従前の意味とは?従来との違いや従前戸籍・従前標準報酬月額の意味も

従前は従前戸籍や従前標準報酬月額などの形で法的内容で見かける言葉ですが、その意味とは?「今より前」を表す点で従来と混同されることもありますが、意味合いに多少の違いが存在しています。類語や対義語も含め従前についてご紹介していきますので、参考にどうぞ!

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従前の意味とは?

従前とは「今より前」の意味

前の時

従前とは「今より前」を意味する言葉です。意味説明には「以前」や「これまで」の言葉が用いられることもあります。「今より前」の言葉は「過去と未来の間より前」を表しているため、すなわち「過去」を意味します。

「以前」は「ある時点より前」を意味する言葉なので、これもまた要は「過去」のことです。「これまで」は「今に至るまで」の意味なので「過去と未来の間の時になる前」を表しており、「今より前」や「以前」とは少し意味合いは異なりますが、同じように「過去の時」を示す言葉として使います。

従前の意味を説明する時に用いられる言葉は全て「過去」を表すものですので、従前は「今より前」を意味する言葉とされています。本来は名詞の部類になりますが、実際に使う時には副詞的な使い方をすることもあります。

従前の読み方は「じゅうぜん」

読む

従前の読み方は「じゅうぜん」です。従前は一般的に多く用いられる表現ではないため、「じゅうまえ」と読み間違えられることが少なくありません。そのことから、念のためにお伝えしておきました。口頭で従前を使う・読む時には、読み間違えないように気を付けましょう。

「従」は「従う(したがう)」とも読まれますが、「従」を「したが・う」と読むのは訓読みになります。従前になる時のように「じゅう」と読むのは音読みです。「前」は「まえ」と読むことの方が一般的には多いと言えますが、この読み方は訓読みです。そして、従前の時のように「ぜん」と読むのは音読みとされます。

漢字が合わさり単語となる場合は読み方を合わせるのが基本であり、従前には湯桶読みなど例外的な部類には当たりません。そのため、「従」が音読みなら後に続く「前」も音読みになります。よって、従前の読み方は「じゅうぜん」となります。


従前と従来の違いは?

従来の意味

時間

従来とは「以前から今まで」や「これまで」を意味する言葉です。従前とよく混同される従来ですが、その理由は漢字も意味も似ているからでしょう。意味が似ているということは、もちろん使い方も似てきます。そして従前同様、本来名詞ながら副詞的に用いることもあります。類似点が多いのです。

従前と従来の違い

考える

意味的にはあまり違いがないと言えますが、従前の意味の中で「これまで」の言葉は「以前」などと比べて少し意味合いが違うとお伝えしました。従前と従来の違いを強いて言うなら、その点が違いや使い分けのポイントになると言えます。

従前は「今より前」の意味合いが強く、過去と未来の間にある時を表す時に適しているとされます。一方の従来は「今に至るまで」の意味合いであり、過去と未来の間にある時に来るまでを表す時に使う適しています。

この違いは「今より前の過去という時」を表しているのか?それとも「今に来るまでの過去の流れ」を表しているのか?です。「今より前の過去という時」を意味の主体にしているのは「前」が付く従前であり、「今に来るまでの過去の流れ」を主体にしているのは「来」が付く従来とされます。

従前の使い方・例文!従前戸籍・従前標準報酬月額とは?


従前戸籍

書類

従前戸籍とは、端的に言えば「前の戸籍」のことです。例文には「従前戸籍を貰う必要がある」などがあります。戸籍はそうそう変わらないものだと思われがちですが、籍が変われば戸籍も変わります。籍が変わる出来事で代表的なものと言えば、結婚や離婚です。

結婚をすると、双方のどちらかが一方の籍に入ることになります。たとえば、田中花子さんが高橋太郎さんと結婚するために婚姻届を提出しました。手続き完了後に田中花子さんは高橋太郎さんと本籍が同じになりますので、高橋花子の名前になります。

田中花子であった頃の戸籍は前の戸籍、つまり従前戸籍となります。したがって、今の戸籍になる前の戸籍が従前戸籍なのです。戸籍が変わる時は大体名字が変わる時か移住などで戸籍を移す時ですので、従前戸籍が必要になった時にはそれら出来事の前の戸籍だと考えましょう。

従前標準報酬月額

計算

従前標準報酬月額とは、「養育特例の中で言われる養育開始月の前月の標準報酬月額」のことです。例文には「従前標準報酬月額の通知をする」などがあります。養育特例とは、平成17年からある「子供が3歳になるまで標準報酬月額が減少しても年金額計算は減少前の標準報酬月額で計算する制度」です。

