斟酌するの意味と使い方とは？忖度との違いや類語や反対語と英語も

斟酌するの意味・読み方と英語

斟酌するの読み方と英語

まず、斟酌するの読み方からご紹介します。「斟酌」と書いて「しんしゃく」と読みます。「斟酌する」は「しんしゃくする」という読み方になります。斟酌の「斟」の字は「水などをくむ」「相手の気持ちを読む」という意味で、「酌」は「水やお酒をくむ」という意味です。

「斟酌する」を英語で言うと、concider（考慮する）がもっとも近い意味となります。他の英語ではこれに少し足して、consider somethingと表現するものもあります。「何かを考慮する」という意味なので、ほぼ斟酌と同じ意味と言えますが、英語には「斟酌する」に当たる単語はないのです。

斟酌するの意味①相手の事情などを汲み取る・汲み取って手加減する

斟酌するの意味、一つ目は、相手の事情などを汲み取ることや、相手の事情などを汲み取って手加減するというものです。つまり、生まれ育ちなどの家庭の事情や、職場での事情や金銭的事情など、相手に同情すべき事情がある場合、その事情を汲み取ってあげて手加減するということです。

なので、同情すべき事情などがない相手に対しては、斟酌するという言葉は使いません。あくまでも、同情を禁じ得ない相手に対する、優しい心遣いあっての「斟酌」なのです。斟酌は、同情の余地もない相手に対して使う言葉ではないということです。

斟酌するの意味②状況などを見て取捨選択する

斟酌するの意味、二つ目は、状況などを見て取捨選択するということです。こちらも一つ目と同じく、相手に対して同情すべき事情がある場合の話になります。

こちらの意味では、主にビジネス関連に使われることが多くなります。取捨選択などという言葉自体、日常生活ではあまり使いませんので、ビジネス関連に使う意味となります。取捨選択するなどという言葉を対人関係などで使っては、とても冷たい、人情もないような人に思われかねませんのでご注意ください。

斟酌するの意味③遠慮する・控えめにする

斟酌するの意味、三つ目は、遠慮することや、控えめにするという意味です。こちらもやはり、相手の状況や事情などを慮って、遠慮したり控えめにしたりするということです。

「だったら遠慮という言葉でいいじゃないか」という人もいるでしょうが、斟酌と遠慮とは微妙に違うのです。斟酌は、相手の心情や事情、状況などを思い遣る気持ちがこもっていますので、単なる遠慮とは異なるのです。

「遠慮する」という言葉には、「控えめにする」「言動を控えめにする」という意味がありますが、こちらは「斟酌する」に比べると、人の心情が込められていません。そこが「遠慮」と「斟酌」の違いなのです。

斟酌と忖度の違い・使い分け方

斟酌と忖度の違いとは相手への思いやり

次に、斟酌と忖度の違いについてご紹介します。斟酌の意味については先にご紹介しましたが、忖度も似た意味合いの言葉なのです。忖度の意味は、「相手が何を求めているかを察知し、気を回す」というものです。相手が求めるものに気づき、先回りして準備する…という、おもてなし大国・日本ならではの単語です。

忖度というと、政治関連のニュースなどで全国的に広まり、使う人が一気に増えたことで知られますが、政治関連のニュースがあまり良い印象ではなかったため、悪い意味で使う単語だと勘違いし、悪い意味で使っている人もいるのです。

でも忖度というのは本当は、先にもご紹介したように、相手が何を求めているかを察知し、気を回す…つまり、相手のことを思い遣る気持ち前提の言葉ですので、とても良い言葉と言えます。斟酌も忖度もとても素敵な言葉ですので、正しい意味を知って、正しく使って下さいね。

斟酌と忖度の使い分け方

斟酌と忖度の使い分け方ですが、斟酌の主な意味「相手の事情などを汲み取る・汲み取って手加減する」と、忖度の主な意味「相手が何を求めているかを察知し、気を回す」とは微妙に違いますので、状況下によって使い分けることになります。

たとえば、小さな子供が悪い事だと分からず、何かを壊したりした場合には「斟酌する」を使います。「相手が子供」であること、「子供であるがゆえに悪い事だとわかっていなかった」ということなどを考慮し汲み取って、あまりひどく叱らないようにするといった場合には「斟酌する」を使います。

次に忖度の使い方ですが、取引先の相手などがどんな取引条件を求めているかを察知し、相手の求める条件を提示できるよう気を回すといった場合、「忖度する」を使います。「斟酌」が同情を含む言葉であるのに対し、「忖度」は気遣いを含む言葉なので、そういった点に留意して、正しく使い分けましょう。

斟酌の使い方・例文

斟酌の使い方・例文①相手の事情を汲み取る・汲み取って手加減する

斟酌の使い方・例文、一つ目は、「相手の事情を汲み取る・汲み取って手加減する」意味の場合です。「その少年は確かに罪を犯したが、未成年であることや、悪意がなかったことなどの諸事情を斟酌し、罪を軽くするということで意見の一致を見た」の例文から、情状酌量という言葉が頭に浮かぶ人もいるでしょう。

