漸くの漢字の読み方知ってる?さんずいに斬るという単語の意味・例文

「漸く」という漢字、どう読むかわかりますか?この漢字は「ようやく」という読み方をします。日常的によく使用される単語ですが、一般的に使用される意味とは異なる意味もあります。そこで今回は、「漸く」の意味や、なぜ「さんずいに斬る」と書くのかについてご説明していきます。

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漸くの正しい読み方は?

漸くの正しい読み方:ようやく

勉強する女性

漸くの正しい読み方は「ようやく」です。日常生活ではあまり使われない単語ですので、読み方を間違えやすい漢字でもあります。特に「しばらく」「ひらめく」と読み間違えてしまう人が多いようです。

とある記者が行なった「読み間違えた漢字ランキング」で4位にランクインしてしまったこの漢字。異なる読み方だと、パソコンなどで変換も出てきませんし、何より恥をかいてしまいかねません。しっかり読み方を覚えて、間違えてしまうことのないようにしましょう。

漸くの意味とは:やっとのことで・次第に・かろうじて

パソコンを見つめる女性

「漸く」という言葉の意味について説明します。この漢字は「ようやく」と日常生活で使われるときと、ほぼ同じ意味を持ちます。「何かを実現するまでに、多くの手間や時間をかけた様」を表します。何かを成し遂げるのに苦労した、という意味を含めて「やっとのことで」という意味を含むのです。

また、「時間が経つに伴って、徐々に物事が達成されていく・変化していく様子」を表現して、「次第に」という意味を持つようになったと言われています。更に、「なんとかギリギリのラインで目標が達成できた」という「かろうじて」の意味も持っています。

苦労や手間、長い時間をかけた末に、何かが達成できた様子を表すのが、この「漸く」という単語なのです。すぐに達成できたことや、とりわけ苦労していないときなどには、この単語は使えませんので注意が必要です。

漸くの漢字の成り立ちは?さんずいに斬ると書く理由

「漸く」の漢字の成り立ち:水を斬る様子

水

「漸く」の漢字の成り立ちについて説明します。この「漸」という漢字は、見て分かる通り「水を斬っている様子」から作られた漢字だと言われています。「流れている水を斬り、流れを導き出す」という状況から、この漢字は生まれたと言われているのです。

さんずいに斬ると書く理由:困難な様子を表すため


困難に直面する女性

なぜ「漸く」はさんずいに斬ると書くのでしょうか?その理由は、「困難な状態・様子を表すため」です。「さんずいに斬る」という漢字を当てることで「水の流れを斬ること」を表しています。しかし、そのような状況は実現するのが難しいですよね。実現できるにしても、時間や手数がかかってしまうものです。

「ようやく」という単語が持つ「時間と手数がかかる」という意味を漢字で表現しようとして生まれたのが、「さんずいに斬る」と書くこの「漸」という漢字なのです。さんずいに斬ると書く語源を知っていれば、「しばらく」などのような読み間違いも防ぐことができます。是非この機会に、漢字の語源も覚えてみてください。

漸くはこうやって使う!使い方と例文

「漸く」の使い方例文①わからない問題を解く方法を漸く見つけた

解き方をひらめいた男性

「漸く」の使い方例文の1つ目は、「わからない問題を解く方法を漸く見つけた」です。この例文は、「長い期間ずっと理解することができなかった難題の解き方を、様々な苦労を経てやっと見つけた」という意味合いで使用されています。「さんずいに斬る」の漢字の語源が、最も強く反映されている意味です。

ここでの「漸く」の意味としては、「望まれていたことが、長い年月や努力の結果やっとのことで実現した状態」です。ですので、この意味で使われる「漸く」には喜びなどのポジティブな意味合いが強く含まれています。

また、この意味で使われるときは、年月や時間だけでなく手間や苦労があった様子も表します。やりきった状況や達成感なども同時に表現しているのです。普段日的に使用される「漸く」という言葉の大半は、この意味で使用されていると言えるでしょう。

「漸く」の使い方例文②漸く秋が近づいてきた

秋

「漸く」の使い方例文の2つ目は、「漸く秋が近づいてきた」です。これは、「夏からゆっくりと季節が移り変わり、秋の装いに変わってきた」という意味合いで使用されています。文脈が似ているため、最も多く使われる「望んできたことが実現した状態」の意味だと解釈されてしまいがちです。

ここでの「漸く」の意味は、「だんだんと時間をかけて変化していく様子」です。この使い方をされる場合は、喜びや悲しみなどの感情は含まれません。あくまで「変化していくさま」を表すだけです。

「漸く」は「やっとのことで」という意味合いで使われることの多い単語です。加えて、意味で使異なる場合の文章の違いなども、明確に存在しません。変化していく様子を表すために「漸く」を使った場合も、違う意味で捉えられてしまいがちです。ですので、「徐々に」「だんだん」などの言葉で置き換えたほうが良いでしょう。


「漸く」の使い方例文③漸く数学の試験に合格することができた

合格

「漸く」の使い方例文の3つ目は、「漸く数学の試験に合格することができた」です。これは、「及第点ぎりぎりで赤点を免れ、合格した」という意味合いで使用されています。同時に「一歩間違えば叶うことはなかった」といった、切羽詰まった状態も意味しているのです。

ここでの「漸く」の意味は、「なんとかギリギリ実現することができた」です。奮闘し、努力を積み重ねた結果、かろうじて目標が達成できた様子を表します。こちらの意味で使われるときは、「大変だった」「難しかった」などの感情を含みます。

ただしこちらの意味で使うときも、文脈などに差がないため「やっと実現した」という意味に捉えられてしまいがちです。「なんとかなった」ような状態を表したい時には、「漸く」という言葉は使わないほうが良いかもしれません。

「漸く」の使い方例文④彼らが漸く憩う様子を眺める

休憩する男女

「漸く」の使い方例文の4つ目は、「彼らが漸く憩う様子を眺める」です。これは「ゆったりと休憩している様子を見る」という意味合いで使用されています。この「漸く」は「のんびりと」「おもむろに」といったゆったりとした状態を表しており、元々の語源である「さんずいに斬る」の本来の意味はあまり反映されていません。

この使われ方は現代ではほとんどされていません。しかし、昔の小説や古記などでは使われている意味です。昔の書物に「漸く」という言葉が出てきたときは、「ゆっくりと」という言葉を当てはめると、意味がわかるかもしれません。

漸くの対義語と類語にはどんな言葉がある?

