建前の意味とは?上棟式のお祝いの方法・挨拶例文・祝儀とのしについても
建前には「表向きの考え」と「建築における上棟式のこと」という、2つの意味があります。上棟式とは、新築の際に行うお祝い・無事・感謝のための祭祀です。ここでは上棟式の方を詳しく説明しており、進め方・ご祝儀ののしの書き方・餅投げについて・挨拶のことなどをご紹介しています。参考にどうぞ!
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建前の意味とは?
建前とは「表向きの考え」や「売り声」の意味
建前とは、「原則として立てた方針・表向きの考え」と「行商人や大道商人が商品を売る時の口上・売り声」の2つの意味を持つ言葉です。前者の意味は「本音と建前」や「建前を崩す」といった使い方をし、一般的には建前と言えば「表向きの考え」の意味で捉えられるでしょう。また、漢字表記は「立前」とすることもあります。
建築における建前は「上棟式」のこと
建築における建前とは、「上棟式(じょうとうしき)」のことです。「棟上げ」と呼ばれることもあります。上棟式というのは「新築の際に行う神道の祭祀」で、建物の無事を願う目的で行われます。神道の祭祀と言っても神主を呼ばず、棟梁(とうりょう=大工の親方)を中心に儀式を行うことが一般的です。
普通なら、骨組みが完成した状態で行われます。天候や休日の兼ね合いなどによっては、骨組みが完成した状態とは違った状況で行われる場合もあります。上棟式の予算は20万〜30万円ですが、工務店と相談して金額を下げることはできます。なぜなら費用の大半は祝儀用であるため、限度はありますが費用の削減は可能です。
通常の流れなら、上棟式の後には直会(なおらい)と呼ばれる宴会を開きます。上棟式は建前の無事を願うことが最もな目的ですが、施主(建築を注文した人)が工事の無事と職人に対する労いを伝える場でもあります。絶対的なことではありませんが、感謝と労いを伝えると自分たちも職人さんたちも良い心になれるでしょう。
上棟式の目的は建築の無事・感謝と労い・お祝い
上棟式を執り行う目的は、「建物の無事と工事の無事」「注文を受けて工事を行ってくれる職人への感謝」「新築を祝うこと」です。最もは「建物の無事と祝い」ですが、工事に携わる人(その中でも棟梁など特に上の人)も参加する祭祀ですので「職人への感謝と工事の無事を願う労い」もあった方が良いでしょう。
しかしながら、上棟式は必ず行うべきものではありません。地域の慣習やしきたりでもなければ、国で定められた絶対的に行う必要がある祭祀ではなく、施主の判断によって行うか行わないかが決まります。それでも行う方がいるのは、職人に感謝を伝えるためだと言われています。ただ、近年は行う方も減りつつあります。
建前のお祝い!やり方は?
まずは建前をする日時を決める
まずは建前(上棟式)を行う前に、いつ行うのか?を決めます。日時を決めることに関わるのは、施主と施工を行う人(大工の棟梁や工務店)です。大体は大安の休日を選びますが、施工の具合によって休日優先か大安優先かが変わってきます。絶対的に大安が良い!と言う方もいますが、施工状況に合わせた対応も必要です。
ただし、絶対に避けるべきと言われている日があります。それは「三隣亡(さんりんぼう)」と呼ばれる、建築や建前にとって最も良くない日です。三つの隣が亡びると書くように、近隣三軒が亡びるほどの災いが起きる日と言われています。そのため、三隣亡の日には建前も着工も通常なら避けます。
次にお祝いをする規模を決める
建前の日時が決定したら、次に考えるのは「規模」です。規模というのは「どのくらい人を呼ぶのか」を表し、声をかける人が増えるほど規模も大きくなります。もちろん規模が大きくなれば、かかる費用も増えます。