小さい子供の子育て中は仕事の時間を減らす方が多いのですが、仕事の時間が減ると収入も減り、収入が減ると保険料(年金の原資になるお金)が減ることになります。そういった子育て事情への計らいで誕生した制度で、父親でも母親でも子供が3歳未満なら年金事務所に申請することで適用されます。

子供が既に2歳でも2年遡って申請可能で、制度申請していなかった2年前分も対象になります。標準報酬月額改正は原則年1回、養育開始月の前月に厚生年金保険被保険者でない場合は前月1年以内直近に被保険者だった月の標準報酬月額が従前標準報酬月額になる…などルールもあるため、市役所などで話を聞くことも大事です。


従前の通り

書く

従前戸籍や従前標準報酬月額といった使い方の他、「従前の通り」の形でも使えます。戸籍や標準報酬月額は限られた場面で登場する言葉および使い方ですが、一般的な文章の中では「従前の通り」や「従前の出来事」など「従前の〜」の形にして用いることが多いです。

では、「従前の通り」という表現の意味についてお伝えしていきます。この形で用いられる「通り」には、「それと同じ状態や方法であること(そのままであること)」の意味があります。つまり、「従前のまま」=「今より前の状態のまま」ということです。

例文を「従前の通り実施する」とすれば、「今より前と同じように計画などを実際に執り行う」の意味になります。簡単に言えば「前と同じように」であり、それをかたく表現する場合には「従前の通り」を使うと良いでしょう。ビジネスシーンではかたい表現が好まれるため、「従前の通り」の出番です。

従前の類義語・対義語は?

従前の類義語は「以前・昔」

カレンダー

従前の類義語は、「以前」と「昔」です。以前には「ある時点より前」「ある段階まで至っていないこと」「今より大分前(昔)」といった3つの意味があり、従前の類語にあたるのは「ある時点より前」の意味です。「今より大分前」も類語になりますが、従前よりも「大分」の点が強調されます。

続いて、昔には「現在から時間的に遠く離れた過去の一時点または一時期(いつとは特定不可能な回想対象となる過去のある時)」と「現在と対比して捉えた過去のある時(以前)」の2つの意味があります。この2つの意味の違いは、前者は「今よりとても前」後者は「今と比べて前」を表すという点です。

後者は「ごく最近過ぎた時」を表す意味であり、従前が持つ「今より前」が表す内容と似ています。したがって、従前と類義になる意味は「現在と対比して捉えた過去のある時(以前)」の方です。以下の記事では「以降」についてご紹介していますが、違いを比べるために以前のことにも触れています。参考までにご覧ください。

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従前の対義語は「以後・向後・今後」

時計を見る

従前の対義語は、「以後」と「向後」と「今後」です。以後には「これから先のこと(今後)」と「(基準の時を含んで)ある時よりも後のこと」の2つの意味を持ちますが、従前の類語になるのは従前が持つ意味と真逆になる「これから先のこと(今後)」を表す後者の意味です。

向後は「これからのち(今後)」を意味する言葉で、読み方は「こうご」または「きょうこう」です。従前は「今より前」すなわち「これより前」を表す言葉なので、「これからのち」を表す向後は従前の対義語になります。続いて今後ですが、今後の言葉は向後と同じく「これからのち(以後)」を意味します。

そのため、向後と同じ理由(これ=今より前か後のどちらを表すのかという話)で従前の対義語になります。今後は本来名詞とされますが、副詞的に使うこともあります。以後を使用したフレーズ「以後気を付けます」については、以下の記事が参考になります。このフレーズは仕事の中でよく使うため、気になる方はご覧ください。

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従前は今より前を表す!戸籍や標準月額など使い方は様々

従前(じゅうぜん)の意味は「今より前」であり、「過去と未来の間の時」や「今に至るまで」を表す時に使います。従来も同様の意味ですが比較的に「今に至るまで」の意味合いが強く、「従前=過去の時・従来=今になるまでの過去の流れ」といった意味合いの使い分けをすることが多いです。

従前は従前の通りなどの他、従前戸籍や従前標準報酬月額といった使い方をすることもあります。従前戸籍や従前標準報酬月額は法的なことに関係したものなので、その件についてご用がある際は状況に合わせて市役所など国の施設を訪れて説明を受けましょう。


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