「借りる」の正しい敬語表現を解説!ビジネスメールでの使い方も!
「借りる」の敬語を正しく使えていますか?ビジネスでは頻繁に起こるお金や物などの貸し借りですが、敬語を正しく使わないと相手の気分を害してしまうこともあります。仕事を円滑に進めるために、「借りる」の尊敬語、謙譲語、丁寧語、メールでの表現などを確認しましょう。
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目次
尊敬語|相手が「借りる」場合
尊敬語の「借りる」①お借りになる
「借りる」の尊敬語の1つ目は「お借りになる」です。尊敬語の典型パターンである「お~になる」を使った表現で、物品だけではなく、お金や場所などあらゆる物を借りている場合に使える便利な言い回しです。
尊敬語の「借りる」②借りられる
「借りる」の尊敬語の2つ目は「借りられる」です。尊敬語の「~られる」に当てはめた表現で、難しく考えることなく簡単に使える言い方なので、ちょっとしたビジネスの会話でも使いやすい言い回しです。
「~られる」という敬語表現は、「~することができる」という「可能の表現」にも使われます。例えば「借りられる」なら、「借りることができる」という意味で捉えることもできますよね。前後の文脈によっては、敬語表現なのか可能表現なのか分かりにくくなることもありますので、使うタイミングに気をつけましょう。
謙譲語・丁寧語|自分が「借りる」場合
謙譲語・丁寧語の「借りる」①お借りする
「借りる」という言葉に、謙譲語の「お~する」を当てはめたのが「お借りする」です。会話の中でも使いやすい言い回しで、距離の近い上司や先輩などにも気軽に使える表現です。ペンなどちょっとした物を借りる場面から、会社の備品などを借りる場面まで幅広く使えます。
謙譲語・丁寧語の「借りる」②拝借する
「借りる」は、「拝借(はいしゃく)する」と言い換えることで非常にへりくだった謙譲語になります。宴会の締めのシーンなどで「お手を拝借」というセリフをよく耳にしますよね。あの「拝借」です。
「拝借する」は、「お借りする」よりも丁寧な言い回しです。「拝」は「おがむ」とも読みます。ありがたく拝むような気持で借りる、そのくらい相手に敬意を払っているということで、よりかしこまった表現が必要な場合に使えます。
謙譲語・丁寧語の「借りる」③借ります
「借りる」の最もフランクな言い方が「借ります」という丁寧語での表現です。「~ます」を語尾につけた言い方で、部下や後輩にも「ちょっと借りますね」など気軽に使える言い方です。ビジネスシーン以外にも、友達や家族など相手を問わず使えるため、日常生活で無意識に言っている人も多いでしょう。
「借りますね」という言い方は、場所や物などを借りるだけなら問題ありませんが、お金など重要な物を借りるとき使うにはやや不適切です。あくまでただの丁寧語ですので、相手との関係性や、借りようとしているものが何なのかによって使い分けましょう。
ビジネスシーンでの「借りる」の敬語の使い方・例文
借りてもいいか尋ねる例文「拝借してよろしいでしょうか」
借りてもいいか、許可を得たいときには「拝借してよろしいでしょうか」「拝借したいのですが」という言い方があります。「こちらの資料を拝借してもよろしいでしょうか」「あちらの備品を拝借したいのですか」などと言うと、非常に丁寧に伺いを立てていることが伝わります。
「拝借」は、より敬意の高い表現です。相手がかなり目上の人だったり、あるいは借りようとしている物が非常に重要な物の場合に使うといいでしょう。
借りてもいいか尋ねる例文「お借りできますか」
何かを借りた報告をしたいシーンでは「お借りいたしました」「お借りしました」を使うといいでしょう。「会議室をお借りいたしました」「打合せスペースをお借りしました」など、場所を借りていた場合にも役立つ表現です。
「借りていたけど、もう返した場合」など、借りていたことを過去形で伝えるときは「お借りしておりました」という言い方もあります。「午前中に打ち合わせがあったため、会議室をお借りしておりました」と言うと、「もう打ち合わせは終了し、会議室を使い終わっている」という意味で伝わります。
相手に借りることを許可する例文「お借りください」
借りていいですよ、と許可を出すときには「どうぞお借りください」と伝えましょう。「どうぞお使いください」「どうぞご利用ください」などの言い回しでも意味は通じます。
「お借りくださって構いません」という言い方は、目上の人への敬語としては控えたほうがいい表現です。「構いません」は「私は気にしていません」という意味で、相手からの謝罪などに対して使う表現です。目上の人へは「お借りください」と言うほうが適切です。
「構いません」と同じく「結構です」という言い方も、目上の人に使うのは控えましょう。「結構です」を使う際の注意点や言い換えの表現については、下の記事で詳しく紹介していますので、一度確認しておきましょう。
相手が借りているか確認する例文「借りられていますか」
目上の人でも、そこまでかしこまった関係ではない相手には「借りられていますか?」という言い方が自然です。「借りていますか?」は丁寧語ではありますが、ビジネスで目上の相手に使うにはやや砕け過ぎた印象になるので気をつけましょう。
なお、「借りられていらっしゃいますか」は、「借りられる」と「いらっしゃる」が合わさった二重敬語になります。「借りられる」を使うなら「借りられていますか?」が正しいですし、「いらっしゃる」を使いたいなら「借りていらっしゃいますか?」が正解です。
ビジネスメールでの「借りる」の敬語の使い方・例文
借りてもいいか尋ねるメール例「お借りできますでしょうか」
