眼福の意味とは?誤用・使い方・例文や耳福といった似た言葉についても
今ではあまり見かけなくなった言葉、眼福についてご存知でしょうか。景色や絵画など、目に入った美しいもので幸せになったときに使われる言葉です。今回は、眼福の意味や使い方についてご紹介します。福眼といった誤用や耳福などの類語も参考にしてください。
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眼福の意味とは?
眼福の意味①目の保養
眼福の意味1つ目は、目の保養です。見ていて幸せになることで、目の正月や目の薬とも言われます。眼福は中国由来の言葉で、日本語では「がんぷく」、中国語では「イエンフウ」と読みます。話し言葉として使われるよりは文面で見かけることが多いようです。硬い印象を与えるので、儀礼的な場面でも使えます。
見ていて幸せになるといえば、美しい造形のものや景色が挙げられます。男性が女性によく目の保養や眼福といった言葉をかけますが、その場合は相手の女性が美人だと思っているからです。ちなみに、男性は目から入る情報を重要視する傾向があり、そのため顔や体の造りが美しい女性に惹かれやすくなります。
眼福の意味②珍しいものを見て気分が良くなること
眼福の意味2つ目は、珍しいものを見て幸せになることです。同じものを見続けていると、どんなに好きなものでもマンネリになってきます。珍しいものを見るということは、新鮮な気分になって脳にも良い影響を与え、ハッピーにしてくれます。それに、貴重な絵画や動物などは見れただけでも幸運に感じますね。
珍しいという言葉の定義は、滅多に見られないものという他に素晴らしいという意味もあります。万葉集にも異性を褒める言葉として登場することから、かなり前の時代から使われている言葉です。他に、奇妙や異常など特出したものに対して使われ、悪い意味でも使用されています。
眼福の誤用は?
眼福の誤用①福眼
眼福の誤用1つ目は、福眼です。眼福をひっくり返したような言葉で、インターネット上で発生したスラングとなります。主にイラストに対しての賞賛の意味で使われています。オタク界隈でよく目にする福眼は、普通にネットサーフィンしている分にはあまり見かけない言葉です。
間違えて福眼を使ってしまうと、相手に縁起の良い眼のことだと勘違いさせてしまいますので注意しましょう。ちなみに、福耳はあっても福眼はありません。
眼福の誤用②感服
眼福の誤用2つ目は、感服です。眼福とよく似た響きで間違えられやすい感服には、感心して尊敬するという意味になります。ちなみに、服は服従の意を表すもので衣服とは関係ありません。感心とは意外性のある行動に感じ入るという意味合いがあるため、上から目線になります。なので、感服は目上の方には使えません。
眼福の使い方・例文は?
眼福の使い方①眼福にあずかる
眼福の使い方1つ目は、「眼福にあずかる」です。「あずかる」は恩恵を受けるという意味があり、素晴らしいものを見れた恩恵に感謝するということになります。ちなみに、「あずかる」を漢字で書くときは「与る」です。「預かる」ではないので気を付けてください。「預かる」では保管するという意味になってしまいます。
例文にすると、「この度は眼福にあずかりありがとうございました」となります。目上の方に眼福を使って感謝を伝える場合に使われます。「この度は」と「眼福」の間に何を見たかを入れて伝えるとスマートです。自分が見たいものを公開するようにお願いするときは、「眼福にあずかり願います」とします。
「眼福にあずかる」の類語に「眼福を授かる」があります。こちらは素晴らしいものを見る機会を頂いたとなり、ほぼ同じ意味合いになります。「授かる」という言葉の意味は、お金で手に入らないものを与えられることです。「眼福にあずかる」の方が一般的なため、滅多に使われません。
眼福の使い方②眼福です
眼福の使い方2つ目は、「眼福です」です。美しいものを見た感想を伝えるときにこの言い方をします。「眼福にあずかる」よりはくだけた言い方なので、近しい人に対しても使われます。眼福は名詞なので、丁寧語をそのまま付けられます。動きがない言葉のため、「眼福した」などと動詞にすることはできません。
例文にすると、「美術館の絵画は眼福です」となります。「眼福です」の前は見て幸せになった対象物が来ます。絵画などの物体の他に俳優の演技など、形がないものの表現にも使えます。ちなみに、この対象物は名詞で表します。動いているものを見て感動したときには名詞に直して使ってください。