情状酌量の酌も、斟酌するの酌も同じ漢字です。「水を酌（く）む」「酒を酌む」という、水分をくむ時に使われる漢字が、情状酌量にも斟酌にも使われています。ですので、情状酌量が使えるような場合に、斟酌するという言葉も使えるということになります。

斟酌の使い方・例文②状況などを見て取捨選択する

斟酌の使い方・例文、二つ目は、「状況などを見て取捨選択する」という意味の場合の例文です。「例年にない猛暑と水不足のため、野菜の生産量が激減しており、野菜の高騰に家計の悪化を訴える人も多いが、生産農家の事情を斟酌し、安く買いたたかないよう、仕入れ業者に指導する」といった具合です。

この例文では、野菜の高騰によって一般家庭の家計が圧迫されて、買う側の人々も苦しいという事情はあるけれど、生産農家の方が苦しい状況にあるということを慮っています。色々な状況を比較検討し、取捨選択する場合にも、斟酌するという言葉は使えるのです。

斟酌の使い方・例文③遠慮する・控えめにする

斟酌の使い方・例文、三つ目は、「遠慮する・控えめにする」という意味の場合の例文です。言動などを控える、遠慮気味の言動をするなどの時に使う場合の例文です。「皆が我先にと、各々自分勝手に動く中、ただ一人、斟酌する女性がいた」はそのまま、「遠慮する女性」となります。

「斟酌する」を「遠慮する・控えめにする」という意味のまま使えば、そのままの言葉で使えますが、逆の意味で使うこともできます。「斟酌ない」と使うと、「遠慮ない」という意味になりますので、「無遠慮な物言い」を「斟酌ない物言い」と言い換えることもできます。

斟酌の類語や反対語

斟酌の類語や反対語①類語・考慮

斟酌の類語や反対語、一つ目は類語で、「考慮」です。「考え、慮る」という意味で、深く考えることを示しています。斟酌の場合は、これに「相手の事情を慮る」など、相手が加わってきますので、そこが少し違います。

斟酌の類語や反対語②類語・酌量

斟酌の類語や反対語、二つ目も類語で、「酌量」です。例文と使い方の所でも少し触れましたが、裁判などのニュースで「情状酌量の余地なし」などという使い方がされています。こちらは相手の状況などを慮る意味もありますので、「考慮」よりさらに「斟酌」に近い意味と言えます。

斟酌の類語や反対語③類語・思い遣る

斟酌の類語や反対語、三つ目も類語で、「思い遣る」です。「思い遣る」は、相手の状況や心情などを慮るという点で、「斟酌」に近い意味を持ちますが、「斟酌」の場合、相手の事情を慮った上、手加減するという意味ですので、この点が少し違います。「思い遣る」と「手加減する」を一言で表せるのが「斟酌」です。

それでも、「思い遣る」というのはとても素敵な日本語です。「斟酌する」までは使わなくても、「思い遣る」を理解し、使えるというだけで充分なのです。

斟酌の類語や反対語④類語・手心を加える

斟酌の類語や反対語、四つ目も類語で、「手心を加える」です。こちらは「斟酌する」の意味の一つ目にご紹介した「相手の事情などを汲み取る・汲み取って手加減する」とほぼ同じ意味があります。「相手の事情に合わせ、手加減する」という意味なので、ほぼ同じ意味と言えます。

ですが、「手心を加える」というのは、意外に悪い意味で使われているのです。たとえば時代劇などで「そこはおぬしが手心を加えてくれんとな…」など、悪い人が使っているのを見たことがある人も多いでしょう。

このようなドラマなどの影響で、「手心を加える」というと悪い意味のように受け取っている人も多いかもしれませんが、実は「斟酌する」とほぼ同じ意味で、相手のことを思い遣る心がある場合に使われるのです。

斟酌の類語や反対語⑤反対語・無遠慮

斟酌の類語や反対語、五つ目は反対語で、「無遠慮」です。「斟酌」の反対語というものを調べると、ほぼ全く出てきません。その理由は、斟酌というのは優しい心のもとに成り立つ、とてもデリケートな日本語だからです。強いて挙げるとすれば「無遠慮」となります。

「斟酌」の意味の三つ目にご紹介した「遠慮する・控えめにする」の「遠慮する」の反対語として「無遠慮」が挙げられるため、「斟酌」の反対語として、「無遠慮」が挙げられます。遠慮しないという意味ですので、「斟酌」の反対語と言えます。

斟酌するという言葉を正しく知って知的女性に

「斟酌する」についてご紹介してきましたが、如何でしたか？難しい言葉なのであまり使うことはないですが、さりげなく正しい使い方をすれば、知的女性と言われるかもしれませんよ。関連記事としてことわざ系の「体が資本の意味は？」「情けは人の為ならずの意味や語源は？」もぜひご覧ください。

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