行く・向かうの敬語とその使い方例文5選|謙譲語/尊敬語/丁寧語
行くという表現の敬語表現には様々なバリエーションがあります。ここではその謙譲語や尊敬語、そして丁寧語の表現を紹介します。丁寧語の「行きます」をはじめとして馴染みのある言葉は多いものの、正しい使い方は社会人として再確認する価値があります。
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目次
【謙譲語】「行く」の敬語表現は?
「行く」の謙譲語にあたる敬語表現①参る
「行く」の謙譲語にあたる敬語表現の1つ目は「参る」です。「行く」という言葉は「行きます」という丁寧語表現により、相手に対して敬意を示す敬語表現が可能になるのですが敬語表現には丁寧語を上回る敬意を表す謙譲語や丁寧語という表現が存在します。「参る」は謙譲語表現であり、相手に十分な尊敬の意を表す言葉です。
「参る」をはじめとした謙譲語については自分の行動に対して使う言葉であり相手に対して謙る(へりくだる)ことで、相手を立てて敬意を表す言い回しになります。つまり、自分の立場を一段階下げることで相手を高いところに上げて敬意を示すという手法をとる表現となります。謙譲語はどれもこのようなニュアンスになります。
例えば「私が参る次第です」「私が参ります」といった言い方をするのが一般的ですが「社長様が参ります」といった言い方はしません。何故なら、「参る」については相手に対して謙る謙譲語であり、相手の行動を示す場合には謙譲語ではなく、尊敬語を使うからです。このような誤用は失礼にあたるので十分に注意しましょう。
「行く」の謙譲語にあたる敬語表現②伺う
「行く」の謙譲語にあたる敬語表現の2つ目は「伺う」です。「伺う」という表現も「参る」同様に「行く」の謙譲語表現として使います。どちらも同じ意味で使うことができる表現ではあるのですが、それぞれ使うシーンが違ってくるので注意が必要です。何故ならそれぞれの表現は敬意を払う相手が変わってくる表現だからです。
「参る」という表現は、基本的に聞き手に対して敬意を払う表現であり、自分が主体とする表現において使うことができます。それに対して「伺う」という表現は聞き手よりは訪問をする相手先に対して敬意を払う表現になります。そのため、もしも訪問する行き先に敬意を表す相手がいない場合には「伺う」を使うことができません
例えば「コンビニへの買出しは私が参ります」という表現はいいのですが「コンビニへの買出しは私が伺います」という表現は多くの場合間違いです。何故なら、前者の表現は聞き手への敬意を表すために「参ります」と伝えていますが、後者の表現においてはコンビニ敬意は表さないため「伺う」の誤用と判断されるからです。
【尊敬語】「行く」の敬語表現は?
「行く」の尊敬語にあたる敬語表現①行かれる
「行く」の尊敬語にあたる敬語表現の1つ目は「行かれる」です。この表現は「行く」の尊敬語表現であり、主に敬意を払う主体がどこかに向かうことを示す際に使われる表現です。基本的な使い方としては、現在地以外の場所に対して敬意を払う対象が向かっていく場合に使われる表現になります。
例えば現在地から違う場所へ向かうことを伝える場合には「行かれる」を使いますし、現在地にいない人が、現在地や所在地以外の場所に向かう場合に使うことになります。ほかの「行く」を表す尊敬語表現とは違う使い方をすることが多いので、使用する場合には使い方に気をつけましょう。
「行く」の尊敬語にあたる敬語表現②おいでになる
「行く」の尊敬語にあたる敬語表現の2つ目は「おいでになる」です。「おいでになる」という尊敬語表現をはじめとして「行く」の尊敬語表現は「来る」の尊敬語表現でも使うことができるものが多くあります。状況によっては「来る」のニュアンスになりますし、また違う状況を指し示す場合には「行く」の意味を示します。
例えば「社長が今からこちらにおいでになる」といった形であれば「来る」というニュアンスになりますし、「社長は来週飛騨高山の別荘においでになります」といった形であれば、ここから別の場所を示しているので、社長が来週飛騨高山の別荘に「行く」ことを示した文章になるのです。
「行く」の尊敬語にあたる敬語表現③いらっしゃる
