掛け率とは?相場と仕入れ値の計算方法と上代・下代の意味も
みなさんは「掛け率」「6掛け」「卸値」などの言葉を耳にしたことはありませんか?小売り業などの相場や仕入れ値に深く関係しているこれら言葉。あなたはこれらの意味を正しく理解できていますか?今回はこれらの言葉の正しい意味や、使い方、計算方法を知って、明日からのビジネスシーンで役立てましょう。
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目次
掛け率とは?意味と英語での使い方は?
掛け率とは定価に対する卸値の割合のこと
小売業界や営業などのお仕事に携わっている方は特に「掛け率」という言葉を耳にする機会があるのではないでしょうか。この掛け率とは、小売店などの販売会社がメーカーや業者から商品を仕入れるときの仕入れ値を決める際の割合、商品の定価(小売価格)に対する卸値(仕入れ値)の割合のことをいいます。
言い換えますと、小売店などの販売会社の立場から見た場合、商品を定価の何パーセント(何割引き)で仕入れができるのか。メーカーや業者の立場から見た場合ですと、商品を定価の何パーセント(何割引き)で販売するのか、その割合が掛け率です。
掛け率は、「6掛け」(6がけ)、「7掛け」(7がけ)などともよく言われます。6掛けとは60パーセント(6割引き)を意味し、したがって、7掛けとは70パーセント(7割引き)という意味合いになります。ビジネスの現場では、こちらの言い方のほうが日常的によく使われているのではないのでしょうか。
掛け率を表す英単語はない
海外のメーカーや業者との取引で商品を仕入れたい場合ももちろん掛け率は発生しますが、実は掛け率を表す英単語は存在しません。では、掛け率を英語で伝える為、実際の取引で使われている言葉についての一例を見てみましょう。
直訳すると「商品を買って仕入れる(仕入れ値)」という意味の「purchase price」という風に表現することで相手に伝わる形になると思います。
掛け率の計算方法とは?
仕入れ値は定価×掛け率で求められる
仕入れ値(卸値)を計算して割り出す場合、定価×掛け率で計算できます。掛け率を求める場合は、仕入れ値(卸値)を定価で割ると計算できます。こうしてみると、簡単な計算で割り出せることがわかります。
特に小売業や営業のお仕事に携わっている方は掛け率とその計算については業務を行う上で理解しておいたほうが良いかと思いますので、具体的な数字を使いながら、掛け率の計算について説明していきます。
掛け率の計算の具体例①6掛けで仕入れる時の仕入れ値(卸値)の計算
例えば、定価14900円の商品を掛け率60パーセント(6掛け)で仕入れるとします。その際の仕入れ値(卸値)を求める計算式は…14900(定価)×0.6(掛け率)で8940円(仕入れ値)ということになります。
掛け率の計算の具体例②7掛けで仕入れる時の仕入れ値(卸値)の計算
今度は、定価19000円の商品を掛け率70パーセント(7掛け)で仕入れる場合の仕入れ値について計算してみましょう。…19000(定価)×0.7(7掛け)で13300円(仕入れ値)という風に求められます。
掛け率の計算の具体例③エクセルを使って計算する
エクセルを使えば掛け率を使った計算を簡単に行うことができます。例えば、定価8800円の商品を掛け率60パーセント(6掛け)で仕入れる場合は…A1のセルに0.6(掛け率)を入力し、A2のセルに8800(定価)を入力し、A3のセルに記号のイコールとA1*A2を入力すると計算ができます。
掛け率の相場とは?業界で違いはあるの?
