万夫不当の意味は?語源や使い方・一騎当千/百戦錬磨などの類語も
「万夫不当」は、なんだか勇ましい響きが特徴的な言葉ですね。いったいどんなときに使うものなのでしょうか。類語にも、「一騎当千」や「百戦錬磨」という、そうそうたる顔ぶれの言葉が揃っています。詳しい意味や使い方をマスターしてみましょう。
※商品PRを含む記事です。当メディアはAmazonアソシエイト、楽天アフィリエイトを始めとした各種アフィリエイトプログラムに参加しています。当サービスの記事で紹介している商品を購入すると、売上の一部が弊社に還元されます。
万夫不当の意味や語源は?
万夫不当の意味や語源①万人が立ち向かっても敵わないという意味
万夫不当の意味や語源の1つ目は、「万人が立ち向かっても敵わない」という意味だということです。「万夫(ばんぷ)」と「不当(ふとう)」という語から成り立っている、四文字熟語ですね。「万夫」は、万人にも値する、数多くの人を表しています。
また、「不当」の「当」は、敵対するという意味を持ちます。「不」は、打ち消しの語として使われる漢字ですね。「不当」とすることで、敵対するにあたわないことや、立ち向かっても敵わないことを意味します。
つまり、「万夫不当」と組み合わせることで、「万人が立ち向かっても敵わない」という意味になるんですね。とても強そうなニュアンスを持つ四文字熟語となっています。
万夫不当の意味や語源②三国志でも用いられる剛強な人を表す言葉
万夫不当の意味や語源の2つ目は、剛強な人を表す言葉だということです。万人が相手になっても負けることがないと感じさせる、強い人を形容するためのものとなっています。とくに歴史小説で、武将の強さを表現するのに用いられます。
例を挙げると、古代中国における「三国時代」の歴史がまとめられた『三国志』が有名ですね。作家の司馬遼太郎が、並外れた武勇を誇った武将を表現するために、「万夫不当」を用いています。
とくに、『三国志』最強の武将と謳われる「呂布(りょふ)」は、数十騎で数万の兵に突撃したという伝説を残しています。なるほど、「万夫不当」という形容が用いられるわけですね。
万夫不当の意味や語源③現代では人並みはずれた実力を持つ人を表す言葉
万夫不当の意味や語源の3つ目は、現代で使用する場合は、人並みはずれた実力を持つ人を表す言葉だということです。『三国志』の時代と比べると、現代は、争いごとは皆無といっていいほど平和な現代ですね。
しかし、仕事の場やスポーツでの競い合いが、戦場にとって代わったとも捉えられます。そのため、ビジネスやスポーツといった分野で、人並みはずれた実力を持つ人を形容する言葉ともなります。
万夫不当の意味や語源④語源は李白の詩
万夫不当の意味や語源の4つ目は、語源は中国の詩人である、李白が残した詩にあるということです。『三国志』に登場した国の一つである、「蜀(しょく)」の国に到達するための道の厳しさを詠った『蜀道難(しょくどうなん)』という詩に登場する一節が由来となっています。
蜀の関所は、険しい地形で、守りに有利な場所にありました。李白が詩の中で、「一人が関所を守れば、万人で攻めても開くことができない」と表現したことが、「万夫不当」の語源になったと考えられています。もともとは、人を形容していたのではなく、難攻不落の関所を形容する言葉でした。
『三国志』のエピソードが語源となって、現代にまで伝わる表現は、ほかにもたくさんあります。こちらの記事では、「泣いて馬謖を斬る」という表現の意味と、三国志での背景を紹介しています。読み方などとあわせてチェックしてみましょう。
万夫不当の類語や対義語は?
