「ご参考ください」は敬語?ご参考になれば幸いです/ご参考になさってください

「ご参考ください」に対して「敬語表現だから何の問題も無い」という人もいれば「命令形でけしからん」という目上の方もいる・・ために、ビジネスシーンでは賛否ある表現です。「ご参考になれば幸いです」などの言い換えや英語表現も含め、「ご参考ください」についてをご紹介していきます。

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「ご参考ください」の意味は?敬語として正しい?

「ご参考ください」の意味

考える

まず「参考」とは、「考えをまとめたり物事を決める際に手掛かりや助けとなる材料」や「種々の資料や情報を利用し考えること・また利用する資料や情報そのもの」のことです。

「ご参考ください」は「参考を相手に勧める」時に使う表現なので、「ご参考ください」の意味は「考えをまとめる手掛かりとなる材料にしてね」「物事を決める助けとなる材料にしてね」「種々の資料や情報」または「種々の資料や情報から考えてね」のいずれかとなります。

「参考」の言葉を使う前には、その「手掛かり・助け・利用する資料や情報」となるものを「提示」しなければ会話が成り立ちません。手掛かり・助け・利用する資料や情報を提示した後に、「これを手掛かりや助けにしてね・考える際に使ってね」という意味を込めて「ご参考ください」を使います。

「ご参考ください」は敬語としては正しい表現

考える

「ご参考ください」について、「敬語としては違和感がある」と答える方は少なくありません。特に敬語としての違和感があったり、実際に使用しても良いものか考えてしまう方が多いようです。単刀直入に答えを述べますが、まず「ご参考ください」は「正しい敬語」とされます。

「ご参考」は「参考」の言葉に、尊敬の意味を含む丁寧表現の接頭辞「ご(御)」を付けているため「ご参考」の部分は敬語表現です。「ください」は命令形の表現ですが、「くれる」の尊敬語「くださる(下さる)」の命令形なので丁寧な意味が含まれています。よって、言葉的に「ご参考ください」は正しい敬語表現です。

ただ、「ください」が命令形なために「見聞きする側が強制的な印象を受ける可能性がある」のです。実際に「ください」に対して「強いられている感じがする」「それを絶対にしないといけない感じがする」といった、マイナスな捉え方をされる場合が多いとされます。しかし、言葉的・敬語的には特に問題ない表現です。

「ご参考ください」の無難な言い換えは「参考にしてください」

資料提供

違和感を覚える理由には、命令形「ください」の他に「ご参考ください」という単語の繋げ方もあります。文を作る時には、単語と単語の間に何かしらの接続詞や助詞などが入る場合が多いです。実際には入れなくても意味は成り立ちますが、用法的に、あるいは聞く・読む時の違和感を無くすために用いることがあります。

では「ご参考ください」についてですが、そもそも「参考」は「名詞」なので「ください」といった「動詞を付けることは出来ない」と言われています。名詞は「大根の葉」における「葉」のように、「○○の○○」の形で用いられるのが一般的です。しかし「参考」は行動なので、逆にそのような使い方はあまりしません。

名詞「参考」に動詞「くださる」の命令形「ください」を用法的に違和感無く繋げるためには、「ください」に動詞「する」の連用形「し」+連用助詞「て」の「して」を加えて、「参考」との間格助詞「に」を入れます。すると「参考にしてください」になります。これが用法的に違和感の無い「ご参考ください」の表現方法です。

「ご参考ください」を使うビジネスシーンと使い方は?

ビジネスシーンでの使い方①参考にしてほしいものがある時


伝える

ビジネスシーンと一般的な使い方に大きな違いは無く、「ご参考ください」の意味の通り「何かを参考にしてほしい時」に使うのが基本です。その「何か」は「ご参考ください」を言う前に、既に相手に提示してある必要があります。

たとえば「資料やサイト」を「参考にしてほしいもの(考えたり決めたりするのに使ってほしいもの)」として相手に伝えたいなら、その資料やサイトの存在とURLなどの存在を明らかにしながら「ご参考ください」を添えます。

ビジネスシーンでの使い方②商品やサービスに関したメール

パソコン

ビジネスシーンではメールにて商品やサービスについての説明を送ったり、連絡を取り合うことがあります。その際には商品やサービスについての詳細が書かれたマニュアルなどを添付しますが、その添付した詳細を見てほしい時に「ご参考ください」を用います。