掛け率にははっきりとした相場はない
このように仕入れの場面で重要になる掛け率ですが、この掛け率はどのように決定されているのでしょうか。大体の相場や、条件があるものなのでしょうか。実は掛け率にははっきりとした相場はありません。
なぜなら、仕入れる量や小売店などの販売会社とメーカーや業者との付き合いの長さ、これまでの付き合いの中での販売数の実績などが大きく影響しているため、流動的に掛け率が変動することがあるのです。
そのため、掛け率を決定する際には、その時々の条件で仕入れ先と交渉してみる余地が出てきます。スーパーで販売されている野菜を例にとってみるとイメージしやすいかもしれません。野菜は季節や天候によって収穫量が変わる為、価格の変動が起こるように、条件次第では掛け率を変更してもらえるかもしれません。
業界や商品によって相場は違うが6掛けか7掛けが多い
先ほどの項目で述べたように、掛け率にははっきりとした相場がないものですが、業界や取り扱う商品の種類によって異なるようです。おおよそではありますが、6掛け(6割引き)や7掛け(7割引き)であることが多いともいわれています。
交渉次第で掛け率を変更できる可能性があるので、仕入れ先に掛け率を低くしてもらえる条件を問い合わせてみたり、長期的な取引を視野に入れてしっかりとコミュニケーションをとることを意識してみるといいかもしれません。
ぜひ仕入れ先と良好な関係を築いて、さらにそれを長く維持していけるように目指していきたいものです。そのためのヒントとして、以下のリンクの記事も参考になるかと思いますので、ぜひ読んでみてください。
掛け率と一緒に覚えておくべき言葉とは?意味は?
掛け率と一緒に覚えておくべき言葉①上代の意味とは
「上代」とは「じょうだい」と読み、流通業界において、商品の小売価格として設定されたもの、つまり定価のことをいいます。メーカー希望小売価格、プロパー価格とも呼ばれます。小売業に携わっている方はプロパー価格という言葉を使う機会が多いのではないでしょうか。
掛け率と一緒に覚えておくべき言葉②下代の意味とは
「下代」とは「げだい」と読み、流通業界において、小売店などの販売会社がメーカーや業者から商品を購入する価格(仕入れ価格)のことをいいます。仕入れ値、卸価格、卸値とも呼ばれます。上代と対になる言葉ですので、ぜひ覚えておきましょう。
掛け率と一緒に覚えておくべき言葉③売価の意味とは
定価はメーカーが定めた価格であるのに対し、売価は小売店などの販売会社が決定した実際に販売する価格のことをいいます。私たちが普段店頭で目にし、実際に購入時にお金を支払っているのがこの売価ということになります。
掛け率と一緒に覚えておくべき言葉④原価の意味とは
商品の仕入れ値、もとねのことをいいます。また、商品の生産や販売にかかった原材料費や人件費などのすべての費用を商品の単位当たりでいくらになるかを計算した値を指す意味としても使われますが、今回は前者の意味での解釈をします。
掛け率と一緒に覚えておくべき言葉⑤売上の意味とは
定価や仕入れ値などは一切関係なく、小売店などの販売会社が有形の商品を販売して得た代金のこと、純粋にその商品がいくらで売れたか、その金額を指す言葉です。比較的この言葉はよく耳にする言葉ではないでしょうか。
掛け率と一緒に覚えておくべき言葉⑥営業収益の意味とは
先ほどの項目で述べた売上と今回の項目でお話する営業収益との違いは明確な区別をする定義があいまいな為、解釈が難しいところではありますが、ほぼ同じ意味で使われます。
売上は商品の販売などの有形のサービスで得た金額を指す言葉として使われるのに対し、営業収益は手数料などの無形のサービスで得た対価を指す言葉として使われます。
掛け率と一緒に覚えておくべき言葉⑦利益の意味とは
簡単に説明しますと、定価8000円の商品を6掛けで仕入れ、その商品が7500円で売れたとします。そうすると、8000(定価)×0.6(掛け率)で仕入れ値は4800円ということになります。それが7500円で売れたということなので、7500(売上)-4800(仕入れ値)でその差額の2700円が利益です。
この「利益」という言葉には5つの種類があるのをご存知でしょうか。①売上総利益、②営業利益、③経常利益、④税引前当期純利益、⑤当期純利益というように5つの種類に分類してそれぞれの利益について細分化して詳しく見ることができます。
これらのうちの③経常利益については、以下のリンクの記事も参考になるかと思いますので、関心を持たれた方はぜひ読んでみてください。