建前を行うにあたり、必ず出席するのは「施主」「施主の家族」「両親」「施工業者」「設計士」です。そこに「親戚」や「来賓」が加わると中規模の扱いになり、更に「近所の方」や「友人」も参加するとなれば大規模の扱いになります。
お供え物について把握しておく
建前における基本のお供え物は、「米」「神酒」「塩」「神酒の盃」です。米の量は皿山盛り分で、建前の前日に洗っておきます。神酒は1升、塩は皿1杯分を用意します。神酒の盃は茶碗などを使用し、最低でも必ず出席する立場にある人(施主・その家族・両親・施工業者・設計士)の人数分を用意しておきます。
お供え物には地域によって違いが見られることもありますが、米・神酒・塩・盃は必ず用意されます。違いが見られる地域では尾頭付きの海魚があったり、海の幸・野菜・果実を3種類用意するといったこともあります。
雨との兼ね合いについて
建前は、雨でも行います。台風など余程の状況がない限りは、雨が降っていても建前は行われます。事前に建前当日が雨の予報になっている場合は、工事を前倒しで進めて、当日は上棟の儀式のみになることもあるようです。
基本的に雨でも行う理由は「吉日を希望する場合が多いために日にちをずらすと予備日が遠くなり、工事が大幅に遅れることになるから」だと言われています。建前は完成した骨組みの状態で行うため、上棟の儀を終えないと工事が次に進めないのです。そのため、余程でない限りは雨でも行います。
建前の基本的な流れ
建前の基本的な流れは、上棟式の準備、上棟式、上棟を終えた後の祝いになります。まずはじめに、午前10時にお茶を出します。それから午後12時になったら、昼食を出します(弁当・お茶・味噌汁などを人数分用意する)。
午後3時頃になったら、奇数人数の男性が最上階か屋根に登って上棟式が始まります。ただし、時間は状況により変化します。棟梁が上棟セットと祭壇にお払いをし、施主から順番に祭壇へ二礼二拍手していきます。その後、清めの意味で建物の四方に酒と塩と米を蒔きます。ここまでが、上棟式の流れです。
上棟の儀式が終わったら、祭壇の前で乾杯をします。餅投げをする場合は、乾杯の後に建物の四方へ餅を投げます。建前の最後には、直会(なおらい)と呼ばれる宴会を開催します。直会の流れは、「施主の挨拶と乾杯と職人紹介など、施主が職人へご祝儀を渡してからお開き」となります。
直会にも準備が必要
直会で行われることは施主の挨拶とご祝儀渡しですが、宴会ですのでそれなりの準備が要ります。まずは主席者人数に合った食事量を決めますが、最近はそれほど長く行わない(大体1時間)のでたくさんは必要ありません。
用意される飲食物は、大皿の寿司・オードブル・乾き物のつまみ・お酒・烏龍茶・ジュースなどが基本です。お酒は上棟のお祝いで誰かから貰うことがあるため、用意しない方もいるようです。また、お酒を出す場合には飲酒運転にならないよう注意を促す必要があります。代行、あるいは乗り合いにしてください。
建前は餅投げのイメージだが餅投げするかは施主の次第
建前では餅投げをするイメージが強い方もいるかもしれませんが、実は建前の餅投げは施主の任意で行われます。つまり、必ず行われることではなく、施主が餅投げを行うと決めた場合にのみ行われるものです。
餅投げをするには費用もそれなりにかかりますが、食べ物としての事前の準備時間も要します。餅投げをしたい場合は、できるだけ早く決断した方が良いです。お祝いの意味や近所付き合いのことも考えて行う方もいますが、お祝いより建築の方に費用をかけたり、建前を行わない方も増えてはいます。
建前のお祝い!挨拶の例文は?
