるため、このような呼び方に変えているようです。

また、2次請けに対し3次請け(孫請け)の会社が存在することもあります。その場合は2次請けの会社が自社内の社員を「プロパー社員」という呼び方をすることもあります。現場によってプロパー社員と呼ぶ対象が異なってきますので、注意しましょう。

プロパーの語源は元々英語なのか？

プロパーの語源は英語の「proper」

プロパーの語源は英語の「proper」です。properの語源での基本的な意味は「適切な、適した」です。他にも、「ふさわしい、礼儀正しい、上品な」といった意味が挙げられます。

語源でのproperは「ある物の使い方」が、一般的にまたは社会的に見て「適している」、または否定形で「適していない」といった使い方をすることが多いようです。類義語には「appropriate」「suitable」などがあります。

「プロパー」と語源である英語「proper」の意味の違い

「プロパー」と英語の「proper」の意味の大きな違いは、「プロパー」が単体で名詞的な意味で使われることが多いのに対し、英語語源の「proper」が形容詞であるというところです。プロパーは他の言葉と組み合わせて熟語のように使われることも多いですが、「プロパー」のみでも意味が通じるケースがあります。

英語のproperは他の物に対して「○○が適切である」といった使い方をします。例えば、「その料理を食べるのにはスプーンを使うのが適切である(正しい)」といった言い方が挙げられます。そのものを使うこと自体が「正解」か「間違い」であるかという視点で使うことが多いようです。

それに対し、日本語のプロパーはプロパー社員を「プロパーさん」と呼んだりもします。言葉単体で意味が通じたり、役割や立場を示す使い方をしているということです。英語の語源であるproper単体ではその人物の立場のことを指したりする使い方はしませんので注意しましょう。

分野によって異なるプロパーの言葉の意味は？

分野によってプロパーの言葉の意味は変わってくる

ビジネス以外でもプロパーという言葉は使われていますが、分野によって意味は変わってきます。例えば学問の分野で使うときには「専門の」「本格的な」といった意味合いが多いようです。

他にも金融や物流、ファッションの分野でも「プロパー」という言葉が使われています。その場合は他の単語と組み合わせて「プロパー○○」という熟語の形で使われるケースが多いです。

学問の分野におけるプロパーの意味

学問分野で使われているプロパーの用語に「○○学プロパー」という言葉があります。「○○学本来の」「○○学固有の」という意味です。または人を指して、「○○学を専攻している」という意味でも使われます。

例えば、「それは社会学プロパーの課題である」といえば「それは社会学固有の課題である」という意味です。また、「心理学プロパーの学生」という呼び方であれば「心理学を専攻している学生」ということになります。

医療の分野におけるプロパーの意味

過去には医療の分野でもプロパーという言葉が使われていました。そのときは「医薬情報担当者」のことを指して「プロパー」という呼び方をしていましたが、この語源は「proper」ではなく「propaganda」です。propagandaは「宣伝」という意味で、「(医薬品を)宣伝する人」ということになります。

医薬情報担当者とは、製薬会社の営業を担当している人物のことです。営業とは言っても医薬品の販売促進を行うことが目的ではありません。医療機関に訪問して医薬品の使い方や安全性を伝え、同時に調査を行うことが主な業務内容です。

しかし、当時「プロパー」と呼ばれていた頃は、過剰な価格交渉や接待なども行われていたようです。現在はMR(Medical Representative)という呼び名に変更されており、業務内容も情報の提供がメインに変わっています。

プロパーの熟語とその意味は？

プロパーの熟語①プロパー商品

プロパーの熟語1つ目は「プロパー商品」です。プロパー商品とは、卸売業者から小売業者に卸される正規商品のことで、流通業界やアパレル業界でよく使われます。また、正規のショップのことを「プロパー店」と呼び、そこに置かれている品をプロパー商品と呼んだりもします。

プロパー商品はアウトレットと違い、基本値下がりすることが少ないようです。値下がりするとしたら年に数回のバーゲンのみで、その率もあまり高くありません。そのため、消費者の中には「プロパー商品を買わない」という人もいるようです。

プロパーの熟語②プロパー価格

プロパーの熟語2つ目は「プロパー価格」です。バーゲンなどの安売り価格ではない「正規の価格」「固有価格」という意味で使われます。ファッション業界ではプロパー価格、すなわち定価で売れた比率が占める割合を「プロパー消化率」と呼び、基準にしていることも。

プロパー価格の同義語には「メーカー希望小売価格」や「フルプライス」といった言葉が挙げられます。対義語は「ディスカウント」「バーゲン価格」「セール価格」などです。

プロパーの熟語③プロパー融資

プロパーの熟語3つ目は「プロパー融資」です。「プロパーローン」と呼ばれることもあります。銀行などの金融機関が直接融資を行う時に使われる用語です。融資する側が融資した額を回収できない場合、「貸し倒れ」という損失になることがあります。金融機関がこのリスクを負うため、審査が大変厳しいというのが現状です。

プロパー融資の対義語には信用保証協会を介する「保証付き融資」があります。貸し倒れのリスクを回避するために、信用保証協会による保証を付けるという仕組みです。融資してもらう側にとっては、保証料が別途掛かるというデメリットがあります。

プロパーの熟語④プロパーカード

プロパーの熟語4つ目は「プロパーカード」です。プロパーカードとは、国際ブランドのライセンスを持った企業が直接発行したクレジットカードのことを指します。対象の企業は現在「アメリカン・エキスプレス」「ダイナースクラブ」「JCB」の3つです。

しかし最近では意味が変わってきており、他にも「プロパーカード」と呼ばれるカードが存在します。国際ブランドのライセンスは持っていませんが「自社で発行している」という条件を満たしているクレジットカードのことです。例えば、「三井住友VISAカード」や「イオンカード」がこれに該当します。

プロパーの対義語と類語は？

プロパーの対義語は明確には存在しない

企業や業界によって、プロパーの使われ方は異なります。そのため明確な対義語は存在しないと言えるでしょう。しかし、プロパーという言葉が他の立場や言葉と区別して使われる場合が多いので、場合によって違う対義語が存在しているということになります。

プロパーの対義語にあたる言葉

例えば「プロパー社員」の場合、「新入社員」を指すのであれば「中途入社の社員」が対義語ということになります。「正社員」であれば「正社員以外の契約社員や派遣社員、パート、アルバイト」などが対義語になるでしょう。

他にはファッションの分野で出てきた「プロパー価格」に対しては「セール価格やバーゲン価格」など、値引きされた金額が対義語ということになります。

プロパーの類語も明確には存在しない

プロパーの類語は対義語と同じく明確には存在しないと言えます。しかし同じような意味を持つ言葉はありますので、それで言い換えをするということは可能です。

例えば、「正式な」という言葉が類語になります。「プロパー商品」は「正式な商品」と言い換えられます。他にも、「専門の」という類語で「社会学プロパー」は「社会学専門の」と言い換えられるでしょう。

プロパーという言葉の意味を正しく理解しよう

プロパーという言葉は場面によって様々な使われ方をしています。そのため、一概に「こういう意味です」というのは難しい言葉と言えるでしょう。特にビジネス面で「前のときにはこういう使い方だった」と決め付けてしまった場合、相手に意味が通じなかったり、場合によっては失礼にあたったりすることも。

そのようなことを避けるため、ある程度気をつけて使うべき言葉と言えるでしょう。また、語源である英語とも意味が異なる点にも注意が必要です。他にも一つの言葉で意味が色々あるケースはたくさんあります。以下の記事が参考になりますので、ぜひ合わせて読んでみてくださいね。

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