掛け率と一緒に覚えておくべき言葉⑧利益率の意味とは
掛け率とは初めに述べた通り、定価に対する卸値の割合のことですが、利益率とは、実際の販売価格に対する利益の割合のことをいいます。簡単に言い換えますと、売上高から見て、何パーセントの利益が発生したのかを示した割合のことです。
仕入れにかかった費用や人件費などの諸費用を売上高で割った数値に100を掛けると利益率を割り出すことができます。利益率が高いほど、効率よく利益を得ることができているという見方ができます。
掛け率と一緒に覚えておくべき言葉⑨粗利の意味とは
粗利とは、企業の売上のみで見た場合の収益をおおよそで表したものです。売上高から商品の仕入れや、製造などにかかった費用である売上原価を差し引いた値がこの粗利です。売上原価以外にかかる経費についてはここでは含まれていないため、おおよその収益ということになります。
また、「売上総利益」ともいわれますが、どちらかというと、粗利という言葉の方が実際のビジネスの現場ではなじみがあるという方が多いかもしれません。
掛け率と一緒に覚えておくべき言葉⑩純利益の意味とは
純利益とは、企業が出した利益から法人税などのコストを差し引いて、最終的に当期にどのくらいもうけが出たのかを表した値のことを指します。また、「当期純利益」ともいわれますが、どちらかというと、純利益という言葉の方が実際のビジネスの現場ではなじみがあるという方が多いかもしれません。
掛け率を低くして商品を仕入れるコツとは?
大量に仕入れて掛け率を低くする
先ほど掛け率にははっきりとした相場はなく、交渉の余地があるものであると述べましたが、まさに掛け率を低く仕入れるための交渉の条件としてどの程度の数量、または金額で仕入れればよいのか仕入れ先に確認してみましょう。
自社でその商品を年間どのくらい仕入れて販売したいのかの予定を立てて、まとまった数量を仕入れる代わりに掛け率を低くしてもらうなど、仕入れ先に交渉してみましょう。大手のディスカウントストアなどでは一度に大量の仕入れを行うことで、掛け率を低くしてもらう取引をしていることもあるそうです。
お互いに利益を見込める内容であれば仕入れ先側も交渉してみる価値が出てくるのではないかと思います。そして長期的に見て仕入れと販売の実績を作り、仕入れ先との関係を深め信頼関係を築いて、今後の取引につなげていきたいものです。
仕入れ先とのコミュニケーションを積極的にとる
先ほど掛け率の相場についての項目で述べたように、掛け率は相場がはっきりしていないものであるということでしたが、そうであるがゆえに、基本的には仕入れ先との交渉が可能であるケースが非常に多いようです。
そのため、日頃から仕入れ先とは積極的なコミュニケーションを図ることを心がけるようにしましょう。満足のいく取引を行えるまでには多少の時間がかかるかもしれませんが、この場合も長期的に考えれば、仕入れ先から有益な情報や条件を得られるように信頼関係を築いていく一つの方法だと思います。
このように、仕入れ先とのコミュニケーションや交渉がとても重要になってきますが、この大事な交渉の時間を有効に使う為に、以下のリンクの記事も参考になるかと思いますので、ぜひ読んで実践に役立ててみてください。
掛け率とは私たちの暮らしにとって身近な数字
もう一度おさらいしますと、掛け率とは、小売店などの販売会社がメーカーや業者から商品の仕入れを行う際の商品の定価に対する卸値の割合であり、6掛け(6割引き)や7掛け(7割引き)という言葉でやり取りされることが多く、その割合にははっきりとした相場は存在せず、企業同士の付き合いが大きく影響するものです。
「掛け率」という言葉はビジネスシーン以外ではあまり使われることがないものですが、こうして見ていくと、案外私たちの暮らしの身近なところに存在している数字であることがわかります。小売業や営業職についている方にはぜひ覚えておいてもらいたい言葉や計算ですので、これからの業務に役立てていただけたらと思います。
また、これから小売業や営業職に挑戦してみようと検討中の方も知っておくと今後役に立つかもしれません。身の回りの流通経済に深く密接している掛け率について知っていると、消費者として買い物をする際にもまた新しい視点を持つことができるのではないでしょうか。
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