建前の挨拶例文
建前の時に行う挨拶は、「はじめの一言」から始まり「家族紹介」に次いで「失礼を考慮した一言」と来て「工事の無事と安全を願う言葉」を述べてから「締めの言葉」で終わります。まず、はじめの一言では「皆様のお陰で、本日無事に上棟を済ませることができました。ありがとうございます。」と言う場合が多いです。
家族紹介は建築に携わった職人さんたちに対して行うもので、どんな人が住むのかを明らかにするために行います。失礼を考慮した一言は、「初めての上棟式でしたので、失礼がありましたことをご容赦ください。」などと言います。
建築に対する無事と安全では「今後の工事につきましても皆様にはくれぐれもお怪我のないよう安全第一でお願いいたします。」などと示して、締めの言葉「本日はありがとうございました。」で終わるのが一般的です。
ご近所にする建前の挨拶について
ご近所には、建前を行う前に挨拶をするのが基本です。当日1週間前くらいから「○月○日に上棟式を行います。」ということを伝えましょう。また、餅投げを行うなら「○時から餅投げをしますので是非お越しください」などを加えて伝えます。
ご近所への挨拶は度々行うタイミングがある
新築を建てる際に行った方が良いご近所への挨拶は、建前の時だけではありません。一番はじめは「着工前」のタイミングで、工事の騒音によって迷惑をかける可能性を考慮したお詫びを含む今後の挨拶をしに行きます。
次に「地鎮祭」の時です。事前に、騒音による迷惑に対するお詫びと今後の挨拶をしておきます。それらが過ぎたら、次は「上棟式」の時です。事前に今後の挨拶と、上棟式や餅投げの案内を知らせます。最後は「入居時」で、新築祝いや入居予定日を知らせることを含む今後の挨拶をします。
建前のご祝儀!金額・のしの書き方は?
建前のご祝儀金額は施主の裁量で決まる
建前のご祝儀金額は、施主の考えに委ねられます。出席者に対して渡すご祝儀にかける金額は、施主が決めるということです。一般的には、5千円〜1万円くらいが多いです。そこまでかけるのは難しいという場合は、工務店や設計者に相談することで出席人数の調整などを行ってくれます。
建前のご祝儀におけるのしの書き方
建前のご祝儀におけるのしの書き方では、お祝いということで「ご祝儀袋の結び目・表書き・ペンと書き方・金額表記」などの注意点がいくつかあります。まずご祝儀袋についてですが、建前では「慶事用ご祝儀袋・水引は紅白・結び目は蝶結びかアワビ結び」にします。
表書きは「御祝」「御祝儀」「祝上棟」のいずれかにし、表書き上段に書きます。水引の下には、少し小さめに氏名を書きます。字は濃くハッキリ書きたいので、筆ペンかフェルトペンを用いた方が良いでしょう。また、金額も表記した方が親切です。金額は縦書きで、金壱万円のように表記します。
建前ののしの表書きには種類がある
建前ののしの表書きは、渡す相手によって変える必要があります。「御祝」は慶次全般に使える最も無難な表書きで、誰に対しても使えるオールマイティです。「御祝儀」は工事関係者に渡すお祝いののしに書く表書きで、大工さんや設計士などに対して使います。
「祝上棟」や「上棟式御祝」は、友人や親戚などの上棟式に招かれた人が施主に渡すお祝いののしに書く表書きです。「上棟記念」というのもありますが、これは大きな建物の上棟式に参列した方への記念品を渡す時に使うイメージなので、家の場合にはあまり使いません。
ご祝儀の金額が高くない場合には「寸志」の表書きを使うこともありますが、これは目上が目下に使う言葉です。施主が大工よりも偉いわけではないため、家づくりに携わってくれた工事関係者に使うのは失礼な印象になり得ます。寸志については、以下の記事が参考になります。
建築の建前(上棟式)は段取りが大事!不備がないよう気を付けて
建前と言っても建築における方の建前(上棟式)についてを詳しくお伝えしましたが、祭祀ということもあって段取りや費用がそれなりにかかります。建前は必ず行うべきものではなく、執り行いの決定は施主次第です。
現代的には行わない人も増えているようですが、職人さんたちへの感謝と無事を願うことは忘れないようにしましょう。行うのであれば、ご近所への挨拶・お祝い(ご祝儀)ののしの書き方・餅投げの有無などを考える必要があります。なにかと大変ではありますが、行う際は段取りと柔軟性を重んじて進めていきましょう。
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