「行く」の尊敬語にあたる敬語表現の3つ目は「いらっしゃる」です。「いらっしゃる」という表現も「おいでになる」と同様に、「来る」の尊敬語表現として使うことができます。「いらっしゃる」という表現は「来る」の尊敬語表現としての意味合いの方が強い表現ですが、使い方によっては「行く」の尊敬語表現になります。
例えば「社長は来週ご自宅を出発された後に先方の会議室までいらっしゃるようです。そのため、本社からの配車については不要です」といった形で使います。このような形で出発地点を示すことで、社長が「行く」というニュアンスを色濃く出すことができるのです。「いらっしゃる」はどちらの意味か把握し使う必要があります。
「行く」の尊敬語にあたる敬語表現④お越しになる
「行く」の尊敬語にあたる敬語表現の4つ目は「お越しになる」です。「お越しになる」は「いらっしゃる」以上に「来る」の尊敬語の要素が強い表現ですが「おいでになる」「いらっしゃる」同様に「行く」の尊敬語表現としても使うことができる表現ですので、他の尊敬語表現と使分けられるようにしましょう。
例えば「社長は来週、展示会にお越しになるようです」という表現は「社長は来週、展示会に行かれるようです」と言い換えることができます。ただし、他の尊敬語表現と同じように、目的地が現在地になる場合には「来る」というニュアンスになるので、起点や目的地をしっかり示す使い方を心がける必要があります。
【丁寧語】「行く」の敬語表現は?
「行く」の丁寧語にあたる敬語表現は「行きます」
「行く」の丁寧語にあたる敬語表現は「行きます」です。敬語には丁寧語・謙譲語・尊敬語がありますが、この「行きます」という表現は丁寧語に該当し、謙譲語・尊敬語よりは丁寧さに劣るものの使用できる幅が非常に広い言葉であり、使い勝手のいい敬語表現と言えます。目上の人から部下や同僚まで幅広く違和感なく使えます。
「行きます」という表現は「私が岩手まで行きます」などといった形で使えます。「私が岩手まで参ります」といった形だと相手が恐縮したり、堅苦しく感じるなと思う場合には「行きます」の方が適した敬語表現になりますので、必ずしも謙譲語・尊敬語を選択した方がいいということにはなりません。
「行きます」と同じ意味の丁寧語には「訪ねます」「赴きます」がある
「行きます」と同じ意味の丁寧語には「訪ねます」「赴きます」があります。「行く」の丁寧語表現はあくまでも「行きます」がメインになるものの、他の表現を使いたい場合には「訪ねます」「赴きます」といった言葉もあります。
「行く」の敬語の使い方例文5選
「行く」の敬語の使い方例文①謙譲語「参る」の例文
「行く」の敬語の使い方例文の1つ目は、謙譲語「参る」の例文を紹介します。「行く」の謙譲語「参る」を使う場合には「私がそちらに参りましょう」と言うことでそちらに行くことを示すことができますし「私がそちらに参りましょうか」と疑問形にすることで、丁寧なニュアンスで相手に質問をすることができます。
また「私がそちらに参りましょう」という表現はより堅く表現をするなら「私がそちらに参る所存でございます」と言い換えることもできます。「行く」の謙譲語表現については「存じます」など、他のフォーマルな表現と組み合わせることで、様々な場面でその状況に応じて使うことができます。
「行く」の敬語の使い方例文②謙譲語「伺う」の例文
「行く」の敬語の使い方例文の2つ目は、謙譲語「伺う」の例文を紹介します。「行く」の謙譲語「伺う」は「私が先方までお伺いします」という形で使います。この表現は「お伺いいたします」「お伺いさせていただきます」といったより丁寧なニュアンスの表現が多く使われますが「お伺いします」が最も適切な表現になります。
何故なら「伺う」自体が謙譲語表現であり、れっきとした敬語表現に該当するため、これ以上敬語のニュアンスを追加すると二重敬語といって、敬語を重ねて使ってしまう間違った日本語表現に該当するリスクがあるからです。
ちなみに下記の関連記事は「伺う」の使い方を詳しくまとめたおすすめの記事です。伺うという謙譲語表現はビジネスで多用される表現でありながら意外に誤用が多い表現でもあります。下記の関連記事をしっかり確認して「伺う」という言葉を正しく使う参考にしてみてください!
