「できない」の正しい敬語表現を解説!言い換え表現やメールでの使い方も!
「できない」の敬語表現をご存知でしょうか?上司や取引先、お客様からの無理難題に、「できない」とそのまま言っては失礼になります。正しい敬語を使いましょう。こちらでは「できない」の丁寧語や謙譲語、言い換えた表現やビジネスメールの例文などをご紹介していきます。
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目次
「できない」の敬語表現|丁寧語は?
丁寧語①できません
「できません」は、「できる」の丁寧語である「できます」を否定形にしたものです。丁寧語としては正しい敬語表現ですが、端的に使うと相手に失礼に当たります。他の敬語を用いて多くを語る中に混ぜ込んで使うくらいなら、辛うじて許容されることもありますが、基本的にはビジネスの場では使わないようにしましょう。
丁寧語②できないです
「できないです」は、「できない」の末尾に丁寧語の「です」を付けて敬語にしたつもりの、ほぼタメ口です。相手に対して大変失礼ですので、ビジネスの場で使ってはいけません。
丁寧語③できませんでした
「できませんでした」は、丁寧語の「できません」に丁寧語の「です」を更に重ねて過去形にしたものです。「できません」と違って、こちらはビジネス敬語として、社外の相手にも使うことが出来ます。任された仕事を完遂出来なかったことを報告する際に使われる丁寧語です。
- ・ご期待に沿うことはできませんでした
- ・ご要望にお応えすることは出来ませんでした
「できませんでした」の使用例
「できない」の敬語表現|謙譲語は?
謙譲語①できかねます
「かねる」は、「しようとしてもできない」「するのが難しくできない」の意味を持つ言葉で、これ自体が「できない」を婉曲に表現し、ビジネスではよく使われます。末尾に丁寧語の「ます」も付いていて、敬語としては間違っていません。ただ、「できかねます」と言ってしまうとせっかくの婉曲表現がかなり直接的になってしまうので、実際には使わない方がいいでしょう。
謙譲語②いたしかねます
漢字を使う場合は「致しかねます」と書きます。「できない」の敬語表現において、ビジネスシーンで使うべき敬語は、この「いたしかねます」です。ただ、「いたしかねます」だけでは、何が「できない」のかは表現できません。
引き受けられないのなら「お引き受けいたしかねます」、対応できないのなら「ご対応いたしかねます」「対応は致しかねます」のように、「できない」ことを「いたしかねます」の前に付けて使います。使い方の傾向としては「ご(お)○○致しかねます」の表現はメールで、「○○は致しかねます」の表現は電話などの口頭で使われる傾向があります。
- ・ご返答いたしかねます
- ・修理は致しかねます
「いたしかねます」の使用例
「できない」の敬語表現の言い換え方|不可能な場合
不可能①ご○○いただけません
「ご○○いただけません」は「○○できません」の意味を表す謙譲語です。「○○」には、「利用」「入場」などの、「○○する」で動詞となる名詞が入ります。自分が出来ないのではなく、相手が「○○できない」「○○することは不可能である」ことを伝える表現です。
- ・ご利用いただけません
- ・ご乗車いただけません
- ・ご入場いただけません
「ご○○いただけません」の使用例
不可能②お断りせざるを得ない
「断るしかない」という意味です。「お断りせざるを得ません」と最後まで丁寧語にするか、「お断りせざるを得ない状況です」「お断りせざるを得ないのが実情でございます」などのようにして使います。
不可能③ご容赦いただければ幸いです
「幸いです」は「してもらえたら嬉しい」などの意味です。「容赦」には「過ちや失敗を許すこと」の他に「やめること。しないこと」の意味もありますので、「ご容赦いただければ幸いです」「しないことを許してもらえると嬉しい」という意味になります。
「ご容赦」はビジネスシーンでのお断りによく使われる言葉です。「ご容赦」には、「ご容赦いただく」の他に、「ご容赦ください」「ご容赦賜る」など様々な言い方があります。