眼福の使い方③眼福の極み
眼福の使い方3つ目は、「眼福の極み」です。眼福でとどまらない感動を伝えるときに使われます。後には敬語を使えば目上の方に、普段の言葉を使えば身近な人に使えます。大変な賛美を意味する言葉のため、シンプルな使い方が活きます。他の言葉はごちゃごちゃと飾り立てないようにしましょう。
例文にすると、「このような景色を見ることができて眼福の極みです」となります。この「景色」の前に「素晴らしい」とつけると、過剰になるので避けましょう。どんな景色かは「眼福の極み」で表現されているので、賞賛する意味合いのある形容詞は必要ありません。
眼福の使い方④眼福々々
眼福の使い方4つ目は、眼福々々です。眼福の極みと同じように非常に感動したときに使われます。眼福の極みよりはスラングに近い言葉のため、インターネット上で使っている方をよく見かけます。読み方はがんぷくがんぷくで、別の書き方をすると眼福眼福になります。眼福福福ではないので間違えないようにしましょう。
例文にすると、「あんなに見られるなんて、眼福々々」となります。眼福を強調するために、文面の最後に置いて使われることが多いようです。目を引く表現でキャッチーな印象のため、ブログなどのタイトルに使われることもあります。人によっては、間に点を入れて「眼福、眼福」という使い方をしています。
眼福の使い方⑤眼福の至り
眼福の使い方5つ目は、「眼福の至り」です。「至り」とは物事の最高潮を表し、眼福を超えた表現をするときに使われます。「極み」と似たような意味ですが、「至り」は終着点を意味する言葉でもあるため、「眼福の極み」よりは抑えた言い方になります。
例文にすると、「先生の小説に目を通せて眼福の至りです」となります。基本的に「眼福の極み」と同じように文章を組み立てます。文章も目に入るものなので、眼福を使って賞賛することができます。感激しながら落ち着いた印象を与えるので、ビジネスや儀礼的な場面に向いた言い方です。
眼福の使い方⑥眼福の光景
眼福の使い方6つ目は、「眼福の光景」です。素晴らしい眺めという意味の言葉で、景色以外に性的な光景でも使われます。眺めの良いことを表現する言葉は沢山ありますが、眼福を使うことでスマートに表現できます。一方で眼福だと感じるには個人差があるため、人によっては素晴らしい眺めでないものもあります。
例文にすると、「あの地方の景色は、まさに眼福の光景でした」となります。眼福の光景のみでは何の光景なのかが分からないので、前にどんな場所なのかやどんな場面なのかを説明する主語を置きます。小説の文章では、「眼福の光景が広がっていた」と素晴らしい眺めを説明するために使われています。
耳福・口福とは?
耳福とは|聞いていて幸せになること
耳福とは、聞いていて幸せになることです。耳福は中国の言葉で、中国語で読むと「アーフウ」です。この言葉は「じふく」という日本語読みはあるものの、日本には存在しません。音楽はもちろん声など耳にするものは耳福の対象となります。
耳福は存在しない言葉のため、敬語としては使えません。その代わりの言葉を使って賞賛します。例えば、「カナリアの鳴き声は響きが良いですね」となります。声なので響きを使っていますが、演奏の場合は「素敵」や「素晴らしい」という言葉を使うのが無難です。
口福とは|美味しいもので幸せになること
口福とは、美味しいものを食べて幸せになることです。読み方は「こうふく」で、日本に存在する言葉です。眼福などと同じく中国由来の言葉で、中国語では「コーフー」と読みます。ちなみに、美味しいものを食べると脳内に幸せホルモンが分泌されて、頑張ろうという気力が湧いてくると言われています。
中国といえば世界の三大料理にも選ばれるほど美味しい料理がありますね。元は中国から入ってきた日本の料理といえば、豚の角煮やラーメンが代表的です。日本も中国に負けずグルメの多い民族なので、口福は受け入れやすい言葉だったと思われます。
誰かと食事をするときは食べ物を勧めることもありますね。そんなときに使われる、「お召し上がりください」についてはこちらの記事で知ることができます。
眼福の使い方を知ろう
眼福の意味や使い方、耳福や口福といった類語についてご紹介しました。眼福は死語とされて別の言い方が使われているだけに、適切な使い方ができれば好印象を与える言葉です。福眼などの誤用に注意して、正しく使いましょう。
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