「行く」の敬語の使い方例文③尊敬語「いらっしゃる」の例文
「行く」の敬語の使い方例文の3つ目は、尊敬語「いらっしゃる」の例文を紹介します。「行く」の尊敬語「いらっしゃる」については「部長は展示会場から商談会場までいらっしゃるそうです」といった形で使います。「いらっしゃる」は尊敬語であるため、この表現は部長に対して敬意を表す言い回しになっています。
ただし注意しなければならないのは、この例文は社内でしか使うことができません。取引先の人に対して同じことを伝える場合には「高橋は展示会場から商談会場まで参るようです」といった形で言い換えます。取引先がいる場合には敬意を払う対象は高橋部長ではなく取引先になるため、このような表現になるのです。
「行く」の敬語の使い方例文④尊敬語「行かれますか」の例文
「行く」の敬語の使い方例文の4つ目は、尊敬語の疑問形表現である「行かれますか」の例文を紹介します。「部長は直接商談会場まで行かれますか」といった形で使われます。この表現は直接相手に使うこともできますし、社内で誰かに尋ねる際に使うこともできる表現です。
また、この表現は「部長は直接商談会場まで向かわれますか」「部長は直接商談会場までいらっしゃいますか」といった形で、他の尊敬語表現に置き換えて使うこともできます。
「行く」の敬語の使い方例文⑤尊敬語「おいでになる」の例文
「行く」の敬語の使い方例文の5つ目は、尊敬語「おいでになる」の例文を紹介します。「行く」の尊敬語「おいでになる」という表現は「来週松本で開催される全国会議について、A社からは部長がおいでになるようです」といった形で使うことができます。この表現は「行く」の尊敬語表現の中でも改まった言い回しになります。
そのため、逆にこの表現を使うことで相手を恐縮させたり、その言い回しについて堅苦しく感じるようなことがあります。「おいでになる」という言葉を使う場合には、相手がどう感じるのかを重視しながら使うようにしましょう。
「向かう」の敬語表現と使い方は?
「向かう」の敬語表現は丁寧語「向かいます」と尊敬語「向かわれる」
「向かう」の敬語表現は丁寧語「向かいます」と尊敬語「向かわれる」です。「向かう」をそのまま謙譲語にした表現はないので、謙譲語で表現する方法は後述しますが、「向かう」という言葉はその場所や方角に進んでいくことを表しており、丁寧語「向かいます」と尊敬語「向かわれる」といった敬語表現が可能です。
例えば「私は明日東北まで向かいます」という丁寧語表現や「社長が明日東北まで向かわれるそうです」といった形で文章に盛り込むことができます。「行く」という表現よりも行先や方角を漠然と表すのに適したのが「向かう」という表現であり、「行く」と使い分けることで相手に細かいニュアンスを伝えることができます。
「向かう」の謙譲語は「行く」を言い換えるとそのニュアンスを表現できる
「向かう」の謙譲語は「行く」を言い換えると、そのニュアンスを表現できます。例えば「私はこれから本社へ向かいます」という言い回しは「私はこれから本社へ参ります」といった形に言い換えることができます。この場合「参る」という謙譲語表現は「行く」と「向かう」両方の謙譲語表現になります。
行くの敬語表現の使い方をマスターしよう!
行くの敬語表現には様々なバリエーションがあります。その一つ一つを使い分けることで、ビジネスにおける表現力の向上が期待できるとともに、相手に何かを伝える時に、丁寧でフォーマルな印象を与えることができます。それがビジネスの成功にも繋がっていくことでしょう。
また、ここで紹介しているようにビジネスにおける「行く」の敬語表現は毎日のように使います。そのため間違った使い方をすると目立ち、一回間違うだけで大きなマイナス評価になってしまうことすらあるのです。ここで紹介した「行く」の敬語表現の知識や例文について、今後のビジネスに役立ててもらえたらうれしいです!
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