- ・ご容赦いただけますようお願い申し上げます
- ・ご容赦くださいますようお願い致します
- ・ご容赦賜りますようお願い申し上げます
「ご容赦」の使用例
「幸いです」もビジネスではよく使われる言葉です。使い方や言い換え方は、こちらの記事で紹介しています。参考にしてみてくださいね。
不可能④○○のみとさせていただきます
「○○のみ可能である」と言うことで、他は不可能であることを伝える敬語表現です。「させていただく」は「させてもらう」の謙譲語で、相手の許しを得て自分が何かをするような場合に使います。ただ、本来は相手の許可が必要でありながら、「できない」と言う場合には半ば問答無用での断り文句として使われる表現でもありますので、多用は避けましょう。
- ・お支払いは現金のみとさせていただきます
- ・ご利用は、ご宿泊のお客様のみとさせていただきます
「○○のみとさせていただきます」の使用例
不可能⑤○○をお願いしております
「○○して欲しい」と言うことで、「○○してもらわないとできない」と伝える言い方です。例えば「ご予約をお願いしております」と言えば、「予約がないとできない」の意味になります。「おります」は、「いる」の丁寧語である「おる」に更に丁寧語の「ます」を重ねた敬語表現です。
「できない」の敬語表現の言い換え方|対応できない場合
言い換え①ご要望には添いかねます
「いたしかねます」によく似た言い回しの、「かねる」を使った敬語表現が、この「ご要望には添いかねます」です。「要望には添えない」との直球勝負でありながら、かなり丁寧な言い回しとなります。電話でもメールでも、どちらでも使えるフレーズです。
言い換え②難しく存じます
「難しいと思う」と伝えることで、婉曲に「できない」と主張します。「存じます」は、「思う」「知る」の謙譲語である「存じる」に、丁寧語の「ます」が付いた敬語表現です。
「難しく存じます」には、相手の察する力に期待する面もありますので、対面ではなく電話やメールなどでは特に「簡単に済まなくてもいいから、やれ」と返されてしまう危険性があります。察してもらえなかった時は、すぐに別の敬語表現に言い換えましょう。
言い換え③ご遠慮申し上げます
「遠慮」には「控えること」の他に「やめること」「辞退すること」の意味があり、断ることの遠回しな言い方となります。そこへ更に「言います」の謙譲語である「申し上げます」を付けた「ご遠慮申し上げます」は、ビジネスに限らずよく使われる敬語表現です。
「辞退申し上げます」という言い方もあり、どちらも誘いを断るのに使います。また、「遠慮させていただく」「辞退させていただく」という言い方もありますが、こちらは「ご遠慮申し上げます」に比べると、少し敬語としてのレベルが下がりがちです。社外の相手には使わない方が良いでしょう。
言い換え④見送らせていただきます
注意すべき点は、相手に「次がある」との期待を抱かせてしまう場合があることです。これが断り文句だと知っていても、意図的に自分の都合のいいように解釈する相手もいますので、その時は別の敬語表現に言い換えましょう。文書では、「できない」を示す他の表現と重ねて使う方法もあります。
- ・せっかくですが、見送らせていただきます
- ・ご意向の沿えず申し訳ありませんが、見送らせていただきます
- ・ご要望には添いかねますので、見送らせていただきます
「見送らせていただきます」の使用例
言い換え⑤お気持ちだけ頂戴します
金品の受取を断る際に使う敬語表現です。うっかり物をもらうと困る相手や、困る職業ってありますよね。そのような場合には、「受け取ることはできない」と断らなくてはなりません。そこで、この「お気持ちだけ頂戴します」を使います。
あくまで金品の受取拒否なので、気持ちすら受け取れない相手への使用は避けてください。恋愛感情は勿論のこと、「ひとつよろしく」などの下心も、「気持ちを受け取ってもらえた」と勘違いさせてはいけません。
「できない」の敬語表現|ビジネスメールの例文
