特定派遣廃止はいつから?派遣法改正で労働者・企業はどうなるのか
派遣法改正によって施行された内容の1つとして特定派遣廃止がありますが、いつから開始されるかご存知でしょうか。派遣法改正によって一般派遣との区別がなくなり契約期間も3年と変更になりました。今回は特定派遣廃止がいつから始まるのかや、企業や労働者はどうなるのかについて紹介します。
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派遣法改正とは?いつから?
派遣法改正とは労働者派遣法を改善したもの
派遣法改正とは派遣労働者を守るために1986年に施行された労働者派遣法を、時代や働き方、環境の変化によってより良い法にするために行われる改定のことを指しています。当時の派遣は特別な技能が必要になる13業務に対して、外部から手を借りる目的として作られました。
その後ソフトウェアの開発や財務処理など専門的な技能やスキルを必要とする職業が新たに加わり政令26業務として26業務に拡大されるようになりました。この当時の労働者派遣法では、同じ企業や事業所での派遣期間は最長でも1年と定められていました。
派遣法改正によって派遣業務の自由化へ改正
労働者派遣法は派遣法改正によって1999年に政令26業務以外の業務であっても派遣労働者を雇うことが可能になりました。しかしながら、派遣期間は政令26業務は3年に対して、それ以外の業務は最長1年までと区別されていました。
さらに2000年以降になると派遣法改正が何度か実施されており、派遣動労者の働きやすい環境づくりを目的とした改正が行われました。2012年には、派遣動労者の働き方や環境が大きく変わる内容の派遣法改正が実施されました。
- ・日雇い派遣は原則禁止
- ・グループ企業内での派遣を規制
- ・離職後の1年以内での派遣受け入れの禁止
- ・派遣会社の取り分等の情報公開の義務
【2012年】派遣法改正
【いつ】2015年には更に派遣労働者環境が改善
いつが派遣法改正の最新の形態かというと、2012年の派遣法改正から3年後の2015年にも改正が行われ、更に派遣労働者の働き方や制限が改善され働きやすい環境へと変化していきました。その中でも注目されているものとして、政令26業務に指定された特定派遣の廃止があげられます。
この特定派遣廃止によってIT業界などの専門的な技術を必要とする企業では、派遣労働者を維持するために業務改革が行われています。今回は2015年に施行された特定派遣廃止について、以下で詳しく解説していきます。
- ・労働者派遣事業の許可制
- ・キャリアアップ実施の義務
- ・均衡待遇を推進する
- ・労働契約申込みみなし制度が新たに追加
- ・期間制限の見直し
【2015年】派遣法改正
下の記事では、正社員になれない場合の対策や原因などについて紹介しています。仕事をするなら正社員を目指したいという人も多いですが、やみくもに働くのではなくしっかりと対策を練って正社員を目指しましょう。ぜひこちらも参考にしてみてください。
特定派遣廃止とは?いつから?
特定派遣廃止で一般派遣と特定派遣の区別がなくなる
特定派遣廃止とはこれまで一般派遣と特定派遣の2種類に分かれていた派遣労働者の形態を廃止し、区別をなくした派遣法改正です。これまで一般派遣は派遣先が決定することで派遣会社との雇用契約が結ばれるスタイルで、事前に派遣会社に登録した後に、お仕事を紹介してもらう流れでした。
また特定派遣では派遣会社と常に雇用するというのが条件とされているため、一般派遣の形態と比べると雇用契約が安定しておりゆるやかな規制でした。2015年の派遣法改正によってこれら2つの区別がなくすことで、派遣労働者の雇用の安定をはかり働きやすい形態へと変化しました。
【いつ】特定派遣廃止の経過措置は3年後の平成30年まで
特定派遣廃止が実際にいつ開始されるかというと、派遣法改正の2015年の施行から3年間の平成30年9月29日までは経過措置が設けられました。この3年間の内に特定労働者派遣事業の届出をしている場合は、労働者派遣事業への切り替えが必要となります。
しかしながらこれまで特定労働者派遣事業の届出をしていた企業の中には、許可制となり様々なクリア条件がある労働者派遣事業への切り替えが困難となっている企業もあります。
下の記事では働いている人なら誰でも発生する所得税について紹介しています。所得に応じて決まっている所得税について、どのように決められているかしらないという人はぜひチェックしてみてください。また派遣労働者でも扶養控除申告書の提出が必要となっているため、しっかりと確認しておきましょう。
特定派遣廃止の影響は?