「ください」が命令形なので「ご参考ください」は「敬語ながらも押し付けるような印象」がありますが、連絡を取り合っている中では詳細を見る必要が確かにあるため「ご参考ください」が合います。ただし「絶対的に行う必要がある」意味を含んでいるわけではないため、気持ち的には敬語の姿勢を忘れないようにしましょう。

ビジネスシーンでの使い方③時と場合により「ご参考ください」を言い換える

厳しめの上司

「ご参考ください」は「命令形のイメージ」から、ビジネスシーンでは使うべきか否か確かに考える必要があります。敬語は「相手に与える印象」も重視する言葉遣いであり、意味的には良くても印象的に問題があるかもしれない場合があるため、言い換えを用いることを視野に入れておかないといけません。

言い換えについては後ほど詳しくお伝えしますが、「ください」を「くださいませ」にするだけでも敬語としての丁寧な印象が強まります。実は「ください」の本来の形は「くださいませ」であり、いわば「ください」は「くださいませ」の省略形なのです。今は上品なイメージを持たれますが、敬語として誰でも使える表現です。

「ご参考ください」を目上の人に使わない方が良い理由とは?

目上に使わない方が良い理由①敬語ながら命令形であるため

小さなことで

目上の相手に「ご参考ください」を使わない方が良いと言われる最もな理由は、「ください」の部分が「命令形」であるためです。問題なのは「命令形で言われた相手が覚える印象」であり、「ください」の意味ではありません。目上が目下に命令する社会構成があるため、たとえ敬語でも命令形を嫌う目上の方はとても多いです。

目上に使わない方が良い理由②敬語としての丁寧度が低いため

受け入れられない

「ください」を敬語の類だと認識している目上の方も多くいますが、命令形である時点で敬語としての丁寧度・敬意度は低い印象を与えます。社内や親しい取引先へのメール・会話で使える程度であり、親しさの無い相手に使うべきでは無いと考えられています。

目上に使わない方が良い理由③文章では誤解を受けやすいため

誤解している

「ください」には「押し付けるような印象がある」と言うのが一般的な意見ですが、メールなどの文章上で文字だけで「ご参考ください」と示されるとよりそのような印象が強くなると言われています。そのため、目上の方などに対するメールでは使用を避けた方が良いでしょう。文章物では堅い印象の表現を用いるのが無難です。

「ご参考ください」の類語と敬語と使い方例文は?

敬語表現①ご参考になさってください

提供

「もしよろしければ、こちらの資料をご参考になさってください」などの文で使う「ご参考になさってください」は、「ご参考ください」よりも丁寧度の高い敬語表現です。「なさって」の部分が「する」の尊敬語「なさる」の変化形ですので、「ご参考になさってください」は敬語の中でも尊敬語の扱いになります。

「ください」の存在が気になる方もいるかもしれませんが、「ご参考ください」よりも「ご参考になさってください」の方が見聞きした感じが柔らかいと言われています。つまり、「ご参考になさってください」の方が「押し付けるような感じが低い印象を与える」ということです。

「ご参考になさってください」は実際に用いる時、手前に「よかったら」や「よろしければ」を置くことがあります。「よかったら」は相手に強いる意味が無く、むしろ「謙虚な姿勢」を表す言葉です。そのことから「ご参考になさってください」は、「ください」を用いながらもより柔らかく押し付けない印象を与えるのです。

敬語表現②ご参考になれば幸いです

伝える

「ご参考になれば幸いです」は、押し付けるような印象を取り払った柔らかい敬語表現です。「ください」を用いず「になれば幸いです」を付けることで命令形では無くなるため、目上に対しても使いやすいと言えます。

「ご参考になれば」の部分は、「参考」に尊敬語「ご・お〜なる」を組み合わせて「ご参考になる」の形にした後、丁寧表現の「ます」に仮定形「たら・れば」を付けた「ましたら」を組み合わせた構成になっています。そこに「幸い」に丁寧表現「です」を付けた「幸いです」を繋げて、「ご参考になれば幸いです」の完成です。

また、「ご参考になりましたら幸いです」や「ご参考にしていただけたら幸いです」といった表現もあります。「なりましたら」は「なれば」の丁寧語なので、目上に対して好ましい表現です。「いただけたら」は「もらう」の謙譲語「いただく」とは少し違い、「他人にその動作をしてもらう」という単に行動を表す表現です。

敬語表現③ご参考にどうぞ

教える

「ご参考にどうぞ」は「ご参考になれば幸いです」と同様に「ください」が無いため、押し付けるような印象で受け取られる可能性が低い表現です。「どうぞ」は敬語表現ではありませんが「相手におすすめする」ことを「比較的に低姿勢で表す印象」があるため、目上に対しても使用出来ます。