万夫不当の類語①一騎当千
万夫不当の類語の1つ目は、「一騎当千(いっきとうせん)」です。「一騎」とは、馬に乗った一人の兵士を意味します。「当千」は、千人の敵を相手にできる実力があることを表します。
「一騎当千」は、万夫不当と同じように、人並みはずれた武勇を持つ人を形容する類語です。現代ではビジネスやスポーツで頭角を表す人に用いる点も同じです。
ただし、「万夫」は、「万」という漢字を用いていますが、「とてもたくさんの人」という意味なのでで、具体的な数の上限は設けられていません。「一騎当千」は、「千人」という具体的な数字を表しています。具体的という点が異なっている類語ですね。
万夫不当の類語②百戦錬磨
万夫不当の類語の2つ目は、「百戦錬磨(ひゃくせんれんま)」です。「百戦」は、数多くの戦いを意味します。また、「練磨」は、鍛えて磨き上げることを表します。
転じて、「百戦錬磨」は数多くの戦いに身を置いて、武芸を磨いたり経験を積んだりすることを意味します。剛強な人や、さまざまな経験を積んだ、実力派の人を表す類語です。現代においても、「百戦錬磨」は、ビジネスやスポーツの世界で用いてもおかしくない表現となっています。
「万夫不当」や「一騎当千」、「百戦錬磨」といった表現も、すべては敵があってのものです。敵に対しての表現もチェックしてみたいと思った方は、こちらの記事に目を通してみましょう。「会敵」という、少し特殊な表現の意味を知ることができますよ。
万夫不当の対義語①人海戦術
万夫不当の対義語の1つ目は、「人海戦術(じんかいせんじゅつ)」です。「人海」は、遠目から海に見えるほど、人の集団がそろっていることを意味します。「戦術」は、戦闘を行ううえでの作戦のことですね。
読んで字のごとし、数の力で敵の軍を押し切る作戦のことを言います。ビジネスにおいても、多くの人を動員して、仕事を完了させるやり方を意味します。一人で万人を相手にする意味の、万夫不当とは、反対の意味ですね。
万夫不当の対義語②多勢に無勢
万夫不当の対義語の2つ目は、「多勢に無勢(たぜいにぶぜい)」です。敵の数に対して、味方の数が少ないことを表します。転じて、少人数で大勢の敵に立ち向かっても、勝ち目がないことを意味する言葉です。万夫不当の意味を、完全に否定する対義語となっています。
万夫不当の使い方や例文は?
万夫不当の使い方や例文①歴史上の武将に対して使う
万夫不当の使い方や例文の1つ目は、歴史上の武将や武勇に優れた人物に対して使うものです。使い方としては、いちばん基本的なものですね。例えば、「三国志には、関羽や張飛を始めとした、万夫不当と呼ぶにふさわしい武将が数多く登場する」のような例文になります。戦国時代の歴史に詳しい人は、ぜひ使ってみましょう。
万夫不当の使い方や例文②格闘技の選手に対して使う
万夫不当の使い方や例文の2つ目は、格闘技の選手に対して使うものです。現代において、公の場で戦いを職業とする、数少ない人たちですね。人並みはずれて、優れた戦績を残した選手に対して使うとよいでしょう。
例えば、「ボクシングの世界チャンピオンの中でも、彼ほどの実力を持つ選手は珍しい。万夫不当の男と言っても過言ではないだろう」のような例文が考えられます。
万夫不当の使い方や例文③スポーツ選手に対して使う
万夫不当の使い方や例文の3つ目は、スポーツ選手に対して使うものです。オリンピックやワールドカップなど、ときに国を代表して戦うことがある人たちですね。こちらも、人並み外れた記録や成績を残した選手に対して使うと良いでしょう。
例えば、「どんなディフェンスも突破して、ゴールを決めた○○選手は、まさに万夫不当の勇士だ」のような例文が考えられます。激しい戦いを乗り越えた選手に対して使ってもOKです。
万夫不当の使い方や例文④ビジネスマンに対して使う
万夫不当の使い方や例文の4つ目は、ビジネスマンに対して使うものです。企業戦士とも呼ばれるように、まさに現代の戦場に身をおく人たちですね。該当する人が最も多い分野でしょう。人並みはずれて仕事ができる人や、大きな事業を手がける人に対して使ってみましょう。
例えば、「会社トップの販売成績を叩き出し続ける彼は、万夫不当の働きを見せている」のような例文が考えられます。同期のエースやできる上司レベルではなく、会社のトップに近い地位にいる人に使うと良いですね。
万夫不当の使い方や例文⑤人以外に対して使う
万夫不当の使い方や例文の5つ目は、人以外に対して使うものです。語源である、李白の詩で用いられた一節では、難攻不落の関所に対して使っていました。現代に関所はありませんが、スポーツのチームや、会社そのものなどに対して使ってもおかしくありませんね。
例えば、「この市場は、A社がほぼ独占したと言ってもいい。もはや万夫不当の存在だね」のような、使い方の例文が考えられます。向かう所敵なしといった、勢いのあるチームや会社に使ってみましょう。
万夫不当のように夫がつく熟語は?