【どうなる】特定派遣廃止の影響①IT業界では取得困難
特定派遣廃止よって派遣業界を取巻く環境はどうなるのか1つ目に紹介するのは、中小規模の会社では労働者派遣事業の取得が困難な状況であるということです。これは労働者派遣事業が許可制になっただけでなく、新たに基準が設けられたことに起因しています。
そのため中でもIT業界の中小規模のシステム会社では、労働者派遣事業の条件をクリアすることが難しいという声が多くあがっています。労働者派遣事業の主なクリア条件としては、以下のとおりです。
- ・現金と預金が1500万円(×事業所数)以上
- ・貸借対照表の資産が2000万円(×事業所数)以上
- ・雇用管理経験3年以上の人を派遣元責任者に配置
- ・20平米以上の広さの事業所(暗黙とされるルール)
労働者派遣事業の認可取得の主な要件
【どうなる】特定派遣廃止の影響②偽装請負が再浮上
特定派遣廃止よって派遣業界を取巻く環境はどうなるのか2つ目に紹介するのは、過去に問題となった偽装請負が再浮上が可能性があります。IT業界は準委任契約に基づいて、顧客先に常駐して開発に取り組むスタイルが一般となっています。
偽装請負とはこの準委任契約と表面上ではしておきながらも、実際には発注側の常駐先の指揮や命令を受けて業務を行っていることをです。これは職業安定法や労働者派遣法などの労働する上の法の禁止事項に触れることになります。この偽装請負は労働局の長年の働きかけによって、世の中に浸透し減少していきました。
しかし特定派遣廃止によって労働者派遣事業の許可がとれない会社が増えることで、減少傾向であった偽装請負問題が、再浮上する可能性が考えられます。これはエンジニア不足が問題となっているIT業界においては、さらに拍車がかかる要因となることも考えられます。
【どうなる】特定派遣廃止の影響③経営状況にもダメージ
特定派遣廃止よって派遣業界を取巻く環境はどうなるのか3つ目に紹介するのは、一般派遣の許認可ができない企業によってはいつ経営が傾くか分からない、もしくは経営困難な状況に陥る可能性があります。労働者派遣事業の許可が下りない場合、契約を終了するか準委任契約に切り替えるしか方法がありません。
しかしながら数年前の偽装請負問題を機に、準委任契約を全て派遣契約に切り替えたという企業も多く、顧客がこのような場合には労働者派遣事業の許可がないと契約の継続が行えず、売上が最悪の場合0となる可能性も大いに考え、いつまで経営存続できるのかという深刻な問題になりかねません。
【どうなる】特定派遣廃止の影響④受け入れ先にも影響
特定派遣廃止よって派遣業界を取巻く環境はどうなるのか4つ目に紹介するのは、派遣労働者を受け入れる企業にも影響があるということです。特定派遣廃止によっていつ契約の打ち切りといった事態になるかは分からず、エンジニア不足が問題となっているIT業界では深刻な問題となっています。
企業によっては考えられる影響の予測を行い、派遣労働者を含む外注に対しての見直しを行っており、いつ事態が起きてもいいように準備を実施しています。
IT業界においてのエンジニア不足について紹介しましたが、最近耳にすることも増えた2020年問題のテーマの1つとしてもあげられています。下の記事では2020年問題とは何なのかや、いつどういった問題があるのかについて詳しく紹介しています。ぜひこちらの記事と合わせて参考にしてみてください。
特定派遣廃止がいつから実施されるかを知って対策することが大切
派遣法改正施行によって決まった特定派遣廃止がいつから実施されるのか、またそれによって出来る影響によってどうなるのかについて紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。派遣契約期間が3年に統一され環境は改善されましたが、その反面多くの企業に影響があります。
大切なことはしっかりと特定派遣廃止によって起きるメリットやデメリット・いつ開始されるのかを把握し、それにむけて対策や準備をしておくということです。
派遣法改正によって派遣契約期間は最長で3年に変更となりましたが、派遣契約を更新したくない場合もあるかもしれません。下の記事では派遣契約を更新しない場合においての、理由の伝え方や、いつまでに断ったらいいのかについて紹介しています。ぜひこちらと合わせてチェックしてみてください。
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