実際に用いる時には、「よろしければ」を手前に置くことも多いです。「よろしければ」は「よかったら」の丁寧表現であり、この言葉を添えることでより柔らかな印象になります。また、「ご参考までに」という表現もあります。「までに」は「謙遜と気遣い」の意味が含まれているため、強いる意味合いが全くありません。

「ご参考になれば幸いです」などの例文

ビジネス

以上3つの言い換えの例文をご紹介します。まず、「ご参考になさってください」の例文には「お困りでしたらこちらにパンフレットがありますので、ご参考になさってください」などがあります。

「ご参考になれば幸いです」の例文には「当社の方でまとめた資料を添付しましたので、ご参考になれば幸いです」や「ご参考になれば幸いですが、何か気になることがありましたらご気軽に聞いていただければと思います」などがあります。

「ご参考にどうぞ」の例文には、「こちらの資料が分かりやすいかと思いますので、よろしければご参考にどうぞ」などがあります。

類語①ご覧ください

見る

「ご覧」は「見る」の尊敬語ですので、「ご覧ください」の意味は「見てください」になります。目上の相手に使うなどで表現を柔らかさを意識したい時には、「ご覧くださいませ」「どうぞご覧ください」「ご覧くださいますようお願いいたします」といった文にします。

類語②ご参照ください

参照する

「参照」の意味は「理解を深める目的で、既にある知識や情報などと目で確認可能な他の情報を照らし合わせて見る・読むこと」です。簡単に言えば「照らし合わせる」ことで、「ご参照ください」は「既にある情報と今目に見える情報を比べて考えてね」ということを表す時に使います。詳しくは、以下の記事が参考になります。

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「ご参照ください」の意味とは?参照と参考の違いや別紙参照の敬語も

会議や説明会などビジネスシーンでよく使われる「ご参照ください」という言葉ですが、普段何気なく使っていても正しい意味や使い方は知らないという人も多いでしょう...

類語③ご高覧ください

伝える

「高覧」は「敬いを込めて相手が見ることを表す」言葉ですので、「見てもらいたい」ことを表す時に「ご高覧ください」を用います。「ご覧ください」をより丁寧にした表現であり、敬いの意を込めることから目上の相手やお客様などに対して使うのが基本です。

「ご参考ください」の英語表現は?

英語表現①foryourinformation

読む

「for your information(フォー ユアー インフォメイション)」の和訳は「ご参考までに」です。「それを参考にしてください」と伝える時には「Please use it for your information(プリーズ ユース イット フォー ユアー インフォメイション)と表します。

「参考までに情報を添付します」なら「I’ll attach that information for your reference(アイル アタッシェ ザット インフォメイション フォー ユアー リファレンス)」の文で表現します。

英語表現②referto~

事務

「refer to ~(リファー トゥ 〜)」の意味は「〜を参照する」または「〜に注意を向ける」ですが、「ご参考ください」の意味でも使います。

「For details, please refer to the user manual(フォー ディテール、プリーズ リファー トゥ ザ ユーザー マニュアル)」=「詳細はユーザー向けマニュアルをご参考ください」といった使い方をします。

英語表現③asreference・forreference

資料

「as reference(アス リファレンス)」は「参考として・参考となる」の意味、「for reference(フォー リファレンス)」は「参考のため・参考まで・参考程度」の意味を持つ英語表現です。

「as reference」は「Please use it as reference(プリーズ ユース イット アス リファレンス)」とすれば、「参考にして下さい」を表します。

「for reference」は「Prices are for reference only(プライス アー ユー リファレンス オンリー)」とすれば、「参考価格です」といった英語表現になります。

「ご参考ください」は敬語だが状況や相手に合わせて言い換えよう!

「ご参考ください」は命令形ながらも敬語としては問題が無く、ビジネスシーンでも目上に対しても使えないことはありません。しかし、たとえ敬語でも命令形が気に触る方はいます。それに対して「敬語として問題は無いのだから何がいけないんだ!」と対立するのは社会的に避けたいので、言い換えを用いるのが無難です。

「ご参考になさってください」といった表現もありますが、相手が「ください」をどのように捉えるのか分からないので「ご参考になれば幸いです」などの「ください」が無い類語表現を用いた方が良いと言えます。

「ご参考ください」は使うとしても親しい相手に使用し、基本的には「ご参考になれば幸いです」や「参考にどうぞ」などの命令形を含まない類語表現を使用しましょう。


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