万夫不当のように夫がつく熟語①匹夫之勇
万夫不当のように夫がつく熟語の1つ目は、「匹夫之勇(ひっぷのゆう)」です。「匹夫」は、身分の低い人を表す表現で、とくに思慮が足りない人を指します。「勇」は、「勇気」を示す言葉として捉えられます。
「匹夫之勇」という四文字熟語となることで、思慮が足りない人が一時的に見せる、感情に任せた勇敢さのことを言います。どちらかというと、悪い意味で使われる言葉です。
万夫不当のように夫がつく熟語②漁夫之勇
万夫不当のように夫がつく熟語の2つ目は、「漁夫之勇(ぎょふのゆう)」です。「漁夫」は漁師のことで、「勇」は「勇気」を意味します。荒波に漕ぎ出し、海の中で恐ろしい思いをしても、漁師は海に出ることをやめません。
転じて、どんなに悪い出来事と遭遇しても、いつかは良い出来事が巡ってくると信じて勇気を持って物事に取り組むことを意味する言葉となっています。
万夫不当のように夫がつく熟語③役夫之夢
万夫不当のように夫がつく熟語の3つ目は、「役夫之夢(えきふのゆめ)」です。「役夫」は、屋敷などで働く使用人のことを意味します。「夢」は、眠っている間に見る夢のことですね。
中国の故事で、昼間は忙しくこき使われる使用人が、眠っている間は夢の中で王様のように振る舞えるから問題ないと答えたことが由来となっています。転じて、人の栄華は、夢のように儚いという意味の言葉となります。
万夫不当のように夫がつく熟語④嗇夫利口
万夫不当のように夫がつく熟語の4つ目は、「嗇夫利口(しょくふりこう)」です。「嗇夫」は下級の役人のことで、「利口」は口が達者なことを表します。身分が低いが、口がよくまわる人を指す熟語です。
中国の昔の皇帝が、口が達者に下級の役人を取り立てようとして、口がまわるだけの男を昇進させても混乱のもとにしかならないと、家臣に諌められた故事からきました。
万夫不当の英語表現は?
万夫不当の英語表現①向かう所敵なしという表現
万夫不当の英語表現の1つ目は、向かう所敵なしというニュアンスで使える表現です。万夫不当そのものを的確に意味する表現はありませんが、近いニュアンスのものは存在します。
例えば、「He/she is unstoppable」のような英語ですね。勢いがあって、誰も止められない様子を表します。また、無敵や不死身を意味する「Invincible」を使っても良いでしょう。万人であたっても敵わない、万夫不当らしい表現ですね。
万夫不当の英語表現②一騎当千にも使える表現
万夫不当の英語表現の2つ目は、類語の一騎当千にも使える表現です。強力なことや強大なことを意味する「Mighty」と、戦士を意味する「Warrior」を用いた、「Mighty warrior」という表現があります。
EXILEのメンバーなどがプロデュースするドラマ「HiGH&LOW」でも登場する表現ですね。こちらでは、「一騎当千の兵(つわもの)たち」という意味で用いられています。
万夫不当の英語表現③百戦錬磨にも使える表現
万夫不当の英語表現の3つ目は、類語の百戦錬磨にも使える表現です。「Battle hardened soldier」という英語があります。ポイントは、「鍛えられた」や「強くなったと」いう意味の「hardened」を用いていることですね。戦い慣れした、歴戦の手強い兵士を意味します。
転じて、「Battle hardened soldier」は、百戦錬磨に近い意味の、ベテラン兵士も意味するので、覚えておくと便利です。
現代を生きる企業戦士にとって、英語は必須技能とも言えるスキルなのではないでしょうか。剣や槍の代わりに、英語を駆使して日々戦う人もたくさんいますね。他の英語表現も身に着けて、武器を増やしましょう。こちらの記事などが、便利につかえますよ。
万夫不当は現代でも通用する
万夫不当は、三国志などの戦いに明け暮れていた時代に活躍した、英雄に対して使われる表現ですね。ほかにも、「一騎当千」や「百戦錬磨」といった、戦にまつわる表現が、数多く現代に伝えられています。
争いとは無縁の平和な現代では、需要がない言葉に見えますが、そうではありません。争い場が、ビジネスやスポーツのなどの世界に移っただけで、今日も厳しい戦いを繰り広げている人たちがいます。万夫不当の人は、意外と身近にいるかもしれませんよ。
商品やサービスを紹介する記事の内容は、必ずしもそれらの効能・効果を保証するものではございません。
商品やサービスのご購入・ご利用に関して、当メディア運営者は一切の責任を負いません。