ビジネスメール①できないことを予め伝える場合
イベントなどの案内のメールを送る場合、予め、できないことを伝えて牽制しておく必要に迫られる場合があります。例えば、車での来場を断る時は「お車でのご来場はご遠慮いただけますようお願い申し上げます」、現地でキャッシュレス決済ができない場合は「現金をご用意いただけますようお願い申し上げます」などの記述をします。
ビジネスメール②「できない」と返答する場合
メールに限らず、対面でも電話でも、問われたことや要望に対応できない場合は「できない」と答えなくてはなりませんが、メールの場合は電話などよりも更にフォーマルな文語の敬語表現を心がけましょう。
例えば、メールでは回答できない問い合わせが来た場合、「大変恐縮ではございますが、この度のお問い合わせに関しましては、メールでのご対応は致しかねます」などのようになります。電話なら答えられるのであれば、「お手数をおかけして申し訳ございませんが、弊社カスタマーセンターまでお問い合わせいただけますようお願い申し上げます」と付け加えて、電話番号も書き添えておきましょう。
ビジネスメール③「できないか?」と問う場合
ビジネスでは、相手に対して「○○できませんか?」とお伺いを立てるべき機会もよくあります。その場合、「○○していただくことは可能でしょうか」「○○をお願いできますでしょうか」「○○していただけますでしょうか」などの敬語表現を使います。
- ・日程を変更していただくことは可能でしょうか
- ・ご出席をお願いできますでしょうか
- ・添付メールで送付していただけますでしょうか
「できないか?」と問う場合のメール例文
「できない」を伝える時の注意事項
①クッション言葉を使う
「できない」と言う時は、その前に必ずクッション言葉を付けましょう。どんなに丁寧に最上級の敬語表現に言い換えようとも、相手の要望や申し出を「できない」と断ることには違いありません。いきなり断るのではなく、「申し訳ございませんが」「大変心苦しいのですが」などのクッション言葉を使って、相手の受ける不快さを和らげておきましょう。
クッション言葉は、ビジネスマナーとして覚えておくべき重要な敬語です。意味や種類は、こちらの記事で紹介しています。こちらを参考にして、是非、使いこなしてくださいね。
②できない理由を述べる
理由も言わずに断るのは誠意ある対応とは言えず、大変失礼な行為です。相手が納得できる理由を述べましょう。また、「できない」の敬語には婉曲表現が多く、相手が自分に都合よく解釈するリスクが付きまといます。そこで、できない理由を述べることで、「不可能です」「対応できません」ということをハッキリさせます。
例えば車での来場を断る時、「お車でのご来場はご遠慮ください」と「駐車スペースがございませんので、お車でのご来場はご遠慮ください」では、後者の方が「できない」ことが解るでしょう。
③代案があれば示す
要望にそのまま応えることはできなくても、別の形や方法でなら対応できるのであれば、それを相手に伝えましょう。基本は、電話を受けて取り次ぐ相手が不在の場合と同じです。取り次ぐ相手がいないからって、それだけを伝えて電話を切ったりはしませんよね。
④お詫びで締める
どれほど丁寧に対応したとしても、「できない」と断った事実は変わりません。クッション言葉や対応の途中でも何度かお詫びの文言を述べているとは思いますが、最後に「お役に立てず、申し訳ありませんでした」「ご要望にお応えできず大変心苦しいのですが、ご容赦いただければ幸いです」など、お詫びの気持ちを述べましょう。
謙譲語を基本にした「できない」の敬語を使いこなそう
ビジネスでは、できないことも、それを伝えなくてはならない状況も多いです。ですが、「できない」の丁寧語は、ビジネスでは殆ど使えません。「できない」を表す謙譲語を沢山身につけて、使いこなしていきましょう。正しい敬語表現と誠意ある対応は、トラブル防止の双璧です。
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