ビジネスメールで借りてもいいかを尋ねる表現には、「お借りできますでしょうか」「お借りしてもよろしいでしょうか」というものがあります。「会議室をお借りできますでしょうか」「こちらの資料をお借りしてもよろしいでしょうか」など、場所や物、あらゆるものを借りるシーンで使えます。
物を借りるときには、借りたい理由もセットで添えるといいでしょう。上の例文の場合、「午後から打合せがあるため、会議室をお借りできますでしょうか」「会議で使うスライドを作りたいので、共有資料をお借りしてもよろしいでしょうか」と言うと、貸す側も安心できます。
借りている物があるか確認するメール例「お借りしている物はございますか」
ビジネスでは、物品やお金などを会社から借りるケースも多々あります。「今現在、会社から借りている備品はあるか」「会社から仮払いで借りているお金はいくらか」などをメールで問い合わせるときには、「お借りしている備品はございますか」「現在お借りしている仮払金はいくらございますでしょうか」などと問い合わせましょう。
基本的に、会社から借りている物やお金は自分で把握しておくのがマナーです。このような問い合わせメールはできるだけ丁寧に送るようにしましょう。「お忙しいところ恐縮ですが、ご確認くださいますようよろしくお願いいたします」など、相手を気遣う一文を文末に添えるのもいいですね。
借りたことを報告するメール例「お借りいたしました」
何かを借りる際は事前に許可を得るのがベストですが、時には事後報告になってしまうこともあります。借りたことを後からメールで報告する場合には「お借りいたしました」「拝借いたしました」と伝えましょう。
「急ぎで必要だったため、お借りいたしました」「担当者の方がご不在でしたので、ほかの方に許可をいただいてお借りしました」など、「やむを得ず借りていった理由」をセットで伝えると、相手にも理解してもらいやすくなります。
相手に借りることを許可するメール例「お借りくださいませ」
借りていいかどうかの許可をメールで求められた場合には「どうぞお借りくださいませ」という返事の仕方があります。「どうぞお借りください」でもいいのですが、語尾に「ませ」を付けるとより丁寧な敬語表現になります。
断る場合には、「借りる」という言葉は使いづらくなります。「申し訳ないのですが、ほかに借りたいという方がいらっしゃいます」「すでにお借りになっている物を、先にご返却いただけますでしょうか」など、断る理由を伝えることで、「借りる」という言葉を使うことなく拒否の意思表示ができます。
相手が借りているか確認するメール例「お借りになっていますか」
借りているかどうかを相手に確認したいときは、「お借りになっていますか?」「借りられていますでしょうか?」「借りていらっしゃいますか?」などの言い方があります。
取引先の人など、気を遣う相手の場合は「お借りになっていますか」が好ましいです。「お~なる」の敬語表現は、敬意が高めの言い方です。相手との関係によって上手く使い分けられるようになりましょう。
「借りる」の尊敬語が難しいビジネスシーンでは?
「借りる」を尊敬語で使うのが難しい場面について
物や場所、お金の貸し借りの場合、どうしても「貸す側が上、借りる側が下」という構図になってしまうため、「借りる」の尊敬語は使うのが難しくなります。
「どうぞお借りください」という言い方も敬語として間違ってはいないのですが、どうしても恩着せがましく聞こえてしまいますよね。そんな時は、別の言葉に言い換えることでスムーズに会話を進めることができます。
言い換え例①「お貸ししています」
相手がお金などを借りているケースでは、「お貸ししています」という言い換えが便利です。相手が借りている場合、当然こちらは貸していることになるので、「貸す」という言葉を丁寧語や謙譲語で言い換えましょう。
例えば、目上の人からお金を借りていたかどうか確認された場合は「はい、お貸ししています」「いいえ、お貸ししているお金はございません」と答えても意味は十分通じます。
また、借りることができるかどうかの問い合わせも、「はい、お貸しできます」「いいえ、お貸しすることはできかねます」と、「貸す」に置き換えることが可能です。断る際は、頭に「申し訳ないのですが」などワンクッション入れる一言を添えると丁寧な印象になります。
言い換え例②「予約されています」
事前に相手から借りることを伝えられていた場合は、「予約されています」という言い換えも便利です。主に会議室や打合せスペースなど、目上の人が場所を借りようとしているときに使うことが多いでしょう。
目上の人から、「午後から会議室って借りてたっけ?」などと言われたときは「はい、予約されています」「いいえ、予約はされていないようです」と答えましょう。
言い換え例③「レンタルされています」
「借りる」の言い換えの3つ目が、「レンタルされています」という表現です。お金や場所を借りている場合にはあまり使えませんが、物品全般で使うことができる言い方です。
レンタルというとCDやDVDのレンタルが思い浮かびますが、備品などを借りるときにも「レンタル」は使えます。目上の人が社用備品を借りているときは「すでにレンタルされています」と言っても敬語表現として通じます。
敬語の「借りる」を適切に使いビジネスを円滑に進めよう
ビジネスで避けては通れない「借りる・貸す」という関係も、敬語をきちんと使いこなすことでスムーズに仕事を進められるようになります。備品、お金、場所、あらゆる物の貸し借りのシーンで、「借りる」という敬語を正しく使えるようになりましょう。
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