意趣返しの意味とは?誤用や類語と英語も|復讐/仕返し
「意趣返し」とは、何を意味する言葉でしょうか?仕返し、復讐、恨みなど、いくつかの候補が頭をよぎりますが、イマイチはっきりしませんね。誤用の心配もあるので、しっかりとまとめてみたいと思います。類語や英語表現とあわせてご覧ください。
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目次
意趣返しとは?意味や語源は?
意趣返しの意味①恨みや遺恨のあまり仕返しをすること
意趣返しの意味の1つ目は、「意趣」と「返し」の組み合わせであれば、恨みや遺恨のあまり仕返しをすることだということです。仕返しといっても、瞬間的な感情からではなく、長年つもりつもった恨みを、相手に返すことを意味します。
意趣返しの意味②「意趣」とは恨みや遺恨のこと
意趣返しの意味の2つ目は、「意趣」とは、恨みや遺恨の気持ちだということです。また、他者から、いやな仕打ちを受けた場合に、恨みや遺恨が蓄積していく状態のことも表します。
ただし、「意趣」という言葉には、他にもいろいろな意味が含まれています。「返し」と一緒に使用されているのであれば、恨みや遺恨の気持ちという意味に限定されます。しかし、「意趣」だけであれば、次のような豊富な意味で用いることが可能です。
- ・心の向かうところ、または意向
- ・行きがかり上やめられないこと、または意地
- ・なんらかの理由、または事情
- ・言わんとすること、または意味
その他の意趣の意味
意趣返しの意味③「返し」とは仕返しや復讐をすること
意趣返しの意味の3つ目は、「返し」とは、仕返しや復讐をすることだということです。正確にいえば、他者にされたことに応じて、こちらからも何かをすることになります。つまり、良いことをされれば、良いことを返すという意味です。しかし、「意趣返し」の「返し」に関していえば、仕返しや復讐という意味に限定されます。
意趣返しの語源は南史まで遡る
意趣返しの語源は、中国から伝わったものです。7世紀の中国で編纂された「南史」という史書に、「意趣」の記述があるとされています。しかし、当時は「心の向かうところ」や「理由」のような意味で使用されていました。
「恨み」という意味が加わったのは、日本の中世以降だと考えられています。鎌倉時代の随筆として有名な『徒然草』に、「恨み」という意味で用いられている文章がみられます。
意趣 【出典】徒然草 「いかなるいしゅかありけん」 [訳] どんな恨みがあったのだろうか。
引用元: Weblio古語辞典
中国の史書や、『徒然草』のような古典などを語源としている言葉は、他にもたくさんあります。しかし、現代では使用頻度も下がっているので、意味がよく分からないものが多いですね。こちらの記事で紹介されている「さながら」も、意味や使い方、例文をチェックしておきたい言葉です。
意趣返しの使い方とは?例文5選!
使い方と例文①ちょっとした仕返しの意味で使う
使い方と例文の1つ目は、ちょっとした仕返しの意味で使うものです。「これぐらいのことなら」と、自分や他者が判断している場合に使うことができます。例文としては、「ささやかな意趣返しぐらい許してほしい」のようなものになります。
「ささやかな~」という表現が、あまり深刻な仕返しの内容ではないということを表していますね。ほかにも、「小さな~」「これぐらいの~」「ほんの~」のような表現とあわせて、似たような意味で使えます。
使い方と例文②誰の復讐なのかを明らかにして使う
使い方と例文の2つ目は、誰の復讐かを明らかにして使うものです。実際に行う仕返しが、自分のものであるとは限りません、身内やお世話になった人の代わりに、復讐をするケースもあります。
例文としては、「恩人の意趣返しのために今日まで励んできた」のようなものになります。ここでは、お世話になった恩人の復讐のために、仕返しを計画してきたということが分かりますね。自発的なものであれば、よほどひどい仕打ちを恩人が受けたと捉えることができます。
使い方と例文③対象者を明らかにして使う
使い方と例文の3つ目は、誰に向けた復讐なのか、対象者を明らかにして使うものです。自分に対してひどい仕打ちしたのは誰なのか、誰に対して復讐したいと願っているのかを、ハッキリと告げながら使います。
例文としては、「彼女の行動は、元恋人への意趣返しだった」のようなものになります。この場合、仕返しの対象者は、元恋人であることが分かりますね。恨みを積もらせるほどの、何をしてしまったのでしょうか。
使い方と例文④いつからの恨みか明らかにして使う
使い方と例文の4つ目は、いつからの恨みによる仕返しなのかを、明らかにして使うものです。「意趣」には、恨みが蓄積していく状態という意味が含まれているため、簡単に解消できるものではないということを強調することができます。具体的な年月を告げることができれば、より効果的となります。
例文としては、「10年前のあの日から、いつか意趣返ししてやろうと思っていた」のようなものになります。10年前という具体的な年月を明らかにすることで、恨みの深さが如実に現れています。
使い方と例文⑤復讐の方法を明らかにして使う
使い方と例文の5つ目は、復讐の方法を明らかにして使うものです。嫌味を口にするだけで留めるような小さなものから、経済的または社会的に打撃を受けるものまで、方法はさまざまです。どのような手段に出るのかで、恨みの深さを測ることができますね。
例文としては、「上司は、下請けの会社に出向させるという、意趣返しに出た」のようなものとなります。この場合、左遷させるという、なかなかに深刻な手段に出ていますね。よほど、相手を怒らせてしまったことが窺えます。
復讐の方法はさまざまですが、嫌がらせなどの仕打ちを受けても、できるだけ大人の対応をしていきたいものですね。同じレベルに陥ってしまうので、相手にやり返すだけが、すべてではありません。こちらの記事で紹介している、大人の対応の仕方をチェックしてみましょう。
意趣返しの誤用例とは?