漸くの対義語・読み方①直ぐに

時間を気にする男性

漸くの対義語の1つ目として「直ぐに」という言葉があげられます。「直ぐに」の読み方は「すぐに」です。この言葉の意味は「ただちに」「時間をおいていない様子」「手間が全くかからない様子」です。「直ぐに目的地までたどり着くことができた」「目指していた点数に、直ぐに手が届いた」などの使い方ができます。

「漸く」には「時間をかけてやっと実現する」という意味があるため、時間がかかっていない状態を表す「直ぐに」は対義語であると言えます。また、「漸く」は「苦労した様子」を表すこともあるので、こちらの意味においても「直ぐに」は「漸く」の対義語だと考えることができます。


また、「直ぐに」は「すぐ近くにある」という使い方をすることもあります。このような距離を表すような意味は「漸く」にはありません。ですので、こういった距離を表すときに「漸く」は「直ぐに」の対義語とはなりません。「遠くにある様子」を表す場合に「漸く」は使えませんので、注意が必要です。

漸くの対義語・読み方②早くも

カレンダー

漸くの対義語の2つ目として「早くも」という言葉があげられます。「早くも」の読み方は「はやくも」です。この言葉は「時間の流れや物事の進み具合が、想像していたよりもかなりはやい様子」を表します。例文として「早くも5年の月日が流れた」のような使い方ができます。

「漸く」には「時間がかかった様」「物事がなかなか思うように進行しなかった様子」などを表すため、「早くも」は「漸く」の対義語だと言えるでしょう。ただし、「速くも」という漢字は、「漸く」の対義語として使えません。「速くも」は物理的な速度しか表すことができず、時間経過の意味を持たない単語だからです。

「あのランナーははやくもトップに躍り出た」など、物理的に速度がはやい様子を表すときには「速くも」という漢字が当てはまります。一方、時間の流れがはやい様子は「早くも」の方の漢字が使用できます。はやいものは何かを考え、漢字を当てはめることが重要です。

漸くの類語・読み方①到頭

夢を抱く男児

漸くの類語の1つ目として「到頭」という言葉があげられます。「到頭」の読み方は「とうとう」です。例文として、「幼い頃から夢見てきたことが到頭かなった」のような使い方ができます。

「到頭」には「長い間望んでいた状態に、最終的になる」という意味があります。「長い時間をかけた」という意味が、「漸く」の類語であると言えるでしょう。ただし、「漸く」は実現したことにのみ使用しますが、「到頭」は叶わなかった場合にも使用するので、その点は注意が必要です。

漸くの類語・読み方②間一髪

間一髪な男性

漸くの類語の2つ目として「間一髪」という言葉があげられます。「間一髪」の読み方は「かんいっぱつ」です。例文として、「新幹線に間一髪で間に合った」のような使い方ができます。

「間一髪」には「ギリギリで」「なんとか」など、切羽詰まった状況を表す意味があります。「漸く」にもこの意味が含まれているので、類語だと言えるでしょう。ただしこの単語は、一般的な「漸く」の意味である「長年望んだことが叶う」といった意味合いは持ちませんので、注意が必要です。

また、こちらに「ぎりぎり」という言葉についての記事を載せておきます。ぎりぎりの敬語表現などを詳しく知りたいかたは、是非こちらの記事を参考にしてみてください。

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「ようやく」の意味を持つ英単語①at last

英語教師

「ようやく」の意味を持つ英単語の1つ目として、”at last”という単語があります。これは「やっとのことで」という意味を持ち、「最終的に辿り着いた状態」を表す事のできる単語です。また、at length”や"finally”なども、同じ意味で使用できる英単語です。

”at last”を使った英文として、次のような文章があります。「At last she got married.(ようやく彼女は結婚した)」

「ようやく」の意味を持つ英単語②narrowly

教室

「ようやく」の意味を持つ英単語の2つ目として、”narrowly“という単語があります。これは「かろうじて達成することができた」という意味を持ちます。”barely"という単語も同じ意味を持つので、この単語でも「ようやく」という意味を表すことができます。

”narrowly“を使った英文として、次のような文章があります。「I passed this examination narrowly.(私はようやく試験に合格した)」

「ようやく」の意味を持つ英単語③gradually

子どもに勉強を教える女性

「ようやく」の意味を持つ英単語の3つ目として、”gradually”という単語があります。これは、「ようやく」が持つ意味の中の「だんだんと移り変わる様子」「時間とともに変化していくさま」などの意味を持つ単語です。「苦労した」などの意味は含まれませんので、使用の時には注意が必要です。

”gradually”を使った英文として、次のような文章があります。「The trouble is gradually down.(その騒動はようやく収まってきている)」

「漸く」は様々な意味を持つ言葉

「漸く」には、主に使用される「長年苦労して叶える」という意味の他に、「ゆっくりと」「すんでのところで成功する」「徐々に移り変わる」という意味を持っています。「さんずいに斬る」と書かれる由来なども含めて意味を覚えた上で、この「漸く」という言葉を使ってみてください。


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