誤用例①「意趣返しのために手にかけた」
誤用例の1つ目は、「意趣返しのために手にかけた」のような使い方です。相手を殺すなどの、身体的な危害を加えるために、手を出すことには用いることができません。精神的、経済的、社会的な打撃につながる行動をおこすというイメージが強いものなので、誤用となります。
戦国時代や江戸時代など、斬った斬られたということが多かった時代には、「意趣討ち」や「意趣斬り」という使い方で区別していました。恨みを晴らすために、相手を殺すことや、人を斬ることを意味する表現です。現代で実行してしまうと、完全な犯罪なので、使用されることは無くなったと考えられます。
誤用例②「さっきの意趣返しだ」
誤用例の2つ目は、「さっきの意趣返しだ」のような使い方です。意趣は、恨みや遺恨を意味する言葉となっています。そのため、恨みが溜まるほどの仕打ちを受けていなければ、用いることはできません。意趣返しを使うには、それなりの期間、それなりの仕打ちを受けている必要があります。
足を踏まれたから、その場でやり返すなどの場合は、「仕返し」という言葉を用いたほうが適切ですね。小さな出来事に対して、瞬間的にやり返すという行動の場合は、誤用を避けるため言葉の選び方に注意しましょう。
誤用例③「何もしていないのに意趣返しされた」
誤用例の3つ目は、「何もしていないのに意趣返しされた」のような使い方です。「返し」という表現がいっしょに使用されていることから、「他者からひどい仕打ちを受ける」という前提が必要となります。
つまり、例文のように、何もしていないのに、被害をこうむるようなことをされても「意趣返し」とはならないのです。むしろ、こちらがやり返す立場ですね。相手の存在を意識して、誤用とならないよう注意しましょう。
意趣返しの類語の使い方例文とは?
類語の使い方例文①「報復する」
類語の使い方例文の1つ目は、「報復する」です。相手の行為に対して、やり返すという意味を持つので、とても近い類語となっています。意趣返しは、恨みなどの、強い感情を表しますが、報復は感情の強さがあまり見えないことが特徴です。淡々とやり返す、という感じですね。
また、「◯◯国の行為に対して、報復措置をとる」のように、「国家間の出来事」に対しての仕返しという意味も含みます。仕返しのスケールも、だいぶ大きなものになりそうな類語です。
類語の使い方例文②「仇討ちをする」
類語の使い方例文の2つ目は、「仇討ちをする」です。仇討ちは、侍が自分の主君や家族などを殺害した者に対して、殺すことでやり返す行為のことを指します。とくに江戸時代に行われていた慣習ですね。現代では、殺すこと以外の仕返しという意味に転じています。
例えば、「赤穂浪士は、主君の仇討ちのために集結した」であれば、相手を殺すことを意味します。「試合に負けた先輩の仇討ちだ」のような使い方であれば、試合でやり返すという意味となります。現代のほうが、殺伐とした含みがなくて、有言実行しやすいですね。
類語の使い方例文③「雪辱を果たす」
類語の使い方例文の3つ目は、「雪辱を果たす」です。「雪辱」は、恥や汚名をぬぐうことや、名誉を取り戻すことを意味します。つまり、恥をぬぐって名誉を得ることを果たした場合に使える言葉です。
例えば、「前回の雪辱を果たした」のような使い方がありますね。スポーツの試合などで、前回負けた相手に勝利した場合、よく見られる表現です。恨みという意味は薄く、どちらかというと、ポジティブな意味の類語となっています。
意趣返しの英語の使い方例文とは?
英語の使い方例文①同等の害を与える表現
英語の使い方の1つ目は、自分が受けた仕打ちと、同等の害を与えるという意味の「get even」を使ったものです。誰に対して害を与えるのか、ということを明示したい場合は「with」を加えて対象者を明らかにすると良いでしょう。
例えば、「Mary wants to get even with her boyfriend who cheated on her」であれば、「メアリーは、浮気した彼に意趣返しをしたい」と、翻訳することができます。
英語の使い方例文②受けた仕打ちを相手に戻す表現
英語の使い方の2つ目は、戻る、帰ってくるという意味の「get back」を使ったものです。ポイントは、前置詞の「at」を加えることです。例えば、「Maybe, she’s getting back at you」であれば、「彼女から意趣返しされるんじゃないかな」と、翻訳することができます。
「at」を付け忘れてしまうと、「彼女はあなたを取り戻すんじゃないかな」のような意味になってしまうので、気をつけてくださいね。
英語の使い方例文③強い敵愾心を意味する表現
英語の使い方の3つ目は、強い敵愾心を意味する「revenge」を使ったものです。外来語としての「リベンジ」は、再挑戦するという意味で、ポジティブにやり返すことを意味する場合が多いですね。しかし、英語の「revenge」には、ポジティブな意味は含まれていないので注意が必要です。
例えば、「He swore that he would revenge on his enemies someday」であれば、「彼は、いつか敵に復讐してやることを誓った」と、翻訳することができます。強い敵愾心が感じられる表現ですね。強すぎるので、英語で使うときは、場面を選びます。
意趣返しはできるだけ避けよう
意趣返しは、他者からの仕打ちに恨みを募らせて、仕返しすることを意味します。しかし、昔から、人を呪わば穴二つというように、やり返したからといって心が晴れるとは限りません。恨むほどの相手と同じように、自分も害をこうむる可能性が高いのです。
使い方もいろいろ紹介しましたが、言霊という概念を信じるなら、悪い言葉を口にすることで悪い結果を招いてしまいそうです。使い方を知るだけに留めて、明るい未来のために、できるだけ使用は避けましょう。
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